ILCカロリメータに用いる光検出器MPPCの応答線形性の研究

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ILCカロリメータに用いる
光検出器MPPCの
応答線形性の研究
筑波大学 素粒子実験研究室
他 CALICE ScECAL グループ
小池博子
田中航平、受川史彦
日本物理学会 2010年秋季大会プログラム
2010年9月13日
九州工業大学戸畑キャンパス
1
Contents
1,
2,
3,
4,
6,
introduction
MPPC detector
test processer
example of saturation
summary
2
1,introduction
ILD
ILC(International Linear Collider)は、重心系1TeV
e- e+ 衝突型線形加速器 で、測定器であるカロリメー
タの開発を行っている。
飛跡測定器 (TPC: Time
Projection chamber)
反応点測定器 (VTX)
シャワー測定器 (CAL)
光検出器
電磁カロリメ-タ
~10Mch
吸収
体W
2mm
MPPC
波長変換
ファイバー
シンチレータ
45mm
直径
1mm
10mm
40mm
左:受光面サイズ
1.0×1.0mm2
右:受光面サイズ
1.4×1.4mm2
2,応答の線形性
MPPCは、複数のガイガーモードAPDピクセルから成る半導体光検出器である。
ピクセル化された多数の
APDを二次元に並列接続
→MPPCの出力Qoutは各
APDピクセルの出力の総
和になる
Qout  C  (V  VBR )  N fired
1p.e.
N fired  光を検出するAPDpixelの数
Nfired = Ntot pixels=1600p.e.の時、応答飽和が起きる。
性能を理解し、saturationの個性がカロリメータに 寄与しないこととその再現性を調
べることが重要
3,Test processer
・ MPPC単体におけるresponsecurveの測定
レーザーの光源を用いて直接MPPCに当てて測定
FNAL test beam data
LED irradiation
MPPC pixels は、4nsという非常に速い
recovery timeを持っているためPsのパル
スを持つレーザーを用いた。
1600p.e.
Catalog spec: ~70 ps pulse width,
<< 4 ns recovery time
Output
短いパルスが来ればNtotでsaturationが起きる。
Input
5
応答曲線の測定模式図
PMT
レーザー
偏光板を回転させることで光量を増減する。
このときの真の光量であるPMTとMPPCの
ADC分布を取り、応答曲線を作成する。
MPPC
偏光板
フィルター
6
PMTとMPPCの信号
PMT
MPPC
ADC
GATE
7
4,応答曲線の例
信号の大きさの偏光板の回転角依存性
y: ADCパルスの大きさ
MPPC
PMT
x:偏光板の回転角度(°)
MPPCのグラフの方に応答が線形ではない様子が見られる。
8
応答曲線
MPPC
p.e.
Fit関数(1番簡単化した関数) :
p0*( 1- exp (- p1 *x /p0 ))
p0
: 全ピクセル数
p1
:
応答比
PMT Pulse Height
(ADC counts)
このfit曲線を
基準として再現
性の測定を行っ
た。
9
結果:応答曲線
同一サンプル
日時を変えた時の再現性
MPPC出力光子数のばらつき 0.57%
応答比のばらつき
2.6%
同一サンプル
抜き差しした時の再現性
MPPC出力光子数のばらつき 0.7%
応答比 のばらつき
4.4%
サンプルの応答比の個体差は
6.6%~13.4%である。
サンプルを変えた時
の個体差
MPPC出力光子数の個体差 0.7%
応答比 の個体差
12.0%
lot数が同じサンプルで分けた時の
応答比の個体差がそれぞれ6.53%,
6.3%になったことからサンプルを
変えた時の応答比の個体差はよい
と言える。
10
summary
・ MPPC単体における応答曲線の測定
短いパルス光を用いて、期待されるsaturationの現象を
確認できた。
・同一サンプルにおける再現性
→ 光子数ばらつき0.57%, 応答比2.6%
・同一サンプルにて抜き差ししたときの再現性
→ 光子数ばらつき0.7%, 応答比4.4%
・サンプルを変えたときの個体差
→ 光子数ばらつき 0.7% ,応答比12.0%
・to do
レーザー+scintillator+WLS のパルスからの応答曲線の測
定
2500pixel MPPCについての応答曲線
11
• backup
12
MPPCのパラメータの相関
(p0 vs p1)
赤 ・・・同一サンプルで日時 のみ変えた時
ピンク・・・・抜き差しした時
青・・・・サンプルが違うとき
13
3,Motivation
応答の線形性の追求
↓
MPPCは有限のピクセル数を持つ検出器なので応答
飽和(saturation)が効いている。飽和すると応答は線
形からずれてしまう。
性能を理解し、saturationの個性がカロリメータに
寄与しないこととその再現性を調べることが重要
14
setup1
Clock
偏光板を回転させることで光量を増減
する。
このときの真の光量であるPMTとMPPC
のADC分布を取り、応答曲線を作成す
る。
NIM
Generator
Fixed DELAY
out
in
NIM
CAMAC
RELAY
Fixed DELAY
out
in
Discriminato
r
200ns
Discriminator
Gate
Generator
700V
H.V
Power
Supply
Laser
Source
Polarized
Controller
polarizing
plate
Gate
Analog
MPPC
CAMAC
ADC
Thermostatic
PC
chamber(常温)
Voltage
Power
Supply
RS232C
Over
3V
PCI
Hvcurve(PMT)
PMT
ADC
countts
300
[0]*pow(x,[1])
400
500
600
700
PMT HV(V)
図のように、PMTに対してADC pulse heightがliniarな
関係を保っていることからこの範囲においてsaturation
は起きていないことを確認した。
11
Gain測定
77.2V
上記よりN fired をゲイン測定の結果を用いて見積もる。
17
①同一サンプルにおいて、日時を変えて測定、
および再現性の評価
応答曲線の結果に対して
「安定して正確な測定結果を得る」ことは重要である。
安定しているかどうかは、再現性やデータのバラツキ程度
を評価することで得られる。
→ セットアップとサンプルは変えずに日時を変えて測定し
た。
角度依存性のグラフを用いてばらつきぐあいを見た。
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②同一サンプルを抜き差しした場合の測定、
および再現性の評価
応答曲線の結果に対して
「サンプルに寄らず正確な測定結果を得る」
ことは重要である。
→サンプルを変えるときに抜き差しをするので、まずは同一
サンプルにて抜き差しのみの変化があるときの測定、および
ばらつきの評価を行った。
19
再現性の評価
①fit関数から求まるパラメータによるばらつきの評価
Fit関数 : p0*( 1- exp (- p1 *x /p0 ))
p0
: 全ピクセル数
p1
:
光子検出効率
② ADC pulse heightによるばらつきの評価
各点ごとに調べる。
20
偏光板の角度による再現性の評価
(抜き差しをしたとき)

M
青 ・・・ PMT
ピンク ・・・MPPC
°
平均2.5%のばらつきより同一サンプルにて抜き差しを
行ったときの再現性も角度によらず非常に良いと言える。
21
入射光数のばらつきによる評価
(サンプルを変えた時)

M
青 ・・・ PMT(ADCcountによる
ばらつき)
ピンク ・・・MPPC(p.e.に換算し
てのばらつき)
°
Saturationを起こす早さがサンプルによって違いが出た
ために、光量が中間の当たりで、再現性が悪くなると考え
られる。
22
ADCpulse heightによるばらつきの評価
(抜き差ししないとき)
Event
number
PMT光量最大
MPPC光量最大
ADC counts
PMT光量最小
MPPC光量最小
23
ADCcountsによるばらつきの評価
Event
数
PMT
(光量最大)
MPPC
(光量最大)
ADC counts
PMT
(光量最小)
MPPC
(光量最小)
24
サンプルを変えた時のばらつきの評価
(x軸:PMT・・・ADCcounts , MPPC・・・・p.e.)
p.e_mppc.
光量最大
(PMT)
光量最小
(PMT)
p.e_mppc.
光量最大
(MPPC)
光量最小
(MPPC)
偏光板の角度による再現性の評価
(抜き差しをしないとき)

M
青 ・・・ PMT
ピンク ・・・MPPC
°
平均0.6%の精度より再現性が非常に
良いと言える。
26
27
Parameterによるばらつきの評価
(同一サンプル、抜き差ししないとき)
p0
p1
event数
出力する光子数
0.57%のばらつきより
MPPCの出力光子数の
再現性は非常に良いと言える。
MPPCの光子検出効率
2.6%のばらつきより
光子検出効率も再現性が
良いと言える。
28
Parameterによるばらつきの評価
(同一サンプル、抜き差しをした時)
p0
p1
event数
event数
出力する光子数( p.e.)
MPPC出力光子数について、
0.7%のばらつきより再現性は
良いと言える。
MPPCの光子検出効率
4.4%のばらつきとなり、
光子検出効率の再現性は
抜き差しすると悪くなると
言える。
29
Parameterによるばらつきの評価
(サンプルを変えた時)
p1
p0
event数
event数
出力する光子数( p.e.)
MPPCの光子検出効率
MPPC出力光子数のばらつき 0.7%
光子検出効率
12.0%
左下図より検出効率のばらつきの大きさに
ついては、個体のクロストークの違いが大き
く寄与していると考えられる。
30
サンプルを変えた時
1
ロットの同じものだけ合わせて
応答比の個体差を見た。
すると
6.53%
6.31% より
個体差が小さくなった。
ロットの違うもので応答比の個体
差がおおきくなったと考えられる。
9
31
ADC pulse height(光量最大)
32
ADC pulse height(光量最小)
33
応答曲線 No1097
34
No1083
35
No1092
36
Parameterの相関図
P1
青・・・・サンプルが違うとき
ピンク・・・・抜き差しした時
赤 ・・・同一サンプルで日時の
み変えた時
P0
37
No1093
38
No9235
39
NO9178
40
No1101
41
No9267
42
No9256
43
MPPC
p.e.
PMT ADC counts
44
応答曲線(サンプルを変えた時)
MPPC
p.e.
サンプルの個体差が応答曲線に見られる。
PMT
ADC counts
45
ADC countsのばらつきによる評価
(サンプルを変えた時)

M
青 ・・・ PMT
ピンク ・・・MPPC
サンプルによってゲインが変わるので、ばらつきも大きくなる。
46
ばらつきの標準偏差と偏光板の角度との関係
(30回測定)
青 ・・・ PMT
・精密度は高いと言え
る。
ピンク ・・・MPPC
n

(測定値  平均)2
K 1
n
47
ばらつきの平均と偏光板の角度との関係
(30回測定)
青 ・・・ PMT
ピンク ・・・MPPC
・光量が少ないときの
方がばらつきが大きく
なるのが分かる。
n
 ( x(k )  x(1))
K 1
n
x(k )  k回目測定時のADCcounts
x(1) 
n
指標として用いたADCcounts
全測定回数
48
ADCcountsのばらつき
Event
数
MPPC(光量最大)
PMT
(光量最大)
PMT
(光量最小)
MPPC(光量最小)
ADC counts
上のヒストグラムより、それぞれの角度のときの再現性の評価をした。
49
再現性の評価

M
青 ・・・ PMT
ピンク ・・・MPPC
角度によって再現性の精度にばらつきが見られるのが分かる。
50
Noiserateヒストグラム
51
52