E-Ring (静電型イオン蓄積リング)

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Transcript E-Ring (静電型イオン蓄積リング)

原子物理実験研究室
~研究紹介~
我々の身の回りには様々な状態の原子・分子・イオンが存在します。
原子物理研究室では、原子・分子・イオンを自在に操作して
その性質を詳細に調べています。
さらには、宇宙環境での原子衝突反応を実験室で再現するなど、
『原子』に関連した様々な事象の研究へ応用しています
原子物理実験研究室
田沼 肇
古川 武
准教授
助教
(1992年1月〜)
(2011年9月〜)
学生 (H23年度):計9名
D3x1, M2x3, M1x3, B4x2
客員研究員 : 計14名
・渡部 力 (元 理研主任研究員)
・長田 哲夫 (元 明星大教授)
東 俊行
理化学研究所・主任研究員
連携大学院客員教授
(2010年3月まで本学教授)
・奥野 和彦 (元 本学教授)
・島村 勲 (理研・研究嘱託)
・間嶋 拓也 (京大・工・助教)
・中野 祐司 (理研・研究員)
他,理研・研究員/PDが多数
・西出 龍弘 (理研計器・研究員)
本日のお品書き
• 原子物理実験は何をやるところ?
• 原子物理実験研究室の研究紹介
-
イオン蓄積リング
極低温イオン移動管
多価イオン生成用ECRイオン源
コヒーレント共鳴励起@シンクロトロン加速器
• 原子物理実験での卒業研究
『原子物理実験研究』て何?
簡単にいうと…
原子・分子の状態を制御/操作して
その反応や挙動を調べています
~原子・分子の状態制御?~
- レーザー光(光子)を当てて励起
- 原子同士を衝突
- 電子をはぎ取る
などなど…
原子物理学とは?
-Wikipediaは間違っている!-
・原子物理学は原子を対象とする物理である。
→ 分子やクラスターも研究対象
・原子を複数の電子とひとつの原子核からなる系
を考える。原子物理学の問題は突き詰めればこ
の系における一つ一つの電子のエネルギー状
態を求める問題である。
→ 独立な粒子と考えるのは近似的モデル
・原子間の相互作用や原子核の構造については
研究の対象外である。
→ 相互作用や衝突の研究 > 原子構造の研究
研究テーマ
~様々な(ほとんどありとあらゆる)イオン衝突実験
~
• イオンの種類:
ほとんど裸の多価イオンから巨大生体分子イオンまで
• 標的:
光子,電子,原子,分子,表面,結晶
• 衝突エネルギー(=温度):
GeV (109 eV ≒ 10兆℃) から meV (10-3 eV ≒ -270℃) まで
• 目的:
研究プロジェクトによって様々
伝統的な原子物理だけでなく,宇宙物理,核融合,
産業応用も。さらには,素粒子物理まで・・・
原子物理実験研究室
6
あらゆる原子の状態を研究する
高速
- 冷却分子の挙動をとらえ
る
世界初の装置
- 宇宙空間の分子合成を
実験室で再現可能
-
原子/分子を用いた素粒子理論の検証にも…
未知粒子? 未知の相互作用?
静電場でイオンをぐるぐる回して閉じ込め
多価
1価/負イオン
極限環境の原子反応を実験室で再現
- 太陽風の衝突反応
- 核融合炉内プラズマ
- 極低温環境でのイオン衝突
低速
- 毒ガス検出など応用も…
原子の性質から科学を切り開く
•
Cクラスター負イオンの寿命測定
星間分子イオンの起源解明
•
*実験室にて星間分子イオン反応を再現
タングステン多価イオンなど
核融合炉内部のプラズマ状態
*実験室にて内部プラズマ挙動を再現
写真提供:NASA, NOAO, ESA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA)
↓絵の差替必要!!
JAXAのHPから勝手に拝借
↑絵の差替必要!!
++
核融合研HPから勝手に拝借
電子
- --・C, N, O, …多価イオン
宇宙での太陽風の荷電交換
『宇宙空間における原子反応』
*実験室にて太陽風の反応を再現
•
内部に電荷の偏り?
極性分子イオン内の電子状態
素粒子の基礎対称性の破れを検証
『標準理論』を超える物理の探索
*実験室にて加速器を用いず素粒子研究
E-Ring (静電型イオン蓄積リング)
この中をイオンがぐるぐる回ります
→レーザー/原子ビームとぶつけて
イオンの挙動を調べる
・磁場を使わず静電場だけでイオンを周回させて蓄積
・世界初の冷却機構つき静電リング:冷却分子の蓄積が可能
E-Ring (静電型イオン蓄積リング)
周回軌道の長さ = 7.736 m
イオンの運動エネルギー = 10 – 30 keV
背景圧力 > 2 x 10-9 Pa
液体窒素温度(77K)まで冷却可能
E-Ring (静電型イオン蓄積リング)
- RIKEN NEWS 2011 12月号より
「私の本来の興味は、原子や分子の基本的な性質です。原子や分子には、ま
だよく分かっていないことが多いのです。例えば、宇宙で最初の水素分子が
どのようにできたのか、そのメカニズムや合成の速度はまだ大きな謎です」
E-Ring (静電型イオン蓄積リング)
~(遠い)将来計画の一例~
素粒子物理/基礎対称性の研究へ応用
Molecule
|J=1
Emol
極性分子:
permanent dipole
rot.
mix
with
Eappl
|J=0
Eeff = P Emol  10100 GV/cm,
P  1 with Eappl  0.01 MV/cm
(Eappl is needed just for aligning molecule)
分子内に巨大電場が存在
うまく分子を選ぶと、
『巨大電場中の自由電子』
を詳細に調べることができる
巨大電場を利用して、電子の『電荷の偏り』を見る
…電子に電荷の偏りは存在すると思いますか?
現代物理学『標準理論』では『NO!!』
…でも、これがないと
『宇宙の誕生』を説明できない
電荷の偏り:巨大電場中で電子の向きが変化
++
- ---
E-Ring (静電型イオン蓄積リング)
EDM
Time
++
particle
---++
particle
----
Spin
例えば…
粒子は、必ず
“スピン向きに応じた電荷の偏り”
を持つ、とすると…
(そのような物理現象を仮定)
時間の進みを反転したとき
電荷の偏りが
スピン向きに対して反転する
時間反転に対して、物理現象が変化
時間反転対称性(T)の破れ
= CP対称性の破れ (CPT定理より)
『小林・益川理論』を超えた物理現象
電荷の偏り(EDM)の大きさが
新しい物理理論の存在を予言する
極性分子をリング内に蓄積して
精密にEDMを測定する新手法を検討中!
近日、研究開始予定です。
研究2『極低温イオン移動管』
低温状態でガス同士がぶつかると
どのような反応が起きるのか??
低温状態 = 衝突エネルギー小さい
実はよくわかっていないのです
だったら測りましょう!
研究2『極低温イオン移動管』
~最近の研究成果~
・Heクラスター
・OH-など分子イオン
などなど?
追記、必要!!
研究3『ECRイオン源』
Electron Cyclotron Resonance Ion Source
(電子サイクロトロン共鳴イオン源)
←絵の差替必要!!
どこかのHPから勝手に拝借
ECRイオン源
多価イオンビーム
分析磁石
コース3
(化学グループ使用)
コース1&2
(物理グループ使用)
研究3『ECRイオン源』
• タングステンなど
核融合炉内部のプラズマ状態
*実験室にて内部プラズマの反応を再現
↑絵の差替必要!!
核融合研HPから勝手に拝借
・C, N, O, …
宇宙での太陽風の荷電交換
『宇宙空間における原子反応』
*実験室にて太陽風の反応を再現
↑絵の差替必要!!
JAXAのHPから勝手に拝借
研究3『ECRイオン源』
~最近の研究成果~
・ESIでの冷却分子導入
・Cクラスター
などなど?
追記、必要!!
居室では
電子レンジ
冷蔵庫
取ったデータを転送
解析・議論
PC
最新鋭
コーヒー
メーカー
プリンタ
学生
ソファ(たまにベッド)
卒業研究では何をする?
~最近の卒業研究~
・2010年度
- 低温He気体中におけるOH+およびOD+の移動度
- 静電型イオン蓄積リングを用いたC4-およびC4H-の蓄積と分光
- 多価イオンビーム輸送のためのアインツェルレンズ作製
・2011年度(予定)
- 核融合炉内プラズマ診断をめざした
タングステン多価イオンの荷電交換断面積測定
- ESIによる冷却分子イオン導入用の八重極イオンガイド用RF電源開発
卒業研究から最前線の研究をめざし
研究・装置開発・実験を行います
おわりに
原子・分子:
現代科学においてもっとも高精度な
実験研究が可能
原子・分子の精密な挙動を調べることで、
新たなサイエンスを切り開いています。
そのための装置をあれこれ作ってます。
(かなり手作り、すべて自分たちで!)
予備
• 予備トラぺ
研究室の生活
とある一日のスケジュール(ちょっと忙しい日)
9:30~10:30 書類整理、メールチェック
10:30~12:00 研究室ミーティング
12:00~13:00 昼休み、ごはん
13:00~16:10 授業(学生実験)
16:10~16:30 コーヒータイム
16:30~19:30 研究・実験
19:30~20:30 夕食
20:30~21:30 メールチェック
21:30
帰宅
しばしば研究室で飲み会だったり、
外に遊びに行ったり…
『原子物理実験研究』の装置
~原子・分子の状態を『制御』する装置~
静電型イオン蓄積リング
静電場でイオンをぐるぐる回して閉じ込める
極低温イオン移動管(ドリフトチューブ)
4.2Kの極低温ガス中にイオン入射→移動速度の測定
多価イオン発生装置(ECRイオン源)
回りの電子が剥がれた『ほとんど裸』イオンを生成
ほかの原子との衝突を見る
などなど…