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Characterization of Fault Zones
Y. Ben-Zion & C. G. Sammis
2010/10/18
担当:横田
1. Introduction
3つの疑問の考察を補助する,断層に関する概念とデータをレビューする
1.断層の幾何的特徴
2.断層力学を最もよく説明する理論的枠組み
大局的
3.その答はスケールにどのように依存するか
・基本的な疑問
自己相似的な幾何・力学で説明されるのか?
違う枠組みがそれぞれ必要なのか?
複雑な断層の重なり合い
粒状・岩
1. Introduction
断層を見る3つの主要な観点
• Geometrical←連続体のユークリッド幾何学的観点
地震・重力・電磁気的イメージング,地震・地殻変動・地震活動の変化のモ
デル,破壊域・表層断層の詳細な研究,断層沿いの高精度震源決定
• Mechanical←断層構造の粒状分布と変形場
ガウジの岩石粒子観測,プレートテクトニクスを含むリソスフェアの複雑な構
造とブロック回転の研究,境界に沿った変形の集中,連続体の枠組みよ
りも何倍か大きなスケールでの地震活動の相関,地球表面の非同位波
動伝播効果
• Mathematical←粗い表面と枝分かれした構造を持つフラクタル
震源の統計的解析,ボアホールでの様々な観測の長期的相関,観測された
地震のべき乗統計が基本的な自己普遍的幾何構造に準拠する事実,表
層断層トレースの幾何解析,断層表層の地質と節理の測定
→観測されている現象はこれらの観点から見て(部分的に)整合的
1. Introduction
Fig1
GMM
断層→平面・平板の連続個体
連続体のユークリッド幾何学的観点に立てば,
断層とはマクロに見てスムーズで連続
(ミクロな粗さが安定化・平均化された)
[Fung, 1977]
ユークリッド的な観点からは断層上のすべりは
解析されうる(粉体・摩擦・その他構成則)
(これらの値もスムーズ)
1. Introduction
GMM
なぜスムーズで連続な断層に見えるのか?
ひずみ弱化が局所変形・強度低下を作り,
更なる誘発を起こす
→この正のフィードバックは連続な
弾性体の平面断層に集中した変形に繋がる
バラバラな物性や場,動的分岐などが
完全な局所化を妨げている
1. Introduction
GMM
断層→離散的・ぐちゃぐちゃ
急峻な変化があり平均化されていない
巨視的な異方性のある
繋がったチェーンのような構造
[Jeager et al., 1996]
→ひずみ硬化(負のフィードバック)の物性を持つはず
(小さな構造・破砕)
1. Introduction
GMM
断層→不規則・離散的・すべてのスケールで異方性
[Mandelbrot,1983]
→連続体的な応力・ひずみ・粉砕・摩擦
の概念はいずれも妥当でない
(真にフラクタル幾何を説明する
数学的・力学的量はない)
→変形の際の正でも負でもないフィードバック
(弱化・硬化)をバランスしている
(べき乗頻度分布・断層ネットワーク~
内部構造における,もろい変形構造の特徴から)
1. Introduction
GMM
• 高次の非同位地震波動場・地震のべき乗統計,時空間分布
→現状のデータでは3つの観点のどれに依存するか区別できない
・高精度のデータは基本的なユークリッド的連続体の枠組みに準拠
・長期の断層発展についてはひずみ弱化と断層変形の局在化などの正の
フィードバックで説明される
・初期変形場でのひずみ硬化,幾何的イレギュラー,共役断層などの負の
フィードバックが,違うスケールでの新しいフラクタル,粒状構造を導出し
ている
・観測されている地震・断層の時空間的複雑性の多くの側面を含む長期の
地殻内変形はユークリッド的連続体の観点で説明されうる
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.1. Detailed Geological, Geophysical, and Geochemical Measurements on
Exhumed Faults Zones
•
•
•
観測スケール:mm ~ km
San Gabriel and Punchbowl断層 数十kmのすべり面, 深さ3-5 km
複雑な断層ネットワークが階層的な粒形を持つブロックに分割,せん断局所を生む
• 40km長,ultracataclasite(10-20cm)で覆われている
• この狭い面は広義の滑り方向と平行で’core’と言える
• 多くの滑りはこの’core’の面内に集中しており’主要な破壊面’と呼べる
• 外側は>数mのcataclasite
Fig2:CHESTER and KIRSCHNER [2000]
>100-200mのdamage zone
(高い破砕密度)
• このdamage zoneには
粒状プロセス・せん断局所は
見られない
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.1. Detailed Geological, Geophysical, and Geochemical Measurements on
Exhumed Faults Zones
• 他のケース:San Gabriel and Kern Canyon fault(slip:15km, depth:5km)
• さらにその他: Sierra Nevada (slip: up to 150m)
• いずれの場合も狭い’core’の層に初期のslipを蓄積している
(Sierra Nevada: 10cmの断層で厚さ2-3mm,Punchbowl: 40kmの断層で厚さ1020cm)
• 初期変形を築いた’core’に断層は局所化していることを示唆する
•
事前に存在する節理の再活性に関する初期変形過程(Evans et al. [2000]:
Sierra Nevada)
→より大きなせん断を見せる横ずれ断層
• 他の観測などでも,せん断がせん断を形成していく発達を見せている
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.1. Detailed Geological, Geophysical, and Geochemical Measurements on
Exhumed Faults Zones
• Tchalenko [1970]→
(イランでの観測や実験
( ‘‘Riedel’’ and ‘‘shear box ’’)から)
Iran
Riedel
Shear-box
Shear-box (detail)
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.1. Detailed Geological, Geophysical, and Geochemical Measurements on
Exhumed Faults Zones
• Tchalenko [1970]→
(イランでの観測や実験
( ‘‘Riedel’’ and ‘‘shear box ’’)から)
Iran
• このような発達は
下記の3つのステージを持つ
Riedel
1.peak strength
2.post peak strength
3.residual strength
Shear-box
1.均質なせん断→ローディング方向の
Shear-box (detail)
10-15度へのせん断の局所化
2.さらに比較的浅く,繋がった状態になり,共益なせん断(/のような)が取り残される
3.構造は熟し,1つか2つにすべりは集中する
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.1. Detailed Geological, Geophysical, and Geochemical Measurements on
Exhumed Faults Zones
・断層の初期発達過程は
(すべりが蓄積する状態までの過程)
Iran
違うスケールでありながらも
相似性がある
・アコースティックエミッション
Riedel
[LOCKNER et al., 1992]
などの他のデータでも見られる
Shear-box
Shear-box (detail)
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.2. Analysis of Rupture Surface Topography
• 観測スケール:mm
• わずかなすべりを持つ節理や断層の表層が対象
→断層のとても早い段階の特徴
• Brown [1995] 破壊面の観測や実験などから破壊表層がself-affineの分
布を持つことを示唆
• Power&Turris [1991] 断層面に平行方向の粗さは,1mmより大きいス
ケールでは自己相似性から逸脱し,垂直方向の粗さよりも小さな幅にな
る(垂直方向:0.01-10mで自己相似的)
断層面に対する方向による粗さの幅や特徴の違いは
断層表面での蓄積すべりによっており,
この蓄積すべりがよりユークリッド的な状態を生み出している
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.3. Evolution of Fault Trace Complexity with Cumulative Slip
• 観測スケール:km
• 長い変位を持つ断層ほど複雑性が減少
• 初期複雑性→局所化
• 初期複雑性を壊し,より線形な
わかりやすい構造を生成
(ここまでの議論と整合的)
[Wesnousky, 1988]
[Wesnousky, 1988] section 2.1&2.2よりも大きなスケール
String et al. [1996]
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.3. Evolution of Fault Trace Complexity with Cumulative Slip
• 観測スケール:km
• 長い変位を持つ断層ほど複雑性が減少
String et al. [1996]
• 初期複雑性→局所化
• 初期複雑性を壊し,より線形な
わかりやすい構造を生成
(ここまでの議論と整合的)
[Wesnousky, 1988]
断層長に対する
セグメント数vs滑り量
[Wesnousky, 1988;1994;
Stirling et al., 1996]
Fig. 4
An & Sammis [1996]
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.3. Evolution of Fault Trace Complexity with Cumulative Slip
• GR→CED(characteristic EQ distribution:
特徴的地震分布)への変化(断層近傍)
GR→まだ熟し切っていない断層
CED→大きな蓄積すべりを持つ,熟した断層
[Wesnousky, 1994,Stirling et al.,1996]
これらの統計上の違いは
違う階層の構造を持たせた断層モデルでの
シミュレーションや地震分布の解析と整合的
[Ben-zion&Rice, 1993など]
Wesnousky, 1994
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.3. Evolution of Fault Trace Complexity with Cumulative Slip
• 単純化・局所化に向かう発展はひずみ弱化に支配された物性と整合的
[Lyakhovsky et al., 2001]
Fig.5; [Lyakhovsky et al., 2001]
• 断層の構造や地震の統計は
左
τH(healing)とτL(loading)に依存している
[Ben-Zion, 1999, Lyakhovsky et al., 2001]
• τH→レオロジーに依存し強度回復をコントロール
• τL→境界条件や地震再起時間に依存し
応力の再蓄積をコントロール
• 左>τH大: (ここまでで議論されてきた)
通常の断層発展・CED
• 右>τL大: 複雑な断層・GR
(値がバランスするとスイッチ的に振る舞う)
観測と理論に一致したシミュレート結果
右
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.4. Scaling Analysis of Surface Traces of Faults, Internal Fault Zone
Structures, and Fault Networks
• 観測スケール:mm~km
• 様々な研究がフラクタルを示唆
San Andreas断層のトレースから
• [Aviles et al., 1987, Okubo&Aki, 1987] およそ1のフラクタル次元(線)
でユークリッド的な局所化を示唆(初期からの残留構造なのかすべりが
蓄積されたメインの面かは不明)
• [Ben-Zion&Andrews, 1998] 断層幅が動的破壊の局所化に従って広く
なる
(断層幅の限界とバリアとなるoffsetの定量的な解析結果も提示されている)
• Marone&Kilgore [1993] Dc[臨界すべり変位量]は粒状層のひずみを反
映しておりガウジの幅に比例する
→Dcは幅に依存するかどうか不明
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.4. Scaling Analysis of Surface Traces of Faults, Internal Fault Zone
Structures, and Fault Networks
他の研究では地質・角礫岩,ガウジの粒形分布・階層的なせん断局所などにフラクタ
ル的特徴が見られる
べき乗粒径分布(10μm-1cm): フラクタル次元を1.6 [Sammis et al., 1987; Sammis&Biegel, 1989]
直接数えてガウジ内を観測 (フルイ62.5μm<16mm, 粒径測定器1μm<62.5μm) [An&Sammis, 1994]
San Andreas などのの粒径についてピーク粒径とF次元の相関: 3D#2.7,2D#1.6 [Sammis et al., 1987]
North Branch of the San Gabriel(カタクレサイト): F次元2.6 [Chester et al., 1993]
粉砕過程 [Sammis et al., 1987]
隣の最も近いサイズの粒を粉砕する→同じサイズの粒が隣同士にならなくなる
この時,1.58(2D),2.58(3D)のFD(フラクタル次元)
→Sierpinski gaskets&carpets
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.4. Scaling Analysis of Surface Traces of Faults, Internal Fault Zone
Structures, and Fault Networks
•
他の研究では地質・角礫岩,ガウジの粒形分布・階層的なせん断局所などにフラ
クタル的特徴が見られる
べき乗粒径分布(10μm-1cm): フラクタル次元を1.6 [Sammis et al., 1987; Sammis&Biegel, 1989]
直接数えてガウジ内を観測 (フルイ62.5μm<16mm, 粒径測定器1μm<62.5μm) [An&Sammis, 1994]
San Andreas などのの粒径についてピーク粒径とF次元の相関: 3D#2.7,2D#1.6 [Sammis et al., 1987]
North Branch of the San Gabriel(カタクレサイト): F次元2.6 [Chester et al., 1993]
Sammis et al., 1987
粉砕過程 [Sammis et al., 1987]
隣の最も近いサイズの粒を粉砕する→同じサイズの粒が隣同士にならなくなる
この時,1.58(2D),2.58(3D)のFD(フラクタル次元)
→Sierpinski gaskets&carpets
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.4. Scaling Analysis of Surface Traces of Faults, Internal Fault Zone
Structures, and Fault Networks
0.75mm粒径
実験室での粒径分布
• F2D1.6 [Biegel et al., 1989]
シミュレーション
• F3D2.6 [Steacy&Sammis, 1993]
• フラクタル粒径分布の初期発達は
速度強化→速度弱化の進展と関連する
1. 初期の粉砕過程→強化
2. すべりが蓄積される→弱化
・近傍に同じ大きさの粒が減ると
壊れにくくなり,破壊を抑える
・同時にdilatancyも下がりすべりも増強
(Sammis&Steacy [1994] この変化を定量化)
Fig6: Biegel et al. [1989]
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.4. Scaling Analysis of Surface Traces of Faults, Internal Fault Zone
Structures, and Fault Networks
Fig7: Arboleyr&Engelder [1995]
Fig3
• 粒径分布ができる→ダイラタンシー低下
→ひずみの局所化が小さなスケールでも
発生
(これらの構造は大きなすべりの蓄積による
わけではない)
• 大きな断層構造の中に小さな構造がフラ
クタル的に生成されている
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.4. Scaling Analysis of Surface Traces of Faults, Internal Fault Zone
Structures, and Fault Networks
断層ガウジと角礫岩は小さなひずみで形成される
• Sibson [1986] ガウジの分類→
a) 摩耗した角礫岩
b) 近傍のアスペリティでの破壊による破壊された角礫岩
c) 断層帯の突発的圧力低下による内破角礫岩
[a)のみ断層すべりに関連するが他の2つに比して少ない]
プレート境界において変形は数10kmオーダーの幅の断層ネットワークで蓄
積される(様々な研究がフラクタル性を指摘)
Hirata [1989] 日本で2-20kmで自己相似性を指摘(F2D→1.5)
Sammis et al. [1992] Geysers地熱場 0.8-10kmで(F2D→1.9)
Leary [1991] ボアホール内の速度密度空隙率,コーダ波などの解析から地殻の破砕密度がフ
ラクタル分布を取る
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.4. Scaling Analysis of Surface Traces of Faults, Internal Fault Zone
Structures, and Fault Networks
地殻内断層
Ouillon et al. [1996] wavelet解析でサウジアラビアの1cm-100kmの断層ネットワーク構造を
測定→様々なフラクタルパターンが地殻内に見られる
Scholz [1991] San Andreasやイランで地震発生帯の幅に関連するスケールで地質特性が変
化する
→断層ネットワークは地震発生深度より小さいスケールで自己相似的,それ以上では逸脱する
フラクタル分布の生成理由
初期のせん断による断片化が粒径のフラクタル分布を導出している→断層はブロック境界と
なっている
Gallagher [1981] Freund [1974] Nur et al. [1989]がモデルを示唆
このようなモデルは変形の集中や地震前活動の長期相関からも考えられる
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2.4. Scaling Analysis of Surface Traces of Faults, Internal Fault Zone
Structures, and Fault Networks
King [1983]→3D破砕変形が一般に見られる,断層屈曲・接続などのイレギュラーが小さな断
層を生成している→原因はフラクタルではないか?
→しかしここでは断層やすべりに伴う構造変形の反応を考えていない
Robertson et al. [1995] 断層は透水過程→表層のフラクタル構造は透水しきい値と調和する
→Section5
この章で見てきた研究は断層特性の直接観測によるもので,地震発生深度
の構造を反映していないのではないか?という反論がある
一般により深い方が圧力温度の上昇に伴って構造の複雑化などを抑えるた
め断層構造が単純化する
次回は間接的な観測・推定による地震発生深度そのままの構造の観測をレ
ビューする
test
1. Introduction
GMM
・高精度と言える結果は概ね連続体的なユークリッドの枠組みを示唆
・観測データやモデリングの結果は岩石変位はひずみ強化や粒状物の生成,
いくつかの階層に分かれたフラクタル構造を含む短い初期フェーズを含
んでいる
・少しでもひずみレートが大きくなるステージに入れば初期複雑構造→より
単純化・局所化されたような面的な断層となる
・ただし,そのステージに入っても屈曲などの断層を複雑化する過程は進行
する
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
2. Surface Fault Traces and Structure of Exhumed Fault Zones
test