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「東海第2原発と千葉ーー千葉から廃炉
に向けて運動をどうつくるか」
小林正弥
2012/1/21
平和への大結集・千葉 憲法講座
最新原発事故(2010年1月20-21日)
柏崎刈羽原発:制御棒1本の動作が不良 (毎日新聞
1月21日(土)
高濃度汚染水2リットル漏れる…福島第一原発(読売新
聞 1月21日(土)
中部電力:4報告書、152カ所データ誤記載 浜岡原
発安全性評価など (毎日新聞 1月21日(土)10時30
分)
もんじゅ制御棒に不具合=動作試験で一時動かず―
保安院、1カ月後に公表(2012年1月20日)
東海第2原発の最新事故
東海第2原発で火災 放射性物質漏洩なし(2011.7.6)
漏れた水は22・4トン 東海第2原発(2011.10.26 )
東海第2原発:廃棄物処理建屋で白煙 セラミックフィ
ルターの予熱器部分から(毎日新聞 - 2012/01/13)
日本原子力発電(原電)は十九日、東海第二原発(東
海村)の原子炉圧力容器内で燃料集合体を覆っている
金属製カバーの台座に六十六カ所のひび割れが定期
検査で見つかったと発表した。個数や状態が原電の安
全基準値内にとどまっており、問題ないとしている。
(2012年1月20日)
千葉県の被災状況
県内被害状況
浦安の液状化現象:ライフラインの途絶
放射性物質の土壌汚染マップ:
http://savechild.net/archives/9426.html
土壌汚染マップ
土壌汚染マップ:」
http://matome.naver.jp/odai/2131468288290995401
群馬大の早川由紀夫教授が半径約200kmの汚染マッ
プ作成 出典livedoor.r.blogimg.jp
福島県東部の汚染が激しい
福島県東部では、かなり深刻な汚染である事が分かりま
す。また、北は岩手、南は東京都、千葉県まで汚染範
囲。
文科省モニタリング(毎日新聞、2011年9月29
日)
千葉県では柏、流山、我孫子、松戸市にまたがる10平
方キロほ どの一帯で、セシウム134と137を合わせると、
福島県内の比較的汚染が少ない地域に匹敵する1平
方メートルあたり6万~10万ベクレルが測定された。
柏市は、周辺よりも放射線量が高い「ホットスポット」と指
摘されており、土壌のセシウム沈着量でも確認された。
…これらの地域では、事故後に放射性物質を含む雲が
風で運ばれ、雨が降った際に地表に沈着したとみられ
る。
首都圏にも危険性
首都圏3000万人避難の最悪シナリオ(3月末ー4月初
め):4つの原発の冷却機能が回復せず、核燃料の全面
的メルトダウンが進んだ場合(田坂広志)
葛飾区など東京東部も。
世田谷区の高放射線量→ラジウムと判明
船橋 ふなばしアンデルセン公園→毎時1.55マイクロ
シーベルト
横浜市ストロンチウム検出
汚染作物
香取市、旭市などの青果、出荷停止
にもかかわらず、市場で流通:ホウレンソウ、サンチュ
福島などの汚染牛肉の県内流通
チェック体制は充分か?
風評被害
巨大地震発生確率
「M9巨大地震」発生確率30%…政府“地震本部”が算
出(2011.11.25)
衝撃的な予測結果が出た。政府の地震調査研究推
進本部(地震本部)が、東日本大震災の震源域に近い
三陸沖から房総沖の日本海溝寄りのスポットで、今後3
0年以内にマグニチュード(M)9級の地震が30%の確
率で発生すると公表した。50年以内では発生確率は4
0%にまで上昇するという。首都圏でのM9級の大地震
の発生がより現実味を帯びてきた。…予測範囲をM6・
7からM7・6の地震にまで拡大すると、三陸沖北部と茨
城県沖では、それぞれ90%の高確率で地震が起きると
いう試算も出た。
太平洋岸、特に千葉・茨城誘発地震の危険性
東海・東南海・南海地震の三連動型巨大地震と誘発性
直下型地震のリスク:太平洋岸
琉球大学・木村政昭名誉教授がいまいちばん警戒が必
要なのは、千葉と茨城で起きる直下型地震だという。
「茨城や千葉は以前から、近いうちにM6を超える地震
が起きるのではないかと予想されていました。こうしたエ
リアでは、かなり危険性が強まっているといえるでしょう」
房総沖地震の可能性
今回の大地震の震源域の南にある房総半島沖を震源
とした大地震が起こる可能性がある。東京大学地震研
究所の大木聖子助教「今回の地震は同じプレート内で
起こっているんです。最初の震源地から北へ、南へとド
ミノ倒しのように広がったんです。房総沖はいま、その倒
れてきたドミノを頑張って支えている状態で、いつ倒れ
てもおかしくない。だから房総沖に大きな地震が起こっ
ても不思議ではないんです」、同旨、京都大学名誉教
授の川崎一朗氏。※ 女性セブン2011年3月31日・4月
7日号
伊豆大地震の危険性
巨大地震“北伊豆”が危ない?東大地震研チームが
分析(2011.11.30)
東京大学地震研究所の研究チームが分析した断層の
調査結果が波紋を広げている。東日本大震災の影響に
より、全国11カ所の活断層で地震発生率が震災前の1
0倍以上に上昇しているというのだ。最も活発化したの
が70倍の動きを示した「北伊豆断層帯」。かつて、ここ
を震源とするマグニチュード(M)7・3の内陸直下型地
震が起き、大きな被害を出した。再び大地震の危機が
迫っているのか。
原発地図
福島第2原発
千葉近辺:茨城・東海村
東海原発(日本原子力
発電株式会社):日本初
の商業用原子炉(1965
-1998)、現在は廃炉プロ
ジェクト。
東海第2
1978開始、33年運行
東海第2原発の事故
2010年管理区域外への放射性物質の放出
東北地方太平洋沖地震
2011年3月11日、原子炉が自動停止した。常用の外部電源も停止し
たことから、非常用ディーゼル発電機3台を起動して運転に必要な電
源を確保したが、津波によってディーゼル発電機用海水ポンプが故障
したため、残るディーゼル発電機2台で原子炉冷却に必要な電源を確
保した。その後外部予備電源が回復し、3月15日0時40分に原子炉水
温度が100℃未満の冷温停止状態となったことを確認した。その間は
注水と、水蒸気を逃がすための弁操作の綱渡り的な繰り返しで、冷温
停止までにかかった時間も通常の2倍以上であった。
しかし、高さ6.1m(想定津波5.7m)の防波壁に到達した津波の高さは
5.4mで、工事中のため防波壁には穴が開いていた。その穴から入っ
た海水によって、全3台の海水ポンプが水没(2台は水深が低かったた
め稼動)し、非常用ディーゼル発電機1台も停止した。原子炉は冷却し
続けられたが、もう少し波が高かったら、全ての電源が潰滅し、福島第
一原発と同じ状態になっていたという。日本原電は、「(冷却機能が全
て失われた)福島第一の事態になった可能性は否定できない」と述べ
ている。
続き
2011年管理区域外への放射性物質の放出
地震があった同日の2011年3月11日21時50分頃(JST)。
複合建屋(非管理区域)蓄電池室2Bにあるドレンファンネル
からの溢水。当該サンプ内の廃液が非管理区域へ逆流し、
漏洩したものと判断した。その後、放射性物質を含む廃液を
放水口から放出した。
また3月13日には使用済燃料プールおよびサイトバンカー
プールの溢水が確認されている。
茨城県が2007年10月に出した「津波浸水想定」に基づき、
東海第二発電所では対策を実施。冷却用海水ポンプを守る
ため、従来あった3.3mの防護壁に加えて、側面にも2.8mの
壁を設けた。津波は5mと福島第一原発の半分以下だったこ
ともあるが、ポンプや電源は一部浸水したものの、冷却を継
続できた。
対策をしていなかったら、福島原発のようになった危険性?
東海村長の提案(10月11日)
村上達也村長が細野原発事故担当相、中川正春文科相と
会談
(1)30キロ圏内に約100万人が居住する(2)東京から110キロの
首都圏にある-などを理由に、東海第2原発の廃炉を求める。
原発立地自治体の首長が廃炉に言及するのは異例。
国が新たな原子力規制機関を早期に整備するよう要求。機
関の名称も「安全」ではなく「規制」の文言を入れるべきだと
求め
一方、現行の国内9電力会社による地域独占体制の解体と
発送電分離は不可欠と指摘。日本原子力発電を準国策会
社とし、国内全ての原発の運転・管理を行うことを提案した。
東海村議選
村議選は今回、5人が引退を決め、現職15人と新人6
人が立候補の準備を進めている。
村上村長は昨年10月、細野原発相と面会した際、定
期検査中の東海第二発電所の「廃炉」を提案した。12
月の定例記者会見では「自分は脱原発のアドバルーン
を上げた。候補者も意見を出してもらいたい」と、再稼働
の是非が争点になることを望んだ。
しかし、村議会では「原子力を推進する議員有志の
会」に15人が加盟し、原発推進派が大勢を占める。村
上村長に共感する新人の出馬表明が相次ぐことも予想
されたが、新人6人の中で「脱原発」を掲げるのは少数。
続
村議会の勢力図に大きな変化を与えるような動きに発
展しておらず、立候補予定者が少ないこともあり、原発
問題を巡って活発な論議になるかは不透明だ。
村上村長は会見の場で「私は政党を作り、明確に同じ
考えを持つ仲間と政治活動をしているわけではない。
立候補者にはそれぞれの思いがあり、強引に多数派工
作をしていくのは難しい」とも述べた。(読売、1月13日)
明日、投票。
自然エネルギー
千葉県:再生可能エネルギー供給量:全国35位
再生可能エネルギー自給率 全国44位
ただ、風力発電量 全国11位
孫正義:自然エネルギー協議会、全国で35県、首都圏
でも栃木・群馬・埼玉・神奈川は参加しているにもかか
わらず、千葉県は不参加。(北海道、岩手県、秋田県、山
形県、福島県、栃木県、群馬県、埼玉県、神奈川県、富山県、
山梨県、長野県、静岡県、愛知県、三重県、関西広域連合
(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、徳
島県)、奈良県、島根県、岡山県、広島県、山口県、香川県、
愛媛県、高知県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県)
思考ツールとしての哲学
科学史・科学哲学:実証主義的科学観に対する批判。
科学技術:価値中立的という偏見。経路依存性
実際には、科学技術の発展は、時代の価値観・世界観
に左右されるし、逆に影響もする。
例:マンハッタン計画 ナチズムとの対抗、その後、原爆
投下に対する科学者の反省。
科学倫理:特に最先端の科学で必要
これを震災やエネルギー問題について考える。
公共哲学:理想主義的現実主義
公共性:時空間的拡大
当為(べき論)と現実(ある論)
哲学的鍵概念:「現実主義的現実主義」(現実肯定・追
認)との「理想主義的理想主義」(空想的)の二項対立
に対して、理想を現実の中で可能な限り実現しようとい
う考え方。
原発問題:「原発推進派(産業のためには原発が必要)
対 反原発派(原発の危険性)」という構図 感情的対
立 →脱原発、縮・超原発(?)
哲学と民主主義
正義についての哲学的議論:実質的価値に関わる。し
かし、哲学的な合意は存在しない。
→民主主義的決定との関係
→哲学的熟議民主主義 民主主義の質的向上
科学技術と公共性
科学:価値・世界観が関係→人文社会科学の洞察も入
れる必要
実質的価値のアプローチ:主流派科学 対 対抗的科
学、市民科学の潮流 エコロジー問題などで文明論的
科学技術批判(理想主義的理想主義?)
プロセス的アプローチ:多様な考え方→公共性(公開性、
公益性)を実現するための対話
科学技術と民主主義
科学技術は専門家にしかわからないという想定ー現実
主義的現実主義に強力。人々が決めるべきことではな
く、専門家に任せるべき。
専門家の間で決着のつかない問題に対してどうする
か?
他方、知識・情報のない人々の民主主義的決定→衆愚
政の危険
社会学:リスク社会論(ベック、ギデンズなど)→熟議民
主主義の試み
コンセンサス会議
佐々木毅・金泰昌編『公共哲学8 科学技術と公共性』
(東京大学出版会、2002年)。
コンセンサス会議:デンマーク 1986年から テクノロ
ジー委員会→3日間などの市民パネル(専門家の説明、
市民パネルと専門家の議論、市民パネルの議論とレ
ポートの公表):エキスパートと市民
科学の公共的了解、STS(Science,Technology and
Society)学会
日本での試み
日本:遺伝子治療(1998)、インターネットテクノロジー
(1999)、遺伝子組み換え農作物(農水省)、「市民が
考える脳死・臓器移植」(ディープダイアローグ)、北海
道GMコンセンサス会議、ナノトライなど
小林伝司:2種類の専門家(ピュア・サイエンス、臨床の
専門家)、素人、公共性を媒介する第3者の必要性
熟議民主主義
篠原一『市民の政治学ーー討議デモクラシーとは何
か』(岩波新書)
• 討議制意見調査(フィシュキン)、計画細胞
(ドイツ)、市民陪審制(アメリカ)など。1970年代、特に
1990年代から。
• 日本 教育:文部科学省(リアル熟議)
•
哲学的熟議民主主義
熟議民主主義+哲学=対話型講義
原発問題をめぐる熟議型講義
0616 科学未来館のスタッフ:賛成派と反対派のプレゼ
ン
対話型講義+市民の熟議=熟議型講義
議論の公表
エネルギー問題の熟議民主主義
核分裂エネルギーの問題性
代替的エネルギーの問題:自然、火力・石油、
今後の原発やエネルギー政策は?:サンデルの提示し
た2つのシナリオ:原発維持か、安全性のための生活様
式の変化か?
「あなたは自然エネルギーのために、一日110円を払い
ますか?」(未来館、未来設計会議、2011-7ー16)
原発を巡るエネルギー論争1:量
量的に不足するか?
短期的問題:揚水発電、火力発電の最大稼働、自家発
電など。夏場も節電でしのげるのでは?
今年の夏を越えたので、決着。節電をすれば、大丈夫:
総括が必要。
原発論争2:コスト
原発のコストは実際に安いか?
:推進側の主張 モデル
反対派の主張 実際にかかった費用から
→客観的検証の必要性(中間整理)
現在、議論が進展中。エネルギー・環境会議「コスト等
検証委員会」賠償費などの算入について、意見対立
原子力発電は高コスト?(未来館プレゼン)
政府が根拠にしているコスト計算
発電単価
(円/kWh)
一般水力
石油火力
11.9
10.7
LNG火力
石炭火力
原子力
6.2
5.7
5.3
出典:電気事業連合会; モデル試算による各電源の発電コスト比較
有価証券報告書を基に計算したコスト
発電単価
(円/kWh)
水力
一般水力
揚水
火力
原子力
原子力+
揚水
7.26
3.98
53.14
9.90
10.68
12.23
出典:再生可能エネルギーの政治経済学(大島堅一)
コスト等検証委員会の試算
これまでは計算に含まれていなかった廃炉や事故の
損害賠償費用などが新たに発電コストに加えられたた
め、原発の1キロワット時あたりの発電コストは8.9円~
9.5円(70%稼動時)と試算された。これは2004年の試
算の5.9円のほぼ倍にあたるもので、これまで原発が他
の電源種よりも安いとされてきた根拠が崩れた格好だ。
その一方で、再生可能エネルギーについては現状では
太陽光が30.1円~45.8円、風力が9.9円~17.3円と原
発や既存の火力発電よりも高いコストが算出されたが、
同時に2030年頃から技術革新によって再生可能エネ
ルギーの発電コストは急速に下がるとの試算も発表され
た。…大島氏は、「ところどころ異論はあるが、概ね必要
なコストは含むことができた。フェアな議論ができたと思
う」と、委員会の結論に一定の評価を与えた。
野田政権の方針
減原発は維持
文科省:副読本 原発記述ほぼ一掃、放射能教育のみ
に。
経済発展、来夏までには原発再稼働
もんじゅ、再起動、核燃料サイクル維持?
昨年末の「収束」宣言:時期尚早
原則40年で廃炉、ただ60年まで可能:危険性
図解:原発をめぐる中庸?
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理想主義(的理想主義)
反原発
中庸(本来)
現実主義的理想主義
脱原発
理想主義的現実主義
減原発
現実主義?
中庸(野田政権)?
原発推進
現実主義(的現実主義)
問い
1.原発は、①反原発(即時なくすべき)、②脱原発(段
階的廃止)、③減原発(やめるかどうかは検討)、④原発
維持・推進(安全性確保は前提)
2.再稼働を認めるかどうか?
3.東海村長の提案 ①東海第2原発の廃炉? 再稼
働?
4.原子力規制機関の設置
5.自由化、送発電分離など:今後の電力体制(地域独
占、送発電分離など)は、どうするか?
6.公共的会社(機関)に原発を。電気の公共性?
問い(続):原発と自然エネルギー
自然エネルギーはどこまで推進すべきか?
千葉県として、エネルギーの自給自足(永続地帯)を目
指すべきかどうか?
このための財源はどうするか? 県民税を増税すべき
か?
問い1・2
もしかすると、電力は量的にも足りるかもしれないし、コ
ストでも原発は安くないかもしれないーーこれなら脱原
発は当然
仮に、量的にも厳しいし、経済的・コスト的には原発の
方が他の発電方式より安いと仮定してみよう。ーー道徳
的ジレンマの出現。
この場合、原発を推進するのは正義に適うか?
仮に不正義でも、すぐに止められるか? 理想主義的
現実主義 再稼働を認めるか?
問い3:特に危険な原発は?
浜岡、東海第2:再開? 廃炉?
太平洋岸
再開しなくとも、使用済み核燃料棒がある限り、危険。
対策の必要性。
核燃料サイクル:高速増殖炉もんじゅ、6カ所村再処理
工場
問い5:原発の運営体制
自由化、地域独占打破、総括原価方式廃止
送発電分離
問い6:原発、電気の「公共性」
民間会社に任せてよいか? コスト面を重視して安全性
を軽視する危険性。
公共的会社(機関)に原発を。電気の公共性?
原発は正義か?:実質的価値問題
環境正義=環境保全+社会的公正:環境人種主義批
判(有害廃棄物処理場がアフリカ系などマイノリティー地
域に)
エコロジカルな正義論へ
功利主義的:経済成長 対 環境破綻リスク
リバタリアニズム:電力自由化論
ロールズ的:分配問題(=環境正義)
コミュニタリアニズム的:共通善としての環境保全
暴走する原発のジレンマ
暴走する路面電車:5人 対 1人、橋の上の人を突き
落とす?
暴走する原発:メルト・ダウン、カタストロフィー 対 ベン
ト、汚染水放出、海水注入(廃炉)
一億人の便益 対 十万人の犠牲?
また事故が起きれば多くの人が家を失う
福島第一原発から30 km圏内の人口:14.1万人
避難所への入所者数:5,612人(6月9日現在)
1億人の便利のために10万人に
犠牲を強いるようなことが、
現代の民主主義国家で許されていいのだろうか
(科学未来館の反対派プレゼンより引用)
内容:正義とは?
正義:福利型(結果としての幸福)、自由型(義務として
の自由)→美徳型(目的としての美徳、善)
功利主義批判:帰結主義
義務論批判:①リバタリアニズム(市場原理主義、自由
原理主義) 自己所有権
②リベラリズム ロールズ、無知のヴェール、他者への無
関心、合理的選択、正義の2原理(基本的自由・格差原
理)、福祉国家
コミュニタリアニズム
善(倫理性、精神性)と共(共通性):共通善
アリストテレス:目的論、美徳
テイラー、マッキンタイア、ウォルツァー
エツィオーニ:コミュニタリアン・ネットワーク
特定の共同体の多数派主義ではない。
特定の共同体を超えた、共通善の探求
原理と実例(判断)との往復運動(弁証法)
功利主義の問題
量的に計算できるか?
予測困難、不確定性
少数者を犠牲にする危険性
功利主義の問題
科学技術の推進→経済発展→人々の「幸福・福利」の
総和の増大
そもそも、数量化困難。コスト計算が無理。(政府のエネ
ルギー・環境会議の検討における意見対立)
原発事故:危険性はゼロではない。
事故の際のコスト:将来予測(確率計算)困難
原発周辺の人々に多大の犠牲:少数者の犠牲
功利主義的に肯定できないのでは?
原発のみならず、科学技術全般について。
子ども、原発作業員の被曝限度
本来:1ミリシーベルト
20ミリシーベルトまで認める→小佐古東大教授辞任
→1ミリシーベルトを目標に。
作業員:本来、100ミリシーベルト
福島原発 250ミリシーベルトに
500ミリシーベルトへの再引き上げを検討。
11月に戻す方針を発表(14日)。ただし、新規作業員に
も一定の条件下では250シーベルトを認める。
原発をめぐる政官財学(報)癒着
電力体制:国策を遂行する私企業!
国家=公=官(通商産業省・保安院)、私企業(+業界
団体、財界)、政治家、原発学者(原子力村)の癒着構
造。
例:九州電力のやらせメール問題、保安院の中部電力、
四国電力へのやらせ依頼ーー体質
政財官学癒着による事故:不正義そのもの
保安院の独立をはじめ改革の必要性。
やらせメール問題
九州電力 報告書(14日):佐賀県の示唆を認めず。
第3者委員会は県の関与を指摘。
枝野経産相「つまみ食い」「公益企業のガバナンスとし
てありうるのか」社長続投について、「理解不能」
(東電会長も続投)
再提出へ
リバタリアニズム
電力体制:電力会社の地域独占打破や送発電分離に
よる自由化。
エネルギー:市場で決定
原発:民間企業が運用すべき。
原発と分配的正義
原発の便益と事故のダメージ:便益は多くの人が共有
するのに、事故の被害は立地場所の人々が特に受ける。
原発が必要と仮定すると、原発をどこに建てるべきか?
使用済み燃料はどこで処理すべきか? そもそも、そう
すべきではないのか?(将来世代の問題などと関連)
電力の分配的正義
どこまでの格差が許されるか?
ロールズ的議論:もっとも惨めな人にとっての便益?:空
間的な分配的不正義では?
計画停電の分配的正義:少ない地域と、多い地域、誰
が計画停電を決定するのか? 電力会社?
計画停電中のナイターは許されるか?:プロ野球の開
幕問題 セリーグ 対 文部科学省、節電担当大臣
分配的正義をめぐる問い
福島では災害の影響が大きすぎることがわかったので、
遠くの孤島に原発を作ることにしました。これには賛成し
ますか?
あなたの街(千葉)に原発を建設することに賛成します
か?
あなたの孫の代に核廃棄物が深刻な被害を発生させる
危険性があります。原発稼働を継続することに賛成しま
すか?
5世代先、10世代先ならどうですか?
将来世代と正義:時間的展開
将来世代に致命的な被害を及ぼす危険性:使用済み
核燃料(ないし再処理する高レベル放射性廃棄物)。そ
もそも、核廃棄物は出すべきではないのではないか?:
100万年! 地下埋蔵!
世代間正義:核廃棄物の存在は将来世代に危険をもた
らすために不正義、核燃料サイクルを道徳的にどのよう
に評価するか?(Behnam Taebiの擁護論)
モンゴル政府:核処分場建設計画を断念 日
本に伝達
モンゴル政府は、日米両国とともに進めてきたモンゴル
に原子力発電所の使用済み核燃料の一時保管・処分
場を建設する計画を断念することを決め、9月下旬に日
本政府など関係者に伝えたことが10月14日、わかった。
モンゴル国内で反対運動が高まり、計画継続は不可能
と判断したとみられる。同様の計画は、02年にオースト
ラリアでも世論の反発で失敗に終わっており、改めて国
際的な処分場建設の難しさが浮き彫りになった。(毎日
新聞)
リベラリズム
巨大な格差や自由・権利などの人間の尊厳が冒されな
いようにする必要。
原発作業員の尊厳:被曝限度の引き上げ
もっとも惨めな立場の人にとって、利益があるかどうか?
被害者にとって、原発による経済発展や生活水準の向
上という便益が被害を上回るかどうか?
空間的分配的正義に適うかどうか?:立地をめぐるジレ
ンマ
時間的分配的正義に適うかどうか?:将来世代
ロールズ自身は否定。(あまりに空想的)
超世代的コミュニタリアニズム
地域を超えたコミュニティの共通前
デ・シャリット:将来世代をコミュニティの構成員として考
えた場合の共通善:将来世代への不正義、時間的不正
義。ただし、2-3世代まで。 (超世代的コミュニティの
限定)ーー原発許容論に。
遠い将来世代まで超世代的コミュニティの構成員として
考えることによって、将来世代への不正義をやめさせる。
東電賠償スキーム
政府案(原子力損害賠
償支援機構法):
「機構」、原子力事
業者の負担金、交付
国債、東電に資本も
注入、東電が長期返済
・東電の存続が前提。
(東京新聞)
2011年6月15日 朝刊
「原子力損害賠償支援機構法案」が十四日に閣議決定されたものの、東京電力にとって福島第一原発事故に絡む損害賠償の資金繰りは「綱渡りの状況」(同社幹部)だ。法案成立が見通せない中、賠償支払いが本格化する今秋をにらんで東電、政府関係者らの緊張が続きそうだ。 (花井勝規)
東電賠償問題
東電純資産 約2.5兆円、賠償10兆円?
東電救済スキーム?:リストラ不十分? 株主などが守ら
れている 株式100%減資、社債、借入金債務カットな
し
国の賠償責任。
電気料金値上げ:国民に押しつけ? 国民負担の最小
化? 枝野発言:銀行
東電・政府:石油使用を名目にして、値上げの検討→こ
れでいいのか?
一時国有化案
会社更生法申請、倒産→法的手続きとすべきでは?
自己資本減資による国民負担軽減
一時国有化すべきでは? 管財人による債務整理、金
融機関の債権放棄、原子力は東電。火力などは発送電
分離、民間売却(竹中案)
電力自由化:リバタリアニズム
電力価格:国際的に高い→低下のため。自由化により
低下傾向
1995:発電事業者の参入可能に。配電:小売自由化、
平成17年から契約電力50キロワット以上OK。
既存の電力会社の送電線を用いる必要。使用料高。
発送電分離:経産省は一時追求(90年代終わりから00
初)するが、電力会社の反対などで断念。
自由化の問題点
EU:1990年代から
日本:部分的自由化
アメリカの大停電問題(2003)
石油中心に戻る危険性:環境問題
原子力のコスト削減、安全性低下
原発をめぐる公私問題
原発はそもそも民間会社や市場に任せるべき問題
か? :浜岡原発停止で政府の要請を拒絶したら?、株
主総会で原発撤退を決定したら?
東電:度重なる情報隠し、黒塗り提出。
公共的に運営すべきでは?
電力の公共性
公共的に運営すべきでは? 批判派も含めた公共的運
営。私的利益にとらわれずに、安全管理を重視する運
営。
安定的供給のため、送電は公共的一元化。東西周波
数の統一へ。分散発電、広域送電。東電は売却により、
賠償金。
公共善としての電力:コミュニタリアニズム
発送電分離:自然エネルギー、新エネルギーの分散型
電力を可能に。発展とコストダウン。
新エネルギーのコスト:再生可能エネルギー特別措置
法案(電力買い取り)→公共電力などに。
暫定的に原子力も公共的一元化すべき。
「公益事業(送配電事業、原子力事業)と競争事業(発
電事業、小売り事業)を峻別する制度環境の整備」(中
間整理)
公共電力案
NHK(公共放送)と民放の二元的体制
送電網:全国的統一、スマートグリッドのシステムによる
安定供給
原子力の管理・運営:市民や批判的学者の意見も尊重
して、コストよりも安全性を徹底して重視→コストが明確
にわかるようになる。コスト面で困難になる?
新エネルギー、自然エネルギー、燃料電池などは公共
的に開発、補助金。
コミュニティの分配的正義
同胞愛(友愛)からみて、耐えられないような不正義:
ロールズと論理は別だが、結論は同じ。
生命・安全と経済的対価(交付金など)の取引:道徳的
不正義
コミュニタリアニズム
他のエネルギーに比して、格段に危険:個々人だけではなく、
その地域、さらには国家や地球というコミュニティ全体への破
滅的危険を含む
核兵器への転用可能性、世界的拡散の危険性
核廃棄物の抜本的な処理方法がない→核廃棄物など世代
を超えたコミュニティの構成員に深刻な被害を与える危険性
→世代間の不正義の疑い
科学技術は、コミュニティの共通善に貢献すべき。科学者・
技術者には、科学倫理・技術倫理ないし美徳が求められる。
電力体制:「国家=官」主導に反対、自由化・送発電分離の
もとで、公共善としての電力、公共電力案。
→こういったエネルギーに依存することが友愛や正義に適う
かどうか、という問題。逆に言えば、これらが克服できれば、
不正義ではない。
正原発論?
そもそも、1人の生命も犠牲にしてはいけないというのな
ら、絶対安全神話が崩壊した以上、原発は不正義。(絶
対安全神話に基づいてこそ、原発は正義に適う)
ただ、戦争についても、必要悪としての戦争を許容する
「正戦論」が存在。
この類比を用いれば、必要悪としての「正原発論」が成
り立つかもしれない。→どのような条件において、原発
は許されるか?
正戦論
アウグスティヌス以来、「正しい戦争」を制約する条件
聖戦論との相違
開戦法規:自衛戦争など。
戦中法規:民間人の殺傷禁止など。
正しい戦争が必要悪としても、
原爆:不正義
無条件の絶対悪
正原発論の論理
稼働開始(建設)理由:コミュニタリアニズム的、本当に
原発建設・稼働が必要かどうか? 共通善と言えるか
どうか?
運営(稼働)様態:リベラル的、事故・被害を最小限にす
るような運営がなされているか? ロールズ的な観点か
らの不正義がないかどうか?
その上で、さらに絶対的不正義:原爆のための原発
原発は不正義か?
原発が実はエネルギーの量やコストの点で実は不要な
のに、必要としていれば、稼働理由の点で不正義
コスト計算に基づいて、人命を犠牲にする功利主義的
な運用がなされていれば、運営様態の点で不正義の原
発体制
さらに、核燃料サイクルや原発が核兵器保持のためな
ら:絶対的不正義。
稼働(建設)理由
エネルギー上、本当に必要か?
夏のピーク時に電力不足という議論:今夏の経験では、
節電により凌ぐことができた。
短期的:石油。天然ガス。
仮に、これでも足りない、あるいはコスト的に非現実的と
した場合は?
運営(稼働)様態
正義にかなった原発運用体制か?
功利主義的運用:友愛に反していて不正義。
「リベラル」な方策:補助金ー生命や安全を犠牲にする
点で疑問。独立した保安院などのチェックーー必要だ
が、充分か?
コミュニタリアニズム的・共和主義的方策:公共電力とし、
その運用に批判的市民・学者が関わることにする。
核燃料サイクルと核兵器問題
もんじゅ(事故):優秀な核兵器を製造する可能性の保
持という疑い。(通常の原子炉[軽水炉]では、優秀な核
兵器は作れないから)
すでにプルトニウムは大量に保持。(長崎型原発4000
個製造可能な量)
高速増殖炉:米仏すら断念。日本のみ固執。
その理由は?もし核兵器のための核燃料サイクルなら、
不正義そのもの。保守論壇では、核兵器保持のための
原発保持:絶対的不正義
もんじゅ、検証組織年内にも設置 文科副大臣視
察「火消さず支援」
奥村展三副大臣、高速増殖炉「もんじゅ」視察、「夢を
持って何とか火を消さないで、文科省としてしっかりバッ
クアップして進めていきたい」と述べた。河瀬敦賀市長
は「資源の少ない日本でエネルギーを確保する観点か
ら非常に重要な原型炉と認識している。この火を消さず
に将来につなげてほしい」と研究継続を重ねて要請した。
(2011年10月15日)
もんじゅ制御棒に不具合=動作試験で一時動かず―
保安院、1カ月後に公表(2012年1月20日)
核兵器のための原発維持?
石破茂自民党政調会長(当時)「私は核兵器を持つべ
きだとは思っていませんが、原発を維持するということは、
核兵器を作ろうと思えば一定期間のうちに作れるという
「核の潜在的抑止力」になっていると思っています。逆
に言えば、原発をなくすということはその潜在的抑止力
をも放棄することになる、という点を問いたい。」
※SAPIO2011年10月5日号
不正義の疑い:克服の必要性
以上が問題ない場合でも、核廃棄物、立地の分配的問
題など:不正義の疑い
そこで、少なくとも、稼働理由や運営様態において不正
義をなくす必要
友愛に基づいて正義に適うエネルギー体制にする必要。
それでは、どのようなエネルギー体制が友愛正義に適う
のか? 熟議の必要性
未来提言:エコロジカルなコミュニタリアニズム
エコロジカル・セルフ(環境の中に存在している自己)と
いう自覚への変化
エコロジカル・コミュニティ:エネルギー分散型、太陽光
発電などによる地域コミュニティーの電力供給。
エコロジカル・コミュニタリアニズム:公共善としての環境
と電力、公共電力
エコロジカルな共和主義
これまでは、電力は買うもの。→エネルギー自己統治へ
エネルギー自給自足、地産地消:太陽エネルギーなど。
エネルギー自己決定:複数の電力会社の間での選択。
環境の観点からの電力購入:エコロジー的公民的美徳
地球的コミュニティの可能性
中国も含め、アメリカなど多くの国々からの援助の申し
出。中国などとの険悪な関係からの一転。国際的・地球
的友愛の可能性:地球的なコミュニティの可能性はある
か?
他方、汚染水の放出により、地球的公害を作り出したと
いう責任。
結論1:科学技術と熟議民主主義
リスク社会においては、科学技術も専門家だけには任
せられず、人々の公共的な議論が必要。
そのために、(哲学的)熟議民主主義、哲学的対話が有
意義。
専門家と市民とを媒介する学芸対話者(学芸フェロー)
が必要。科学コミュニケーターの拡張。
結論2:友愛正義と原発
原発は、友愛正義に適わないものは廃止されなければ
ければならない。
絶対的不正義:核兵器への転用。核燃料サイクル。
不正義の疑い
稼働理由、運営様態:変更の必要性
理想主義的現実主義:特に危険なものから順に停止、
廃炉。
誘発地震の危険性:浜岡・東海をふくめ、太平洋岸。
超原発への道
原発⇔反原発 →脱原発 →超原発
日本の科学技術力を生かした、代替的エネルギー開発。
自然エネルギーの他、トリウム溶融塩炉や、別の新エネ
ルギーの開発の検討。
原発輸出と新エネルギー輸出
原発の技術移出→発展途上国では安全性が低いから、
事故を起こす危険性 :中国の新幹線事故
逆に、福島事故の教訓を学べば、今後、同種の事故が
起こる可能性を減らすことができる。
逆に、これに対して科学技術の総力を結集して、新エネ
ルギー社会を創造→世界に輸出できる。
9・11と3・11後の公共哲学
思想的再建から始める必要性。
9・11後:「反テロ」世界戦争→地球的友愛
公共哲学ネットワーク、地球平和公共ネットワーク。改憲
の危険に対して、「平和への結集」を目指す市民の風
リーマン・ショック:リバタリアニズムの限界
3・11後:功利主義の問題性、コミュニタリアニズムへの
注目→エコロジカル・コミュニタリアニズム
結論3:友愛正義と科学技術
科学技術は友愛に基づいて行使され、正義に適うもの
でなければならない。
友愛正義に反する科学技術の発展や行使は、地球人
類に危険。
原爆や原発災害は、その教訓。
だから、人々の中で友愛や正義の理念が公共哲学とし
て広がることが必須。
その下で、正しい科学技術の発展が可能になる。
友愛革命と核問題
広島・長崎、そして福島の誓い:原爆による被爆、原発
災害による被爆を二度と起こさない。
脱(現行)原発の潮流→核兵器廃絶 :オバマ EUから
の戦術核撤去の協議開始
友愛や正義に基づく、平和でエコロジカルな世界の建
設:友愛世界の新エネルギー(友愛エネルギー、エコロ
ジカルなエネルギー)へ
広島・長崎、そして福島
広島・長崎、そして福島の誓い:原爆による被爆、原発
災害による被爆を二度と起こさない。
脱(現行)原発の潮流→核兵器廃絶 :オバマ EUから
の戦術核撤去の協議開始
友愛や正義に基づく、平和でエコロジカルな世界の建
設:友愛世界の新エネルギー(友愛エネルギー)へ
正義を実現するための現実的方法
絶対的不正義は即廃止:核燃料サイクル。
誘発地震の高い地域の原発:再稼働を阻止。
不正義は可能な限り、速やかに廃止:現在の原発運用
体制→電力体制の大改革。総括原価方式の廃止。電
力自由化と、公共電力による原子力。原子力安全庁
(委員会)と公共電力への批判的学者・市民の参加。
原子力の正確なコストが明らかになる→もし、他のエネ
ルギーより安価でなければ、自ずと廃止に向かうと思わ
れる。
続:不正義をなくすための方法
不正義の疑いがあるものは、民主主義を深化させる広
範な議論により、段階的縮小。
生命と安全の取引は不正義の疑いが強いから、交付金
は速やかに廃止し、賠償にあてるべき。
地域主権の尊重:自治体の反対を政府が説得すべきで
はない。交付金などを止めた上で、人々の意向を聞く
べき。直接民主主義。
脱原発への結集
平和への(大)結集:活憲、イラク派兵は決定的違憲
脱原発への結集:最終的結論が出るには時間がかかり
意見も分かれてくるので、可能なところから、停止・再稼
働反対・廃炉に。
東海第2、浜岡:M9クラスの地震について専門的警告
がある以上、首都圏の人は本来、ほとんど賛成するだろ
うと思われる。→地元、近隣自治体がその危険性を訴え
る。 →被災地でもある茨城、千葉の運動の重要性
誘発地震の危険に対する原発の停止と対策を求
める緊急声明
http://global-public-peace.net/archives/360
そもそも、地震と津波によるこのような原子力災害は、決して想像で
きなかったことではなく、様々な形で識者や市民から警告されてい
たことであった。それ故、この災害は「天災」ではなく、「人災」と言
わなければならない。原発推進者たちはM9.0のこの震災を「想
定外」として責任を回避しようとしているが、少なくとも今後はこのク
ラスの震災を「想定内」として、原発を管理しなければならない。
しかも、地震学者たちは、東日本大震災によって日本列島の下の
プレートに地殻変動が起こっていると指摘し、近い未来に、M9ー7
クラスの房総沖地震、関東南部地震、北海道沖地震や、東海地震、
東南海地震、南海地震が起こりうると科学的に予測し警告を発して
いる。
声明2
そこで、これらの誘発地震の想定されうる地域において、M9-7クラス
の地震に対する対策が充分になされていない原子力発電所は、すぐ
に停止し、充分に津波・耐震対策などの安全対策を施す前は稼働して
はならない。また、定期点検中の福島原発第4号機で使用済み核燃料
プールから爆発が生じたように、現在停止中のものも含めて、全国の
原発に対して、緊急の防波堤建設や緊急時電源確保、耐震性改善を
はじめ、このような危険に対して早急な対策が施されるべきである。
具体的には、福島原発をはじめ東北大震災で危険性が明確になった
東北の女川・東通原発(いずれも停止中)の他、特に、世界でもっとも
危険と言われる浜岡原発(運転中)、東海第2(停止中)、伊方原発(運
転中)などの太平洋岸の原発に対して、即時の稼働中止ないし使用済
み燃料棒に対する安全対策が早急に施されるべきである。1次冷却水
の放射性物質(放射能)濃度が上昇した敦賀第2原発(運転中)の即
時停止はもとより他地域の原発に関しても、地震・津波の危険がある場
合はそれに準じた対応が検討されるべきであり、電力需要に応えるた
めの運転再開はなされるべきではない。
声明3
特に東海第2原発は、東日本大震災で冷却機能停止の危機に瀕し(外部用電源停
止、津波により非常用ディーゼル発電機用海水ポンプも3台の内1台停止)、使用済
み核燃料貯蔵プールなどから溢水した。また、六ヶ所再処理工場も、同様の危機に
瀕した(外部電源停止、非常用ディーゼル発電機2機の内1台停止、核燃料貯蔵
プールからの溢水)。さらに4月7日の震度5の余震で東通原発は、停止中の1号機
の使用済み燃料プールでやはり深刻な事態(外部電源停止、核燃料貯蔵プールの
冷却停止、非常用ディーゼル発電機3機の内、点検中の2台を除く1台のみ機能し
たものの、外部電源復旧後に燃料漏れで使用不能となる)に陥った。これらは、福
島原発と同様の事態に陥るまで、紙一重の状態であったと言え、東通原発の危機
は震度5レベルの余震でも福島原発のような悪夢の事態が起こりうることを例証して
いる。さらに女川原発でも、本震(1号機では外部電源停止、原子炉建屋で20カ所
が水漏れ、タービン建屋で火災発生、2号機では原子炉建屋の地下浸水と非常用
発電機3台の内2台が起動せず)・4月7日の余震(1~3号機の核燃料貯蔵プール
の冷却機能が負荷により一時停止、燃料プールなど8カ所で水漏れ)ともに問題が
生じている。
そこで、停止中ではあっても、誘発地震や余震に備えて、このような深刻な問題に
対して、充分な対策を早急に施すべきである。現状では浜岡3号機の再開や6号機
の新設、高速増殖炉もんじゅの運転再開、六ヶ所再処理工場の運転開始が許され
ないことは言うまでもなく、各地の新規原発の建設も、批判的市民も交えて時間をか
けた公共的熟議をすることなしには決して強行すべきではない。
大震災・核問題と正義――広島・長崎、そして福島から
の誓い (公共哲学シンポ、6月26日)
東日本大震災と福島第1原発の事故には、サンデル
が白熱教室で説明した正義の観点からも、多くの問題
が存在している。震災は天災でも、原発事故は基本的
には人災であり、私たちはこの災害を「平和と正義」の
観点から問わなければならない。日本は広島・長崎の
被爆国であるにもかかわらず、チェルノブイリに匹敵す
る原発災害の被曝国ともなってしまい、汚染水の海への
放出などによって諸外国に地球的な公害をもたらしてし
まった。
続
このような事態をもたらしたのは誰の責任であり、どのよ
うな考え方の帰結なのだろうか。私たち日本人は、この
ことを猛省して哲学的な原理を公共的に確立し、被爆・
被曝といった悲惨な出来事を二度と今後は起こさないよ
うに、戦後に敗戦後の日本人がしたように、再出発を誓
わなければならない。それは、友愛公共と正義に基づく、
平和でエコロジカルな新日本への再生であり、そのため
に私たちは知的・精神的・政治的エネルギーの全てを
結集しなければならないだろう。