Transcript 資料組織概説 第4回
情報資源組織論 第4回 日本目録規則(1) 歴史、構成、総則 2012年10月16日(火) 第4時限 R101教室 復習小テスト 1. 現在、図書館の目録の主流となっているオンライン 目録のことをアルファベットの略称で何と言うか? 2. 複数の図書館の所蔵をまとめて検索できる目録を何 と言うか? 3. 目録法は大きく二種類に分けられる。何目録法と何 目録法か? 4. 目録規則標準化の先駆けとして1961年に国際会議 で定められたルールを、会議が開催された都市の名 を取って何と呼ぶか? 5. 世界各国の目録規則が準拠する国際的な書誌記述 に関する取り決めを英語の略称で何と言うか? 日本の目録規則の歴史(1) • 日本文庫協会『和漢書目録編纂規則』 (1893) • 『和漢図書編纂概則』(1910) • 「和漢図書目録法(案)」(1932) • 『日本目録規則』NCR: Nippon Cataloging Rules) (1943) 日本の目録規則の歴史(2) • • • • • • 『日本目録規則 『日本目録規則 『日本目録規則 『日本目録規則 『日本目録規則 『日本目録規則 1952年版』 1965年版』 新版予備版』(1977) 1987年版』 1987年版改訂版』(1994) 1987年版改訂2版』(2001) – 第9章(電子資料、旧コンピュータファイル)改訂 • 『日本目録規則 1987年版改訂3版』(2006) – 第2,3章(和漢古書の部分)と第13章(継続資料、旧 逐次刊行物)改訂 日本目録規則1987年版改訂3版の構成(1) • • • • • • 序説・総則 第I部 記述 第II部 標目 第III部 排列 付録 索引 日本目録規則1987年版改訂3版の構成(2) • 第I部 記述 – 第1章 記述総則、第2章 図書、第3章 書 写資料、第4章 地図資料…第9章 電子資 料、…第13章 継続資料、記述付則 • 最初に総則として全体に適用される原則 を述べ、以下の各章で資料形態に固有の ルールを規定 • 第II部 標目、第III部 排列も同様の構成 記述(書誌記述)とは • 個々の資料について、他の資料または同一 著作の他の版と同定識別するために、タイト ルと責任表示に関する事項、版に関する事 項など、一連の書誌的事項を組織的に構成 して記録すること、または記録した一連の書 誌的事項 『日本目録規則 1987年版改訂3版』用語解説 記述総則―記述の原則 • 記述対象資料を他の資料から同定識別 するのに必要十分なだけ記録 • 他の資料との書誌的関係を示す場合も • ISBDに基づいて記録 • ISBD区切り記号を、書誌的事項の区切 りと識別のための手段とする *カード目録を前提としたルール 国際標準書誌記述 • International Standard Bibliographic Description (ISBD) • 国際図書館連盟 (IFLA)が制定する書誌記 述の作成基準 • 各国の目録規則はこれに準拠 • 記述の構成要素、各要素の記録順序、要素 間の区切り記号などを定める 記述の範囲 • 記述総則 – ある資料を他の資料から同定識別する第一 の要素はタイトル – 同一タイトルのものを識別するために、責任 表示、版次、出版・頒布に関する事項などの 要素も記録 – 付属資料や内容細目、資料種別や刊行形 式などを加えることがある • 第2章以下では、通則で資料形態ごとの 記述の範囲を説明 記述の対象 • 記述総則 – 単行資料または継続資料が記述の対象 – 単行資料: 固有のタイトルを有する、単独に 刊行された資料。シリーズの一部をなしている ものも含む – 継続資料: 完結を予定せずに継続して刊行さ れる資料 – 複製物はその原資料ではなく、複製物自体が 記述の対象 書誌レベル • 記述の対象に応じて次に示す書誌レベルの 記録を作成 – 単行資料 – 継続資料 – 単行資料の集合 – 構成部分 単行レベル 継続刊行レベル 集合レベル 構成レベル 記述の情報源(1) • 記述総則 – 記述のよりどころとする情報源の優先順位 ア)資料本体(カセット、カートリッジ等を含む) イ)付属文字資料 ウ)資料本体と分離可能な容器(箱、帙等)、カバー など エ)その資料以外の情報源 記述の情報源(2) • 第2章 図書 ア)標題紙(標題紙裏を含む)、奥付、背、表紙 イ)図書本体のア)以外の部分 ウ)カバー、箱等 エ)その図書以外の情報源 – さらに各書誌的事項の情報源を規定 • タイトル・責任表示は標題紙、奥付、背、表紙 • ISBN、入手条件・定価はどこからでもよい など 記述の情報源(3) • 複製物の情報源は原資料ではなく複製物自 体が該当する資料(マイクロ資料、電子資料 など)の規定による • 記述対象資料に情報源がない場合は可能な 限りの情報源を調査して記録 • 所定の情報源以外から得た書誌的事項は、 補記の事実を示すため角括弧([ ])に入れて 記録する 補記の例 記述すべき書誌的事項とその記録順序 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. タイトルと責任表示に関する事項 版に関する事項 出版・頒布等に関する事項 形態に関する事項 シリーズに関する事項 注記に関する事項 標準番号、入手条件に関する事項 *各資料に特有な事項は各資料の章で規定 記述の精粗(1) • 目録作成機関が、それぞれの方針に応じて、 記録すべき書誌的事項の水準(レベル)を選 択できる • 日本目録規則では三つの水準を規定 • 第1水準(必須) – 最低限の要件 – 本タイトル / 最初の責任表示. -- 版表示. -- 資料 (または刊行方式)の特性に関する事項. -- 出版 者または頒布者等, 出版年または頒布年等. -特定資料種別と資料の数量. -- (本シリーズ名) 記述の精粗(2) • 第2水準(標準) – 通常の目録において必要とされる範囲 – 本タイトル [資料種別] : タイトル関連情報 / 責任表示. -版表示 / 特定の版にのみ関係する責任表示. -- 資料(ま たは刊行方式)の特性に関する事項. -- 出版者または頒 布者等, 出版年または頒布年等. -- 特定資料種別と資料 の数量 : その他の形態的細目 ; 大きさ + 付属資料. -(本シリーズ名 / シリーズに関係する責任表示, シリーズ のISSN ; シリーズ番号.下位シリーズの書誌的事項). -注記. -- 標準番号 • 第3水準(詳細) – 国際的な書誌情報の流通に十分対応可能なレベル – 目録規則に定めるすべての書誌的事項 転記の原則 • 原則として資料に表示されているままを記録 ただし、 – 書体は楷書体、変体仮名はひらがなに改める – 外国文字の大文字・小文字の使い分けは、資料の表示 によらず、その言語の慣行に従う – 文字の大きさは無視 – 転記が困難な記号等は説明的語句に置き換える – 誤記・誤植は正しい表記に改める • (別法)誤りのまま記述し、正しい表記を角括弧に入れる – 記述の順序は目録規則の規定に従う 第4回のまとめ • 日本目録規則では書誌記述の範囲、対 象、情報源、記述すべき書誌事項とその 記録順序などを詳細に規定 • 目録作成機関は記録すべき書誌事項の 水準を3段階から選択できる(記述の精 粗) • 転記の原則