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シェイクスピアの現代化 ―マクベスを中心に― Modern Versions of Shakespeare Works -Focused on Macbeth- 指導教員 北村賢介准教授 1DS04191N 照井 佳菜子 はじめに 古典の現代化は、古典が現代にも生きて いることを示す 「マクベス」を中心にとりあげ、シェイクス ピアの名作を現代に置き換えて描いた場 合、成功する条件を探る。 悲劇「マクベス」について シェイクスピア四大悲劇のひとつ 魔女の予言を信じたスコットランドの将軍マクベ スが、野心的な妻の後押しもあって、王を暗殺、 王となる。 暴君となり、多くの人の死を招きながら破滅して いく マクベス:BBC版(2005) 現代化作品:BBC版(2005) 現代化作品:BBC版(2005) マクベス ↓ ジョー・マクベス 腕のいい料理長 現代化作品:BBC版(2005) ダンカン王 ↓ ダンカン オーナーシェフ 現代化作品:BBC版(2005) レディ・マクベス ↓ エラ・マクベス フロアマネージャー 原作とどのように変わったか ①ダンカンの人物像 ②エラの人物像 ③超自然現象について ※原作をイメージする画像として ポランスキー版「マクベス」の一場面を用いる ①ダンカンの人物像 原作のダンカン王は名君 ①ダンカンの人物像 ジョーに料理をさせておきながら その名声は全部横取りしている ①ダンカンの人物像 ジョーの妻であるエラに好意をもっている ①ダンカンの人物像 →ダンカンは、「殺されても仕方のない人物」 筋書きに説得力をもたせている ②エラの人物像 原作・BBC版ともに 野心と実行力と知性をもつ強い女性 ②エラの人物像:BBC 子供を失った過去をひきずっている ②エラの人物像:BBC 完璧なフロアマネージャー 能力を生かしたやりがいのある職業 ②エラの人物像:BBC 美貌と知性を生かして男性をコントロール ②エラの人物像 自分の能力や美貌を武器にしている →現代らしい特徴 失った子供を思って涙する →冷酷な女性というイメージを軽減 ★現代に生きるリアルな女性 ★悪役でありながら共感を呼ぶ、 複雑で魅力的なキャラクター ③超自然現象:魔女 3人の魔女 悲劇のきっかけとなる重要な存在だが、 現代に登場しては不自然 ④超自然現象:魔女 3人の不思議な清掃員 現代に登場しても不自然でない存在 ④超自然現象:予言 「バーナムの森が動くまでは不死身だ」 敵の兵が、切った木をかざしながら進軍 →森が動いてくるように見える ④超自然現象:予言 「もしものときは豚が飛ぶ」 “Pigs will fly.”(ありえない) 警官を指すスラング”pig” 警察のヘリコプターが飛ぶことで実現 BBC版について考察 スケールダウンは否めない ・・・しかし 原作の要素を丁寧に再構築している →「マクベス」でありながら現代のドラマ ありがちな「ギャング物」に比べると独創的 →この作品にしかない魅力がある 結論:優れた現代化作品の条件とは ①原作の骨格を違和感なく現代に置き換える ②原作の本質を生かした上で、製作者の個性と いう新しい価値を与える 優れた現代化作品は、 シェイクスピア作品が今でも面白いことを伝え どんな人でも楽しめるすばらしいコンテンツ! 参考文献 「シェイクスピア全集」 「シェイクスピア映画論」 「映画で読むシェイクスピア」 「一冊で分かる シェイクスピア全作品37」 BBCホームページ ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー ホームページ