第4回現代社会における広報の役割

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Transcript 第4回現代社会における広報の役割

広報・PR論入門
-岐阜大学をケーススタディに-
第4回
現代社会における広報・
PRの目的と役割
(2012.5.14)
担当:野原仁(地域科学部)
本日の内容
現代社会における広
報・PRの目的
組織における広報・
PR部門の役割と活動
広報の原理的・最終的な目的
ステークホルダーや市民社会との間
で、双方向のコミュニケーションを
はかり、相互理解に努めることに
よって、良好な関係を構築すること
 「双方向のコミュニケーションをは
かり、相互理解に努めることによっ
て、良好な関係を構築する」→より
具体的には?→時代状況・主体に
よって異なる

日本における「広報」の歴史①



PR→1930年頃にアメリカで生まれた概
念→日本にも伝えられるが定着せず
第2次世界大戦後、GHQが日本の民主化
と占領政策浸透促進のため、PR専門部
署を設置するとともに、訳語として「広
報」を用いる
しかし、「広報」=自治体では、一方的
な情報の伝達&企業では、宣伝と同義と
して認識される
日本における「広報」の歴史②


高度経済成長期→公害の発生や不良品に
よる事故が頻発→地域ぐるみの公害廃絶
運動や商品の不買運動が起こる
従来のような、一方的な「広報」だけで
はなく、企業としての信頼性確保・地域
社会との連携の重要性が認識されるよう
になる→住民説明会・意見交換会などの
形で、広聴という活動が具体化する
日本における「広報」の歴史③
バブル経済期→ブランド・イメージ
構築を目的とした「広報」活動が活
発化→CI(Corporate Identity)や
メセナ活動(企業による文化支援)
の広がりとして具体化
 その後、バブル崩壊により、メセナ
活動は衰退

現代社会における「広報」の目的・意義



事業体およびその財・サービスに関
する情報の伝達と広聴
ブランド・イメージの構築とブラン
ド価値の向上
アカウンタビリティ(後述)の実現
によるステークホルダーとの信頼関
係構築→①コンプライアンス(後述)の実
施とその広報、②危機管理広報による信頼性の
回復
アカウンタビリティの実現


アカウンタビリティ(accountability)=
主体が自らの社会的責務の重大さを自覚
して責務を遂行するとともに、その責務
から逸脱した場合には、自己の責務とし
て逸脱を解消し、ステークホルダーなど
からの妥当な要求には応えること(≠説明
責任)
さまざまな理由によって、現代社会では、
すべての社会的組織に、アカウンタビリ
ティの実現が求められている
コンプライアンスの実施と広報
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
コンプライアンス(compliance)=法令
の遵守を含めた社会的責務への適応
具体的には、たとえば大学であれば、
「カリキュラム・ポリシーに従った教育
の実施」など、大学が社会に対して負っ
ている責務を果たすことも、コンプライ
アンスの一部である
単にコンプライアンスを実施するだけに
とどまらず、その実施状況を広報するこ
とによって、よりいっそうステークホル
ダーとの信頼関係を強めることができる
危機管理広報による信頼性の回復
自らの社会的責務からの逸脱=危機
 危機管理広報(risk management PR)
=内部のステークホルダーに対して事前にコ
ンプライアンスの重要性などの周知徹底を
図るとともに、危機が生じた際には、その
危機を的確に把握した上で、内外部のス
テークホルダーに、危機に関する情報を伝
達(場合によっては謝罪を実施)し、それ
に対する広聴を行うこと

組織における広報部門の役割

先述した現代社会における「広報」
の目的(①事業体およびその財・サービスに
関する情報の伝達と広聴、②ブランド・イメー
ジの構築とブランド価値の向上、③アカウンタ
ビリティの実現によるステークホルダーとの信
頼関係構築)を達成することが主な役
割
 組織と外部のステークホルダーとの
「接点」として位置づけられる
組織内部
外部のステークホルダー
および社会
収情
集報
・
広伝
聴達
・
広報部門
収情
集報
・
広伝
聴達
・
内部の
ステークホルダー
広報部門の業務①基本的業務
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

広報方針の策定→組織の理念・経営方針・
ビジョンなどを踏まえた上で、広報に関す
る基本的な方針を策定
広報に関する現状分析と、それを踏まえた
上での、中期的な目標の設定と達成に向け
ての計画の策定
広報活動のマネジメント→策定した広報方
針にもとづいて、日常的かつ実践的な広報
活動を管理していくこと
APDCサイクル
広報活動のマネジメントを行う際に
は、現状分析からスタートする
「APDCサイクル」に従って行うこと
が重要
 A (act):現状の分析
 P (plan):目標の設定と計画など
 D (do):実施・実行
 C (check):測定・評価
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広報部門の業務②日常的業務
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アメリカを代表する経営学者の一人である
フィリップ・コトラー(Philip Kotler )は、
広報の日常的・具体的な業務内容を
「PENCILS」に分類している
P (publication):パブリシティの準備、広
報誌・会社案内など印刷物の作成
E (events):さまざまなイベントの企画・
開催
N (news):さまざまなニュースの発信
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C (community):地域社会、自治体、企
業などとの交流・意見交換
I (identity media):ロゴなど、その組織
らしさを表現するメディアの企画制作
L (lobbying activity):国や公共団体など
に対する、情報提供など多様な働きかけ
S (social responsibility activities):組織
の社会的責任を果たすための諸活動
広報担当者に求められるスキル
広報についての正しい認識
 コミュニケーション能力
 人脈構築能力
 情報収集能力
 戦略的思考能力
 調整・連携能力
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