生活習慣病と血圧中尾Dr2014

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Transcript 生活習慣病と血圧中尾Dr2014

H25年度久留米市血圧改善支援事業
H26.1.18.
えーるぴあ久留米
生活習慣病と血圧
高良台リハビリテーション病院
中尾 一久
そもそも・・・
• 食塩摂取がほぼ0に近い、アマゾン原住民ヤ
ノマミ族は、収縮期血圧は90-100mmHg。
• 人類の本来の収縮期血圧は、70-100mmHg。
• 数百年前から、人類は高い塩分摂取をする
ようになり、徐々に血圧が上昇してきた。言わ
ば、高血圧は文明病であり、現代では生活習
慣病と言う。
生活習慣病とは?
• 生活習慣病とは、毎日のよくない生活習慣の
積み重ねによって引き起こされる病気。
主に、糖尿病、脳卒中、心臓病、脂質異常症、
肥満、高血圧 等
肥満とは?
肥満とは
肥満に伴う健康障害
• 肥満とは、脂肪組織が過剰
に蓄積した状態
• BMI(Body mass index)
Kg/㎠で表現
• BMI>25:肥満
BMI>35:高度肥満
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•
糖尿病
脂質異常症
高血圧症
高尿酸血症、痛風
心筋梗塞、狭心症
脳梗塞
脂肪肝
月経異常、妊娠中毒症
睡眠時無呼吸症候群
変形性脊椎症、変形性股・膝
関節症、腰痛症
メタボリック症候群とは?
メタボリック症候群とは
メタボリック症候群の診断基準
• 内臓脂肪型肥満に加えて、
どれだけ動脈硬化性疾患リ
スクがあるかを示すもの
腹腔内脂肪蓄積
肥満度
動脈硬化性疾患リスク
ウエスト周囲径
男性:>85cm
女性:>90cm
上記に加えて以下
の2項目以上
脂肪値
TG:150mg/dl以上
かつ/または
HDLコレステロー
ル:40mg/dl未満
血圧値
SBP:130mmHg以上
かつ/または
DBP:85mmHg以上
血糖値
FBS:110mg/dl以上
血圧基準値
分類
至適血圧
正常血圧
正常高値血圧
Ⅰ度高血圧
Ⅱ度高血圧
Ⅲ度高血圧
収縮期血圧
拡張期血圧
<120 かつ
<80
<130 かつ
<85
130~139 または 85~89
140~159 または 90~99
160~179 または 100~109
≧180 または
≧110
*収縮期高血圧と拡張期高血圧が異なる場合は、高値の値で分類
メタボ(+)糖尿病(-)
メタボ(+)糖尿病(+)
皆様の疑問点
• Q1血圧が上がる原因は?
• Q2塩分を多く摂ると、どうして血圧が上がる
の?
• Q3高血圧を引き起こす病気があるの?
• Q4どうして血圧が上がると悪いの?
• Q5血圧が高いと言われるけど、どうもありませ
んけど・・・
• Q6塩分は控えめにしているのに、どうして血圧
が上がるの?
皆様の疑問点
• Q7血圧が高いと言われるけど、薬は飲みたくないの
で、ほかに手はないですか?
• Q8血圧を病院で測ると、いつも高いと言われるが、
家では正常
• Q9高血圧の治療をしているが、どれくらいまで下げ
ればいいの?
• Q10高血圧の治療薬にはどのような薬があるの?
• Q11高血圧の治療薬はどのように使うの?
• Q12他の病気の治療薬で血圧が上がることがありま
すか?
Q1血圧が上がる原因は?
ー本態性高血圧の原因ー
• 遺伝:高血圧関連遺伝子(食塩感受性高血圧を
来す)
• 加齢
• 食塩過剰摂取
• 交感神経系亢進
• 肥満・メタボリック症候群
• ストレス
• 喫煙
Q2塩分を多く摂ると、どうして血圧が
上がるの?
ー食塩感受性高血圧の機序ー
食塩摂取↑
→アンジオテンシン系・腎交感神経系・アルドス
テロン亢進
→腎尿細管(近位・遠位)でのNa再吸収亢進
→体内にNaの貯留
→血圧↑
Q3高血圧を引き起こす病気があるの?
=二次性高血圧
①腎性高血圧
腎実質性高血圧、腎血管性高血圧
②副腎性高血圧
原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫
③甲状腺性高血圧
甲状腺機能亢進症・低下症
④血管性高血圧
大動脈縮窄症、睡眠時無呼吸症候群
⑤薬剤性高血圧
Q4どうして血圧が上がると悪いの?
• 血圧↑→心肥大→心収
縮・拡張障害→心不全
• 血圧↑→腎細小血管障
害→蛋白尿→腎不全
• 血圧↑→脳血管破裂→
脳出血→認知症
• 血圧↑→脳動脈硬化→
脳梗塞→認知症
• 血圧↑→冠動脈硬化→
心筋梗塞
*臓器障害を引き起こす
Q5血圧が高いと言われるけど、どう
もありませんけど・・・
• 血圧上昇には
①急激に血圧が上昇
→頭痛、めまい、体のほてり、吐き気、嘔吐
→高血圧性脳症
②徐々に血圧が上昇
→無症状
→知らないうちに臓器障害が進行
Q6塩分は控えめにしているのに、ど
うして血圧が上がるの?
• 高血圧をきたすのに、食塩以外の原因があり
ます。
例えば、遺伝的要素、交感神経系亢進、肥満・
メタボリック症候群、ストレス 等
• 1日の塩分量は、どれくらいですか?
おおよそ栄養表示400㎎=1g
所見摂取量:6g/日が目安
Q7血圧が高いと言われるけど、薬は飲み
たくないので、ほかに手はないですか?
生活習慣の修正が必要
1.減塩
6g/日 未満
2.食塩以外の栄養素
野菜・果物の積極的摂取、コレステロー
ルや飽和脂肪酸の摂取を控える、魚の
積極的摂取
3.減量
BMI 25未満
4.運動
中等度の有酸素運動を定期的(毎日30
分以上)に行う
5.節酒
*エタノール換算で男性20~30mg/日以
下、女性10~20ml/日以下
6.禁煙
*日本酒1合、ビール中ビン1本、ウイスキー1杯、ワイン2杯
Q8血圧を病院で測ると、いつも高いと言われるが、家では正常
Q9高血圧の治療をしているが、どれ
くらいまで下げればいいの?
降圧目標
診察室
130/85未満
家庭血圧
125/80未満
高齢者
140/90未満
糖尿病患者
慢性腎臓病患者 130/80未満
心筋梗塞後患者
125/85未満
脳血管障害患者 140/90未満
125/85未満
若年者・中年者
125/75未満
Q10高血圧の治療薬にはどのような薬があるの?
アンジオテンシン変換酵素 血圧を上げるアンジオテン カプトリル、レニベース、
阻害薬(ACE阻害薬)
シンという物質が生成され エースコール、チバセン、
るのを抑制します
タナトリル、オドリック、コ
バシル
アンジオテンシンⅡ受容体 血圧を上げるアンジオテン ニューロタン、ディオバン、
拮抗薬(ARB)
シンという物質が作用する ブロプレス、オルメテック、
場所に働き、アンジオテン ミカルディス、アバプロ
シンの作用を抑制します
カルシウム拮抗薬
(Ca拮抗薬)
血管を拡張させることに
よって血圧を下げます
アムロジン、ノルバスク、カ
ルブロック、ヘルベッサー、
コニール、アテレック、カル
スロット、ワソラン、アダ
ラート
β遮断薬
血圧の調整に関係してい
る神経に作用します
テノーミン、セロケン、ロプ
レゾール、アーチスト、メイ
ンテート、ケルロング、アル
マール
利尿薬
血管の中の水分を減少さ
せることによって血圧を下
げます
フロセミド、ラシックス、フ
ルイトラン、アルダクトンA
Q11高血圧の治療薬はどのように使うの?
Ca拮抗薬
左室肥大
●
ARB/ACE阻害薬
Β遮断薬
●
心不全
●
心房細動(予防)
●
頻脈
利尿薬
●
●
●
●
狭心症
●
●
心筋梗塞後
●
●
蛋白尿
●
腎不全
●
●
●
●
脳血管障害後
●
糖尿病/メタボ
高齢者
●
●
●
●
Q12他の病気の治療薬で血圧が上
がることがありますか?
ー高血圧を誘発する薬物ー
主に体内の水・Na貯留により血圧が上
昇する
甘草(漢方や健康食品に含まれるグリチ
ルリチン)、経口避妊薬、糖質コルチコイ
ド(プレドニン)、非ステロイド系抗炎症薬
(ロキソニン)
主に末梢血管の収縮により血圧が上昇
する
免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリス
ム)
複数の原因により血圧が上昇する
腎性貧血治療薬(エリスロポエチン)、抗
がん剤
まとめ
●高血圧の程度を把握(家庭での血圧測定)
二次性高血圧を除外(医療機関)
臓器障害を含む合併症の有無(医療機関)
生活習慣の修正・是正
治療(医療機関)
最後に、家庭での血圧測定
• 血圧計(上腕・前腕)
• 測定時間 1日2回
朝(起床時 排尿後 服薬・食事前)・晩(就寝前)
• 方法 座位で数分の安静後(深呼吸)、心臓とほぼ
同じ高さで、1-2回
• 記録 収縮期/拡張期血圧 できれば心拍数も