シルクスクリーン京瓦の扱い方

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Transcript シルクスクリーン京瓦の扱い方

京都工芸繊維大学
伝統みらい教育研究センター
浅田 晶久
Future-Applied Conventional Technology Center
伝統に内在された知恵を使って、
新たなものづくりを創成
伝統産業とは長い歴史において淘汰され
残った技術を基礎とするものであり、その時
代においては最も先駆的な先端産業であっ
たといえます。
「伝統みらい」の目指すところは“伝統に内在
された知恵を使って新たな物作りを創成し、
日本のみらいを切り拓く“ことです。
京瓦師
1948年 京都市生まれ
大阪工業大学工学
建築工学科卒業
博士(学術)
「京瓦の物性と
伝統技法「磨き」の研究」
浅田製瓦工場 3代目
京都工芸繊維大学
Kyoto Institute of Technology
浅
田
製
瓦
工
場
大学理念
・人類の存在が他の生命体とそれらを取りま
く環境によって支えられていることを深く認識
し、人間と自然の調和を目指す。
・人間の感性と知性が響き合うことこそが、
新たな活動への礎となることを深く認識し、
知と美の融合を目指す。
・社会に福祉と安寧をもたらす技術の必要性
を深く認識し、豊かな人間性と高い倫理性に
基づく技術の創造を目指す。
伝統の引っ掛け桟瓦で通産大臣賞
を受賞した父・良治氏を継いで京瓦
窯元の三代目となる。
・平安京豊楽殿の鴟尾を再現
・奈良時代、平安時代の鬼瓦の復
元に挑戦
・従来機能美に近かった瓦の伝統
技術を独創的な物造りに活用
・京都工芸繊維大学伝統みらい
教育研究センター特任教授
京瓦の真髄「磨き」
匠からのメッセージ
日本の歴建造物に欠かすことがで
きないのが瓦。
京都工芸繊維大学シンボルマーク
京都で伝統的に製造されてきたいぶ
し瓦を京瓦と呼ぶ。京瓦の特徴は、乾
ききっていない製品表面を金ベラで撫
ぜる「磨き」工程を有することであり、
それにより焼結、いぶし後の製品の
表面が美しく仕上がる。
本学の理念である知性と感性の響き合い 、
知と美とが結びつき技を作り出し、伝統文化と
先端科学の融合を目指す本学の姿勢を反映
その中でも特に、神社仏閣、京町家
の屋根を守っているのが京瓦です。
京瓦をもっと身近に感じてもらえるよ
うな製品を提案します。
シルクスクリーン京瓦の扱い方
手脂が付着すると変色しますので、
触れる際は必ず軍手を使用してくだ
さい。
シルクスクリーン京瓦
いぶし瓦の特徴は焼結後に燻すことで得られ
る独特の黒銀色にあります。京瓦は製造工程
中の「磨き」によって完成品表面を滑らかにし、
より一層、均一な黒銀色を得ることができます。
掃除の際は、ハケなどで優しく撫で、
ホコリ等を除去してください。
このたび、孔版画技法の一種であるシルクス
クリーンを京瓦製造に応用することに成功しま
した。
浅田製瓦工場
明治44年に初代・浅田徳三郎が伏見区紙
子屋町にて創業
木型を使った軒平瓦造りが得意とする良治
氏(2代目)は、伝統の引っ掛け桟瓦で通産
大臣賞を受賞した経験を持つ。
現在は晶久氏(3代目)が鬼瓦を中心に京瓦
製造の伝統を受け継いでいる。
磨きによって得られる滑らかな表面にシルクス
クリーンを行い、図柄を印刷することで京瓦を
新たな分野に応用することを提案します。
京瓦の研究
~暗黙知から形式知へ~
【目
的】
京瓦の伝統的な技法である磨きであ
る。乾ききっていない製品の表面を金
属のヘラで撫ぜることにより、完成品
表面は美しくなる。
磨き工程の回数と表面構造そして表
面特性の関係を検討した。
これまで浅田製瓦工場製の瓦は南禅寺全
般 の 諸 寺 院を 始 め 京都 の 名 刹 の 屋 根を
飾ってきた。
【実験内容】
磨き工程の回数が異なる試験片を
用意し、試験片表面の光沢度を測定。
現在でも京瓦を伝統的な手法で製造してい
るのが浅田製瓦工場であり、機械化による
大量生産の波に押され全国的に姿を消して
いる熟練の瓦製造技術を、現代に伝えてい
る唯一の京瓦窯元である。
現在、干支瓦の製作体験や鍾馗さん製作
ワークショップ等も随時開催しており、「開か
れた工房」としての特色が濃くなっている。
シルクスクリーン京瓦の制作工程
表面粗さを測定。
印刷している様子
【実験結果】
光沢度は磨き回数の増加に従い、
増加する傾向がみられた。
表面粗さは磨き回数の増加に従い、
減少する傾向にあった。
シルクスクリーン京瓦の原料は従来の京瓦と
同様に粘土です。
水に溶いた粘土をインクのように使用し、あら
かじめ製版したスクリーンで、京瓦の表面上に
図柄を印刷します。
平成23年
平安京豊楽殿、鴟尾の再現 製作に4ヶ月を
要した大型製作となった。
平成24年
第57回日本学術会議材料工学連合講演会
にて発表 「京瓦の最高峰「本ウス」再現の
ための研究」。