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音楽に対する身体動作：パス解析を 利用した身体動作メカニズムの解明 谷 陽祐1・安達 真由美1・鈴木 智大2 1 北海道大学大学院文学研究科 2 北海道大学文学部 音楽と身体の動き なぜ身体が動くのか？ 音楽の身体的アフォーダンス Gestural Affordances of Musical Sound (Godøy, 2010) 音楽の身体的アフォーダンス 演奏者 聴取者 個人特性 音楽の特徴 音楽に対する印象・感情 大学生の身体の動き 認知課題中の身体の動き (谷・安達, 2012) 外向的な参加者の動き 高覚醒音楽 ＞ 低覚醒音楽 活動的に聴こえるほど大 内向的な参加者 低覚醒音楽 ＞ 高覚醒音楽 活動的に聴こえるほど小 身体動作には 個人特性・音楽の特徴・印象が関わる 目的 音楽聴取中の身体の動きを決定する要因とは？ 音楽の特徴 （覚醒度・ジャンル） 気質 （内向性・外向性） 身体の 動き 音楽に対する印象・感情 (ノリが良い・心が弾む等) 参加者 18-23 (M = 20.1, SD = 1.51) 歳の大学生26人 (男11人、女15人) 1人は実験プログラムの誤作動により分析から除外 刺激 谷・安達 (2011） 気質 （内向性・外向性） 高覚醒J-POP×4曲 高覚醒クラシック×4曲 低覚醒J-POP×4曲 低覚醒クラシック×4曲 音楽の特徴 （覚醒度・ジャンル） 身体の動き 音楽に対する印象・感情 (ノリが良い・心が弾む等) スピーカ(Wave Music System-SoundLink, Bose)で呈示 音楽の特徴 （覚醒度・ジャンル） 気質調査 気質 （内向性・外向性） 身体の動き 音楽に対する印象・感情 (ノリが良い・心が弾む等) 日本語版成人気質調査(ATQ)の短縮版 (星・草薙, 2012) 使用項目：外向性/高潮性尺度(118満点) 83点以上: 外向 (10人) 83点未満: 内向 (16人) 評価項目：6件法 (河瀬・中村・小森・長岡・Draguna, 2001) 気質 （内向性・外向性） 「音楽との一体感を感じる」 「心が弾む」 「身体でリズムを感じられる」 「ノリが良い」 「テンポが速い」 「陽気な」 音楽の特徴 （覚醒度・ジャンル） 身体の動き 音楽に対する印象・感情 (ノリが良い・心が弾む等) 手続き ブロックA 印象・感情評定 ×４曲 ブロックB 印象・感情評定 ×４曲 ブロックC 印象・感情評定 ×４曲 ブロックD 印象・感情評定 ×４曲 重心の移動距離測定 (サンプリングレート：9.17Hz) 体圧マット (BIG-MAT-P3B, Nitta) 感情・印象評定値の比較 印 象 ・ 感 情 の 評 定 値 の 平 均 6 p < .01 5 4 p < .01 外向・内向ともに 高覚醒 > 低覚醒 外向・内向の差はなし 3 2 1 高覚醒 低覚醒 外向 高覚醒 低覚醒 内向 ここまでのまとめ 音楽の特徴 （覚醒度・ジャンル） 気質 （内向性・外向性） 身体の 動き 音楽に対する印象・感情 (ノリが良い・心が弾む等) 音楽聴取中の動きの例 外向的参加者の例 0.5 高覚醒音楽 低覚醒音楽 0.4 0.3 0.2 0.5 重 心 移 動 距 離 高覚醒音楽 低覚醒音楽 0.4 0.3 0.2 ) 1 100 200 300 400 500 1 29 57 85 113 141 169 197 225 253 281 309 337 365 393 421 449 477 505 533 561 0 フレーム数 ｃ ｍ 0.1 0 1 100 200 300 400 500 1 27 53 79 105 131 157 183 209 235 261 287 313 339 365 391 417 443 469 495 521 547 573 0.1 ) ( ( 重 心 移 動 距 離 ｃ ｍ 内向的参加者の例 フレーム数 個人特性・音楽の覚醒度により重心の平均的な 移動距離が異なる 分析対象 曲ごとの移動距離平均 平均値±3×標準偏差を外れ値として除外 ここまでのまとめ 音楽の特徴 （覚醒度・ジャンル） 気質 （内向性・外向性） 身体の 動き 音楽に対する印象・感情 (ノリが良い・心が弾む等) 重心の移動距離の比較 重心の移動距離 0.2 重 心 の 移 0.15 動 距 離 0.1 の 平 均 （ 0.05 ｃ ｍ ） 0 ○ 曲ごとの移動距離平均 ■ 平均値 p < .01 内向のみ重心移動距離は 高覚醒音楽 > 低覚醒音楽 （並べ替えt検定） 0 1 2 高覚醒 低覚醒 外向 3 4 高覚醒 低覚醒 内向 ここまでのまとめ 音楽の特徴 (覚醒度) 気質 (内向性・外向性) 音楽に対する印象・感情 (ノリが良い・心が弾む等) 身体の 動き 多母集団同時分析 (狩野・三浦, 1997) ＜外向群＞ 印象・感情 評定値 -.82* e1 e2 覚醒度 重心平均 移動距離 -.26 ＜内向群＞ e1 e2 印象・感情 評定値 覚醒度 重心平均 移動距離 -.87* -.78* * p < .01 モデル適合度 N = 16, GFI = .97, AGFI = .84, RMSEA < .01 印象感情評定値→覚醒度のパス係数 外向と内向で有意に異なる(p = .05) まとめ 音楽に対する 印象・感情 (ノリが良い・ 心が弾む等) 音楽の特徴 (覚醒度) 身体の 動き 気質 (内向性・外向性) 個人特性・覚醒度・音楽の印象が身体動作に関連 考察・今後の課題 群間で「印象・感情」→「覚醒度」が異なる 外向：刺激過多を好む→音楽以外に注意が向いた 内向：刺激過多を避ける→音楽にのみ集中した [今後の課題] 注意が影響する可能性 →音楽に比較的注意が向かない状況で検証 ご清聴ありがとうございました 引用文献 Adachi，M., Nakata, T., & Kotani, Y. (2002). Infants encountering music: exploration musical affordance. Paper presented at the 7th International Conference on Music Perception and Cognition, Sydney: Austr. Godøy, R.I. (2010). Gestural affordances of musical sound. In R.I. Godøy & M. Leman (Eds.), Musical gestures: Sound, movement, and meaning (pp. 103-125). London: Routledge. 星信子・草薙恵美子 (2012). 成人用気質質問紙 (ATQ) の心理測定的性質の予備的検討. 札幌大谷大学紀 要, 42, 57-63. 狩野裕・三浦麻子 (1997). グラフィカル多変量解析. 京都: 現代数学社. 河瀬諭・中村敏枝・小森政嗣・長岡千賀・Maria Raluca Draguna (2001). 音楽における「グルーヴ感」が もたらす諸要因.ヒューマンインタフェースシンポジウム2001論文集, pp. 371-374. MPI研究会 (1967). 新・性格検査法: モーズレイ性格検査. 東京: 誠信書房. Styns F. & van Noorden L. (2006). Some basic observations on how people move on music and how they relate music to movement. In A. Gritten & E. King (Eds.), Proceedings of the 2nd International Conference on Music and Gesture, Manchester, UK: Northern College of Music. 谷陽祐・安達真由美 (2011). 背景音が認知課題成績に及ぼす影響：課題遂行者の性格 (内向性・外向性) との交互作用に注目して. 日本音楽知覚認知学会2011年秋季研究発表会論文集. pp. 59-64 谷陽祐・安達真由美 (2012). 認知課題遂行中の身体の動き: 高覚醒音楽を背景として. 日本心理学会第76 回大会. 川崎: 日本.