C型肝炎 - 富山大学 医学部

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Transcript C型肝炎 - 富山大学 医学部

形態で理解する肝臓の機能と病気
富山大学付属病院 病理部 診療教授
富山大学大学院 医学薬学研究部 准教授
常山幸一
放送大学面接授業 2011.6.11
3時限目、4時間目の内容
肝臓の病気について学びましょう
1 肝炎とは?
ウイルス性肝炎
A型肝炎
B型肝炎
急性肝炎 vs 慢性肝炎
放送大学面接授業 2011.6.11
C型肝炎
肝臓の疾患リスト
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Biliary disease 胆管の病変
Alcohol-related liver disease アルコール性
Drugs and toxins 薬剤性
Hepatitis (including hepatocellular damage) 肝炎
Cirrhosis 肝硬変
Tumours and nodules 肝結節、肝腫瘍
Vascular diseases 血管性病変
Childhood and metabolic diseases 小児・代謝性疾患
Disorders of copper and iron metabolism 銅、鉄代謝異常
Systemic diseases 全身性疾患の波及
Transplantation 移植
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Hepatitis (肝炎)
hepatocellular damage (肝細胞障害)
Acute hepatitis 急性肝炎
Chronic hepatitis 慢性肝炎
Viral hepatitis ウイルス肝炎
Steatohepatitis 脂肪性肝炎(alcoholic vs non-alcoholic)
Drug-induced hepatitis 薬剤性肝炎
Autoimmune hepatitis 自己免疫性肝炎
Central vein
(CV)
Anatomy:復習
Portal tract (P)
CV
P
肝小葉 hepatic lobule
• 大きさ:1〜2㎜
• 肝細胞索と類洞から構成
• 小葉中心部に中心静脈central vein(CV),
terminal hepatic venule(THV)に注ぐ
• 肝細胞索は概ね1層性
• 類洞は洞内皮細胞に被覆される
血液の流れ
門脈域辺縁部の門脈枝
(60〜70%)
肝動脈枝(30〜40%)
類洞
中心静脈
ディッセ腔
肝細胞
ディッセ腔
肝臓の形態学的評価のポイント
1.門脈域・肝実質(中心静脈周囲含む)・類洞の順に所見をとる
2.変化のある場所はどこが中心か?
門脈域周囲に限局:virus
門脈域+肝実質:virus
中心静脈周囲:steatohepatitis、drug
何でもあり:drug
3.特徴的な所見を見逃すな!
interface hepatitis (piecemeal necrosis/apoptosis): virus
Mallory body (steatohepatitis)
Bile plug (drug, virus)
Megamitochondria (steatohepatitis)
Fatty change (steatohepatitis, HCV)
Ground-glass appearance (HBV)
肝炎 = 肝細胞障害
急性肝炎
慢性肝炎
時間軸で分類
ウイルス肝炎
脂肪性肝炎(アルコール性、非アルコール性)
薬剤性肝炎
自己免疫性肝炎
原因で分類
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日本ではウイルス性による肝炎が80%を占める。 日本では特にA、B、C型が多い。
A型肝炎 - 経口感染
B型肝炎 - 垂直(母子感染)、性行為感染(性感染症のひとつとも分類されている)
C型肝炎 - 血液感染(麻薬の注射器での回し打ち、刺青、輸血、血液製剤等)
D型肝炎
E型肝炎 - 経口感染
*G型肝炎
G型肝炎(Gがたかんえん、英: hepatitis G)は、ウイルス性肝炎の
一種で、GBウイルスC(GBV-C、またはしばしばG型肝炎ウイルスまたはHGVと
称される)が原因であるとしばしば指摘されている。しかし、GBV-Cが実際に肝疾
患を引き起こすかどうかについてはまだ明らかにされていない。
*TT型肝炎
TT型肝炎(ティーティーがたかんえん)は、近年、日本人科学者に
よって報告されたウイルス性肝炎の一種。
1997年に真弓・岡本らは、原因不明の輸血後肝炎の患者の血清から、肝炎発症
前の血清中には存在せず、肝炎急性期の血清中にのみ存在する、長さ約500塩
基対の特異遺伝子クローン(N22クローン)の分離に成功し、患者のイニシャルに
ちなんで「TTV」と命名した。TTVはその発見からの約2年間で、全遺伝子構造が
解明され、遺伝子変異が顕著で、数多くの遺伝子型が認められることが明らかに
なった。
TTVはサルコウイルス科に属するが、これまでのところ肝炎ウイルスと認知される
に至っていない。TTV感染が、肝疾患の発症とどのように関連するのかについて
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は今後の研究が待たれる。
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A型肝炎(Hepatitis A, HA)
A型肝炎ウイルス(HAV)が原因のウイルス性肝炎の一種である。
多くは一過性の急性肝炎症状で終わり、治癒後は強い免疫を獲得する。
感染力は比較的強く、患者の発生数と居住環境の衛生状態には関連性がある。
上下水道が整備されている先進国での発生は少ないが、衛生環境の劣悪な地域では蔓延
している。
衛生環境の整った先進国などでの感染は、抗体保有率が低いことから集団発生が見られる。
患者の発生報告には季節性があり、日本では例年春先になると感染者数が増加するが、そ
の理由は明らかではない。
戦後生まれの世代(大凡60歳以下)ではA型肝炎に対する抗体(HA抗体)を持っていない者
が多く、これらの人々がA型肝炎の流行地へ旅行することで感染するパターンが多い。
近年では汚染された輸入食材経由の感染が懸念されている。
潜伏期間が約1ヶ月と長いことから、未発症の感染者を感染源として食品を汚染し集団発生
することがあるが、原因食材の特定には至らない場合も多い。
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A型肝炎(Hepatitis A, HA)続き
日本での主な感染源は、カキ二枚貝と考えられているが、輸入野菜が感染源になった例
も報告されている。
カキを100度の熱湯で煮ると1分ほどでウイルスは死滅するが、包丁やまな板が危ない。
口から侵入したA型肝炎ウイルスは、消化管で吸収されて血流に乗り、肝臓へと到達す
る。感染後最初のウイルス増殖が何処で起こるのかは未解明で有るが、肝臓でウイルス
は増殖し胆汁中や血液中に放出されるが、肝細胞が破壊されることはない。ウイルスを
含んだ胆汁は十二指腸へ排出されるが一部は腸管で再吸収され、残りは便中に排泄さ
れる。
潜伏期間は2~6週間程度であり、やがて増殖したウイルスに対する免疫が働き始めHA
抗体が作られるようになると免疫機構により肝細胞が攻撃され、A型肝炎の症状が出現
する。肝炎の発症以前でも、感染者の糞便中にはA型肝炎ウイルスが排出されており、
他人に感染させる原因となり得る。
A型肝炎の経過は慢性化することはほとんどなく急性肝炎の形をとり、ある時期を過ぎる
と治癒へ向かうことが多いが、稀に劇症肝炎や腎不全へと移行し重症化することがある。
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A型肝炎(Hepatitis A, HA)続き
治療
特異療法は無い。
安静。
標準免疫グロブリンの投与。HAV感染の
おそれのある人に対する、即効性のある
予防法として有効。
予防
A型肝炎の流行地へ旅行する際には、あ
らかじめ医療機関でA型肝炎ワクチンの
接種を行うことで、A型肝炎を予防するこ
とができる。
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B型肝炎 (Hepatitis B, HB)
B型肝炎ウイルス (HBV) に感染することで発症するウイルス性肝炎の一つ。
日本においてB型肝炎ウイルス保有者(キャリア)は、150万人程度といわれている。
そのうち10%が肝炎発症となり、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌に進行する。
しかし、95%は自然治癒する。したがって、キャリアのうち5%が慢性肝疾患になる。
近年、日本ではあまり見られなかったジェノタイプA(北米、欧州、中央アフリカに多く分
布する)のB型肝炎ウイルス感染が広がりつつある。
ジェノタイプAのB型肝炎ウイルスに感染した場合、その10%前後が持続感染状態(キャ
リア化)に陥る。本来、日本に多いジェノタイプCのB型肝炎ウイルスは、成人してからの
感染では、キャリア化することはまれであったことから、ジェノタイプAのB型肝炎ウイルス
感染の拡大には、警戒が必要である。
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中国、台湾など、日本以外のアジア
諸国はB型肝炎高流行地
中国ではB型肝炎ウイルスのキャリ
アが9300万人
2006年のデータでは、現在の中国の
B型肝炎ウイルスキャリア率は、全人
口の7.18%で、1992年の9.75%と
比較すると、26.36%の減少となって
いる。(生後すぐの予防接種の奨励)
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初期感染
B型肝炎ウイルスに感染した場合、多くは無症状で経過するが、20~30%が急性肝
炎を発症し、1~2%が劇症肝炎化する。
D型肝炎の混合感染も生じる場合もある。
成人の初感染の多くは、免疫応答でウイルスを排除して一過性感染であるが、近年
成人感染のキャリア化が報告されている。
持続感染
母子感染の90%以上は、C型肝炎と同様、B型肝炎ウイルスに持続的感染を呈する
場合が多い。
1986年から母子間ブロックが行われるようになってからは感染はほとんど防げている。
• HBe抗原陽性無症候性キャリア
• HBe抗体陽性無症候性キャリア
• 慢性B型肝炎
• de novo 急性B型肝炎
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B型肝炎ウイルスに感染しているヒトはHBs抗原と呼ばれるウイルスの蛋白質が
常に血中に存在する。HBs抗原の陽性が6ヶ月以上続いているヒトを、B型肝炎
ウイルスのキャリアと呼ぶ。
HBs抗体ができると、肝炎が治癒する。
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産道感染などで赤ちゃんのうちに感染
(垂直感染):85%がキャリア化する
人生の早い時期にウイルス感染すると、異
物を排除するリンパ球などの免疫機構の八
田宇賀未熟なため、ウイルスは異物とみな
されずに肝細胞に居つく
「免疫学的寛容」
思春期~25歳頃までに、異物に対する免疫
機構が働き、攻撃を開始(キャリアからの急
性発症)
HBe抗原が陰性に、HBe抗体が陽性になる
(セロコンバージョン)と、免疫活動でウイル
スの活動が抑制され、「肝炎」はおこさない
(但し、ウイルスは排除されていない)
DNAが変異を起こし(変異株)、抗体が機
放送大学面接授業能しなくなると、肝炎がぶり返す
2011.6.11
慢性B型肝炎
B型肝炎ウイルスが増殖し、血液検査に
おいてALT高値持続認め、肝障害を呈し
ている状態。
肝硬変への移行・肝細胞癌の発症を生じ
てくる。
組織像は後ほど説明
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抗ウイルス療法
抗ウイルス治療はB型肝炎ウイルスを排除する治療である。B型肝炎ウイルスは自然経
過において排除抗体(HBs抗体ないしHBe抗体)を取得し、ウイルスの活性化が沈静化し
ていき、これを「セロコンバージョン(seroconversion)」と呼ばれているが、抗ウイルス治
療はこれを促していくことを目標としていく。
抗ウイルス治療の基本は、以前はインターフェロン(IFN)であったが、核酸アナログ製剤
の登場によって治療成績も改善している。ただ、核酸アナログ製剤には、耐性ウイルスが
出現することも多く、それによる急性肝炎(breack through hepatitis)が発生することも少
なくない。
インターフェロン(IFN)
IFNα (スミフェロン®、オーアイエフ®)
IFNα2b(イントロンA®)
IFNβ (IFN®、フエロン®)
核酸アナログ製剤
ラミブジン Lamivudine(ゼフィックス Zefix®)
アデフォビル Adefovir(ヘプセラ Hepsera®)
エンテカビル Entecavir(バラクルード Bareclude®)
テノフォビル Tenofovir(ビリアード Viread®)
テルビブジン Telbivudine:LdT(Sebivo® Tyzeka®)
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クレブジン Clevudine(Revoivir®)
C型肝炎(Hepatitis C)
C型肝炎ウイルス (HCV) に感染することで発症するウイルス性肝炎の一つ。
現在の日本のHCV感染者数は約200万、世界では1億7千万(世界人口の3%近く)が
キャリアであると見られている。
日本ではインターフェロン治療が効きにくい1b型が70〜85%を占め、以降2a型が10〜
15%、2b型が約5%で、他はまれである。
ただし、血友病患者では1a型が多い。これは血友病患者がC型肝炎に罹患する原因と
なった血液製剤の輸入元であるアメリカでは1a型が最も多いことに由来する。
感染経路
HCVは血液が主な感染経路で、かつては輸血による感染が多かった。
ディスポーザブル注射器の普及により現在においては先進国では検査体制が確立した
ためほとんど見られない。
現在は針刺し事故や刺青、覚醒剤注射の回し打ちなどが主である。
性行為や母子感染率は少ない。
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我が国の急性肝炎の20%、激暑肝炎の50%、慢性肝炎の60%が
C型肝炎ウイルス(HCV)によるもの
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* 初期感染
一般に自覚症状が乏しい場合もあるが、発熱・全身倦怠感・食欲不振・悪心・嘔吐が出
現し、血液検査にて肝障害(AST・ALT高値)、黄疸(T-Bil高値)を認めるといった急性肝
炎症状を呈する場合が多い。多くは症状が強いほど自己の免疫応答によってC型肝炎
ウイルスの排除が行われるが、70%程度は感染が遷延化し持続感染へと移行する。
なお、B型肝炎やA型肝炎に比較して劇症肝炎を呈する例は稀である。
* 持続感染
初期感染後に、血液検査にてALTが正常化しHCV-RNAも陰性となってC型肝炎ウイル
スが排除され治癒する場合もあるが、70%程度はC型肝炎ウイルスが排除されず、血液
検査にてHCV-RNA陽性状態が続き、持続感染状態となる。
* 慢性肝炎
血液検査にて、HCV-RNA陽性でALTが正常な場合は無症候性キャリアであるが、多く
の場合はALT高値持続し慢性肝炎状態となる。ALT高値が持続する慢性肝炎の状態を
5~10年以上経過することで、その後肝硬変への移行・肝細胞癌発症となってくる。
慢性肝炎持続の場合、約60%が肝硬変へと進展し、肝硬変後は年間7〜8%が肝細胞
癌を発症する。肝硬変に至る前は肝細胞癌への発症率は低い。
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治療
慢性C型肝炎の治療の目的は、慢性肝炎の沈静化(ALTの正常化)と、その後の肝
硬変への移行・肝細胞癌発症の阻止にある。
抗ウイルス療法
抗ウイルス治療はC型肝炎ウイルスを排除する治療である。インターフェロン療法は、
リバビリン併用やインターフェロンのペグ(ポリエチレングリコール)化などによって治
療成績が改善し、難治性の遺伝子型1b型高ウイルス量症例では約50%が、2型もし
くは1b型低ウイルス量症例では80%近くがウイルス学的著効(SVR)が得られるよう
になった。
薬物治療
インターフェロン(IFNα)を基本とし、IFNα単独療法から、IFNα2b(イントロンA®)+
Ribavirin(リバビリン)併用療法の開発によって治療法は大きく発展してきた。
現在では体内停滞時間を持続させたポリエチレングリコールを付加したペグインター
フェロン(PEG-IFNα)+リバビリンの併用療法が中心となっている。
PEG-IFNα2a(ペガシス Pegasys®)+Ribavirin(コペガス Copegus®)
PEG-IFNα2b(ペグイントロン Pegintron®)+Ribavirin(レベトール Rebetol®)
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C型肝炎ウイルスに対する治療効果は、ウイルスの「serotype(血清型)」によって
類別され、1群に類別される場合は48週投与を施行し、それ以外に類別される場合
は24週投与を行う。
治療効果は血液検査にてHCV-RNA量を測定して評価する。
治療終了後6ヶ月の時点までHCV-RNA陰性が持続している状態を「ウイルス学的
著効(SVR:sustained virological response)」と言う。
また、難治性の遺伝子型1b型高ウイルス量症例に対しては以下の単剤投与の効
果も高い。
Consensus-IFNα・IFNαcon1(アドバフェロン Advaferon®)
また、現在プロテアーゼ阻害薬が海外において治験中で、遺伝子型1型に対しての
SVR成績が良好と報告されている。
Boceprevir
Telaprevir(VX-950®)
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血液浄化療法
VRAD(virus removal and eradication by DFPP:ウイルス除去療法)と呼ばれ、IFN治療に
二重濾過血漿交換療法を併用することで治療効果を高める目的で施行される。2008年4月
から保険適用となった。
スタチン+ペグインターフェロン+リバビリン
SVR率を向上させる為の条件として、早期のウイルス陰性化が必要になってくる。
4~8週までに陰性化を得られた場合の最終的なSVR率が難治例の1型高ウイルス量でも高
いことから、現在では前述のVRADを初め試行錯誤されている。中でも多くの専門医が実施し
ているのがスタチン(脂質異常症治療剤)の併用で行われる3剤治療である。
特に一度インターフェロン治療を行ったが再燃した患者に選択として考慮される。
臨床学的信頼性は低いものの、安価でかつ可能性のある療法として現在は選択されている。
その他にも併用薬は色々と試されているが2011年発売予定のプロテアーゼ阻害薬が出れば
選択からは外れる見込みである。
肝庇護療法
抗ウイルス療法以外に、ALTの正常化を計る目的で、以下が用いられる。
•グリチルリチン(SNMC:強力ネオミノファーゲンC®)
•ウルソデオキシコール酸(UDCA:ウルソ®・ウルソサン®)
•肝臓加水水解物(プロヘパール®)
•小柴胡湯(漢方):IFNとの併用は間質性肺炎のリスクが高まるとのことで併用禁忌薬
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ここまでで、一旦頭を休めましょう。
次からは、組織像を見て、形の変化を説明します。
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急性肝炎 versus 慢性肝炎
• 小葉全体の変化, 特
にZone3に強い
• 実質炎主体
• 胆汁うっ滞や組織球
反応強い
• 劇症化することも
• 門脈域やその周囲が
主体
• 胆汁うっ滞は稀
• 線維化が起こる
中心静脈
門脈域
急性肝炎
中心静脈
肝細胞が壊れている(肝細胞障害=肝炎) ⇒肝細胞内の酵素が逸脱
(GOT(AST)、GPT(ALT)など)
肝細胞より小型の細胞が入り込んでいる(リンパ球、形質細胞、好酸球など)
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好酸体(アポトーシスに陥った肝細胞)
CV
急性肝炎
アポトーシス
細胞の死に方
自殺
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巣状壊死⇒細胞脱落⇒そのスペースにリンパ球などが入り込む(炎症細胞浸潤)
急性肝炎
毛細胆管レベルでの胆汁うっ滞(cholestasis)
急性肝炎に特徴的な所見
PAS染色:粘液やグリコーゲンなどを濃ピンクに染める染色
死んだ肝細胞を処理した(貪食した)細胞(=組織球)が濃ピンクに染まる
劇症肝炎⇒肝細胞は殆んど脱落してしまう
肝機能↓↓
劇症肝炎
胆管のできそこないのような細胞がたくさん増えてくる⇒肝臓の幹細胞と考えられている
この時期を何とか乗り切れば、肝細胞の再生が期待できる
Chronic hepatitis(慢性肝炎)は急性肝炎の像
に加えて、線維化が認められる
Activity (A0-A3)
活動度:炎症の強さを4段階評価
Fibrosis (F0-F4(肝硬変))
線維化の強さを5段階評価
例)
Chronic hepatitis, C, A2, F2
CH-C (A2/F3)
C型肝炎ウイルス感染の時はC, B型肝炎ウイルス感染の時はB,など
Piecemeal necrosisは最近はinterface hepatitisと呼ばれることが多い
アルコール性肝炎
NASH等の線維化は中心静脈周囲からおこる
Central vein
(CV)
ウイルス肝炎の炎症や線維化は
門脈域側からおこる
Portal tract (P)
ウイルス肝炎の活動度(Activity:A)を評価する時
門脈域を見る
肝細胞(実質)を見る
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慢性C型肝炎
門脈域に小型の丸い細胞が集まっている(リンパ球)
リンパ濾胞
Limiting plate(限界板=肝細胞と門脈域の境目)はほぼ保たれている→
Interface hepatitis(リンパ球が門脈域から周囲の肝細胞中にこぼれ出す事)は軽微で
炎症はほぼ門脈域に限局 (A1)
Interface hepatitis(Hepatocyteのapoptosis)
•Lymphocytes
•Plasma cells
•Eosinophils
Interface hepatitis 高度
→A2以上(実質等の変化と併せて評価)
実質のfocal necrosis+
Interface hepatitis 高度
A3相当
Entrapped hepatocytes
(,interface hepatitisにより急激に肝細胞が蝕まれ、門脈域が拡大
いくつかの肝細胞が島状に取り残されている
肝細胞が数個壊死に陥り
そのスペースに小型の細胞
(リンパ球など)が集まる
Focal necrosis (巣状壊死)
ウイルス肝炎の線維化(Fibrosis:F)を評価する時
門脈域の広さ
どれだけ拡大するか
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隣の門脈域と手をつなぐ
肝硬変
点線で囲った部分(広い領域)で肝細胞が脱落
代わりに、線維が伸びている。
線維を作る細胞:線維芽細胞、筋線維芽細胞
F1
F2
F3
F4
B型肝炎の病理学的特徴
門脈域の炎症(リンパ球、形質細胞)
肝細胞の細胞質のすりガラス状変化
→Orcein-staining (オルセイン染色)positive
細胞質内封入体が陽性に
肝細胞の核の不整、濃染、腫大
劇症化することがある(劇症肝炎)
など
Chronic hepatitis, B Ground-glass appearance
ER内にHBV s抗原集簇
Orcein-stain(オルセイン染色)
Immunostain(免疫染色)
anti-HBsAg
HBV
Ground-glass appearance
劇症肝炎
P0327
広範な肝細胞脱落
出血
色素貪食組織球集簇
炎症細胞浸潤(多彩な細胞、種々の程度に)
残存肝細胞の変性像
線維化(種々の程度に)
C型肝炎の病理学的特徴
• 炎症は軽度で徐々に進行
• 最終的には肝硬変に至る
• リンパ球の集まった構造(リンパ濾胞)
• 肝炎がリンパ球で破壊される
• 肝細胞に脂肪変性が見られる
(後述のアルコール性肝炎やNASHに似る)
• 肉芽腫やマロリー体という好酸性物質貯
留を見る事もある
リンパ濾胞(HCV感染に特徴的)
Steatosis(脂肪化)
Focal necrosis
Bile duct injury
Chronic hepatitis, C, A1, F1
F4
Virtual slideで観察
今日はここまでにします。
明日は
•アルコール性肝障害
•非アルコール性肝障害
•自己免疫性肝疾患
•薬剤性肝疾患
•肝硬変
•肝細胞癌
について勉強しましょう。
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