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Debateとは?
2015/08/08
佐藤永彬(NAFA)
自己紹介
・NAFAって?
(全日本英語討論協会:National Association of
Forensics and Argumentation)
全国の大学のディベート団体を会員とし活動
大会、セミナーの運営やディベートの普及を行って
います。
http://www.nafadebate.org/
今日の流れ
1.Debateとは?
2.論理的に説得するとは?
3.Debateの基礎知識
4.Debateのテクニック
5.最後に
1.Debateとは
1.Debateとは
1.1)Debateの定義
あるお題に関して、
肯定側と否定側に分かれて、
第三者であるジャッジを論理的に説得するゲーム
• ある論題;Resolution
• 肯定側;Affirmative 否定側;Negative
1.Debateとは
1.1)Debateの定義
• 論題(Resolution)は、
・日本は死刑制度を廃止すべきだ
・日本政府は炭素税を導入すべきだ
・日本は日米安全保障条約を破棄すべきだ
など、日本の政策に関するものが多い
• Debateはゲームなので、必ず勝敗が付く。
→ジャッジは、肯定側・否定側の意見を聞いて論題が肯定さ
れたか否かを判断。
1.Debateとは
1.2)Debateの魅力
• ①能力
→論理的思考力・英語力
多角的な視点・情報収集/整理/処理能力
=社会で求められる力
• ②ゲーム性
→勝つか負けるか、負けず嫌いの人向き
誰でも日本一になれる
• ③仲間
→部活動内の同期・先輩・後輩
他大学のライバル・友達 etc
1.Debateとは
1.3)よくある誤解
• 水掛け論ではない
→ただの言い合い口げんかとは違い、相手の意見を踏まえ
た上で自分の意見が優れていることを示す。
• 才能<努力
→地頭の良さは成績に比例しない!事前準備(Preparation)
での努力次第で誰でも強くなることができる!
2.論理的に説得する
2.論理的に説得する
2.0)論理的に説得するとは
 Debateとは、論理的にジャッジを説得するゲームです。
論理的に説得するとはどういうことでしょうか?
<比較>感情的に説得する
金を出せ!
た
す
け
て
ー
10
2.論理的に説得する
2.1)三角ロジック
 私たちが何か言いたいこと(主張)を人に伝えるときは、理由
が必要です。
例:明日は晴れるらしい
そう言われただけでは、本当に明日は晴れると思うでしょう
か。「何で?」と思うでしょう。
例:明日は晴れるらしい。
なぜなら天気予報でそう言っていたから。
このように、何らかの理由があることで分かりやくなります。 11
2.論理的に説得する
2.1)三角ロジック
 しかし、理由があれば何でもいいわけではありません。
例:明日は晴れるらしい。なぜならお金がないから。
「なぜなら」という形で理由を述べていますが、理由と主張が
まったくつながっていません。
理由は主張を支えるものでなければ、聞いている人が理解
することができません。
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2.論理的に説得する
2.1)三角ロジック
 したがって、論理的な主張(Claim)には、理由(Reason)と、主
張と理由のつながり(Warrant)が必要です。
これを三角ロジックといいます。
 三角ロジックとは、論理的な話し方の基本であり、
Debateの基本です。
Claim(主張)
Warrant(主張と理由のつながり)
Reason(理由)
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2.論理的に説得する
2.1)三角ロジック
 Warrant(主張と理由のつながり)は、
「当たり前でしょ」と片付けられがちで、実は大切な要素です。
Claim:明日は晴れる
Warrant:天気予報はよく当たる
Reason:天気予報がそう言っていた
 何が当たり前なのかが、人によって大きく違うからです。
(立場、考え方、前提知識)
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2.論理的に説得する
2.3) Evidence
 実際のDebateでは三角ロジックを作り上げるに、
Evidence(権威ある他者の意見;証拠資料)を使用します。
 Evidenceには必ずAuthorityとSourceの記載をします。
 Evidenceは、Claim→Authority→中身を読めばOK
Depression harms people.
Prof. Sharman / ’79 / Haward Jay / Professor at California Univ. / Stagflation / 新評論 / P.17
Q) Even small depression robs several millions people of their jobs and gives
serious damage. (Omission) But depression and unstable economy have
other effects such as high divorce rate, crime, physical and mental disease
and suicide. (UQ
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2.論理的に説得する
2.4) ここまでのまとめ
 大切なのは三角ロジック!!!
Claim(主張)
Warrant(主張と理由のつながり)
Reason(理由)
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3.Debateの基礎知識
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3.Debateの基礎知識
3.1)Speechに関するルール
試合は
2人1組vs2人1組、
合計4人で行うよ
C; Constructive Speech (立論)
R; Rebuttal Speech (反駁)
Q&A; Cross Examination Time (質疑応答)
3.Debateのルール
3.2)Speechに関するルール
• Preparation Time
→Round中の準備時間。10分間与えられる。
• Negative Block
→2NCと1NRでNEGが連続してSpeechすること。
• New Argument
→Rebuttalでは新たな立論ができないこと。
3.Debateの基礎知識
3.3)Resolution & Plan
• ジャッジを説得するために一般的に用いられる方法が、
「Resolutionから導かれるPlanを提示し、そのADとDAを比較
する」というもの。
• Q1; Resolutionが「バイトをしよう」の時、どんなPlanがあるでし
ょう?
• Q2; Resolutionが「コンビニに行こう」の時、どんなPlanがある
でしょう?
3.Debateの基礎知識
3.4)SQとAP
• Planを採る前の世界;Status Quo (SQ)
• Planを採った後の世界;After Plan (AP)
※「SQ・AP」と「過去・現在・未来」は別もの
3.Debateの基礎知識
3.5)Advantage①
・ADの三要素
①Inherency; 現状での問題とその原因
②Impact; 問題による害とその深刻性
③Solvency; Planにより問題が解決されること
*Plan+ADのことをCASEと呼んでいます
3.Debateの基礎知識
3.5)Advantage①
以下の3つは、
Advantageの3要素のうちのどれになるでしょう?
Plan=死刑制度を廃止しよう/AD 刑務官の自殺
精神的苦痛のせいで自殺している=______
死刑制度が無くなれば精神的苦痛のもとが無くなるから自殺し
なくなる=____
刑務官は処刑によって精神的苦痛を受けている= ____
3.Debateの基礎知識
3.6) Disadvantage①
• DAの三要素
①Uniqueness; 現状で問題が起きていないこと
②Linkage; Planを採ることで問題が起きること
③Impact; 問題による害とその深刻性
3.Debateの基礎知識
3.6) Disadvantage①
以下の3つは、Disadvantageの3要素のうちのどれにな
るでしょう?
Plan死刑制度の廃止/DA 抑止力の低下
殺人=______
死刑には殺人の抑止力がある=______
死刑制度が廃止されると、その抑止力も無くなる=_____
3.Debateの基礎知識
3.7) Case Attack①
• Case Attack; Case(Plan + AD)へのAttack
•
•
•
•
①No Inherency; 現状で問題は起きていない
②No Impact; 問題が深刻ではない
③No Solvency; 問題は解決されない
④Turn Around; むしろDAが起きる
3.Debateの基礎知識
3.7) Case Attack②
さっきのADにattackしてみよう!
Vs Advantage 刑務官の自殺
精神的苦痛くらいじゃ自殺しない=
死刑が無くなっても、囚人の世話で精神的苦痛を受け続ける
=
刑務官は処刑に慣れているから、処刑で精神的苦痛を感じる
ことは無い=
処刑を楽しんでいる刑務官が逆にストレスが溜まる=
3.Debateの基礎知識
3.8) DA Attack①
• DA Attack; DAへのAttack
•
•
•
•
①Not Unique; 現状で問題は起きている
②No Linkage; 問題は発生しない
③No Impact; 問題は深刻ではない
④Turn Around; むしろADが生まれる
3.Debateの基礎知識
3.8) DA Attack②
さっきのDAにattackしてみよう!
Vs Disadvantage 抑止力低下
死刑と犯罪には因果関係は無い=
犯罪が増えても困る人はいない=
死刑が無くなると、逆に犯罪が減る=
犯罪者は犯罪の瞬間に死刑のことは考えていない=
3.Debateの基礎知識
3.9) Case Support & DA Support
• Case Support; Case AttackされたCaseを守るための議論
• DA Support; DA AttackされたDAを守るための議論
• Case(Case Support)とCase Attack・DA(DA Support)とDA Attack
がぶつかり合いながら、議論が進んでいく。
4.Debateのテクニック
4.Debateのテクニック
4.1)Superiority
• Superiorityとは
→客観的な優位性のこと。自分の意見と相手の意見がぶつ
かった時に、ジャッジを説得するためには客観的な優位性を
示す必要がある。
• Superiorityの三要素
①差(Difference);2つの対象において違う点
②意味(Meaning);差があることの重要性
③十分性(Threshold);意味のある差が発生する値・量
4.Debateのテクニック
4.1)Superiority
• Superiorityの三要素
①差(Difference);2つの対象において違う点
• どういう基準で差が生まれるかに着目する
例; ホットドッグ
と サンドイッチ
差○
差の基準
挟む食べ物
ソース
挟み方
差×
差
ソーセージとハム
ケチ ャップとマス
タード
縦と横
差の基準
挟んでいるもの
差
×(両方肉)
食べ方
×(両方手で挟んで食べる)
挟むもの
×(両方パン)
4.Debateのテクニック
4.1)Superiority
• Superiorityの三要素
②意味(Meaning);差があることの重要性
• 違いがあるだけでは意味がない
例) 学食
意味○
意味×
①量( お腹いっ ぱい食べたい)
①皿の色( あればいい)
②値段( 安い方がいい)
②支払い方法( 払えればいい)
4.Debateのテクニック
4.1)Superiority
• Superiorityの三要素
③十分性(Threshold);意味のある差が発生する値・量
• 意味のある違いでも、十分に意味があるか
学食
十分性○
十分性×
①おかわり 自由( 量)
①わかめ1 枚( 量)
②一万円( 値段)
②1 円( 値段)
4.Debateのテクニック
4.1)Superiority
• DebateのRoundにおいてSuperiorityを示す場合、それは2つ
に分かれます。
①Tie-break(Issueそれぞれのシナリオを比較する場合)
②Comparison(IssueそれぞれのImpactを比較する場合)
• しかしどちらの場合も考え方は同じで、「ある基準において、
比較する2つの対象が十分に意味のある差を持っているか」
を考えます。
差があるか
差に意味があるか
十分に意味のある差か
4.Debateのテクニック
4.2)Tie-break
• Tie-break; 相反するシナリオにおいて、自分の議論の優位性
を示すこと
• Tie-breakを示すには、3つの要素を示す必要があります。
①比較の基準とその理由 (Standard)
②自分は基準を満たしている(Meet)
③相手は基準を満たしていない(Exclude)
①意味のある基準を設定
③相手は基準を
満たしていない
②自分は基準を
満たしている
4.Debateのテクニック
4.2)Tie-break
• Tie-breakしていることを効率良く伝えるためのテクニックに、
Card CheckとCounter Analysisがあります。
• Card Check; 相手の議論の弱点を示すこと
→“Their card just says ~~, never says ・・・”のように使う
• Counter Analysis; Card Checkと連動して、相手の弱点を自分
の議論は満たしていることを示すこと
→Evidenceを読んだり、もう一度説明したりする
4.Debateのテクニック
4.2)Tie-break
• Tie-breakの基準(=Tie-breaker)※ほんの一例です
①TheoryとFact
→理論(Theory)だけの根拠よりも、TheoryとFact(事実)の
どちらもを伴った根拠の方が信憑性が高い
例・・AFF「日本で炭素税を導入したら、二酸化炭素が減ると言
われている」
NEG「日本で炭素税を導入したら、二酸化炭素が増える。実際
に導入した国がそうだったから」
4.Debateのテクニック
4.2)Tie-break
• Tie-breakの基準(=Tie-breaker)※ほんの一例です
②Evidenceの質
→Authority(年代・肩書き)に大きく差があればTiebreakerになり得ます
③日本特有の話
→日本政府がどうするかという話をしているので、日本
が海外とは違って特有に起こる話はTie-breakerになり得
ます
4.Debateのテクニック
4.2)Tie-break
• Tie-breakerに反論するには、
①3要素をチェックして、相手のt/bを切る方法
② Tie-breakerを打ち返す方法
の2種類があります。
Standard(比較の基準とその理由)
「@Japan」
Meet(自分のシナリオが基準に合っている)
「自分のシナリオは@Japan 」
Exclude(相手のシナリオは基準に合っていない)
「相手のシナリオは×@Japan」
①
←理由が示されていない!
←私のシナリオも@Japan!
②
違う基準のTie-breaker
4.Debateのテクニック
4.3)Comparison
• Comparison; ADとDA(Impact)の大きさを比較すること
• Comparisonの結果、
①AD>DAならば肯定側の勝ち
②AD<DAならば否定側の勝ち
③AD=DAならば否定側の勝ち(Planを採るだけ無駄だから)
→Comparisonをしないと、勝敗をジャッジに丸投げすることに
なります。必ずComparisonはしましょう!
4.Debateのテクニック
4.3)Comparison
• ComparisonもTie-breakと同じで3つの要素を示す必要があり
ます。
①比較の基準とその理由(Standard)
②自分は基準を満たしている(Meet)
③相手は基準を満たしていない(Exclude)
• 更にComparisonの場合は、比較の基準で何に関して比べる
か大まかな項目を先に示すことが ⓪大まかな項目
多いです。
①意味のある基準を設定
③相手は基準を
満たしていない
②自分は基準を
満たしている
4.Debateのテクニック
4.3)Comparison
• Comparisonの大まかな項目は、
①Quality; Impactの質
②Quantity; Impactの量・規模
③Risk; Impactが起こる確率
④Time Frame; Impactが起こる期間
の4つが主だったものです。
• ②~④に関しては定量的な基準で判断できるため、どちらが
大きいのかを説明すれば大丈夫です。
• しかし①に関しては、定性的な基準であるためどちらが大事
なのかのReasonとWarrantをしっかりと説明しましょう。
4.Debateのテクニック
4.3)Comparison
• コンパリに反論するには、
①3要素をチェックして、相手のコンパリを切る方法
②コンパリを打ち返す方法
の2種類があります。
Standard(比較の基準とその理由)
「自殺>殺人」
Meet(自分のImpが基準に合っている)
「自分のImpは自殺」
Exclude(相手のImpは基準に合っていない)
「相手のImpは殺人」
①
←理由が示されていない!
←私のImpも自殺だ!
②
「殺人>自殺」のQLコンパリ
QTなど違う基準のコンパリ
5.最後に
5.最後に
まとめ
•Debateとは「ある論題に関して肯定側と否定側に分かれ、第三
者であるジャッジを論理的に説得するゲーム」
•論理的に説得するためには、三角ロジックが必要。
Claim(主張)
Warrant(主張と理由のつながり)
Reason(理由)
•三角ロジックを使い、Debaterがしていることは・・・
5.最後に
• 論題を肯定/否定するために、Tie-breakすることでAD/DAを
成立させ、ComparisonによってAD/DAを比較すること。
Comparison
Tie-break
5.最後に
• 参考資料
・「Debateとは?」(2012NAFA関東セミナー田島さん)
・「FJDLマニュアル」(2013AGU)
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何か分からないことがあれば
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