PowerPoint - 国立天文台 太陽系外惑星探査プロジェクト室

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星形成・惑星・太陽系班 報告
+ トランジット惑星系のサイエンス
国立天文台
太陽系外惑星探査プロジェクト室
成田憲保
目次
• 星形成・惑星・太陽系班の報告
– メンバーと検討内容
– サイエンスの代理紹介
• トランジット惑星系のサイエンス
– 地球型惑星の大気吸収探索
– 地球型~海王星型惑星の軌道進化の解明
星形成・惑星・太陽系班 活動報告
班員:犬塚(名古屋), 大朝(埼玉大), 笠羽(東北大), 左近(東大), 佐藤(東工大),
住(名古屋), 関口(北教大), 成田(班長:NAOJ), 深川(阪大), 本田(神奈川大),
松尾(NAOJ), 山下(NAOJ)
(敬称略:50音順)
これまでの会合履歴
第1回 5月14日(金) 08:15-10:00 三鷹解析棟+TV-con
議題:班員紹介、検討班の方針とスケジュール決定、
第2回 6月14日(月) 08:00-10:00 三鷹解析棟+TV-con
議題:サイエンストピックスの決定と分担
第3回 8月 5日(木) 13:00-18:00 三鷹解析棟
議題:班員によるサイエンス検討状況発表
星形成・惑星・太陽系班 キャッチフレーズ
“星と惑星の誕生、そしてその環境に迫る”
星形成・惑星・太陽系班 検討内容
[1] 星形成の現場を探る (犬塚、大朝、左近、深川、本田)
(1a) 若い星からのジェットの観測
(1b) IMFの下限とその環境依存性
(1c) 星形成領域の中間赤外高分散分光観測による星間分子種の調査
(1d) 分子雲中における固体物質の成長・形成・化学進化
(1e) 高空間分解能による系外銀河の星形成領域の観測
(1f) 大質量星の形成
[2] 惑星形成の現場を探る (犬塚、深川、本田)
(2a) 形成中の巨大ガス惑星からのジェットの観測
(2b) 原始惑星系円盤・デブリ円盤の高解像度撮像
(2c) 原始惑星系円盤のガス観測
(2d) 円盤における磁場構造の調査
(2e) デブリ円盤中のギャップの詳細観測
星形成・惑星・太陽系班 検討内容
[3] 系外惑星の軌道・組成・環境を探る (佐藤、住、成田、松尾、山下)
(3a) さまざまな星のまわりの系外惑星探索
(3b) トランジット惑星大気の観測
(3c) ホットジュピターの反射光と放射光の高分散分光観測
(3d) ロシター効果による低質量惑星の軌道進化の研究
(3e) 重力マイクロレンズで見つかった惑星系の主星の同定
(3f) 新しい高コントラスト装置による系外惑星の直接撮像観測
[4] 太陽系天体の軌道・組成・環境を探る (笠羽、関口)
(4a) 準惑星・太陽系外縁天体の化学組成同定
(4b) 小惑星・外惑星衛星の熱放射の観測
(4c) 小惑星・彗星コマのマッピング観測
(4d) 彗星コマ中の未発見分子種の探査
(4e) 太陽系惑星・衛星の微量大気成分の探索
(4f) 太陽系惑星・衛星の発光現象の観測
(4g) 太陽系惑星・衛星の大気速度場・大気振動の観測
サイエンス代理紹介
• 太陽系
– 大気のある天体(笠羽)
– 大気のない天体(関口)
• 太陽系外惑星
– 地球型惑星の直接撮像観測(松尾)
太陽系の惑星・衛星のサイエンス概要
惑星・衛星は「明るい」対象である。しかし、以下の側面で「大口径を要する」のも事実である。
<代表例>
・微量大気分子検出 (地球大気におけるCO2・CH4・SO2・NOX・HOX等と同様、大気の履歴情報を握る)
緯度経度分布、高度分布(line形状) 、温度場(line強度比)、速度場(Doppler)
これらの時間変動およびその相関
<なぜ”大口径”を要するか>
(1) 高分散分光 (λ/dλ~ 105-7)
~特に近・中間赤外域~
・低温高密度の「分子大気」は、「同分子の吸収」が地球大気に存在するだけでなく、
対象側の「大気主成分による吸収」にも埋もれる。
「高感度・高空間分解能」の高分散分光観測は、新たな窓となる。
(・惑星探査機は重量制限が厳しく、高分散分光能力の付与は困難。)
(2) 高時間分解能 (dt~ several 10s-100s)
・対象は、強度・空間分布に早い時間変動を伴うものが多い。
・対象は自転に伴って移動するため、長積分時間は「空間分解能の喪失」につながる。
「高感度・高空間分解能」の高時間分解能観測は、新たな窓を開けうる。
(・惑星探査機は通信制限が厳しく、軌道制約もあり、「広範囲を高時間分解能で抑える」ことに不向き。)
(3) 高空間分解能 (「AO」の適用を前提)
・対象は、大きくてもせいぜい1’以下、通常数arcsec程度に過ぎない。
「緯度経度の分解」は本来必須要件である。
(・惑星探査機と真の意味で補完関係を構築するにはこの水準が必要。)
(・惑星探査機が常時周回しうるのは、今後数十年範囲で考えても火星のみ。)
観測ターゲットと目的
(1) 高分散分光 (λ/dλ~ 105-7)
(2) 高時間分解能 (dt~ several 10s-100s)
(3) 高空間分解能 (「AO」の適用を前提)
[この側面はここではあまり強調しない]
これら特性によって、現在進行・検討されている以下のScienceにブレークスルーをもたらしうる。
(A) 惑星・衛星における微量大気成分からの情報導出
・金星・火星・Titan等: 地殻活動(火山性活動、極冠の蒸発・凝結等を含)や光化学・宇宙線反応に
よって左右される微量大気成分の検出が可能。また、それらの大局分布の高時間・高空間分解観
測によって、これら「TRACERガス」による大気循環・変動の把握を可能。
・高分散分光観測によるLine profileの高精度計測が可能となることで、高度分布(line形状) 、温度場
(line強度比)の空間・時間変動の解明が可能。
(B) 惑星・衛星における弱発光の検出
・金星・火星・エンセラダス等: O原子等の発光線を「惑星・衛星至近」まで空間分解して検出することで、
周回探査機による「短期間一点観測」に頼らず、「大気宇宙流出」の総量を把握。
・金星・火星・木星等: 雷のような「瞬間発光現象」の検出可能性が向上。
(C) 惑星・衛星における弱速度場の検出
・金星・火星・Titan等: 直接観測が困難な大局的大気速度場を、直接取得する。
・木星・土星: 中性大気とプラズマ大気間の力学的・電磁的結合を、これらの速度場・温度場の同時計
測によって初めて可能に。
・木星: 大気振動(=木震)の直接検出により、巨大惑星の内部構造情報を直接取得。
(1) 準惑星・外縁天体の近赤外線低分散分光による化学組成同定
担当: 関口  木下 (台湾中央大)
固体表面における太陽光反射光の近赤外波長域
での低分散分光から炭化水素などの揮発性
物質やケイ酸塩鉱物による吸収を見て、化学
組成や結晶構造を決定する。
現状の8-10mクラスではまだまだ大きなものしか
できていなく、理論との比較に重要な、特異な
軌道を持つ天体の分光は明るさの観点でまだ
ほとんどできていない。外縁天体は最も明るい
ものでもV20等弱の暗さ。
カイパーベルトから内部オールト雲天体へのサイ
エンスを拡げるためにもV20等台中盤までの
低分散分光が必要。(近赤では可視より2等程
度明るくなる)
V19等
Eris
Pluto
V14等
ちなみに
近赤外では吸収がある
ため、明るさはV等級で
比較するのが慣例
(2) 彗星コマの近赤外線高分散分光による未発見分子の検出
担当 関口  河北 (京産大)
近赤外高分散分光から彗星有機分子の探査を行い彗星核を構成
する分子組成や形成温度条件を決定する。現状の8-10mクラス
では、可視等級で6等程度までで、ひじょうに明るい彗星の、混
ざりの少ない、明るい輝線しか同定できていない。
CH4 ν3 fundamental
vibrational band
振動バンドの観測では、
・回転遷移で見えない対称
形な分子(CH4やC2H6など)
でも観測可能
・一度に多くのラインを観
測可能(より正確な組成比決
定)
など電波領域にくらべて利点
が多い
検出例) CH4、C2H6、C2H2
検出例) CO、OCS、H2O
(3) 小惑星や彗星核・衛星の中間赤外線測光による熱放射の観測
担当 関口  長谷川(JAXA)
小惑星のサイズとアルベドを決めるためには、熱放射の観測が必
要。天体の自転を観測することにより、固体物質の熱慣性特性
にも迫れる可能性がある(これまでの探査機でしか得られてい
ない)。比較のためにもV15等台より暗い小惑星を狙いたい。
Tempel 彗星の彗星核の熱慣性値
→ 0 ~ 10 [ J m-2 s-0.5 K-1]
Groussin et al. 2007
Rotationally Resolved 8 35
Micron Spitzer Space Telescope
Observations of the Nucleus of
Comet 9P/Tempel 1
Lisse et al. (2005)
(4) AOによる高空間分解能観測による小惑星や彗星コマのマッピング
担当: 関口  寺居 (神戸大)
小惑星のマッピングはまだHSTによるセレスとベスタがなされてる程度である。
HSTの空間分解能はピクセルスケールで決まるとすれば 0.″027 である。
TMTのKバンドの最高分解能 0.″015 によって、さらに小さな小惑星が分解でき
るほか、同様の観測で、準惑星のサイズ決定も可能となる。彗星コマでは、こ
の空間分解能では核近傍におけるジェット噴出の構造が見えてくる。
小惑星のマッピング:
Vestaの例
近くて大きな小惑星なら
TMTで空間分解可能
TMT:
0.015"@K
Second-Earth Imager for TMT (SEIT)
松尾太郎、小谷隆行、村上尚史、田村元秀
• 日本独自の新しい観測装置による、HZにある「1」地
球質量の地球型惑星の直接撮像を提案
HiCIAO
1.E-06
コントラスト
• (より内側を見るために)近赤外線
ではなく、可視光観測による新しい
アプローチ
 主星近傍で高コントラストを可能
とする装置 (10の8乗@0”.01)
ELTsで初めて地球型惑星の探査
を可能に!
• 世界で初めての地球型惑星の直
接撮像の実現の機会 (NASAの
TPF計画は2025年以降)
1.E-05
1.E-07
1.E-08
SEIT PFI
1.E-09
TPF
1.E-10
0.01
0.1
1
離角 (arcsec)
10
観測目標
1. HZ内にあるスーパーアースを含めた「1」地球質量
の地球型惑星の探査
 K型星からM型星
2. HZ外にあるスーパーアースを含めた「1」地球質量
の地球型惑星の探査
 F型、G型星
3. 氷型惑星、木星型惑星の探査
K、M型星周りでの地球型惑星探査の意義
• 10pc以内に豊富なサンプルを提供
• K型星周りでの地球型惑星探査
- HZが長期間安定  生命の進化に好都合
• M型星周りでの地球型惑星探査
- 他のスペクトル型星に比べて地球型惑星の多くの発見
(既にHZ内で地球型惑星の発見:Gliese 581)
- すばるとのシナジー:IRDでのM型星周りでの惑星探査
検討内容紹介
• トランジット惑星系のサイエンス
– 地球型惑星の大気吸収探索
– 地球型~海王星型惑星の軌道進化の解明
惑星が恒星の前を通過する現象
トランジット惑星の大気吸収探索
主星
主星の光
主星元素の
吸収線
惑星および
外層大気
惑星由来の
追加吸収
惑星の昼と夜の境目の部分を透過した光を分光し
惑星大気による吸収を調べることができる
理論的予言
雲がないホットジュピターに対する透過光モデル
-1.47% (base)
-1.53% (base)
-1.70%
(peak)
Seager & Sasselov (2000)
2009/7/28
-1.71% (peak)
Brown (2001)
特に可視領域のナトリウム線や赤外の分子吸収バンドで
強い追加吸収が予想されていた
18
観測による検出例
実際にホットジュピターでは大気が検出されてきている
系外惑星大気の4つの観測戦略
1. 宇宙望遠鏡による分光・測光 ( HST, Spitzer, JWST, SPICAなど)
– 地球大気の影響がない
– 中間赤外では地上大口径望遠鏡より高い精度(地上観測と相補的)
2. 地上大口径望遠鏡の高分散分光器 (Subaru, Keck, TMT, E-ELTなど)
– 高分散にするほど追加吸収シグナルは大きくなる
– 吸収線周辺の連続光部分を用いてフラックス補正ができる
– 地球大気の吸収線が多いところは苦手
– ナトリウムD線では有望、酸素A線は解析に工夫が必要
系外惑星大気の4つの観測戦略
3. 地上大口径望遠鏡+広視野多天体分光器
– 視野内の参照星を同時に撮る
– 大気の変動を同時モニターしてフラックス補正ができる
– 酸素A線や赤外の分子吸収線で有望(Subaru/FMOSで実証可能)
4. 地上大口径望遠鏡+広視野ナローバンドフィルター測光観測
– 参照星との相対測光観測を見たい吸収線まわりのナローバンド
フィルターで行う
– ワイドなフィルターや参照バンドとのトランジット深さを比較
– GTC10m望遠鏡/OSIRISがカリウムの検出に成功
– 原理的にはSubaru/Suprime-Camでも可能
TMTでの3つのケーススタディ
• 近赤外の分子線(H2O, CO, CO2, CH4, etc)
– 参照星との同時観測による地球大気補正が必須
– TMT/IRMS や IRMOS などが有望(広視野ほど良い)
– 中間赤外のSPICAとのシナジーも考えられる
• ナトリウムD線(~589nm)の探索
– 生命とは関係ないが、雲の量(天気)の指標となる
– TMT/HROS が有望
• 酸素A線(~760nm)の探索
– 部分月食の観測から地球ではナトリウムより透過吸収量が
強いことが実証されている
– TMT/HROS or TMT/MOBIE が有望 (参照星があれば後者)
追加吸収の強さの特徴
• 惑星による吸収が起こるのは惑星の外層大気のopacityが
小さい円環部分
• 追加吸収量はおおざっぱに ~2πRpH / πRs2 ∝ Tp / μ ρp Rs2
– H : 大気のスケールハイト、 Tp : 惑星の温度
– μ : 大気の分子量、 ρp : 惑星の密度、 Rs : 主星の半径
– 惑星の温度、密度、分子量と主星の大きさによる
– 実は惑星の半径や軌道長半径にはよらない
• 好ましいターゲット
– 温度が高く、密度が低い惑星
– 主星は小さい方が有利
スーパーアースGJ1214bに対するモデル
M4.5型星(J=9.75, H=9.09, d=13pc)のまわりのスーパーアース
温度: 555Kの場合のモデル
赤:太陽系組成 x1
緑:太陽系組成 x30
水色:太陽系組成 x50
群青:100% H2O
濃緑:50% CO2, 50% H2O
黄色:100% CO2
Miller-Ricci & Fortney (2010)
実はFMOSでもある程度の
大気組成の推定が可能
TMT/多天体分光器での分子吸収探索
• FMOSの場合、GJ1214bに対して1トランジットあたり0.01%程度の
追加吸収を探すことができる
• 追加吸収量はおおざっぱに ~2πRpH / πRs2 ∝ Tp / μ ρp Rs2
• GJ1214bのモデルをスケーリング
– GJ1214b 質量: 6.55 ME, 半径: 2.68 RE, 密度: 0.91ρE, 温度: 555K
– トランジット継続時間: 50分, 主星: M4.5型星, 半径: 0.211 Rsun
• TMT/多天体分光装置+明るい参照星を仮定すると
– J, H等級が10等より明るくて、0.5Rsunより小さい主星(M型星)の
まわりの「地球」 (質量、半径、温度が地球と同じ)であれば、
一晩のトランジット観測で大気組成の推定が可能
– K型晩期星の場合、数回の観測で同程度の精度
TMT/高分散分光装置でのナトリウム探索
• TMT/可視高分散分光器でトランジット中と外を観測
 V=9 より明るい主星、トランジット観測時間は 5時間以上
 トランジット中と外でSNR ~50000が達成できる
 トランジット中と外で差分を取ると、1σ~0.003%
• 雲のない大気モデルでホットジュピターは~0.2% の追加吸収
 ∝ Tp / μ ρp Rs2 の関係式を用いると、太陽+地球では~0.01%
 主星が太陽より小さければ小さいほど好ましい(M型・K型)
• TMTにHDS-likeな高分散分光器を仮定すると
 惑星上層部の雲の有無を調べることができる
 雲が少なければナトリウムを検出することが可能
検討結果
• TMTで検討されている多天体分光器、高分散分光装置などに
よって、トランジット惑星の大気吸収探索ができる
 特にM型、K型晩期星のまわりの、ハビタブルな温度の地球
型惑星では大気分子組成と雲の有無の推定が可能
• 参照星があることが重要
 Subaru/IRDやTMT/SEITなどとの連携で、日本独自の強み
が活かせる
 残念ながら主星が大きいG型星はかなり厳しい
• 特に明るいターゲットではすばる/FMOSも有効
 Subaru/FMOSで方法論を確立することができる
検討内容紹介
• トランジット惑星系のサイエンス
– 地球型惑星の大気吸収探索
– 地球型~海王星型惑星の軌道進化の解明
惑星が恒星の前を通過する現象
トランジット惑星のロシター効果
主星
惑星
惑星
近づく側を隠す
→ 遠ざかって見える
遠ざかる側を隠す
→ 近づいて見える
この現象を利用して、トランジット惑星がどのような経路を通って
主星の前を通過したかがわかる
惑星の公転方向とロシター効果の関係
順行
逆行
極行
星ナビ2005年2月号
解説記事より作成
恒
星
の
見
か
け
の
速
度
恒
星
の
見
か
け
の
速
度
順行
遠ざかる
近づく
逆行
遠ざかる
極行
近づく
惑星はどうやって軌道進化するのか?
代表的な理論モデルとその予言
• 惑星落下モデル
– 小さな軌道離心率、小さな公転軌道傾斜角を予言する
• 惑星散乱モデル、古在移動モデル
– さまざまな軌道離心率、公転軌道傾斜角を予言する
– 主星の自転に対して大きく傾いたり、逆行する軌道を持つ可能性がある
ロシター効果の測定で惑星移動モデルの観測的検証ができる
木星型惑星のロシター効果の観測結果
Stellar Spin
Planetary
Orbit
木星型惑星では、主星の自転軸と惑星の公転軸のなす角度
(spin-orbit alignment angle) は必ずしもゼロではない
TMT時代のモチベーション
• 木星型惑星に限らず、海王星型惑星や地球型惑星まで含
めた惑星の軌道進化を明らかにしたい
• 大口径望遠鏡の(可視/赤外)高分散分光器による観測が
手がかりを与えてくれる
ロシター効果の観測可能性の検討
• ロシター効果の観測可能性はロシター効果の振幅と惑
星のingress/egressのタイムスケールによる
• ロシター効果の振幅は ~恒星の自転速度×隠す割合
• ingress/egressのタイムスケールは10分~1時間
• 高時間分解能と高精度な視線速度測定が必要
ロシター効果の振幅
惑星のingress/egress
タイムスケール
ロシター効果の振幅のオーダー評価
恒星の射影自転速度
隠す割合
ロシター効果の振幅
F, G, K
木星型
1km/s~10km/s
~1%
10~100m/s
F, G, K
海王星型
1km/s~10km/s
~0.1%
1~10m/s
F, G, K
地球型
1km/s~10km/s
~0.01%
10cm/s~1m/s
M
木星型
100m/s ~ 1km/s
10%~
~100m/s
M
海王星型
100m/s ~ 1km/s
~10%
10~100m/s
M
地球型
100m/s ~ 1km/s
~1%
1~10m/s
考慮すべき事柄
 M型星は可視で非常に暗く、赤外になると非常に有利
 将来の観測装置として
• すばる/IRD、TMT/可視、TMT/赤外 がそれぞれ~
1m/s の視線速度の精度を達成できると仮定
• E-ELT/CODEXでは ~10cm/s 以下の精度を仮定
 TMTでも同程度が達成できると仮定
ロシター効果の観測可能性
すばる
HDS
すばる
IRD
TMT/可視 TMT/赤外
(1m/s)
(1m/s)
TMT/可視
(10cm/s)
F, G, K
木星型
○
○
○
○
○
F, G, K
海王星型
△
△
○
○
○
F, G, K
地球型
×
×
×
×
○
M
木星型
△
○
○
○
○
M
海王星型
×
○
○
○
○
M
地球型
×
△
△
○
△
○:多くのターゲットで可、△:一部のターゲットで可、×:ほぼ不可能
検討結果
• 将来の大口径望遠鏡+高分散分光器による視線速度観測で、
より小さな惑星の軌道進化を観測で調べることができる
• TMTの視線速度測定装置でターゲットの拡大が可能
• 可視で~10cm/s, 赤外で~1m/s程度の視線速度の精度があ
れば、地球型惑星まで網羅した惑星の軌道進化の研究が可能
となる
議論
• 必要な観測装置のまとめ
• 追加すべき検討項目
• 質問など
使いたい観測装置
• 広視野(FOV~10 arcmin) 可視・近赤外多天体分光器
• 可視・近赤外・中間赤外 高分散分光装置 (R ~ 100000)
• 視線速度測定装置 (可視 ~10cm/s, 近赤外 ~1m/s)
• 高コントラスト可視直接撮像 ([email protected] arcsec)
• NIR-MIR IFU with AO
• NIR-MIR 高空間分解能撮像 with AO
• MIR 偏光
• L バンド分光・撮像
• pupil remapping 装置
追加すべき検討項目
• 褐色矮星の大気