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真空蒸着法による薄膜の形成
および電気特性評価
2011/02/04
二本研究室
坂口弘明 宮之前大地
はじめに
• 薄膜・・・新しい機能や物性を持った材料
• 近年,電子デバイスの素子や配線で薄膜技術が用いられて
いる
– 配線には通常Al(アルミニウム)やCu(銅)が用いられる
– 大電流を流すと,断線し素子不良となる
⇒対策:AlとTi(チタン)の積層配線
Tiにより配線の抵抗増加が懸念される
目的
薄膜の電気抵抗率を調べる
①電気抵抗率の膜厚依存性
②電気抵抗率の基板温度依存性
真空蒸着法
フィラメント
高真空(~10-5 Torr)
Wフィラメントに巻きつけた材料
固体
水晶振動子
基板
昇華(抵抗加熱)
気体
液体窒素投入口
3方向バルブ
メインバルブ
油回転ポンプ
油拡散ポンプ
薄膜の成長
蒸着粒子
不連続膜
薄膜の堆積
連続膜
核成長
核形成
表面拡散
反射
再蒸発
基板
材料の基本物性
Ti
Ni
Cu
Ag
融点[℃]
電気抵抗率[Ω・μm]
平均自由行程[nm]
1667
1450
1083
962
0.550
0.068
0.017
0.016
2.0
9.2
39.5
52.9
平均自由行程
分子や電子などの粒子が,散乱源による散乱で妨害される
ことなく進むことのできる距離
⇒金属内を電子が散乱で妨害されることなく進むことのできる距離
①薄膜の形態と電気抵抗率の
膜厚依存性
実験方法
薄膜形成
Si
Si
真空蒸着法
基板:Si
背圧:1.0~1.5×10-5 Torr
材料:Ti,Cu
基板温度:室温(RT:15~20℃)
膜厚:1,5,10,20,30,50,80,100 nm
100
100 nm
nm
0.0
[nm]
2.4
Si基板(平均面粗さRa=0.2 nm)
表面形態観察
原子間力顕微鏡(AFM)
走査周波数:1.00Hz
走査エリア:1000×1000
電気抵抗率測定
4端子法
V
Ti薄膜
電気抵抗率ρ [Ω・m]
1.0E-02
50 nm
50
nm
11 nm
nm
トンネル効果または熱電子放出
100 nmnm
100
1.0E-03
不連続膜
1.0E-04
nm
100nm
100
0.0
[nm]
2.8
[nm]
0.0
6.4
0.0
[nm]
26.8
1.0E-05
1.0E-06
連続膜
1.0E-07
Tiバルク値
1.0E-08
0
50
膜厚d [nm]
100
Cu薄膜
電気抵抗率 ρ [Ω・m]
1.0E-02
nm
11 nm
100 nmnm
100
50 nm
50
nm
1.0E-03
1.0E-04
nm
100nm
100
0.0
[nm]
4.4
0.0
[nm]
36.7
0.0
[nm]
1.0E-05
1.0E-06
Cuバルク値
1.0E-07
1.0E-08
0
50
膜厚d [nm]
100
51.5
平均面粗さ
55 nm
nm
10 nm
10
nm
8
平均面粗さR a[nm]
7
100100nm
nm
6
0.0
5
[nm]
30.0
0.0
[nm]
26.2
4
3
2
Ti
Cu
1
0
0
50
膜厚d [nm]
100
Ti,Cuの比較
電気抵抗率ρ [Ω・m]
1.0E-05
1.0E-06
1.0E-07
Ti
Cu
1.0E-08
0
50
膜厚d [nm]
100
②薄膜の形態と電気抵抗率の
基板温度依存性
実験方法
薄膜形成
Si
Si
真空蒸着法
基板:Si
背圧:1.0~1.5×10-5 Torr
材料:Ti,Ni,Cu,Ag
基板温度:室温(RT),300℃
膜厚:50 nm
100
100 nm
nm
0.0
[nm]
2.4
Si基板(平均面粗さRa=0.2 nm)
表面形態観察
原子間力顕微鏡
走査周波数:1.00Hz
走査エリア:1000×1000
電気抵抗率測定
4端子法
V
薄膜の形態の基板温度依存性
Ti
Ni
Cu
RT
RT
RT
RT
Ag
RT
RT
RT
RT
100nm
nm
100
0.0
[nm]
6.4
300 ℃ ℃
300
0.0
[nm]
0.0
[nm]
7.7
300 ℃℃
300
18.5
0.0
[nm]
0.0
[nm]
36.7
300 ℃℃
300
68.2
0.0
[nm]
0.0
[nm]
54.1
300 ℃℃
300
118.8
0.0
[nm]
118.1
薄膜の電気抵抗率の基板温度依存性
電気抵抗率ρ [Ω・m]
1.0E-05
1.0E-06
1.0E-07
Ti
Cu
1.0E-08
0
100
200
基板温度T [℃]
Ni
Ag
300
薄膜の電気抵抗率の基板温度依存性
Cu(300℃)
Ag(300℃)
電気抵抗率ρ [Ω・m]
1.0E-05
1.0E-06
100 nm
100
nm
0.0
[nm]
1.0E-07
118.8
0.0
[nm]
118.1
平均自由行程
1.0E-08
0
Cu:39.5 nm
Ag:50.2 nm
100
200
基板温度T [℃]
Ti
Cu
Ni
Ag
300
薄膜の電気抵抗率の基板温度依存性
Ti(300℃)
Ni(300℃)
電気抵抗率ρ [Ω・m]
1.0E-05
1.0E-06
100 nm
nm
100
0.0
[nm]
1.0E-07
18.5
0.0
[nm]
68.2
平均自由行程
1.0E-08
0
Ti:2.0 nm
Ni:9.2 nm
100
200
基板温度T [℃]
Ti
Cu
Ni
Ag
300
まとめ
薄膜の形態と電気抵抗率の膜厚依存性
1.
2.
3.
4.
薄膜の電気抵抗率はバルクより大きいことが分かった
膜厚の増加に伴い,粒子は大きくなる傾向があることが明
らかになった
電気抵抗率の大きい試料は局所的に不連続膜であると考
えられる
Ti薄膜とCu薄膜には同様の構造欠陥が存在することが推
測できる
薄膜の形態と電気抵抗率の基板温度依存性
1.
2.
基板温度の上昇に伴い,薄膜の粒子は大きくなる傾向が
認められた
バルクの平均自由行程が大きいCu,Ag薄膜においては,
基板温度の上昇に伴い,電気抵抗率が大きくなることが分
かった
謝辞
二本正昭先生
川井哲郎さん
大竹充さん
松原豪大さん,長野克政さん
Masterの皆様
そして
B4のみなさん・・・・・・
Thank you from the bottom of my heart!