Transcript 11月度レジュメ
第107回東京六稜倶楽部
いきいき活きる-中年・老年期の心理学
91期 高橋 澄子
本日の内容
自己紹介
-企業で出会った中高年の隠された姿
「いきいき活きる」に使える心理学
-発達心理学、臨床心理学
「生涯発達」という考え方
-誕生から死まで成長し続ける人間の心理的側面
1
(参考資料1)エリクソンの発達段階説
馬場他による「ライフサイクルの臨床心理学」
より部分引用
発達段階
心理・社会的危機
(課題)
課題を通して
得られる
人間的活力
(徳)
Ⅰ 乳児期
基本的信頼
VS
基本的不信
希望
母親的人物
引きこもり
宇宙的秩序
Ⅱ乳児初期
自立性 VS 恥、疑惑
意思
親的人物
強迫
「法と秩序」
Ⅲ遊戯期
自主性 VS 罪悪感
目的
基礎家族
制止
理想の原型
Ⅳ学童期
勤勉性 VS 劣等感
適格
「近隣」、学校
不活発
技術的秩序
Ⅴ青年期
同一性
VS
同一性の混乱
忠誠
仲間集団と外集団
リーダシップの諸モデル
役割拒否
イデオロギー的
世界観
Ⅵ前青年期
親密 VS 孤立
愛
友情、性愛、競争、協力
の関係における
パートナー
排他性
協力と競争の
パターン
Ⅶ成人期
ジェネラティビティ
VS 停滞性
世話
(分担する)労働
(共有する)家族
拒否性
教育と伝統の思潮
Ⅷ老年期
統合 VS 絶望
英知
「人類」「私の種族」
侮辱
英知
重要な関係の範囲
中核的な病理
基本的な不協
和傾向
関連する社会秩序
の原理
2
■中年期(40~50代)の特徴
●課題
ジェネラティビティ
生殖性、世代継承性
VS
停滞性
(生産性、創造性含む)
子育て、世話、創造活動
●位置づけ
親
限界感、報われなさ
●課題をクリアするには
人生前半の
振り返り
世代間の
仲介役
自分
未来
変化
残された人生
への再スタート
過去
現在
評価
&
①自己像の修正
未来
3
(参考資料2)中年期の危機の構造
心理的変化
生物学
(身体的)
変化
自己有限性の自覚
体力の衰え・老化・寿命の
限界の自覚
ホルモン活動の衰退、閉経
家族に
おける
変化
職業に
おける
変化
家族構造の変化
・親役割の減少と終結
・子供の自立(への取り組み)
夫婦関係の見直し
老親の介護・看取り
職業的達成・昇進/挫折
仕事上での限界感の認識
生活習慣病の増加
更年期障害
空きの巣症候群
台所(主婦)症候群
アルコール依存症
キッチンドリンカー
離婚・家庭内離婚
職場適応障害
上昇停止症候群
うつ
アルコール依存症
中年期の危機の構造(岡本,2002)
大川一郎他「老年心理学」より引用
より引用
4
■老年期(60代~)の特徴
●課題
VS
人生の統合
絶望感
成熟、円熟、英知/死と生の受容
●課題をクリアするには
自
分
と
い
う
物
語
の
完
結
①
自分の生存の
意味と価値
の自覚
過去
現在
喪失
死
②悲哀の仕事
or
グリーフ・ワーク
(Grief Work)
5
(参考資料3)人生の出来事と心理的な影響度
生活変化指数
生活変化指数
ライフイベント
基準点
配偶者の死亡
100
社会的再適応評価尺度
大川一郎他「老年心理学」より引用
ライフイベント
該当する
ものに○印
基準点
子女の離家
29
離婚
73
義理の親族とのトラブル
29
夫婦別居
65
個人的な成功
28
刑務所などへの収容
63
妻の就職または退職
26
近親者の死亡
63
本人の進学または卒業
26
本人の大きなケガや病気
53
生活条件の変化(家の新改築・環境悪化)
25
結婚
50
個人的習慣の変化
24
失業
47
職場の上司とのトラブル
23
夫婦の和解
45
労働時間や労働条件の悪化
20
退職・引退
45
転居
20
家族員の健康面・行動面での大きな変化
44
転校
20
妊娠
40
レクリエーションのタイプや量の大きな変化
19
性生活の困難
39
宗教活動の変化
19
新たな家族員の加入
39
社交面での大きな変化
18
合併・組織替えなどの勤め先の大きな変化
39
一万ドル以下の借金
17
家計状態の大きな変化
38
睡眠習慣の大きな変化
16
親友の死
37
団欒する家族員の大きな変化
15
転勤・配置転換
36
食事習慣の大きな変化
15
夫婦の口論回数の大きな変化
35
長期休暇
13
1万ドル以上の大きな借金
31
クリスマス
12
借金やローンの抵当流れ
30
ちょっとした法律違反
11
仕事上の責任(地位)の変化
29
該当する
ものに○印
6
■悲哀の仕事/グリーフ・ワークのポイント
小さい喪失を丁寧に受けとめる
→日頃から人やものとの別れを大切にする(リハーサル)
周囲を信頼し、頼る
→共感して話をきいてもらう
悲しみや怒り、痛みを表現する
→感情は発散することによって消えていく
喪失を理解する
→繰り返し思い返し、意味を見いだす。物語を継続する。
自分に意味のある方法で記念する
→儀式、墓碑、形見、手紙、追悼文集 etc.
得たものは
自分の中に
生き続ける
↓
新たな自己・
役割の創造
健康的なストレス解消法を身につける
→消耗した心身を癒やす
個人個人にあったやり方で(人に押しつけない)
→立ち直り方は人それぞれ
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