商物分離

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2015年春学期
「経営学入門」
第11回 商物分離とアスクル
樋口徹
1
商物分離
• 商物分離とは商流と物流が分離することである。
• 商流は商品の 所有権 の移転経路のことである。
• その商品の所有権を有していないものが商品の 荷役 ・ 保管 ・ 運送 ・
販売 を行う場合に 商物分離 となる。
• 典型的な事例としては、物流機能のアウトソーシングである 3PL (3rd-party
logistics;サードパーティロジスティクス)や販売機能のアウトソーシングである委
託販売などがある。
• 受託者は委託された運送や販売を行い、料金や手数料を受け取る。
商行為に不可欠な物流、情報流、資金流
• 日本では、 複数回 卸売りの間で商品が取引されることは珍しくなかった。
• 当然、複数の卸売業者を経由することで、余計な 時間 と 費用 が加算さ
れていた。
• 大規模チェーンの中には、自前で 物流センター を整備するなどの流通の
仕組みを変更し、豊富な品揃えを効率的に達成するものが増えた。
• 問屋などの卸売りを 中抜き することによって、仕入れ原価の削減と リード
タイム の短縮が進んだ。
• しかし、卸売りや小売り業者が、金融機能、メーカーの 営業 代行、アフター
サービスなどを長年行ってきた事実は否定できない。
• 流通の仕組みは変更しても、卸売りや小売り業者の力を活用する動きもある。
• 例えば、アスクルでは文房具屋や問屋を エージェント して活用し、販売促
進やアフターサービス体制を強化している。
• このように、商流や物流は変えても、商取引においては切り離せないこともある。
アスクルによる商流と物流管理
岩田彰一郎からのメッセージ
1980年代のことです。中小企業の事務の方たちは、文具が足りな
くなるたびに、仕事の手を止めて買い物に出かけていました。そして
少しでも安いお店を探して歩き、両手に重い荷物を抱えて帰ってい
きます。日本全国でよく見る光景でした。
私たちは20年で、その風景を変えようと努力してまいりました。そ
のアスクルも、おかげさまをもちまして、今やオフィス用品通販の
No.1企業として、日本全国のオフィスのみならず、店舗、医療介護
施設など、実に多くの"仕事場"のお客様にご利用いただくまでにな
りました。
私自身、子どものころに、買い物で重い荷物を持つ母の姿を見て
います。
重くかさばる商品をお届けして、働くお母さんの負担を軽くしてさしあ
げたい。
朝の通勤電車で、スマートフォンで注文すれば、その日の夕方、あ
るいは週末に届いている。
まるで、欲しいものが何でも出てくる、手のひらの上の魔法のポ
ケット――。
そんなふうに働くお母さんを応援できれば、と私たちは考えています。
「LOHACO」という名称は、「Lots of Happy Communities」の頭文字
からとりました。
東京に1人で住んでいても、地方にいる親御さんのために商品を
買って届けてさしあげることもできます。家族や地域、そして日本や
世界に、たくさんのHAPPYが生まれるようなインフラを作りたい。そん
な想いがこめられています。
岩田彰一郎の年表
年
出来事
1950年
生まれ。
1973年
慶應義塾大学商学部卒業後、ライオン油脂(株)(現ライオン(株))に
入社し、ヘアケア商品開発等を担当。
1986年
プラス(株)に入社。
※昭和23年創立(オフィス家具、オフィスインテリア用品の製造・販売、
•文具、事務用品、OA・PC関連商品、事務機器の製造販売など)
1992年
アスクル事業推進室室長に就任
1993年
アスクル事業部としてオフィス用品通販サービスを営業開始
1997年
アスクル(株)の分社・独立により代表取締役社長に就任(アスクル事
業の営業を譲受け、東京都文京区に本社を設置し、所沢 物流セン
ターを開設)
1998年
インターネットによる受注分のみ当日配送(東京23区内限定)を開始。
1999年
東日本(除く北海道)における配送サービス体制強化のため、東京都
江東区に東京センターを設置し、移転。
2000年 代表取締役社長兼CEOに就任、九州における配送サービス体制強化
のため、福岡県糟屋郡に福岡センターを開設
2001年 「e-tailing center」を東京センター内に開設。本社事務所を東京都文京
区から東京都江東区「e-tailing center」へ移転、関東地区の物流の強
化を行うため、神奈川県川崎市に横浜センターを開設
2002年 輸入品業務や庫内業務の合理化を目指すアスクルDCMセンター(東
京都江東区)を開設。
2003年 経済同友会に入会(2004年度より幹事)、仕入先企業との間でリアル
タイムにマーケティング情報を共有する「SYNCHROMART(シンクロマー
ト)」システムに「需給調整業務支援システム」機能を追加
2004年 東海・北陸地域の物流拠点となる名古屋センターを愛知県東海市に
開設
2006年 中国上海市に現地法人愛速客楽(上海)貿易有限公司を設立
2008年 個人向けネット通販事業の強化を目的に、アスマル株式会社を設立
2012年 BtoCオンライン通信販売事業の垂直立上げを目的に、ヤフー株式会
社と業務資本提携契約を締結し、ヤフー株式会社に対する第三者割
当増資を実施。一般消費者向け(BtoC)インターネット通販サービス
「LOHACO」提供開始
文具の伝統的ビジネス
メーカー
(メーカー乱立)
卸売り・小売り
(異なるメーカー製品を扱う)
倉庫
三菱鉛筆
倉庫
KOKUYO
倉庫
プラス
卸
売
り
・
問
屋
卸
売
り
・
問
屋
地
域
の
文
房
具
屋
利用者
(利便性)
大企業
中小企業
一般消費者
文具の法人向けビジネスの動向
メーカー
(メーカー乱立)
卸売り・小売り
(異なるメーカー製品を扱う)
大塚商会
(たのめーる)
利用者
(利便性)
企業
倉庫
PLUS
ASKUL
企業
カウネット
企業
倉庫
KOKUYO
倉庫
三菱鉛筆
卸売り
・問屋
文房
具屋
企業
アスクル、独自品を共同開発 メーカー30社と、
家電や生活用品 (2012/2/18 日本経済新聞 電子版)
• アスクルは21日発刊のカタログで、伊藤園と開発したペットボトルの
茶飲料や資生堂と組んだ大容量ボディーソープなど、約300品目の
独自商品を新規投入。
• 開発した商品は自社と連携先の企業の社名を併記する「ダブルブラ
ンド」などで展開する。顧客の要望を定期的に吸い上げ、メーカー側
との共同開発に反映させる専門チームを新設。
• オフィス通販業界では、主力のコピー用紙などを中心に価格競争が
激化している。大塚商会は今春、過去最大規模の約2700品目で値
下げする予定。各社は価格競争に巻き込まれにくい独自商材の拡
充で差異化や収益改善を進めたい考えだ。
• メーカーにとっても5000億円規模と推定されるオフィス通販市場の
開拓にあたり、約100万超の事業所を顧客に持つアスクルなどと組
むことは販路拡充や商品開発のノウハウ蓄積のメリットが大きい。
※大手小売りと商品を共同開発してきたメーカーが通販企業と連携が本格化。
アスクル、顧客の声を基に段ボール84万キロ削減
環境負荷はまだ減らせる (2012/2/28 日本経済新聞 電子版)
• 通信販売に欠かせないのが、配送時に商品を入れる段ボール箱
や商品の破損を防ぐ緩衝材などの梱包資材だ。
• ところが、通信販売大手のアスクルの元には、商品を受け取った
企業の担当者から梱包資材の処理に関する不満(ゴミ来る)。
• こうした顧客のニーズを受けて、同社は企業向けの配送の一部で、
梱包資材の削減を開始。配送時に折りたたみコンテナを使うなど
した結果、2年間で84万kgの段ボールを削減した。
段ボールの代わ
りにリターナブル
バック(通い袋)と
折りたたみコンテ
ナを使って資源を
節約する
ヤフーがアスクルと戦略的提携で電子商取引
での巻き返しを図る
ヤフオク
「Yahoo!ショッピング」
(出店社の絞り込み)
楽天の約半
分の2万店
電子商取引
(EC)に出遅れ
ポータルサ
イトに誘導
できない
スマホへの
対応の遅れ
※特定分野に強い企業と提携戦略(13年
1月にはローソンとの共同出資会社を
通じて食品のネット宅配サービス開始。
アスクル株の
42%を取得
(筆頭株主)
日用品の通販サイ
ト「ロハコ」を共同
開設(12年10月)
※ヤフー単独では、オフィス用品分
野では十分な品ぞろえや需要を
確保できないので、アスクルと戦
略的に提携し、アスクルの倉庫
や物流体制を活用し、サービス
を展開している。
アスクルが薬ネット通販参入発表
(2013/6/12 日本経済新聞 電子版)
• アスクルは12日、一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売に
参入すると正式発表した。
• 18日から運営する通販サイトで副作用のリスクが最も低い第3類
医薬品の販売を開始。8月にも第1類と第2類の取り扱いを始め、
ネット通販業界で最大規模の約4000品目をそろえる。利便性や信
頼性を高め、数年内に100億円規模の売上高を目指す。
• 日用品や家電製品を扱う通販サイト「LOHACO(ロハコ)」内に専
用コーナーを設ける。購入にあたりテレビ電話などで薬剤師に相
談できる機能なども順次導入する。他の商品も含め合計1900円
以上の購入で送料無料になり、今夏以降は首都圏、近畿で注文
を受けた当日に配送する。
B2B
注文・配送ネット
ワーク強化
B2C
=ネットワーク
(稼働率向上が成功の鍵)