Transcript 加齢に伴う変化2章
老年看護(対象論) 加齢に伴う変化 第2章 A 加齢に伴う変化の特徴 生活曲線 恒常性(ホメオスタシス)を維持するために 防衛力、予備力、適応力、回復力が働く 精神活動 生殖 女 男 身体活動 代謝 10 20 30 40 50 60 70 80 90歳 疾病をめぐる特徴 P20 1.恒常性を維持しにくい 2.症状・経過が典型的ではない 3.合併症をおこしやすく、複数の疾病をもつ 4.慢性的に経過するが病状が急変しやすい 5.脱水・電解質異常をおこしやすい 6.意識障害やせん妄など精神障害をおこし やすい 7.薬物の副作用が出やすい 8.廃用症候群をおこしやすい、老人特有の 心理的反応 内臓機能の変化 老化の特徴 ①普遍性(誰にでもおこる) ②内因性(いかに環境を改善しても限界がある) ③進行性(若返りはおこらない) ④有害性(疾病にかかりやすく、回復力が低下 するなど個体にとって有害となる) B 加齢に伴う身体的・精神的機能の変化 1.呼吸と循環 p23 2.消化・吸収 ・唾液分泌量低下 ・舌運動低下 ・歯の欠損 咀嚼機能低下 栄養問題が起きやすい 舌筋・咀嚼筋・顔面筋収縮力低下 舌・舌骨・喉頭下垂 嚥下時喉頭挙上不十分 喉頭蓋閉鎖不完全 誤嚥 アウエルバッハ神経叢神経細胞減少 食道蠕動運動低下 食塊食道通貨スピード遅延 胃粘膜の委縮 大腸筋層委縮・粘膜分 泌機能低下 胃液分泌減少 蠕動運動減少 消化不良・胃のもたれ 便秘 3.排泄 腎再吸収力の低下 脱水・電解質異常をおこしやすい 要因:体内水分量(細胞数の減少) 体液 細胞外液 ( 間質液 ・血漿 ) 細胞内液・・・代謝水(燃焼水)の減少 腎再吸収力の低下 渇水中枢の機能低下(水分摂取量の減少) 予備力の低下により症状が重症化しやすい (発汗、下痢など) クレアチニン(Cr)とは 筋肉内でクレアチンとクレアチンリン酸から産 生され、血中に放出されたあと、腎糸球体で 濾過され排泄される。尿細管では再吸収も分 泌もほとんどされない。糸球体濾過値と密接 な関係があり、食事や尿量の影響を受けにく いので、腎機能障害の指標としてきわめて有 用である。 腎機能の低下 クレアチニンクリアランス(Ccr)値の低下 クレアチニンクリアランス 腎糸球体の濾過能は腎機能としてきわめて重要であり、糸 球体濾過率(GFR)を測定することが必要である。簡便に GFRを知る方法としてクレアチニンクリアランスが利用される。 クレアチニンクリアランスは、1日の尿中へのクレアチニンの 排泄量を血清クレアチニン濃度で除して求める。体格によっ て変動があるので、体表面積で補正する。 クレアチニンクリアランス=[尿中クレアチニン濃度(㎎/dl)×尿 量(ml/分)÷血清クレアチニン濃度(㎎/dl)]×[1.48(標準体 表面積)÷被検者の体表面積(㎡)] 基準値 男性 90~120ml/分/1.48m2 女性 80~110/分/ 1.48m2 4.内分泌 内分泌ー睡眠の変化 不眠のタイプ 入眠障害:夜間なかなか眠りにつけず、寝つくのに 普通より2時間以上かかる。 熟眠障害:朝起きた時に、ぐっすり眠った感じがしな い。 中途覚醒:寝ついても夜中に目がさめやすく、2回 以上の覚醒がある。 早期覚醒:朝、普段よりも2時間以上早く目がさめる。 運動・体力の変化 P26~28 1.運動するための体力 ①体格・姿勢 ②神経伝達速度 ③筋力 ④平衡性(バランス) ⑤持久力(スタミナ) ⑥柔軟性 ⑦全身協調性 2.健康に生活するための体力 免疫力 運動・体力の変化 握力の低下について 感覚・知覚の変化 P28~30 1.視覚 ①視力 ②視野 ③順応性 ④色覚視力 老視は水晶体のレンズとしての調整力の低下(水晶体の弾性 の減弱や毛様体筋の委縮)また、動体視力も低下視野は狭くな るし明暗の変化に慣れるのに時間がかかるようになる。 加齢 に伴い色覚が低下する網膜から視聴中枢への資格伝達経路 機能低下→視覚内の感度低下→視野が狭くなる 明暗順応性低下 ・色覚低下(青錐体細胞の感度低下)⇒黄色 は白味、紺と黒の区別付きにくい *赤や橙の暖色系はOK 聴覚 ・味覚 味覚機能の衰え、塩味わかりにくい、甘味は人 によって違いがある・うま味低下しにくい ・嗅覚 嗅覚低下 ・皮膚感覚 皮膚感覚低下・乾燥カサカサ、かゆみ・傷つき やすい 心理・精神的機能の変化 P31 ~33 1.情緒的変化 2.人格の変化 3.記憶の変化 4.知恵(英知:ウィズダム) 創造性(クリエイティビティー) 結晶性知能と流動性知能 結晶性知能 ・一般的常識や判断力、理解力等のような過去 に学んだ知識や経験を基にして日常生活状況 に対処する能力。いわば蓄積された能力。 ・言葉を媒介とする知能 。長期記憶で読解力は落 ちない 流動性知能 ・新しいものを学習したりして新しい行動様式を 身につける能力。短期記憶 ・空間認知や画像パターン知能 。 物忘れの違い P33 認知症による物忘れ 加齢による物忘れ 病識 認知症による物忘れ 物忘れの自覚がある 進行 物忘れの自覚がない 半年~1年単位での変化なし 記憶障害 経験自体を忘れる (食べたことを忘れる) 精神症状や 行動障害 物取られ妄想など、精神障 他の精神症状や行動障害を 害や行動障害を伴うことが 伴わない 多い 他の症状 物忘れ以外にも、時間や判 断がふたしかとなる 経験の一部を忘れる (食べた物を忘れる) 物忘れ以外の病状はない ライチャード (老年期定年後の5つの人格症状) ①円熟型:受容、建設的、積極的社会活動 ②依存型:依存的欲求充足の満足、受動的 消極的ながら新環境適応 ③防衛型:老い否定的、積極的活動維持 ④自責型:うつになりやすい ⑤憤怒型:他者のせい、周囲とのトラブル