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ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」@広島大学 2012年3月7・8
日
京都産業大学 神山天文台
における
可視光多色同時観測の取り組み
京都産業大学 神山天文台 特定研究員(PD) 新井 彰
共同研究者 : 米原厚憲、磯貝瑞希、荒木望遠鏡チーム(京都産業大学)
もくじ
1. 京都産業大学 神山天文台
2. 荒木望遠鏡と観測装置
3. 同時多色観測による系外惑星探査の試み
4. 矮新星の可視同時多色観測
+その他の取り組み
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
こう やま
1. 京都産業大学 神山天文台
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
天文台設立の経緯
創立50周年を記念した大学天文台の設立
文部科学省 私立大学戦略的補助金(H20—H24)
コアサイエンス:太陽系・系外惑星探査
Koyama Astronomical Observatory (KAO)
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
神山天文台のビジョン
天文学コミュニティー
研究面での協調と競争
装置開発 技術の提供
⇔ 資金・人材のGive&Take
学校法人
京都産業大学
学校法人全体にメリットを!
⇒ 教育・研究、社会貢献、
就職支援・広報利用、・・・
天文台設備
実験室
1.3m 荒木望遠鏡
一般社会・産業界
実社会との接点として社会の負託に応える
⇒ 知の還元、社会・学校教育への貢献、
産業界との協働(社会の一部として)
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
天文台 設備
玄関
最大120名
望遠鏡
ピラー
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
天文台 設備
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
公開スケジュール
月
火~金
10時~14時
14時~16時
休館
19時~21時
(冬季18時~20時)
日
休館(公開準備)
学校・教育関係
予約利用 ※
16時~19時
(冬季16時~18時)
土
(機材
調整)
見学・講義・
天体観望会
一般公開(予約不要)
見学、質問コーナー
休館
ロビーとサギタリウス
ホールを開放
(観望準備)
一般公開(予約不要)
天体観望会
8
2. 荒木望遠鏡と観測装置
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
1.3m 荒木望遠鏡
2009年12月完成、
2010年4月オープン
神山天文台 荒木望遠鏡
初代学長の名前
口径 : 1.3 m
光学系: リッチー・クレチアン
F値 : F/10
焦点 : カセグレンx1、ナスミスx2
取付装置数:3(観望鏡含まず)
(ナスミス1に眼視観望鏡。
駆動式ミラーで観望鏡/ナスミス台上装置に配光可能)
架台
: 経緯台
限界高度: 10.0 deg
駆動速度: 3 deg / sec (Az)、2 deg / sec (Alt)
導入精度: ~3”(best)
追尾精度: 1”/ 10 min (best)
副鏡
: アルミメッキ、金メッキ
2011年 光・赤外 大学間連携
に協力機関として参加
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
観測装置
4つの装置
赤外高分散
(制作中)
可視低分散
2色同時
偏光分光
眼視
観望鏡
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
可視低分散分光器 LOSA/F2
(Low Dispersion Optical Spectrograph for ARAKI /w F/2 optics)
再結像光学系
グリズム
スリット幅
スリット長
波長域
波長分解能
:
F/2.32
:
600本/mm, プリズム頂角37°
:
2.9” (0.12mm)
: ~ 3' (12mm)
:
380 -- 780nm
: ~580 @λ=600nm
CCDカメラ
:
chip
:
冷却
:
gain
:
読み出しノイズ :
限界等級 :
Apogee Alta U47 (-MB)
E2V CCD47-10 (13μm, 1024x1024pix)
室温-50℃ (2段ペルチェ + 水冷)
1.4 e/ADU
~28 e (カタログ値: 9e@700kHz読み出し)
~16mag (S/N=30, 1時間積分)
QL用パイプラインでToO対応
彗星、新星、超新星、矮新星、共生星、X線連星
のモニター観測、同定観測に利用
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
LIPS / WINERED
調整中・開発中の装置
・LIPS : 直線偏光分光器
R= 7,000—10,000 @ 400nm—800nm
UH88で利用されていたLIPSを移設するために改造
(東北大学・広島大学・国立天文台と共同研究)
カセグレン焦点(test run : 2011年10月~2月)
2011年12月6日 ファーストライト
ターゲット:明るい 連星系, YSO, 新星など
・WINERED : Y — J – bandの高分散分光器
2012年度 ファーストライト予定
(東京大学と共同研究)
ナスミス焦点
銀河間吸収線、恒星のNIRカタログ etc.
新装置LIPS
• 線スペクトル偏光分光装置
(LIne Polarimeter and Spectrograph:LIPS)
2009年より改修作業を実施。
観測波長
: 4000A -- 8400A
1度に観測可能な範囲 : 2000A—3000A
R~7000--10000
実測で 偏光測定誤差 ≦ 0.1%を達成(2011.12.06)
β Lyr : V=3.5 400sec (= 100sec ×4方位)
限界等級などは実際のデータから確認中
連星系、新星爆発や原始星の時間変化を追うのに適している
オートガイダーのインストール、
解析ツールの整備を進行中
LIPSのFirst Light
• 2011/12/06
Conparison画像
天体(β Lyr)画像
β Lyr : 偏光スペクトル
Intensity
Ha
V=3.5
B0-B6 の近接食連星
Polarization(%)
Position Angle(deg)
βLyr の模式図
Lomax et al. (2011)
ジェット、円盤の構造に制限が付けられる
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
2色同時撮像装置 ADLER
2色同時撮像装置
(Araki telescope DuaL-band imagER)
・銀河系内マイクロレンズ現象
(MOA発見天体のフォローアップ)
・系外惑星トランジット
・各種突発天体(アウトバースト天体含む)
・彗星
の即時観測を目的とする。
ファーストライト : 2010年4月
観測運用開始
: 2010年9月
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
ADLER ダイクロイックミラー
カセグレン穴
短波長側カメラ
(380-700nm)
電
源
電
源
制
御
P
C
制御PC(WinXP)
電源ユニット
長波長側カメラ
(500-900nm)
ダイクロイックミラー
(2枚搭載可能、手動切り替え)
480nm分割、670nm分割
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
ADLER 縮小光学系
カセグレン穴
電
源
電
源
短波長側カメラ
(380-700nm)
制
御
P
C
制御PC(WinXP)
電源ユニット
長波長側カメラ
(500-900nm)
縮小光学系: F/10 ⇒ F/6 に
1チップCCD(2048x2048, 13.5μ)
視野12’x12’ (0.357”/pix)
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
ADLER フィルター
カセグレン穴
電
源
電
源
短波長側カメラ
(380-700nm)
制
御
P
C
制御PC(WinXP)
電源ユニット
長波長側カメラ
(500-900nm)
フィルターホイール(6穴2層、
1ビームにつき、最大10枚搭載可能)
実装済み:g’, r', i', z ' + Stromgren-y
+ コメット分子輝線用狭帯域4枚
2012年3月より、B,V,Rc,Ic
が追加される予定
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
ADLER用 CCDカメラ
CCDカメラ: Spectral Instruments社 850シリーズ
冷却方法: 電子冷却+水冷
冷却温度: -90℃ (外気30℃)
CCDチップ: e2v CCD42-40
(13.5μm x 13.5μm, 2048x2048 pixels)
裏面照射(短波長側)+ 表面照射(長波長側)
デジタル階調:
飽和電荷量:
読み出し速度:
読み出しノイズ[e-]:
ゲイン[e-/ADU]:
暗電流 (@-90℃):
最速読み出し速度:
16bit
100,000 e- (Single pixel)
100, 200, 500, 830 kHz
2.7(B.I.), 2.1(F.I.) @100kHz, ATTN=0 ― 23.9(B.I.), 22.6(F.I.) @830kHz
最小0.63(B.I.), 0.64(F.I.) ― 18.2(B.I.), 17.6(F.I.) @830kHz
0.00012(B.I.), 0.00006(F.I.) [e-/pix/sec]
5.1sec (1-port, 1x1bin, 830kHz)
市販の水冷式CCDカメラの採用でメンテナンスフリーな状況を実現
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
ソフト、解析
観測ソフト(作 磯貝氏)
perlベースのコマンドライン
1枚ごとセルフガイド
露出中はオープントラック
望遠鏡の制御と組み合わせて自動観測が可能
解析:
一次処理までは自動化
Aperture photometry : パイプライン by 磯貝氏
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
スカイ等級[mag/□"]
スカイの明るさ g’
airmass
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
スカイ等級[mag/□"]
スカイの明るさ i’
airmass
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
ADLER 限界等級
条件: airmass=1.2 i.e. ZD ~ 34°, seeing=10pix=3.6" ※1
CCD読み出し速度:500kHz(~8sec), gain~ 5 e/ADU, σ_ro ~ 9e
積分時間
10s
60s
180s
300s
S/N
100
20
10
10
限界等級 ※2
g'
i'
15.5
14.7
18.4
17.8
19.8
19.2
20.0
19.5
※1
seeing=3.6": 神山天文台での冬の典型的なseeing値
※2
空の条件が悪い場合には、限界等級が約1mag浅くなる。
3. マイクロレンズ現象を利用した
系外惑星探査
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
系外惑星探査

ドップラー法
恒星のふらつきを観測する

トランジット法
惑星が横切ることで起こる食を観測する
★マイクロレンズ法
重力レンズ現象を使って惑星の増光を観測する
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
重力レンズが起きる状況
• 私たちから何か物体を見た時、
• 方向が近く、奥にある物体が影響を受ける
θ
β
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
典型的なスケール
• 2つの像の離角 ~ 1[mas] ⇒ 空間分解困難
• (“アインシュタインリング半径”)
1/ 2
 M lens 
4GM lens Dls

E 
~ 1 
2

c
Dos Dol
M
◎


1/ 2
 1(kpc) 


 Dos Dol / Dls 
(mas)
• 現象のタイムスケール ~ 1 [month] ⇒ 時間分解可能
1
1/ 2

  M lens   1(kpc) 
vlens
4GM lens Dls
vlens
 

 
tE 
~ 10 
2


c
Dos Dol Dol
 200(km / s)   M ◎   Dls Dol / Dos 
現象の増光には典型的なスケールが無い
1 / 2
(day )
•
•
↓
• 時間とともに、明るさが変化する現象として観測
シミュレーション
Yonehara, 2012
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
系内マイクロレンズ現象
• 銀河の構造・系外惑星探査に有効
• 銀河バルジ(明るい、近い):
•
τ~10^-6 (e.g., Sumi et al., 1997)
 MOA-Ⅱ @ NZ: 日本など
 OGLE-Ⅳ @ Chile: ポーランドなど
•
•
現在、~103 [event / yr] + 多くの副産物
(前シーズン:MOA-Ⅱ 485、OGLE-Ⅳ
1562)
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
系外惑星の検出例

マイクロレンズ天体が惑
星を持っている場合
5.5 M(earth) の発見例
恒星と惑星の2つのレンズ天体

OGLE2005-BLG-390
マイクロレンズによる
年間発見数 ~< 5天体 / yr
http://www.stelab.nagoya-u.ac.jp/stewww1/div3/moa/o390/ 参照
観測例@京都産業大
1st run 2011年4月—10月
MOAで発見されたバルジ領域の天体
(elevation < 30 deg)


•
•
r’ -band(short) λc = 619.8nm
z’ -band(long) λc = 921.7nm
荒木望遠鏡/ADLER で観測した天の川中心の
3色合成図(CCD: 2k x 2k、FOV: 12’ x 12’)
MOA Microlensing Alerts からフォローアップ可能な天体を選定
http://www.phys.canterbury.ac.nz/moa/microlensing_alerts.html
• 明るさ、座標、振幅ピーク(Amax)、ピーク前か?
 観測可能天体を選定
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
解析
・MOAチームが作成したパイプラインを利用
・位置合わせ
・基準となるイメージと他のイメージの差し引き
・変光天体の検出と測光
これまでの観測例
増光率
100以上
増光率
10以上100以下
増光率
10以上
MOAのすべて
(001~485)
142個
74個
216個
京産大 観測
期間中のもの
(049~450)
44個
29個
73個
京産大
観測数
11個
4個
15個
2011年11月まとめ時点
これまでの観測例
• MOAのフォローアップ
• マイクロレンズ現象:
MOA-BLG-2011-325
②
①
•
11年9月7日
①
9月15日
②
10月7日
③
③
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
Preliminary results

r’-band







光源~レンズ天体の距離・・・0.2θE
光源の横切る速さ
・・・0.07θE
ピーク時間
・・・5823.5
元の明るさ・・・100.0
基準画像の明るさ
・・・10000.0
増光率・・・5.07
z’-band
 光源~レンズ天体の距離・・・ 0.2θE
 光源の横切る速さ
 ピーク時間
・・・0.07θE
・・・5823.5
 元の明るさ・・・ 73.0
 基準画像の明るさ
・・・ 7500.0
 増光率・・・5.07
θE=アインシュタインリング半径
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
多色同時のメリット
・点源のマイクロレンズ現象は色変化はない
 増光時の色を調べると距離に制限(2色図)
・もしも色が変われば、、、、
マイクロレンズ以外の増光の可能性
(エネルギー注入による増光)
星周構造(Ha diskの存在など)
4. 矮新星の可視多色同時観測
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
多色で矮新星
広島大学でのTRIPSECでの矮新星
(ref. 笹田さんトーク、植村さんトーク)
Matsui et al. 2009
実践するには
大量のマシンタイム、晴天率、当り天体が出る運が必要
 京都産業大学には多色撮像装置あり
多色で矮新星
ADLERの利点を生かせる観測対象:
短時間で変光し、変光の振幅が波長によって異なる天体
2色同時観測
→ 放射が黒体放射である場合には
放射領域のサイズ・温度変化の情報が得られる。
テーマ:
1. WZ Sge型矮新星の早期スーパーハンプの起源の研究
・可視2色でも原理的には、V455 Andと同様の研究が可能
・Uemura(2012)マッピングコードが利用可能に
2. SU UMa型矮新星のスーパーハンプの色変化の多様性の研究
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
観測例
WZ Sge型矮新星の早期スーパーハンプの
g’-, I’-band(京産大) + 3色同時測光観測
Rc-band(大教大)
WZ Sge型
OT J012059.6+325545
円盤の厚み(h/r)再構成マップ
Uemura et al. (2012)
in press.
g’
g
f-i'
82min
Nakagawa et al. (submitted to PASJ)
伴星の方向
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
SU Uma型矮新星の他バンド観
測
SU UMa型矮新星のスーパーハンプの
色変化の多様性についてのサンプル集め
・連星パラメータ(i, q)との関係は?
・アウトバーストごとに同じか?
SU UMa型
SDSS J081207.63+131824.4
食のある天体
( i ~ 90°)
WZ Sge型
SDSS J080434.20+510349.2
g’
g’
i’
g'-i'
i’
115min
g'-i'
時間(ユリウス日)
時間(ユリウス日)
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」
その他の研究テーマ
天体(バンド)
テーマ
--------------------------------------------------------
彗星(BC, CN)
CN(狭帯域フィルター)による ガス mapping
共生星(g’,i’) flickering などの短時間変動の色変化
新星 (y, i’) 連続光成分の評価、flux calibrationの補助
超新星
高度曲線, 同定画像(広報画像になりやすい)
まとめ
京都産業大学 神山天文台
・1.3m 望遠鏡 + 4つの装置
で観測体制を整えつつある
・ADLER : g’, r’, i’, (z’)の同時多色
・系外惑星探査byマイクロレンズ現象に挑戦中
・矮小新星の多色測光
・その他にも利用(新星、共生星)
ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」