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韓国政府に対する韓国SJC建議(知財分野)のご紹介
ソウル事務所 岩谷
一臣
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2012年韓国SJC建議について
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はじめに ~韓国SJC建議について~
<ソウルジャパンクラブ(SJC)について>
○設 立 1997年1月(ソウル日本人会、ソウル商工会、ジョイントベン
チャー会の3会が合併して発足)
○会員数 法人会員 約400、個人会員約1900
○目 的 (1)会員相互の親睦並びに会員の啓発及び福祉の向上
(2)日韓両国民の親善への寄与及び韓国社会への貢献
(3)日韓両国の経済関係の円滑な発展の促進
<韓国SJC建議について>
○1998年から韓国政府及び必要な場合日本政府に対し、韓国進出企業にお
ける事業環境の改善等のため、建議事項を提出
○2012年は、労働、税務、金融、知的財産、生活環境などについて合計
41項目の建議事項を提出
○知財分野の建議については、韓国IPGと共同しとりまとめ
○2012年建議については、2012年12月に韓国政府に提出し、2013年6月
に韓国特許庁長(長官)との意見交換、7月に通商産業資源部長官(経
済産業大臣に相当)との懇談会を経て、韓国政府の回答を受領
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2012年建議の総括
建議事項の回答状況一覧(カッコは、前年)
分
野
項目数
受入可能
一部受入
長期検討
受入困難
労働
4(4)
0(0)
0(2)
4(1)
0(1)
税務
5(0)
0(0)
0(0)
2(0)
3(0)
金融
2(3)
0(1)
0(0)
0(0)
2(2)
知的財産権
22(22)
*6(11)
4(5)
12(5)
2(1)
個別要望事項
7(6)
0(2)
1(4)
1(0)
5(0)
生活環境改善
1(0)
0(0)
1(0)
0(0)
0(0)
合計
41(35)
4(14)
6(11)
19(6)
12(4)
*外国出願の認容、商標の先後願に関する判断時期の改善を含む
知財分野建議事項と回答状況
外国語出願の認容【長期検討とされたが、実質受入れ】
PCTによる国際出願に係る手続補正の範囲【受入】
指定期間、不服申立期間の延長【長期検討】
特許法によるコンピュータプログラム自体の保護【長期検討】
特許の分割出願の時期的要件緩和【長期検討】
特許出願におけるマルチのマルチクレームの認容【長期検討】
特許期間延長制度における外国臨床試験の加算【受入困難】
無効審判の請求人適格の制限緩和【受入困難】
審判手続の改善【一部受入】
侵害訴訟における法院での権利の有効/無効判断【長期検討】
間接侵害規定の拡充【長期検討】
知的財産権侵害に対する権利者保護の強化【長期検討】
デザイン登録要件における拡大先願の改善【受入】
デザイン保護法における保護範囲について【受入】
デザイン無審査登録物品の見直し【長期検討】
商標の先後願に関する判断時期の改善【長期検討とされたが、一部
受入れ】
商標の指定商品の包括的な記載の拡大【長期検討】
不正の目的をもって使用する商標の判断基準について【一部受入】
伝統製品・酒類等における商標保護強化【一部受入】
特許庁ウェブサイト(KIPRIS)の改善【一部受入】
水際措置の拡大【受入】
日本コンテンツに対する規制の撤廃【長期検討】
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個別事項のポイント(受入れられたもの)
【外国語出願の認容】
○要望事項 英語など外国語での特許出願の許容
○回答状況 法改正により外国語出願導入予定(当面は英語のみ)
【PCT国際出願における手続補正の範囲】
○要望事項 PCT出願の明細書等の補正可能範囲を翻訳文から原文に拡大
PCT
国内移行
翻訳文
補正可能
範囲
翻訳されなかった事項、翻訳ミス
などについて、国際出願明細書に
基づく補正不可
補正不可
○回答状況
PCT
国内移行
法改正により補正可能範囲を原文に拡大予定
(外国語出願についても同様の予定)
翻訳文
補正可能
範囲
原出願の範囲で補正可能(日本の
誤訳訂正とほぼ同一)
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個別事項のポイント(受入れられたもの)
【審判手続の改善(新規)】
○要望事項 頻繁な人事異動による合議体変更の頻発、及びそれに伴う複数
回の技術説明会の抑制
○回答状況 審判官の移動は、退職など人事上やむを得ない場合に実施する
こと、合議体が変更となっても技術説明会の結果を共有し、不
要な技術説明会を開催しないことなどを確認
本建議事項の背景
~不適切な審理指揮等を受けた事例~
○韓国の当事者系審判では、「技術説明会」が開催されることとなっているが、開催案内通知が直前に
来たり、審判長が変わる度に「技術説明会」の開催が要請されるなど、日本企業にとって不必要に負
担が大きい事例が発生
○その他にも、頻繁な人事異動により合議体の変更が頻繁に行われ、場合によっては審理終結時期に
なって合議体が変更になるなど、安定した審理を受けることができないといった問題が発生
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個別事項のポイント(受入れられたもの)
【デザイン登録要件における拡大先願の改善】
○要望事項 同一出願人による先後願について、拒絶事由から排除
先願
部分デザイン
○回答状況
後願
全体デザイン
先願
部分デザイン
公開
法改正により同一出願人への適用を排除予定
後願
全体デザイン
先願、後願が同一出願人で
あっても拒絶の対象
【デザイン保護法における保護範囲について】
○要望事項 物品を離れたコンセプト自体の保護導入の反対
○回答状況 コンセプト自体の保護(グラフィック意匠)を除外して法
改正予定
【商標の先後願に関する判断時期の改善】
○要望事項 先登録商標との類比判断時期を出願時から登録可否決定時
に変更
商標登録A
商標登録A消滅
商標出願B
○回答状況
商標出願B審査、登録商標Aにより登録不可
今般の法改正により、不使用取消審判により取り消された
場合、先登録との類比判断時期を登録可否決定時に変更
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個別事項のポイント(受入れられたもの)
【不正の目的をもって使用する商標の判断基準について(新規)】
○要望事項 WARAWARA事件判例を現行法下における不正目的の判断基
準に導入せず、従前の判断基準を維持するよう要望
<商標審査基準における不正目的の判断>
・正当な商標権者が韓国市場に参入することを阻止又は代理店契約を強制する目的で正当な
商標権者がまだ登録していない商標と同一又は類似の商標を出願した場合
・著名商標と同一又は類似する商標であって、他人の商品や営業と混同を惹起するおそれが
ないとしても、その出所表示機能を希釈化させる目的で出願した場合
・創作性が認定される他人の商標と同一又はきわめて類似する模倣商標を出願した場合
○回答状況
現行の商標審査基準の維持
本建議事項の背景
~韓国WARAWARA無効審判事件~
○韓国のフランチャイズ店が日本風居酒屋として「WARAWARA」関連商標を登録
○これに対して、日本の商標権者が韓国特許審判院に対し無効審判を請求
<韓国特許法院の判断>
2001年出願に対する無効審判 ×請求不成立(2005年改正前商標法適用)
2007年出願に対する無効審判 ○請求成立(2005年改正による商標法適用)
→
韓国特許法第7条1項12号 不正の目的による商標登録の禁止
2005年改正前 国内又は国外の需要者の間に特定人のものと顕著に認識されている商標と同一又は類似の商標について、
不正目的による登録を禁止
2005年改正後 国内又は国外の需要者の間に特定人のものと認識されている商標と同一又は類似の商法について、
不正目的による登録を禁止
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個別事項のポイント(受入れられたもの)
本建議事項の背景
~韓国WARAWARA無効審判事件~
<韓国特許法院の判断>
2001年出願に対する事件 ×出願等時において日本の商標の顕著性を否定
2007年出願に対する事件 ○出願時において日本の商標の顕著性を肯定し、その他不正目的も認定
→
2007年出願に対する特許法院の説示要旨(2011ホ5861等)
以下の点から、韓国企業の不正目的を認定
①日本商標に対する日本の需要者の意識度が相当高く、また、創作性の高い日本商標に類似していること
②2002年に相手方が当該店舗をオープンさせたが、その際、2回笑う居酒屋という意味で日本商標の漢字におけるハングル音
訳
商標(ハングル語で「ソソ」)を用い、その後WARAWARAに変形して使用したこと
③2009年のインタビューで2000年から約5年、日本を訪問し店を見て回って参考にしたこと
④営業方式やインテリアが日本企業の店舗と類似し、実際に消費者の間で誤認・混同が生じていること
<大法院の判断>
2001年出願に対する事件 ×審理不続行(上告受理申立却下相当)
2007年出願に対する事件 ×原審破棄、差戻し(不正目的を認めず)
→ 2007年出願に対する大法院の説示要旨(2012フ672等)
①2007年の商標出願に先立つ韓国企業の2001年出願商標は、真正商標と類似するものの、日本商標は、その当時、日本国にお
いて顕著に認識されていたものではないから、韓国企業の2001年商標は、2005年改正前商標法に照らして適法
②その後、韓国企業は、2003年末頃から先の商標を使用し、日本風居酒屋のフランチャイズ営業を行うことにより、先の商標
に相当な認知度と営業上の信用を獲得
③一方、日本商標権者は、韓国商標出願当時、韓国で知られておらず、市場進出の計画もなく、さらに、韓国企業が日本商標
権者に接触し商標の取引を行った事実も存在せず
④以上の事情にかんがみ、韓国商標出願は、自身の先の商標に蓄積された営業上の信用及び認知度に基づいてその事業領域を
拡張するために出願したものであって、真正商標権者の韓国参入阻止や、代理店契約の強制、真正商標の名声に便乗した
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個別事項のポイント(受入れられたもの)
【伝統製品・酒類等における商標保護強化(新規)】
○要望事項 日本酒における「甘口」や「辛口」など、一般名称を商標
登録しないよう、審査体制の強化を要望
○回答状況 業界で一般名称として通用する用語について使用実態など
を把握し、商標審査官に対する教育を強化
本建議事項の背景
~日本酒一般名称の商標登録事件~
○韓国の日本酒インポータが「甘口」、「辛口」、「上撰」、「特選」等の一般名称を商標登録し、
韓国の同業他社に対し、商標権の侵害を警告
○当該日本酒インポータはじめ他の同業他社も日本酒の一般名称を多数商標登録していることが判明
(なお、本事件は、当事者間のビジネス上のトラブルが原因であったところ、商標権者に権利を独占する意図はな
かったということであり、独占的な権利行使は行わないこと、保有する商標権の扱いについて公平な扱いを行うこと
を書面で提出することにより、一応の解決が図られた。)
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個別事項のポイント(受入れられたもの)
【特許庁ウェブサイト(KIPRIS)の改善】
○要望事項 KIPRISにおける英訳拡大、英語検索機能の充実化
○回答状況 韓英翻訳機による特許公報の英訳サービスを導入
【水際措置の拡大】
○要望事項 特許・デザイン権の模倣品取締(2013年7月より)に対する
体制の確立、税関職員への模倣品判定教育の拡充
○回答状況 保護手続きの導入、企業による模倣品判定教育機会の拡大
韓国で提供販売される模倣品の製造国
模倣被害額の推定値
日本
45.0%
252.3
中国
13
中東
20.0%
15.0%
10.0%
5.0%
9.8
その他
0
アメリカ
25.0%
全模倣被害社中、2011年度において模倣品
の製造、販売、経由のいずれかの被害を受
けたと回答した割合(複数回答)
5.6
中南米
タイ
30.0%
37.1
東南アジア
韓国
35.0%
61.5
韓国
台湾
40.0%
68.8
台湾
中国
50
100
150
200
250
300
億円
0.0%
2007
2008
2009
2010
2011
年度
出典:いずれも2012年度模倣品被害調査報告書(日本特許庁)
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個別事項のポイント(受入れられなかったもの)
【特許法によるコンピュータプログラム自体の保護】
○要望事項 特許法におけるコンピュータプログラム自体の保護
プログラムが格納
された記録媒体
○保 護
プログラム
自体
×非保護
PCへのインストール
ネットワークによる伝送
○回答状況
×保護に限界
関連業界などの意見、他国の状況を分析し長期検討
→ コンピュータプログラム関連発明の保護に必要な事項のため、
今後も要望を検討
*)本建議事項は、在韓米国商工会議所も注目
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個別事項のポイント(受入れられなかったもの)
【知的財産権侵害に対する権利者保護の強化】
○要望事項 無効審判における無効率の低下(審査・審判・裁判に至る
までて予見性のある権利を設定)、過度に低額である損害
賠償額の適正化
○回答状況 損害賠償額の適正化、及び特許権の実効性の確保のため専
門家会議を開催、研究委託などを実施し、検討中
→ 特許権者の適切な保護のため、今後も要望を検討
*)2012年新規要望事項
権利者に不利な韓国知財訴訟
無効審判の状況(特許)
件
成立a
請求
不成立b
その他
成立率a/(a+b) (右 軸)
800
80.0%
700
70.0%
600
60.0%
500
50.0%
400
40.0%
300
30.0%
200
20.0%
100
10.0%
0
0.0%
2007
2008
2009
2010
2011
注)成立率(無効率)の母数には、審決却下、取下等含まず 出所:韓国特許庁知識財産権統計より作成
無効審決率約60%
特許侵害成立率約20%
訴訟時の平均損害賠償額
約5,000万ウォン(約350万円)
出所:有識者ヒアリング等によりジェトロソウル事務所が調査
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個別事項のポイント(受入れられなかったもの)
【特許期間延長制度における外国臨床試験の加算(新規)】
○要望事項 特許権存続期間延長に関し、新薬許可に必要な期間として、
韓国で承認された臨床試験のうち、外国で実施した期間も算入
○回答状況 外国での臨床期間は、韓国における新薬許可を受けるためのも
のではないため、新薬許可に必要な期間には算入不可
→ 外国での臨床機関についても、韓国食品医薬品安全処長が認めた場合、
韓国における新薬許可を受けるための試験として参照しており、回答に
事実誤認がある。そのため、再度要望を検討
*)2012年新規要望事項
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個別事項のポイント(受入れられなかったもの)
【その他継続事項】
建議事項
指定期間、不服申立期間の延長
内容
韓国政府回答
拒絶理由に対する意見書提出期間(2か月)、
請求により期間延長が可能であるところ、基本期間の延長は、
拒絶決定不服審判請求期間(30日)の基本期間
審査処理遅延等のおそれがあるため長期検討
の延長
特許の分割出願の時期的要件緩和 特許決定後の分割機会の付与
権利確定遅延、分割出願の急増等のおそれがあるため長期検討
特許出願におけるマルチのマルチ 多数引用請求項をさらに多数引用するクレーム
審査負担増の恐れがあるため、国際調和等の観点から長期検討
クレームの認容
の許容
無効審判請求人適格として、登録公告から3カ 請求人適格の制限は、訴えの利益がなければ請求権がないとい
無効審判の請求人適格の制限緩和 月以降も利害関係人の要件を撤廃し、何人でも う民訴法の基本理念を反映したものであるところ、制限緩和は、
請求できるよう緩和
請求濫用の懸念のおそれがあるため受入困難
侵害訴訟における法院での特許権
侵害訴訟における特許無効の抗弁の制度化
等の有効・無効判断
法院の技術判断体系整備など先決問題を解決した上で長期検討
関節侵害規定の拡充
関節侵害として認める範囲を特許発明の実施等
特許権の権利濫用等のおそれがあるため、衡平性、国際調和等
に「のみ」試用する部品等から、悪意を持って
の観点から長期検討
侵害に使われる部品等に拡充
デザイン無審査登録物品の見直し
個々の物品のライフサイクル等を吟味した無審 物品のライフサイクル等の分析、業界の意見等から総合的に長
査登録物品の決定
期検討
商標の指定商品の包括的な記載の 本体とその付属品等の包括的な指定商品許容の これまでも一部許容しているが、1類内、その範囲が明確、取
拡大
拡大
引状況などから今後も許容範囲を長期検討
日本コンテンツに対する規制撤廃
→
地上波での日本コンテンツ(バラエティ、ドラ
産業的な影響、国民感情等を総合して長期検討
マ)の放送許可
これらの事項についても、今後も継続して要望を検討
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今年度の建議に向けて
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営業秘密流出の問題
新日鐡住金VSポスコの例
韓国企業関連の営業秘密流出例
⑤民事訴訟を提起
(訴額約1000億円)
①人材流出
②さらに人材流出
④刑事訴訟
で有罪
③逮 捕
流出技術は新日鉄の
技術であると証言
協力関係にある企業であっても、日本企業の
営業秘密は常に流出する可能性がある(顧客
関係ならなおさら)。
また、日本発の技術は、韓国からさらに中国
まで拡散している。
2007年 LG電子のPDP技術流出
PDPの生産技術部長が中国企業に顧問と
して就職、PDP工場の図面等を漏えいさ
せ、営業秘密流出事件として逮捕
2011年 自動車関連会社のエンジン等技術流出
韓国自動車関連会社の退職者がロシア企
業に再就職、エンジン等の技術を漏えい
させたとして、3年間の当該部品の生産、
販売、輸出等を差止め(ソウル地裁)
2012年 サムスン電子、LG電子のOLED技術流出
イスラエルの検査機器供給会社の韓国人
スタッフが設計回路を盗撮し、中国、台
湾企業に売却、営業秘密流出事件として
逮捕
2012年 サムスンディスプレイのOELD技術流出
退職者がコンサルティング会社を設立、
製造工程技術等を中国企業やLGディスプ
レイに漏えいさせ、営業秘密流出事件と
して逮捕
2012年 コーロン、営業秘密侵害で販売差止等
米デュポン社がコーロンを営業秘密侵害
で訴え、今後20年、全世界での生産販
売差止め、9億1900万ドルの損害賠償を
言渡し(米国地裁)
2013年 サムスンディスプレイを強制捜査
韓国警察は、サムスンディスプレイがLG
ディスプレイのOELD技術を流出させたと
して強制捜査を実施
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営業秘密流出の問題
「部品素材分野における韓国・知的財産構築ラウンドテーブル」
(第1回2011.6.14、第2回2012.2.3、第3回2013.7.24)
<建議事項としての検討課題の例>
 営業秘密流出に対する刑事罰の強化(重罰化による抑止力)
 懲罰的賠償、父権訴訟などによる制度強化(同抑止力強化)
 他人の営業秘密保護を遵守するマインドの育成(啓蒙活動)
韓国企業においても、大手企業と取引を行う中小企業や、対中国企
業との間でも同様の課題を抱えていると思われ、日韓双方にWINWINが見込まれる。
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権利行使に関する問題
<韓国における知財侵害訴訟の状況>
知財侵害訴訟
権利者に不利な韓国知財訴訟
地方法院
高等法院
大法院
無効審決率約60%
審決取消訴訟
特許審判院
特許法院
○侵害訴訟の専属管轄なし
○侵害訴訟の訴訟代理権は、弁護士のみ
大法院
特許侵害成立率約20%
訴訟時の平均損害賠償額
約5,000万ウォン(約350万円)
出所:有識者ヒアリング等によりジェトロソウル事務所が調査
<その他、法律上の違い>
○特許法において、輸出が実施行為に含まれていない。
→ 日本は、輸出を特許権の実施行為に含んでいる。
○間接侵害行為の要件・運用が厳格(その物の生産・方法の実施に「のみ」使用する物に厳しく限定)。
→ 日本は、悪意を持ってその発明に必要不可欠なものを生産・譲渡・輸入等する行為も含め禁止している。
○侵害品の挙証責任の転換が認められていない。
→ 日本は、特許権者が主張する侵害品を否認する場合、被告に挙証責任が転換される(特104条の2)。
○輸出を特許法上における実施行為に含めていない
→ 日本は、特許法において侵害品の輸出も権利侵害行為として規定している。
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権利行使に関する問題
<建議事項としての検討課題の例>





審査・審判・裁判を通じた予見性のある権利設定(2012年提出済)
損害賠償額の適正化(2012年提出済)
侵害裁判の専属管轄化による判断の安定化
弁理士の訴訟代理権付与による専門家の活用
間接侵害規定の適正化、挙証責任のバランス調整な どによる知財保護の
環境整備
知的財産の保護・活用を重視する韓国政府の方針に合致する上、既
に議論されている事項も含まれており、日韓双方にWIN-WINが見込
まれる。
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ご清聴ありがとうございました。
今年度の韓国SJC建議事項については、
ジェトロソウル事務所地財チームホームページ(http://www.jetro-ipr.or.kr/)
「韓国IPG」→「SJC建議事項」をご参照ください。