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課
題
<12> 上限価格規制
~<B4> 家賃統制の愚行~
B4 上限価格規制の愚行  <N10章 pp.103-12>
1 ★ <10章>家賃統制の愚行
2 地代家賃統制令の亡霊
3 ★ 要点 上限価格規制
Microeconomics 競争市場と公共政策
[email protected]
Q 読解力チェック PP.103-12
Slide 2
第10章 (pp.103-12) の主旨・用語を理解した?
1.
2.
3.
4.
5.
ロスのホームレス人口増加の主因は? p.109 (家賃統制)
ロス郊外やムンバイで,荒廃した賃貸アパートと高
額の邸宅が併存する理由は? p.103,110 (家賃規制)
サンタモニカ市の家賃統制委員会の予算が,10年
余りで6.7倍になった理由は? p.108
家主・低所得者・母子家庭,家賃統制の被害者は?
その理由は? p.109 (ALL)
「キー・マネー(礼金)」および「住宅渋滞」とは? p.107
1 <10章> 家賃統制の愚行
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戦時中(1942年)の措置 but 未だ200の市町
1.
2.
家賃の上限価格PL < 自由市場の均衡価格P*
競争市場の効率的な「供給・需要・配分」機能を歪曲
家賃の上限価格規制の主な副作用
1.
2.
3.
新規住宅の減少,既存住宅の荒廃(スラム化)
超過需要,キーマネー&差別の増加,ホームレス化
社会余剰の減少,当局の規制費用の増加
新規住宅の減少&既存住宅の荒廃
Slide 4
<B1> 需要の価格弾力性
2.
供給の価格弾力性=供給量変化率÷価格変化率
3.
長期の方が弾力的 ≒ より水平に近い
均衡価格を下回る上限価格を設定
1.
1.
2.
時間と共に退出企業増加  新規住宅の減少
その間の修理&維持の節約  既存住宅の荒廃
Q1 家賃統制の副作用
Slide 5
上限価格規制を図を使って説明すると?
1.
2.
3.
4.
5.
貸家の「短期と長期」の供給曲線は?
短期・長期の規制下の価格規制均衡は? (A,C)
荒廃し長期的に消滅する家屋数は? (CA)
その家屋数は上限価格が低いほど(大きく)なる?
結局,自由競争市場と比べ,取引量と社会余剰
はどう変化する?
A1 上限価格と短期・長期の供給曲線
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上限価格PLの設定水準 < 均衡価格P*
短期価格規制均衡A
S
P D
 超過需要AB
長期価格規制均衡C
 超過需要CB↑
∴住宅CAは荒廃&消滅
P*
PL
E
長期供給曲線
C
A
B
超過需要
QL
Q
A1 社会余剰の減少:規制の非効率性
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上限価格規制  死荷重AEBの発生
生産者余剰の減少
P
 EOP*
C
 AOPL
消費者余剰???
B
P*
  ABCPL
PL
∴短期の社会余剰の減少
O
 ECP*
E
S
D
A
QL Q*
Q
★ 規制による消費者余剰の更なる減少
Slide 8
前頁の消費者余剰は,想定できる最大値
1.
2.
∵市場メカニズムではなく,人為的割当に依存
∴入居者QLが,最高評価CBを持つとは限らない
∴ ★実際には,第2次死荷重発生  H(08, p.164)
1.
2.
ランダム配分効果  入居可能者はCDの評価者全体
∴消費者余剰の減少(第2次死荷重)もありうる
超過需要の発生とホームレス化
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超過需要(前頁AB or CB) 売り手市場の割当
1.
契約時のキーマネー請求(生産者余剰の回復)
 大きな消費者余剰を得る入居者にも支払う誘因
非金銭的差別(所得・職業・人種・年齢・…)
 ∴低所得&マイノリティのホームレス化
2.
入居者  住宅渋滞,転貸(又貸し)
Q演習問題(P.111-2)2&4
Slide 10
2.
「キーマネー」額の決定要因は?
 市場価格と規制価格の差,契約期間
1.
2.
4.
差額(≒移転所得)が大きいほど,大きくなる
契約期間が長いほど,大きくなる
統制下の維持補修費削減は「金銭的な余裕
がない」から? (費用ではなく,予想収益の問題)
 No:
利潤最大化に見合う価格ではないから
2 地代家賃統制令の亡霊
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日本の物価統制令・地代家賃統制令 1939年
1.
2.
3.
4.
戦争激化による生産要素の不足・高騰
∴多くの商品価格を統制  <A1>1940年体制
超過需要の割当問題: 行列・配給・コネ  差別
闇市場(ブラックマーケット)の拡大
戦時の統制経済が,今日の1940年体制を形成

中央集権&裁量的な官僚  業界団体  企業
Q2 物価統制令の理由と効果
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競争市場の初期均衡E1 からの変化?
1.
2.
3.
4.
5.
生産要素の高騰による商品価格の上昇 E2
初期価格P1を下回る上限価格P3の規制 E3
結局,価格統制は取引量Qを増やせたのか?
なぜ規制価格より高い闇市場が広がるのか?
★ 図示される以上の社会余剰の減少は?
A2 物価統制令の悲劇
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競争市場均衡E1  価格P1 ・数量Q1
4.
E2: P2↑ & Q2↓
P3  E3 : Q3↓
減らす:超過需要Q3-Q4
P3 < P2  再取引の利益
5.
★上記のランダム配分効果
1.
2.
3.

 第2次死荷重 H(08, pp.160-4)
P
P2
P1
P3
0
S
D
E2
E1
E3
Q3 Q2 Q1 Q4
Q
日本の借地借家統制
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地代家賃統制令:1939年  H(08, pp.52-4)
敷金・礼金の高騰が制度化  キーマネー
2. 新規契約(敷金・礼金)への偏向
借地借家法:1941年  借家人の保護が名目
1. 借家人の権利保護  賃貸住宅供給の激減
2. ∴確実に転居する学生等への賃貸が主流(3割)
1.

戦前は日本の世帯の8割が借家
1940年体制の亡霊?
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日本の衣食住,最も貧困なのは? 理由?
1.
2.
3.
公営・公団住宅が肥大化した理由は?
官舎や社宅が肥大化した理由は?
子供の成長につれ借家が減る理由は?
以上は,低所得者にとって有利なのか?
3 要点 上限価格規制
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確認: 上限価格規制とは?
 市場均衡価格を下回る水準に上限価格を設定
上限価格規制への政治的誘因
 高いor高騰する価格の抑制
 価格:
 ポピュリズム
家賃・利子率・賃金等を含むあらゆる価格
結果は?  数量・効率性↓ & 副作用
Q3 上限価格規制の誘因と効果
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ワンルーム5万円の賃貸住宅の競争市場
1.
2.
3.
仮に8万円で上限価格規制をした場合の効果は?
上限価格を 4 or 3万円に統制しようとする政策
が実施される場合の理由は?
その政策は意図した効果を達成できるか? 予想さ
れる問題点は何か?
A3 予測される悲惨な結果
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「上限価格 > 均衡価格」では,規制は無効 Q4
相対的な高価格への不満  政治的誘因
1.
2.
1.
2.
価格高騰 or 所得低下  政治への国民の不満
「統制すれば誰もが安く借りれる」という幻想
No  A1:
3.
1.
2.
住宅の荒廃,新規住宅・社会余剰の減少
キーマネー・又貸し・差別  入居不可な低所得者
監視費用(当局の予算・人員)の増加
Q4 ★ 上限価格の水準と非効率性
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Q3の5万円が均衡E1の競争賃貸市場
1.
2.
3.
4.
上限価格=8万円の場合の均衡は? E1
上限価格=4万円の場合の均衡は? E2
上限価格=3万円の場合の均衡は? E3
上限価格=0円の場合の均衡は? E4

5.
<B3>の対価支払を禁止された臓器市場
上限価格水準の下落につれ社会余剰は? 減少
A4 ★ 統制が厳しいほど結果は悲惨
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1.
2.
3.
4.
E1:8万まで上がらない
価格規制均衡:E2
価格規制均衡:E3
価格規制均衡:E4
 0なら慈善以外は供給消滅
5.
数量も社会余剰も減少
P
D
S
8万
5万
4
万
3万
0
E4
E2
E1
E3
Q3 Q2 Q1
Q
要点
本日のポイント
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上限価格規制の愚行
1.
2.
3.
均衡価格を下回る水準に上限を設定すると
超過需要が発生し,数量も社会余剰も減少
実際に米国の家賃統制も,市場機能を阻害
 需要(超過需要とホームレス)・供給(減少と荒廃)・配分(余剰と統制)
次回準備 N12章 & <B5>
下限価格規制
上限価格規制と家賃統制の文献紹介
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M(05): マンキュー 『経済学<1> ミクロ編』
 第6章1節
上限価格規制とGSの行列
H(08): 八田 『ミクロ経済学<1>』
 第1&4章
価格規制
 p.53,
物価統制令・地代家賃統制令・借地借家法
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