第12回ジャーナリズムの問題点2(7/10)
Download
Report
Transcript 第12回ジャーナリズムの問題点2(7/10)
ジャーナリズム論
第12回現代日本のジャーナリズムの問題点
2
(2012.7.26)
担当:野原仁
タブーと権力迎合の原因
営利企業という構造的原因
現状の天皇制資本主義というシステム
を守るため
会社の金儲けのため など
自己の私益性を優先する個人的原
因
自分の金儲けや出世のため
右翼や暴力団のテロが怖いため など
カネもうけ第一主義
視聴率がとれないドキュメンタリーは誰
も見ない時間帯にしか放送しない=視聴
率をとるためなら何でもやります
カネをもらえれば政府のPR記事ものせ
ます
とにかく情報が売れればいいのです
記者クラブと発表ジャーナリズム
取材対象である政府・自治体・警察・企
業などから便宜供与を受ける=癒着しや
すい
取材対象からの発表ネタだけで済ませて
独自取材をしなくなる
記者クラブに所属しないフリーライター
などを排除する
取材対象との癒着
政治家・官僚・大企業などと密接に癒着
政治家の子どもや親族がマスコミにはか
なりたくさんいる(コネ)
特に幹部になればなるほど癒着の傾向が
強い
取材源の秘匿の乱用
取材源の秘匿=ジャーナリズムの基本
的な倫理
しかし、日本では隠す必要のない取材
源までも、「オフレコ」扱いで「政府
首脳」などと匿名にする傾向が強い=
取材対象にコントロールされる危険性
代表取材・プール取材
日本は、諸外国と比べて代表取材が非常
に多い=効率的な反面、独自の取材がで
きないうえ、報道内容も画一化される
戦争時はとくにプール取材などで政府・
軍部に都合の悪い情報が隠蔽される危険
性
報道協定の乱用
記者クラブで報道内容について「これは
みんなで報道しないようにしよう」と
言って、権力者に都合の悪い情報を闇に
葬り去ることがある
特に皇室関係の取材では、報道協定が乱
用され、事実上自由な取材は不可能であ
る
小切手ジャーナリズム
取材対象に情報をもらう見返りに金銭を
渡すこと
常識の範囲内であれば許されるが、全世
界的に金額が高騰している
ニュースをカネで買うことへの批判が高
まりつつある
リークにもとづく不確実な情報
意図的に取材源が流す不確実な情報を、
裏取り取材をしないままタレ流すことが
日常的に行われている=誤報の危険性
松本サリン事件などでもわかるように、
人権侵害にもつながる可能性
人権侵害とは?
名誉毀損・プライバシーの侵害・
不法侵入など、法律で認められて
いるさまざまな権利を犯すこと
法的には許されても倫理的に許さ
れないものは厳密には含まれない
取材による人権侵害
住居への不法侵入
無断撮影
集団過熱取材(メディアスクラム)
パパラッチ;取材対象をしつこく追
い回し、無断撮影・不法侵入も辞さ
ないストーカー的取材
被害者家族への執拗な取材
報道による人権侵害
名誉毀損・侮辱
プライバシーの侵害
肖像権の侵害
差別表現
誤報による精神的被害
人権侵害報道の原因
過度の商業主義→正確さよりも視聴者・読
者に「ウケて」、視聴率・部数が増えるこ
とが重要
記者教育の不徹底→大学時代にジャーナリ
ズムを学んだ記者はわずか
記者クラブ制度→官庁・企業が発表したこ
とが記事のベースになりやすい
視聴者・読者の姿勢→より刺激的な記事を
求める
犯罪報道による人権侵害の原因
えん罪
警察の秘密主義
メディアと警察との癒着
裏付け取材の軽視
速報性・スクープの重視
など
ここまでのおさらい
ジャーナリズムの取材・報道により
さまざまな人権侵害が起きている
人権侵害報道の原因には、過度の商
業主義・記者教育の不徹底・記者ク
ラブ制度・視聴者の姿勢、などがあ
る
テレビ・メディアの特性
強い視覚伝達力
速報性&時間の問題がつねにつきま
とう
マルチメディア性
受け手は受動的になりがち
親しみやすい
テレビ・ジャーナリズムの特徴
映像第一主義
非論評性とすりこみ性
ソフト・ニュース化
Nowism(ナウイズム)
センセーショナリズム
おもしろくなければテレビじゃない!?
映像第一主義
映像がないニュースは取り上げられにく
い
刺激の強い映像はニュースになりやすい
刺激の強い映像は繰り返し使われやすい
イメージ操作が簡単にできる
非論評性とすり込み性
新聞の社説・コラムにあたるものがほ
とんどない=事実は伝えるが、評価は
しない
評価に関するコメントはしないが、映
像の使い方・編集・BGMなどで、特
定のイメージを与えることは可能
(例;オウム真理教・北朝鮮・田中真
紀子、…)
ソフト・ニュース化
「わかりやすい」ニュースが好まれ、
「わかりにくい」ニュースは敬遠されが
ち
「グルメ・ファッション・旅行・生活の
知恵」など、ソフトなニュースが好まれ、
「政治・経済」など、ハードなニュース
は敬遠されがち
Nowism(ナウイズム)
速報性という特徴を生かそうとするため、
「いま(now)」の「新しい」話題を最優
先する傾向にある
「いま(now)」の「新しい」話題を常に
追い求めるため、過去のことをかえりみ
ない
ひとつのネタに集中しがちである
センセーショナリズム
視聴者により刺激を与えようと、できご
とをセンセーショナルに取り上げる傾向
が強い(とくにワイドショー)
人物に焦点をあてて人間関係などを興味
本位で描く傾向が強い
おもしろイズム
見て「おもしろい」ような演出をしがち
である
見て「おもしろい」ネタでないと取り上
げられにくい
「おもしろい」=「視聴者がアタマを使
わず、笑える」と考えがちである
ニュースの制作過程
週1回(金曜日);次の週の取材・放送
予定についてミーティング
朝;その日の取材・放送の確認
夕方;再確認
ニュース終了後;翌日の取材・放送予定
についてのミーティング
ニュースの比較検討
『NHKニュース9』と『ニュー
ス・ステーション』の比較
基本的には、これまで挙げた特徴
をどちらも持っている
相違点もある
NHKのニュースの特徴
発表ネタがほとんど
評価についてのコメントはほとん
どしない
政治的に対立している問題はでき
るだけ扱わない
政府・自民党・財界に不利になる
ような問題はできるだけ扱わない
『報道ステーション』の特徴
ソフト・ニュースが多い
トークなども多く、「ニュース・
ショー」の色合いが濃い
古館伊知郎キャスターのコメントが
多い
企画ネタが多い
ニュース・キャスターの役割
番組進行
ゲストとのトーク
ニュースについてのコメント
注意!キャスターが自分の一存で
勝手にコメントすることはほとん
どないぞ!
ワイドショーをどう考える?
ワイドショーの視聴者=専業主
婦・高齢者の女性が圧倒的に多い
政治や経済などのニュースを、こ
うした人びとにわかりやすく伝え
ている側面もある
センセーショナリズム
いい加減なコメンテーターたち
次回のテーマ
まとめ