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フォレストリーダー育成研修
ー OJT指導のしかた ー
職業能力開発総合大学校
能力開発専門学科 新井吾朗
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1
研修の到達目標
技能指導の原則に基づき技能を指導できる
①作業毎の指導項目を明確にできる
目的・目標・指導項目を一貫するように記述できる
指導項目を網羅できる
②指導項目毎に適した指導方法を計画できる
導入・展開・まとめの設定
指導項目毎に動機づけ・提示・適用・評価を設定
③計画に基づいて指導を実践できる
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2
OJTとは何か
・OJT = On the Job Training
・仕事をする場所で、仕事のやり方を教える
・日本人が仕事のやり方を覚える主要な方法
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3
OJTとは何か
“教える” ことへの批判
先輩のやり方を盗んで覚えてきた
教えられたことは身につかない
仕事の本質は教えられない
日本のOJTは、 OJL= On the Job Learning だった?
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4
環境の変化
・脱落による選抜を前提とした人材確保を許容できない
・入職後は、早急に一人前の仕事をしてほしい
・将来への期待の変化( 親より収入が少なくなる世代)
( 経済的充足 → 仕事のやりがい )
・仕事について学習しなければならない事項の増大
( 工夫で仕事を開拓 → 膨大なマニュアル+工夫 )
教える側と教わる側の価値観のギャップ
( 苦労して目標に到達する
←→ 合理的に目標に到達したい )
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5
教育・訓練とは何か
目的
・社会の意図の主体化
・社会(国・地方・企業・個人)が抱える課題を
人の能力を高めることで解決する手段
方法
・学習者の学習に対する意図的な支援
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6
教えるときに考えること
何を教えるか
どのように教えるか
どの順で教えるか
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7
指導計画の構成要素
考え方の表現
様式上の表現
目的
何を教えるか
到達目標
指導項目
どのように教えるか
指導の展開
どの順で教えるか
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8
到達目標と指導項目
到達目標
1週間
1日
60分
・刈り払いに必要な服
装、保護具を着用でき
る
安全に刈り ・刈り払い機を正しく
刈払機を
払 い 作 業 が 装着できる
扱える
できる
・刈り払い機を安全に
始動、停止できる
指導項目
・作業場所の危険
・服、履物の種類と必要な性能
・服、履物の着方(ボタン・袖・裾・
手ぬぐいの処理方法)
・保護具の着用方法(ヘルメット、保
護めがね、耳栓、防振手袋)
・服、履物、保護具の確認方法
・肩、腰バンドの装着方法(装着方法、
安全・楽な長さの見つけ方)
・刈り払い機の始動方法(始動の手順、
安全な始動の配慮(姿勢・刃の回転・
周囲のガソリン))
・刈り払い機の止め方(刃の回転の止
め方、エンジンの止め方)
・安全な姿勢で刈り払
いができる
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9
指導項目と指導の展開
指導項目
指導の展開
・刈り払い作業する場所の危険を説明する
・作業場所の危険
・服、履き物の種類と必要な性能を説明する
・服、履物の種類と必要な性能
・服、履物の着方を説明する
・服、履物の着方(ボタン、袖、裾、
・服、履物を着させる
手ぬぐいの処理方法)
・服、履き物の着方を評価する
・保護具の種類と着用方法を説明する
・保護具の着用方法(ヘルメット、
・保護具をつけさせる
保護めがね、耳栓、防振手袋)
・保護具のつけ方を評価する
・服、履物、保護具の確認方法を説明する
・服、履物、保護具の確認方法
・2人一組で、服、履物、保護具を確認させ
る
(・全体)
・服、保護具を外して、再度着させ、確認さ
せる
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10
何を教えるか:目的・到達目標
・指導項目の一貫性
目的
到達目標
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指導項目
11
POCEの一貫性
P: Purpose
目的
なぜその事業を実施するのか。
事業で解決しようとしている課題は何か。
O: Objectives
目標
どのような状態になれば、
その事業が成功したと判断できるか。
C: Contents
内容
事業を成功させるために、
どのようなことに取り組むか。
E: Evaluation
評価
事業の成功を評価するために、
どのような方法で測定するか。
POCE : ⓒ2006 新井
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12
教育・訓練のPOCEの一貫性
P: Purpose
目的
なぜその教育・訓練を実施するのか
教育・訓練で解決しようとしている課題は何か
O: Objectives
目標
受講生をどの程度の目標に到達させれば
それによってどのような成果(課題の解決)が出れば
その教育・訓練が成功したと判断できるか
C: Contents
内容
目標に到達するために、
指導項目・方法・順序をどうするか
E: Evaluation
評価
目標に到達したことをどのように測定するか
POCE : ⓒ2006 新井
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13
目的:何のためにそれを学習するのか
仕事の場面で使うから
良い仕事をするため
困らないようにするため
上位の目標に到達するため
どんな場面・どんな仕事・どんな困難があるのか
を学習者が想像し納得できるように記述する
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14
刈り払い作業の服・保護具を学習する目的
どんな場面・どんな仕事・どんな困難があるのか
を学習者が想像し納得できるように記述する
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15
到達目標:何ができるようになるのか
目標記述の基本:
○○ できる
目標に到達したことを測定できるように記述する
= 観察可能な行動を記述する ×理解できる
目標記述の基本:
対象 + 行動
・刈り払いに必要な服装、保護具を着用できる
対象
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行動
16
到達目標の種類
成否
手順
コスト
態度
安全
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17
目標:詳細に検討してみよう
作業場所・条件に応じて刈り払いができる
・
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18
指導項目:何を教えるのか
知識・技能・態度
安全・成否・やりやすく
手順・判断・感覚
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能力の種類
技能
知識
既知の技術・方法・
判断基準の体系
次の働きかけを
選択する方向性
経験から得る
要 因 と 結 果の 関 係
の体系
態度
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20
能力を発揮する目的
安全
けがをしない、けがをさせない、
設備・器具を破損しない、製品を傷つけない
成否
条件・品質・仕様のクリア、作業の終了
やりやすく
早く、楽に、効率よく
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能力の性質
手順
手順を守ることで、求める結果を得る
判断
判断することで、求める結果を得る
(場面、方法、基準)
感覚
手腕のカン、雰囲気をかぎ取ることで、
求める結果を得る
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22
指導項目の表現のしかたの例
カップラーメンをつくる手順
袋ラーメンをつくる際の麺のゆであがりの判断基準
火加減と時間 ・ 麺の固さ
麺のゆであがりの固さの感覚
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23
指導項目の表現のしかたの例
安全に○○する手順
○○を決める判断基準
○○の状態を見る感覚
○○を○○する手順
○○をやりやすくする見かた・押しかた・切りかた
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24
指導項目:詳細に検討してみよう
目標:作業場所・条件に応じて刈り払いができる
・
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25
指導の3段階
導入
学習する準備
目的・目標・学習の進め方
展開
指導項目を順に指導
動機づけ・提示・適用・評価
わかりやすくする工夫
時間のまとめ
まとめ
指導項目・目標への到達の整理
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26
指導の4活動
動機づけ
学ぶ気持ちにさせる
提示
指導項目を示す
適用
指導したことを使わせる
評価
できるようになったか確かめる
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指導の3段階と4活動を組合せた指導の計画
動機づけ
提示
適用
評価
導入
指導項目①
展開
指導項目②
指導項目①+②
まとめ
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動機づけ : やりたい気持ちにさせる
原則1
動機 = 行動 を起こす気持ち
原則2
人は得たい(避けたい)ものを
得る(避ける)ために行動する
原則3
動機 = 得る快感 × 得られる可能性
ー 失敗の痛手 × 失敗の可能性
原則4
内発(充実・受容・賞賛)>外発(報償・優遇)
原則5
人によって、得たいものは異なる
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29
動機づけの方法を考える
原
則 動機 = 行動 を起こす気持ち
1
原
人は得たい(避けたい)ものを
則
得る(避ける)ために行動する
2
・得たいものに気づかせる
・避けたいものが
本当に避けるべきものか気づかせる
原 動機=
則
得る快感×得られる可能性
3
ー 失敗の痛手×失敗の可能性
・得るものの価値を実感させる
・得られそうだと実感させる
・うまくいってる経過を伝える
・失敗の痛手の小ささを実感させる
・失敗の可能性の小ささを実感させる
原
内発(充実・受容・賞賛)
則
>外発(報償・優遇・勝敗)
4
・学習者が得たいものをつかむ
・内発(全体)と外発(部分)を組み合わせる
原
則 人によって、得たいものは異なる
5
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30
動機づけを検討してみよう
目標:作業場所・条件に応じて刈り払いができる
指導項目:
・
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31
提示のポイント
• 理解できる範囲
• 安全 → 成否 → やりやすく
• はじめはおおざっぱに じょじょに細かく
• はじめはヒントを出し、じょじょにヒントを減らす
• 今、何を指導しようとしているか意識し、意識させる
(特に感覚:完全に言語化する必要はない、
何を感じるべきかを伝える。)
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提示を検討してみよう
目標:作業場所・条件に応じて刈り払いができる
指導項目:
・
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適用 それぞれの練習で何を指導するか
このコースを 2 周走行しなさい。その際、交通法規にしたがうこと。
なおコース図に示した線は、実際に走行すべき場所を示した線とは限りません。
練習 1
練習 2
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法規走行の練習
練習 1
次のコースの走り方を計画しなさい。
特に、交差点を曲がるとき、
①交差点前の車線上の自車の位置
②通過時の自車の位置
③通過後の車線上の自車の位置
練習 2
計画したとおりにコースを走りなさい。
まず、①交差点前・中・後の自車の位置
に注意しなさい。
これが十分できるようになったら、
②制限速度までの加速、交差点手前で
の安全な速度までの減速のメリハリをつ
けて練習しなさい。
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適用を検討してみよう
目標:作業場所・条件に応じて刈り払いができる
指導項目:
・
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評価のポイント
• 目標に到達しているか確認する
• 目標に到達したと言える基準をはっきりさせておく
• 目標に到達したことは、学習者に伝える
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37
評価を検討してみよう
目標:作業場所・条件に応じて刈り払いができる
指導項目:
・
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指導の計画
指導項目
動機づけ
提示
適用
評価
展開
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指導の計画
指導項目
動機づけ
提示
適用
評価
展開
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指導の計画
指導項目①
●次のように動機づけをする
動機づけ
●次のように説明する
提示
展開
●次のように作業させる
適用
●次の視点で判定する
評価
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OJTとOff-JTの違い
OJT
Off-JT
実務的
モデル的
場当たり的
体系的
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OJTの短所を克服する
短所
対応
・現実の仕事は多くの指導項目を含んでいる。
その日の仕事で学習すべきことを明確にする
場当たり的
・指導項目の中で何を学習しているかを意識させる
・指導項目を網羅できるように仕事を計画する
・その仕事で学習できた指導項目が何かを確認する
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