スライド 1 - 徳洲会グループ

Download Report

Transcript スライド 1 - 徳洲会グループ

徳洲会病院北海道グループ外傷センター設立3周年記念学術講演会
【シンポジウム:日本における外傷医療のありかた】
機能再建型外傷センター構築の試み
札幌東徳洲会病院
土田芳彦、村上裕子、辻英樹、名和正行、綾部 真一、松田智倫、工藤雅響、
土屋 唯衣
札幌徳洲会病院
熊谷明史、森利光、田辺康、磯貝哲、畑中渉、倉田佳明、高橋信行、橋本功二、
平山傑、井畑朝紀、成田 有子、
講演の内容
日本における外傷医療の緒問題を把握し、
その解決方法を提案する
外傷統計
入院治療を要する外傷患者:約100万人
整形外科傷病の割合 約70%
厚生労働大臣官房統計情報部患者調査
英国統計から類推
・ISS 20<の多発外傷患者
約1.0人/人口1万人
・手術を要する整形外科外傷
約100件/人口1万人
Court-Brown 1997 JBJS
外傷医療の目的
Preventable Trauma DeathとDisability (後
遺障害)の軽減
・傷病者の社会復帰
・仕事をして税金を払う
救命:PTDの軽減
修正PTD/外傷死亡者
20%以下:10施設
65%以上:10施設 大友康裕ら 2002
(札幌医大高度救命救急センター 7%)
森和久ら 2003
大きな地域間格差及び病院間格差
四肢外傷後遺障害の類推
避けられた
後遺障害
多発外傷合併
発生数
(/100万)
100
重度四肢外傷
200
10-90%
他の整形外科外傷
16000
10%
10-50%
Court-Brown 1997 JBJS、
土田ら 2004
整形外科外傷後遺障害の種類
切断、感染、組織壊死・欠損、
偽関節、変形治癒、関節拘縮、
変形性関節症、神経麻痺、筋萎縮、
醜状瘢痕etc
日本の整形外科外傷治療体制
手術数
50%
50%
体制
緊急・臨時
定期
術者
見習い医
一般整形外科医
変性疾患専門医
外傷専門医
<
変性疾患手術
<
外傷手術
一般整形外科医
見習い医
整形外科外傷後遺障害の発生要因
・整形外科外傷治療は
高い医療レベルを要する
・変性疾患と並列して治療
・外傷専門医の欠如
・整形外科外傷専門施設がない
Court-Brown、JBJS、1997
Court-Brown 1997
外傷患者治療のあまりよくない結果に対して、今
のところ社会の目はそれほど厳しくはない。しかし
、外傷治療を担っている救急救命室の管理者と
整形外科治療の管理者が外傷に対するアプロー
チを変えなければ、今後、社会的・訴訟的問題へ
と発展していくことであろう。そうならないうちに早
く手を打つべきである。
「避けられた外傷後遺障害」
を軽減するための提案
「外傷専門施設(部門)の構築」
「外傷整形外科医の育成」
外傷システムの違い
ドイツ
日本
人口
8400万
1億3千万
面積
357,021 sqkm
377,835 sqkm
外傷センター
90
なし
(救命救急センター
221か所)
多発外傷
100-250
50-100
(A救命救急センター)
外傷手術
3000-10000
250-300
(A救命救急センター)
ドイツの代表的外傷センター
(ムルナウ外傷センター)
・手術患者数:約11000人/年
・搬送形態
ヘリコプター(1300/年)
救急車
自家用車
・ベット数:450
ICU、一般、脳外科、脊損、感染
・巨大なリハビリ施設
社会復帰を視野に入れた外傷治療
ーその対策ー
①既存救命救急センターの強化
②機能再建主体の外傷センター設置
既存救命救急センターの強化
3次+2次外傷患者
救命救急センター
200-300
外傷チーム
(外傷外科医)
(外傷整形外科医)
2000-3000
これは、困難???
機能再建型外傷センターの設置
①外傷整形外科医による24時間体制
②脳外科医、一般外科医、麻酔科医のon-call体制
③24時間緊急手術対応
④画像、血液検査部門
⑤ICU医によるICU管理
⑥リハビリテーション専用施設
(PT,OTの確保)
外傷整形外科医の責務について
①外傷初期治療(JATECレベル)
②四肢外傷治療(AO advanceレベル)
③脊椎外傷
④重度四肢再建
(マイクロサージャリーetc)
⑤後遺障害再建
(各subspecialty: 膝・手・足 etc)
機能再建型外傷センターの
既存救命救急センターとの関係
多発外傷
(ISS 20>)
重度四肢外傷・その他
機能再建型
外傷センター
重度多発外傷
(ISS 20<)
既存救命救急
センター
機能再建型外傷センターの開設
2007年4月~札幌徳洲会病院
2008年4月~札幌東徳洲会病院
札幌医大救急部から札幌徳州会、そして札幌東徳洲会へ
札幌医大
札幌徳州会
札幌東徳州会
医師スタッフ
1人
8人
5人
レジデント
2人
2人
3人
救急医、他科協力
○○○
△×
○
年間手術数
約200例
約1400例
約1200例
多発外傷・多発骨折
100例</年
数例
約20例
骨盤・寛骨臼骨折
約20例
数例
約10例
脊椎外傷
約10例
数例
約10例
重度四肢外傷
数例/年
10例</年
10例</年
切断指再接着
約15-20例/年
20-30例/年
10-20例
手の外傷
約60例/年
約300例/年
約200例/年
高齢者骨折
数例
数百例
数百例
整形外科外来
Follow-upのみ
通常外来あり
Follow-upのみ
変性疾患
ー
++
ー
機能再建型外傷センターの検証
①外傷整形外科医による24時間体制はできているか?
⇒yes
②救急医による外傷初期治療 ⇒ yes or no
③脳外科医、一般外科医、麻酔科医のon-call体制
⇒yes or no
④24時間緊急手術対応 ⇒no
⑤画像、血液検査部門 ⇒yes
⑥ICU医によるICU管理 ⇒no
⑦リハビリテーション専用施設 ⇒no
⑧外傷PT,OT ⇒yes
我々の機能再建型外傷センターは
①重症多発外傷には対応不可能である
②中等症多発外傷(ISS 20>)には対応可能
である
③重度四肢外傷には対応可能である
まとめ
①日本におけるもっとも理想的な外傷医療体制は
「救命救急センター」と「外傷チーム」のコラボレー
ションであるが、その実現は困難である
②我々が構築した「機能再建型外傷センター」は
未だ整形外科外傷治療の域を脱していない