111116 経済法アップ版6 ゲストスピーカー 山本和史

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独占禁止法教室
<公正取引委員会の事件審査について>
平成23年11月16日(水)
公正取引委員会
事務総長 山本和史
1
1 公正取引委員会とは?①
「公正取引委員会」は、内閣府、文部科学省、農林水産省など同じ、国の行政機関です。公正取
引委員会は、内閣府の外局として昭和22年に設置されています。
公正取引委員会は、「独占禁止法」にかかわる違法行為を取り締まり、市場経済の基本ルールが
守られるよう監視しています。「市場の番人」ともいわれています。
2
公正取引委員会とは?②
 独占禁止法を運用するため,内閣総理大臣の所轄に属する行政委員会として設置
(内閣府の外局)
 委員長(1人)及び委員(4人)から成る合議制の機関
 職権行使の独立性が法定化(「公正取引委員会の委員長及び委員は,独立してその
職権を行う。」(独占禁止法第28条))
 公正取引委員会の事務を処理するため,事務総局を設置(平成23年度末の定員数
は799名)
3
2 各国競争法の導入時期
55
ロシア/イタリア/カザフスタン/ペルー/スロヴァキア/ブルガリ
ア/コートジボアール/台湾/フィンランド/ウクライナ/モルドバ
/チュニジア/ベネズエラ/ノルウェー/モンゴル/メキシコ/ジャ
マイカ/アイスランド/エストニア/スウェーデン/スロヴェニア/ア
ゼルバイジャン/トルクメニスタン/コスタリカ/ブラジル/マルタ/
キルギスタン/トルコ/ザンビア/タンザニア/クロアチア/スイス
/ハンガリー/パナマ/ルーマニア/ウズベキスタン/グルジア/
ジンバブエ/オランダ/デンマーク/ラトビア/マラウイ/南アフリ
カ/インドネシア/タイ/ポーランド/アルゼンチン/ベラルーシ/
リトアニア/アルジェリア
50
45
40
35
50
チェコ
パプアニューギニア
アイルランド
ラオス
ヨルダン
シンガポール
ベトナム
中国
マレーシア
モロッコ
セルビア
エル・サルバドル
ベルギー
30
25
20
15
10
5
③日本
1947
カナダ
米国
2
オーストリア
フィリピン
ドイツ
欧州連合
コロンビア
5
パキスタン
ルクセンブル
ク
チリ
イギリス
オーストラリア
ギリシャ
フランス
インド
6
大韓民国
ニュージーラン
ド
スリランカ
イスラエル
ケニア
ポルトガル
スペイン
13
7
2
1
0
1900年代
1950年まで
1950年代
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
4
3 独占禁止法違反行為に対する措置の概要
 独占禁止法に違反したらどうなるのか?
 公正取引委員会による行政処分
 排除措置命令
 課徴金納付命令
 刑事罰
 公正取引委員会から検事総長に対して刑事告発
 実行行為者は5年以下の懲役又は500万円以下の罰金,
法人は5億円以下の罰金
 民事訴訟 (私人による民事的救済)
 差止請求訴訟(不公正な取引方法)
 損害賠償請求訴訟
5
4 国際カルテルの事例
□マリンホースの製造販売業者に対する件①
(不当な取引制限:平成20年2月排除措置命令,課徴金納付命令)
特定マリンホースについての合意内容
(1)ア 我が国,英国,フランス共和国及びイタリア共和国の4か国(以下「本
店所在国」という。)を特定マリンホースの使用地とする場合には,使用
地となる国に本店を置く者を受注予定者とし,複数の事業者がこれに
該当する場合には,当該複数の事業者のうちのいずれかの者を受注
予定者とする
イ 本店所在国以外を使用地とする場合には,あら
かじめ各社が受注すべき特定マリンホース(本
店所在国を使用地とするものを除く。)の割合を
定め,当該割合等を勘案して,コーディネーター
が選定する者を受注予定者とする
(2) 受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予
定者以外の者は,受注予定者がその定めた価
格で受注できるように協力する
6
国際カルテルの事例
□マリンホースの製造販売業者に対する件②
(不当な取引制限:平成20年2月排除措置命令,課徴金納付命令)
排除措置命令(抄)
○
「8社は,・・・自社又は販売代理店がマリンホースの需要者から特定マリンホースの見積価格
の提示を求められた場合には,その旨,当該見積金額の提示を求めたマリンホースの需要者
に係る特定マリンホースの過去の自社の受注実績の有無,自社の受注希望の有無等を報告
し,コーディネーターは,これらの報告を基に,受注予定者を選定し,受注予定者の営業担当者
に対し,受注予定者である旨を通知していた。」
○
「これらの報告,通知その他の連絡を行うに当たっては,営業担当者及びコーディネーター
は,違反行為の発覚を防止するため,各社の商号に代えて,5社のうち株式会社ブリヂストンに
ついては『A1』,横浜ゴムについては『A2』,5 社のうちダンロップ・オイル・アンド・マリーン・リミ
テッドについては『B1』,5 社のうちトレルボーグ・インダストリーズ・エスエイエスについては『B
2』,コミタル及びアイティーアールについては『B3』,マヌーリ・ラバー及びマヌーリ・マリンにつ
いては『C』のコードネームを使用していた。」
○
「営業担当者及びコーディネーターは,タイ王国バンコク,アメリカ合衆国キーラーゴ及び英国
ロンドンにおいて会合を開催し,・・・コーディネーターから報告を受けるなどしていた。」
7
5 公正取引委員会における違反事件処理手続
【刑事処分】
端
緒
【行政処分】
端
緒
調査(犯則調査)
調査(行政調査)
刑事告発
処分前手続
行政処分
審
判
審決取消訴訟
8
違反事件処理手続 ①
1. 調査の開始(端緒)
公正取引委員会では,職権探知,一般の方からの報告(申告)や「課
徴金減免制度」の利用などによって得た情報を端緒として,独占禁止
法違反被疑事件に関する調査を開始します。独占禁止法違反被疑事
件に関する調査活動を「事件審査」あるいは単に「審査」と呼ぶこともあ
ります。
○ 申告
独占禁止法に違反する事実があると思うときは,誰でも,公正取引委員会に対し,
その事実を報告(申告)し,適当な措置を採るよう求めることができます(法第45条
第1項)。
○ 課徴金減免制度
事業者が,自らの違反行為(談合・カルテル)に係る事実を自主的に公正取引委員
会に報告した場合には,当該違反行為に係る課徴金を免除又は減額する制度です
(独占禁止法第7条の2第10項ほか)。
カルテルは秘密裏に行われるものであり,また,物証を残さないため,解明が困難
であるということにかんがみて,平成17年の独占禁止法改正により新たに設けられ
た仕組みです。欧米ではリーニエンシー・プログラムなどと呼ばれています。
9
課徴金減免制度①
とりわけカルテル・談合退治は,我が国の大きな課題。
「競争なくして成長なし!」
----しかし,発見・解明が困難・・・・
平成18年1月施行の改正法で
課徴金減免制度を導入。平成22年1月施行改正法で一層拡充。
立入検査前
1番目の申請者
2番目の申請者
3~5番目の申請者
⇒ 課徴金を免除
⇒ 課徴金を50%減額
⇒ 課徴金を30%減額
立入検査後
5番目までの申請者 ⇒ 課徴金を30%減額
減免事業者数は,
合計5社まで。
同一企業グループ内の複数の
企業による共同申請も可能。
10
課徴金減免制度②
課徴金減免制度の活用状況
平成
18年1月
~3月
平成
18年
度
平成
19年
度
平成
20年
度
平成
21年
度
平成
22年
度
申請件数
26
79
74
85
85 131 480
公表された
適用件数
0
6
16
8
21
7
58
公表された
適用会社数
0
16
37
21
50
10
134
合計
11
違反事件処理手続 ②
2. 調査活動
公正取引委員会は,独占禁止法違反行為を立証するため,違反の疑い
のある事業所内の関係書類や関係者の供述などの証拠を収集する調査権
限を持っています。調査には,行政処分へとつながる「行政調査」と刑事処
分へとつながる「犯則調査」とがあります。
○ 行政調査
行政調査は,独占禁止法に違反する事実があると思料した場合に行われる調査
であり,営業所などへの立入検査を実施して関係書類の提出を命じ,また,関係
者に出頭を命じて事情聴取するなどの調査を行うことができます(法第47条)。相
手方が調査に応じない場合には刑罰が科されることとなります(間接強制)。
行政調査の結果,独占禁止法に違反する行為があると認められる場合には,排
除措置命令とともに,課徴金の対象となる違反行為の場合には,課徴金納付命令
を行います。
立入検査
(事業者の営業所等に立ち入
り,資料を収集する)
事情聴取
(関係者から事情を聴取し,
調書を作成する)
報告徴収
(必要な情報を事業者に報告
させる)
12
違反事件処理手続 ③
3. 処分前手続
○ 事前通知・意見申述機会の付与
事件審査(行政調査)の結果,「排除措置命令」や「課徴金納付命令」を行
おうとするときは,名あて人に対し,あらかじめ,予定される命令の内容等
を通知し,意見申述・証拠提出の機会を付与しなければならないこととされ
ています(独占禁止法49条3項,50条6項)。
○ 証拠の説明
また,名あて人となるべき者から申出があったときその他必要があるとき
は,公正取引委員会が認定した事実を基礎付けるために必要な証拠につ
いて,説明を行っています(公正取引委員会の審査に関する規則25条)。
<参考:行政手続法に基づく処分前手続>
行政機関が行政処分を行う際の手続の一般ルールは,行政手続法(平成5年法律第88号)第3章に定めら
れています。同法では,行政機関が不利益処分をしようとする場合には,聴聞(許認可を取り消すなどの形
成処分の場合),又は弁明の機会の付与(それ以外の不利益処分)という手続を経なければならないこととさ
れています。
ただし,公正取引委員会が行う排除措置命令・課徴金納付命令等の行政処分については,行政手続法の
規定は適用されず(独占禁止法70条の21),独占禁止法に規定する処分前手続を経ることとなります。
13
6 違反行為に対する措置①(行政処分)
 排除措置命令
 違反行為を行っている事業者,事業者団体等に対し,違反行為の差止めその他違
反行為を排除するために必要な措置を採ることを命ずる行政処分。
 違反行為が既になくなっている場合にも,公正取引委員会が特に必要があると認め
るときは,違反行為が排除されたことを確保するために必要な措置を命ずることがで
きる。
排除措置命令の具体的内容
 違反行為の差止め,取引先等への周知徹底,将来における不作為の命令(今後同
様の行為を行ってはならない),再発防止措置の構築,公取委への報告等,違反行
為の個別具体的な形態に応じて工夫される。
例:日本道路公団・国土交通省発注の橋梁談合事件
談合に関与した営業責任者の配置転換,少なくとも今後5年間同業務に従事させないこ
とを取締役会で決議させた。
排除措置命令に違反した場合
 命令が確定する前
 命令が確定した後
⇒ 50万円以下の過料
⇒ 2年以下の懲役又は300万円以下
(法人は3億円以下)の罰金
14
違反行為に対する措置②(行政処分)
 課徴金納付命令
 違反行為に係る期間(最高3年間)における対象商品・役務の売上額又は購
入額等に以下の算定率を乗じた額の課徴金の納付を命ずる行政処分。
 不当な取引制限,私的独占及び一定の不公正な取引方法が対象。
不当な取引制限
私的独占
不公正な取引方
法
支配型私的独占
排除型私的独占
製造業等
10%
(4%)
10%
6%
小売業
3%
(1.2%)
3%
2%
卸売業
2%
(1%)
2%
1%
3%
2%
1%
不当廉売,差別対価等(注2)
優越的地位の濫用
1%
(注1) ( )内は中小事業者に対する算定率
(注2) 過去10年以内に同一類型の違反行為(共同の取引拒絶,差別対価,不当廉売,再販売価格拘束)を繰り返した場合
課徴金納付命令の実績
 H20年度 (87事業者,約270億円)
 H21年度 (106事業者,約360億円)
 H22年度 (156事業者,約720億円)
15
違反行為に対する措置③ (刑事処分)
 刑事罰
➢ 不当な取引制限,私的独占などを行った企業や実行行為者に対しては
罰則が規定されている(例:不当な取引制限に違反した場合は,法人は5
億円以下の罰金,個人は5年以下の懲役又は500万円以下の罰金)(独
占禁止法89条,95条)。
➢ 公正取引委員会は,犯則調査権限を用いた調査により犯則の心証を得
たときは,検事総長に告発しなければならない(独占禁止法74条)。
最近の告発事案
○ 溶融亜鉛めっき鋼板製造販売業者(平成20年11月11日告発,12月8日追加告発)
不特定多数の需要者向け溶融55パーセントアルミニウム亜鉛合金めっき鋼板及び鋼帯の販売に係る取
引分野における競争を実質的に制限していた行為について,溶融亜鉛めっき鋼板製造販売業者3社及び当
該溶融亜鉛めっき鋼板製造販売業者等4社で同商品の販売業務に従事していた者6名を検事総長に告発。
東京地方検察庁は平成20年12月8日に起訴。平成21年9月15日,東京地方裁判所において,被告会
社に1億6000万円~1億8000万円の罰金,被告会社等の販売業務に従事していた者に懲役
10月~1年(執行猶予3年)の有罪判決が出された。
16
7 行政処分①
4. 行政処分
処分前手続において事業者から提出された意見も踏まえた上で,独占禁止
法に違反する事実があると認めた場合には,「排除措置命令」や「課徴金納付
命令」が行われる。(不服の場合は審判請求。)
17
行政処分②
1977年以来の課徴金額等の推移
800
単位:億円
721
700
600
500
400
361
300
270
189
200
126
112
100
37
0
0
0
16 13
5
15
4
4
3
1
4
8
36
20 27
85
75
57 64
55
28 31
22
93
113
43 39
18
8 刑事事件の処理①
独占禁止法違反被疑事件のうち,刑事処分が相当と考えられるもの(犯則事件)につ
いて調査を行うために必要があるときには,裁判官の発する許可状により,臨検,捜索
又は差押えを行うことができます。これを「犯則調査権限」と呼んでいます。
○ 犯則調査
犯則調査は,公正取引委員会が刑事告発に相当する事案であると判断した犯則事
件(独占禁止法第89条等の罪に係る事件)を対象として行われる調査です。
犯則調査においては,関係者からの事情聴取,所持品の検査等を行うことができる
(第101条)ほか,必要に応じて裁判官の発する許可状を得て直接強制の方法によ
り,臨検・捜索を行い,物件を差し押さえることができます(第102条第1項,第2項)。
○ 専属告発制度
不当な取引制限,私的独占などの罪は,公正取引委員会の告発がなければ,公
訴を提起できないこととされています(独占禁止法第96条)。
専属告発の制度は,独占禁止法運用の専門機関である公正取引委員会の判断を
尊重する趣旨によるものであり,告発を行うかどうかは公正取引委員会の裁量によ
ります。
19
刑事事件の処理②
○ 公正取引委員会の告発方針(平成21年10月23日
公正取引委員会)
公正取引委員会では,次の事案について,積極的に刑事処分を求めて告発を行
う方針としています。
① 国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質かつ重大な事案
② 違反行為を反復して行っている事業者・業界,排除措置に従わない事業者等
に係る違反行為のうち,公取委の行う行政処分によっては独占禁止法の目的
の達成ができないと考えられる事案
また,これらの事案に該当すると疑うに足りる相当の理由のある独占禁止法違反
被疑事件を犯則調査の対象としています。
<参考:刑事告発された後はどうなるの・・・?>
公正取引委員会が検事総長に告発を行った場合,通常,検察庁においては,特別捜査部に
おいて事件を担当し,地方裁判所に起訴します。
審決取消訴訟の場合と異なり,刑事事件の場合,刑事罰を科すことの重大性にかんがみ,
審級省略はしない(第一審は地方裁判所)こととされています。元々は,独占禁止法違反事件
については刑事事件であっても審級省略(東京高裁が第一審)とされていたのですが,平成17
年の独占禁止法改正により改められました。
20
刑事事件の処理③
私的独占・不当な取引制限は,犯罪である。
5年以下の懲役・500万円以下の罰金
法人等に対する両罰規定:5億円以下の罰金
近時の有罪判決の例
溶融亜鉛めっき鋼板製造販売業者
⇒ 有罪判決(平成21年9月15日)
(平成20・11・11告発,同年12・8追加告発)
被告会社:1億6000万円~1億8000万円の罰金
被告会社の元担当幹部:懲役10月~1年(執行猶予3年)
緑資源機構が発注する緑資源幹線林道事業に係る地質調査・調査測量設計業務の入札参加業者等
(平成19・5・24告発,同年6・13追加告発)
⇒ 有罪判決(平成19年11月1日) 被告会社:4000万円~9000万円の罰金
被告会社の受注業務従事者:懲役6月~8月(執行猶予2年~3年)
緑資源機構の元役職員:懲役1年6月~2年(執行猶予3年~4年)
名古屋市営地下鉄に係る土木工事の入札参加業者(平成19・2・28告発,同年3・20追加告発)
⇒ 有罪判決(平成19年10月15日) 被告会社:1億円~2億円の罰金
被告会社の受注業務従事者:懲役1年6月~3年(執行猶予3年~5年)
21
9 日米欧の状況①
日米欧における競争法違反事件の処理状況
1.カルテル・談合の処理件数
2.支配的地位濫用・不公正取引の処理件数
11
37
26
25
22
20
11
8
2007年度
3
7
日本
2007年度
日本
EU
6
4
2
1
2009年度
米国
4
3
5
2008年度
7
6
2
2
2008年度
2009年度
米国(DOJ)
米国(FTC)
EU
(注1)左図の日本及びEUは,事件数。左図の米国は,DOJによる事業者及び個人に対する訴追件数。
(注2)右図の日本は,私的独占事件(JASRAC)を含む。右図の米国(FTC)は,FTC法5条適用事件。
(注3)期間は各国・機関の会計年度による(日本:4月1日~3月31日,米国:10月1日~9月31日,EU:1月1日~12月31日)。
(出所)日本:公正取引委員会年次報告,米国:司法省及びFTCホームページ,EU:欧州委員会ホームページ。なお,下のグラフでも同じ。
4.対象となった事業者数
3.法人への制裁金等の額
349,452
単位:百万円
336,352
5.事業者当たりの制裁金等の額
156
単位:百万円
10,589
106
211,267
87
6,037
5,692
63
91,064
72,444
27,036
2008年度
36,075
29,832
2009年度
日本
米国
2010年度
EU
(注1)日本及びEUについては,カルテル・談合に係る課徴
金・制裁金の額, 米国については,事業者に対するすべ
ての罰金の額。
(注2)米国及びEUについては,財務省貿易統計における外国
為替相場の年平均レートを基に円に換算。以下同じ。
16
12
2008年度
2,712
39
33
72,087
5,339
5,417
2009年度
日本
米国
11
2010年度
EU
(注)日本及びEUについては,カルテル・談合に係
る課徴金・制裁金の対象となった事業者数。米国
については,すべての罰金の対象となった事業者
であり,個人に対する罰金等は除く。
311
340
462
2008年度
2009年度
2010年度
日本
米国
EU
(注1)日本及びEUについては,カルテル・談合に係る課
徴金・制裁金の累計額を対象事業者で割ったもの。
(注2)米国については,事業者に対するすべての罰金の累
計額を対象事業者で割ったもの。
22
日米欧の状況②
3-2.米国及びEU当局から日本企業が受けた高額な制裁金・罰金額等
米国司法省が日本企業に科した
カルテル罰金額上位5件
順位
1
2
3
4
5
企業
三菱商事
(黒鉛電極カルテル)(2001年)
シャープ
(液晶パネルカルテル)(2009年)
日本航空
(航空貨物カルテル)(2008年)
エルピーダメモリ
(DRAMカルテル)(2006年)
武田薬品工業
(ビタミンカルテル)(1999年)
欧州委員会が日本企業に科した
カルテル制裁額上位5件
罰金額
(ドル(円))
順位
企業
1.3億ドル
(158億円)
1
ピルキントン(日本板硝子の英子会社)
1.2億ドル
(112億円)
2
1.1億ドル
(114億円)
3
0.8億ドル
(93億円)
4
0.7億ドル
(80億円)
5
(自動車用ガラスカルテル)(2008年)
YKKグループ
(ファスナー及び取付金具カルテル)(2007年)
ピルキントン(日本板硝子の英子会社)
(建設用板ガラスカルテル)(2007年)
三菱電機
(ガス絶縁開閉装置入札談合)(2007年)
旭硝子/AGCフラットガラス・ヨーロッパ
(旭硝子のベルギー子会社)(2008年)
制裁金額
(ユーロ(円))
3.7億ユーロ
(569億円)
1.5億ユーロ
(241億円)
1.4億ユーロ
(225億円)
1.2億ユーロ
(193億円)
1.1億ユーロ
(169億円)
(注1)2011年2月現在
(注2)米国及びEUについては,2002年までは財務省貿易統計における外国為替相場の年平均レート,2001年以前は市中銀行外国為替相場
の年平均レートを基に円に換算した。
23
10 事件に対する厳正・的確な法執行
株式会社ディー・エヌ・エーに対する件
(取引妨害:平成23年6月排除措置命令)
1
ディー・エヌ・エーは,特定ソーシャルゲーム提供事業者(注1)に対し,GREE(注3)を通
じてソーシャルゲームを提供した場合に当該特定ソーシャルゲーム提供事業者がモバゲー
タウン(注4)を通じて提供するソーシャルゲームのリンクをモバゲータウンのウェブサイトに
掲載しないようにすることにより,GREEを通じてソーシャルゲームを提供しないようにさせ
ていた。
(注1) ソーシャルゲーム提供事業者(注2)のうちディー・エヌ・エーがソーシャルゲームの提供において有力な事業者であ
ると判断して選定した者をいう。
(注2) ソーシャルゲームを提供する事業者(ディー・エヌ・エー及びグリー株式会社を除く。)をいう。
(注3) グリー株式会社の運営する携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスをいう。
(注4) ディー・エヌ・エーの運営する携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスをいう。
なお,ディー・エヌ・エーは現在,当該サービスを「Mobage」と称している。
2
この行為は,不公正な取引方法のち「競争者に対する取引妨害」に該当し独占禁止法第
19条の規定に違反する行為を行っていたとして,同法第20条第2項の規定に基づき,排
除措置命令。
24
特定ソーシャルゲーム提供事業者
(ディー・エヌ・エーがソーシャルゲームの提供において有力であると判断して選定した事業者)
ソモ
ーバ
シゲ
ャー
ルタ
ゲウ
ーン
ムを
の通
提じ
供た
携帯電話向け
SNS事業者(注1)
妨害
【取引妨害行為】
GREEを通じて新たにソーシャルゲ
ームを提供した場合には,モバゲー
タウンを通じて提供するソーシャルゲ
ームのリンクをモバゲータウンのウェ
ブサイトに掲載しない措置を採るとし
て,GREEを通じて新たにソーシャル
ゲームを提供しないように要請
ディー・エヌ・エー
モバゲータウン
(注2)
イチオシゲーム
新着ゲーム
カテゴリ検索
・
・
・
要請に従わない場合
には,モバゲータウン
のウェブサイトにリン
クを掲載しない
モバゲータウンの登録ユーザー
(注1) 携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスを提供する事業者をいう。
(注2) 現在は「Mobage」と称している。
ソG
ーR
シE
ャE
ルを
ゲ通
ーじ
ムた
の
提
供
特定ソーシャル
ゲーム提供事業
者はGREEを通
じて新たにソー
シャルゲームを
提供することを
断念又は回避
グリー
G R E E
グリーはGREEを通じ
て特定ソーシャルゲー
ム提供事業者に新たに
ソーシャルゲームを提
供させることが困難に
GREEの登録ユーザー
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ご静聴有り難うございました。
今後とも公正取引委員会の活動に
ご理解・ご協力をお願いいたします。
公正取引委員会のホームページ
http://www.jftc.go.jp/
どっきん
(公正取引委員会 キッズ向けキャラクター )
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