Transcript Λ(1405)

格子QCDから見たJ-PARC
石井理修(筑波大)



Exotic hadrons in Lattice QCD

J-PARCで関心が持たれているexotic hadronと
格子QCDにやれること

例:

存在確認、量子数決定:Θ+

内部構造の探索:5Q picture of Λ(1405)
Nuclear forces from Lattice QCD

核力の現状と近未来の方針

ストレンジネス物理への応用
Summary
Exotic hadrons in Lattice QCD
J-PARCで関心が持たれているexotic hadronと格子QCDにやれること
 J-PARCで関心が持たれているexotic hadron:
 penta-quark Θ+(1540)
世界初のmanifest exotic hadron候補。現在苦境にある。J-PARCで新展開を期待される。
 Λ(1405) as a candidate of NKbar molecule (5Q)
“重い”strange quarkを含むにもかかわらず、negative parity sectorで一番軽いバリオン。
Strange multi-baryon のstarting point。
古くからNとKbarのmoleculeであるとする考え方がある。
 scalar mesons below 1GeV: f0(980), a0(980), κ(800), f0(600)
scalar のqqbar状態の自然な質量は、1.3~1.4 GeV前後と言われる。
実験的スペクトルは、qqbarよりも4Qの方に近い。
 H-dibaryon
代表的なexotic hadron。一番simpleなストレンジレット。根強い人気がある。
 J-PARCで新しく見つかるかもしれないexotic hadron
格子QCDにやれること
 存在確認、量子数決定等。(第一原理計算の使命)
 内部構造の探索。
Systematic な方法はない。
多くの場合、特殊なidealized limitとか何らかの近似、有効理論との連携が必要。
何らかの状況証拠を集めて、こういう議論に突っ込む。
これらは、exotic hadronがほぼ共通に持つ次の困難を乗り越えて行われなければならない。
これらの粒子はground stateではない。
虚時間方向への時間発展を主力とする格子QCD Monte Carlo 計算は、
ground stateの抽出は得意だが、excited stateの抽出は苦手。
G ( )  0 O ( ) O ( 0 ) 0


2
0O n
e
 E n
 0O G
2
e
 E G

n
 これらの粒子は強い相互作用で崩壊し、non-zeroの崩壊幅を持つ不安定粒子である。
格子QCDは不安定粒子は苦手である。(不安定粒子をまじめに取り扱う必要がこれまで少なかった)
--- quenched QCDでは、通常のハドロンはdecayしない。
--- full QCDでも、重たいクォーク質量を採用している場合(これまでそうであった)、
多くの不安定粒子はdecayしなくなる。(ρ, Δ, …)
 これらの不安定粒子は、”連続スペクトル”中に埋まって出てくる。
得られた状態がそのまま目的の粒子に対応するわけではない。(ほとんどすべては単なる散乱状態)
 格子QCDからaccessしにくいhadronが存在する。
何が原因でうまくいかないのかよく分からない場合が多い。
--- 有限体積, chiral外挿, hadron operator, action, クェンチ近似の弊害, 特殊な内部構造を反映(?)、etc.
 qqbar annihilation diagramを伴う場合がある。
(計算量が膨大になる。ノイズが増大する。)
 計算量が膨大な場合がある。
(例)存在確認、量子数決定:penta-quark Θ+ (5Q)
量子数決定  存在確認(次第にシフト)
当時の最大の疑問点
「なぜあの位置にあんなに狭い崩壊幅の粒子が存在できるのか?」
これに答えるべく、様々なmechanismが考案された。
格子QCDにより量子数(特にスピンとパリティー)を決定すると
これらのmechanismを絞り込むことが可能になるため、
同時に内部構造に関する情報もえられる。
Θ+(1540)は、それまでの通常のハドロンと違った難しさを持っていた。
 Θ+(1540)は、ground stateではない。
 Θ+(1540)は、(細いけれども)有限の崩壊幅を持つ不安定粒子である。
quenched QCDの段階ですでに崩壊する。
 Θ+(1540)は、NKの連続散乱スペクトル中に埋まって出てくる。
(NKの散乱状態とΘ+(1540)を区別する必要がある)
 Θ+(1540)は、correlatorの計算に大量の計算量を必要とする。
これらを克服するため、様々な方法が適用された。
 excited stateを抜き出すための cross correlator対角化方法。
 NKの単なる散乱状態からΘ+(1540)を選別するための様々な有限体積の方法。
Θ+ spectrum on the lattice
Typical spectrum of Θ+ for JP=1/2(±)
Region accessible by lattice QCD
★ For JP=1/2(-),
状態が魅力的な位置に出てくる !
(NK threshold 100 MeV位上)

初期の段階では、
Θ+(1540)の有力な候補であった.
この状態は NKの単なる散乱状態ではない
ことをチェックしなければならない。
このため、有限体積を利用した様々な方法が
用いられた。
軽いquark mass領域で直接格子QCD Monte Carlo
計算を行うのは難しい。
カイラル外挿をつかう。
(格子QCDで計算可能な領域のデータを
軽いquark mass領域まで外挿する)
★ カイラル外挿の結果
1.
JP=1/2(+): m5Q = 2.25(12) GeV
This is too heavy for Θ+(1540) !
2.
JP=1/2(-): m5Q = 1.75(4) GeV
This state appears
above NK threshold by about 100 MeV.
(1) Volume dependence of mass
(2) Volume dependence of
spectral weight(overlap)
(3) Method of Hybrid boundary condition
Method of Hybrid BC(HBC)
HBC は flavor 依存型の twisted BC (空間方向).
• anti-periodic BC: u, d quark
• peroidic BC:
s quark
Composite hadron fields are subject to
• N(udd), K(u sbar) : anti-peroidic BC
• Θ+(uudd sbar)
: periodic
BC
有限サイズLの箱の中では、
反周期境界条件のため、N と K は止まれない。
L~2 fmの場合,
最小運動量:pmin~500MeVをもつ。
PBC vs HBC [5Q spectrum for JP=1/2(-)]
(Periodic BC)
Chiral extrap for PBC
m5Q=1.75(4)GeV
HBCによって、
NKの散乱状態はこの領域から押し出される。
★ Large shift indicates that
the state is a scattering state.
格子QCDによるΘ+の研究の進展:
SPIN 3/2
ac t io n
o pe r at o r
an alysis
pe n t a qu ar k
F.Scikor et al.
JHEP11('03)070
S.Sasaki
PRL93('04)15200
T.-W.Chiu et al.
PRD72('05)034505.
N.Mathur et al.
PRD70('04)0745008
N.Ishii et al.
PRD71('05)034001
T.T.Takahashi et al.
PRD71('05)114509.
B.G.Lasscock et al.
PRD72('05)014502.
C.Alexandrou et al.
PRD73('06)014507.
F.Scikor et al.,
PRD73('06)034506.
K.Holland et al.
PRD73('06)074505.
B.G.Lasscock et al.
PRD72('05)074507
N.Ishii et al.
PRD72('05)074503
Wilson
fused NK
(2x2 diagonalize)
diquark
volume dep.
(mass?)
standard analysis
negative parity
standard analysis
positive parity
overlap
3x3 diagonalize
(diquark,NK,fused NK)
NK
not observed
improved Wilson
diquark
volume dep.
(mass,spec. weight)
HBC analysis
Wilson
2x2 diagonalize
(NK, fused NK)
NK, fused NK, diquark
("3x3" diagonalize)
2x2 diagonalize
(diquark, NK)
"14x14"diagonalize
(spatially non-trivial op.)
2x2 diagonalize
(fused NK, NK)
NK^* (spin 3/2)
volume dep.
(mass,spec. weight)
mass spliting analysis
negative parity
(1st excited state)
not observed
Wilson
domain wall
FLIC
Wilson
Wilson
fixed pt action
FLIC
improved Wilson
negative parity
not observed
volume dep.
negative parity
(mass, spec weight)
volume dep.
not observed
(mass)
quark mass dependence not observed
mass spliting analysis
diquark, N*K, twisted N*K HBC analysis
(spin 3/2)
(low-lying)
JP=3/2^+
not observed
★ これらの結果には次のような consensusがある。
• low-lying Θ+ is not found in any channels. (except for exceptions)
• There may be a candidate of a compact 5Q resonance in JP=1/2(-)
above NK threshold by about 300MeV. (as an “excited state”)
テクニックが次第に
進化している
Use of cross correlator becomes standard.
Gr o u p
Resonance nature begins to be taken seriously.
SPIN 1/2
★ only published articles. Only quenched calculations are available.
★ low-lying Θ+に対して格子QCDはnegative。
しかしながら、すべての可能性が尽くされたわけではない。
---- Large spatial volume, quenched artifact, chiral 外挿の不定性, πKN picture, I=2, ...
Exotic hadronを扱うテクニック
 Θ+の恩恵として、格子QCDでexotic hadron(~resonance)を扱う技術が普及した。
 excited stateを扱うための cross correlator の方法。
 単なる散乱状態とresonanceを区別するための様々な有限体積や境界条件を使った方法。
 Θ+は現在苦境にあるが、数年前より今の方が不定性の少ない研究が可能な状況にある。
 非常に軽いクォーク質量を採用したfull QCDゲージ配位が入手可能になる。
 クェンチ近似やカイラル外挿に起因する不定性が軽減。
 resonance を正面から考える新しい方法の出現:
 phase shift method
Luscherの方法で位相差を計算して、そこからresonance parameterを読み取る。
ρππ decay widthに応用されている。S.Aoki et al., CP-PACS Collab. PRD76,094506(2007).
(軽いクォーク質量のfull QCDの普及に伴い、この方法は必ず発展する)
 histogram method
resonanceを含むenergy spectrumの体積依存性で見られる特徴的な現象”avoided level
crossing”を直接利用した非常に新しい方法。
V.Bernard et al., arXiv:0806.4495[hep-lat].
(例)内部構造探索:5Q picture of Λ(1405)
1.
重たいstrange quarkを含むのに、何故かnegative parity sectorで一番軽いバリオン。
2.
strange multi-baryon の starting point。
(原子核にKbarを打ち込むことによってできる高密度物質)
3.
Λ(1405)に関する二つの描像:
3Q(SU(3)f singlet)
⇔
5Q(“molecule” of N & Kbar)
どちらが優勢か?
(↑ 量子論的にはこれらは混じり合うが、それでも興味深い問題)
4.
Λ(1405) は格子QCDでは再現しにくいことが知られている。
(quenched QCDでは、300-400 MeV もoverestimateされる)

One of the interesting opinions:
この問題はΛ(1405)の5Q pictureに原因があるのかもしれない。
1.
Y.Nemoto et al., PRD68, 094505 (2003).
2.
W.Melnitchouk et al., PRD67, 114506 (2003).
3Q dominates
intermediate
quenched QCDで通常の3Q operatorを使ってΛ(1405)を研究すると、
中間状態は3Q状態が支配的になり、5Q状態は中途半端にしか含まれない。
Λ(1405)で5Q pictureが本質的であるならば、
mass spectrumが再現できないのが当然である。
3Q vs 5Q: Λ(1405)
3Q の計算と5Qの計算を比較してみる。
5Qの計算の方に、3Qの状態が入らないようにするため、
(i)
quenched QCDを採用
(ii)
annihilation diagramを省く。
(同時に計算量も削減できる)
For 3Q calculation,
we use 3Q operator
  uds
(3Q operator)
3Q component is domant
in quenched QCD
For 5Q calculation,
we use 5Q operator
  pK

 nK
0
(5Q operator)
5Q component is dominant
in quenched QCD
5Qの計算により、状況が改善すると
Λ(1405)の5Q pictureを支持する有力な状況証拠となる。
5Q picture of Λ(1405)
3Q vs 5Q
a variant of HBC: With this “HBC”,
N, Kbar, Σ, π have to have minumum
momentum of about 500MeV.
PBC thresholds: Σπ、NKbar
★ 3Q massのカイラル外挿結果:
m3Q = 1.765(8) GeV
★ 5Q(“HBC”) massのカイラル外挿結果:
m5Q = 1.887(9) GeV
持ち上がったHBC thresholdの下には現れているが、
Λ(1405)とidentifyするには重たすぎる。
m5Q > m3Q > mΛ(1405) (重くて問題になった3体の場合よりもさらに重い)
⇒ Naïve 5Q picture of Λ(1405) is unlikely (at least in the heavy quark mass region).
結果に対するコメント
当たって砕けた。いろいろな敗因が考えられる。
 3Qと5Qのmixtureが重要な役割を果たすのかもしれない。
(解を探す空間が広がることによって、エネルギーは下がりえる)
 カイラル外挿の不定性を深刻に考えた方がよいかもしれない。
(もっと軽いクォーク質量領域で直接計算すべきかもしれない)
 L=2fm の格子では、小さすぎて入りきらなかった可能性がある。
 この計算に導入した様々な近似に行き過ぎがあったのかもしれない。
たとえば、
quenched 近似で、annihilation diagramを省き、5Q operatorを使って計算した場合、
中間状態から3Q状態が消えるだけではなく、
NとKbarの間でπを交換するような長距離の相互作用も消える。( まずいのでは?)
Λ(1405)の真相を探るため、将来別の切り口から迫りたい。
Nuclear Forces from Lattice QCD
Nuclear Force
核力は原子核物理においてもっとも基本的な概念である。
 長距離領域 (r > 2fm)
OPEP(one pion exchange) [H.Yukawa (1935)]
The nuclear force
~2π
 中間距離領域 (1fm < r < 2fm)
multi pion and heavier meson exchanges(“σ”, ρ, ω,..)
The attractive pocket is responsible for bound nuclei.
 近距離領域 (r < 1fm)
Strong repulsive core [R.Jastrow (1951)]
The repulsive core plays an important role for
(a) stability of nuclei
(b) super nova explosion of type II
(c) maximum mass of neutron stars
かに星雲
斥力芯の起源の問題は現在も未解決である。
(1) vector meson exchange model
(2) constituent quark model
Pauli forbidden states and color magnetic interaction
(3) etc.
Reid93 is from
V.G.J.Stoks et al., PRC49, 2950 (1994).
AV16 is from
R.B.Wiringa et al., PRC51, 38 (1995).
この領域においては核子が重なり合うため、斥力芯は
核子のquark/gluonの言葉による内部構造
を反映したものになるはず。⇒QCD第一原理計算による核力の研究が長い間切望されてきた。
格子QCDからのNNポテンシャルへの挑戦
拡張
1.
static quarksを駆使する方法
2.
波動関数から逆算する方法(我々はこちらを使う)
S.Aoki et al.(CP-PACS Collab.),
Phys. Rev. D71,094504(2005).
cf) T.T.Takahashi et al., AIP Conf. Proc. 842, 249 (2006).
N.Ishii, S.Aoki, T.Hatsuda, Phys.Rev.Lett.99,022001(’07).
Schrodinger eq.
特徴:
波動関数から作られるため、NNの散乱データに忠実なNNポテンシャルを構成できる可能性がある。
①
格子QCDでNN波動関数(BS波動関数)を作る。
②
Schrodinger-typeの方程式を使って、
波動関数からNNポテンシャルを逆算する。

(E  H 0 )  (x)
V (r ) 

 (x)
BS 波動関数
 QCDにおいて量子力学のNN波動関数は
本当は近似的な概念である。
 この概念にもっとも近いものが、
同時刻 Bethe-Salpeter(BS) 波動関数
  ( x  y )  lim 0 T  p  ( x , t ) n  ( y , 0 )  NN




t  0

u

d
p ( x )   abc u a C  5 d b u c ( x )
n ( y )   abc
T
T
a
C 5d b
c
( y)
 この式は、xにproton-like な3つのクォーク、 yにneutron-likeな3つのクォークを見つけるamplitude
 |x-y|→大で次の漸近形を持つ。
 (r )  e
i 0 ( k )
sin  kr   0 ( k ) 
  (s-wave)
kr
 Schrodinger-likeな方程式を満たすことが示せる。
2

2
  k  E (r )  m N



 

3
d
r
'
U
(
r
,
r
'
)

(
r
')
E

For derivation, see
C.-J.D.Lin et al., NPB619,467 (2001).
S.Aoki et al., CP-PACS Collab., PRD71,094504(2005).
S.Aoki, T.Hatsuda, N.Ishii, arXiv:0805.2462[hep-ph].
同時刻BS波動関数は、核子の4点correlatorのlarge t領域から計算される。
 


F NN ( x , y , t )  0 T  p ( x , t  0 ) n ( y , t ) p ( 0 ) n ( 0 )  0




 Emt
  0 p( x ) n( y) m e
m p (0) n (0) 0
m
 A0 
E0
  t E
(x  y) e 0  
(Contributions from excited states are suppressed exponentially.)
Potentials from BS wave function
様々な対称性からくる要請を課した後、potential term U(r,r’)を微分展開する。
 
2
 
 

U ( r , r )  V C ( r )  V T ( r ) S 12  V LS ( r ) L  S  O (  )  ( r  r ' ).


    2  
S 12  3  1  r  2  r  / r   1   2
 JP=0+:
VT(r) と VLS(r) の寄与は消滅。
VC(r) の寄与のみ生き残る。
 
2
 
V ( r , r  )  V C ( r )  V T ( r ) S 12  V LS ( r ) L  S  O (  )
Schrodinger eq. を次のように変形する。
 1
(
E

H
)

(
x
; S0 )
1
0
VC ( r ; S 0 ) 
 1
 ( x; S0 )
 JP=1+:
VT(r) と VLS(r) の寄与も生き残る。
 
2
 
V ( r , r  )  V C ( r )  V T ( r ) S 12  V LS ( r ) L  S  O (  )
VT(r) はs-waveとd-waveの結合を生む。
最初の試み:
これらを無視し0+の公式をそのまま用いる。
 3
(
E

H
)

(
x
; S1 )
eff
3
0
VC ( r ; S1 ) 
 3
 ( x ; S1 )
「単独でexactな3S1波動関数を生成する中心力」
=「有効中心力」
が求まることになる。
Nuclear forces from quenched lattice QCD
Lattice QCD set up
 Quenched QCD
 standard plaquette gauge action
 β = 5.7
 1/a = 1.44(2) GeV (a~0.14 fm)
 324 lattice (4.44 fm4)
 2000 gauge configs are used.
 standard Wilson quark action
κ = 0.1665
 mpi~0.53 GeV, mN~1.34 GeV
(Monte Carlo calculation becomes the harder in the lighter quark mass region.)
 Dirichlet(periodic) BC along temporal(spatial) direction on time-slice t=0
 wall source on time-slice t=5 to avoid possible boundary artifacts.

Numerical calculation is performed with Blue Gene/L at KEK
0.7fm
(有効) 中心力
 JP = 0+ case (1S0 )
The central force:
 1
(E  H 0 )  ( x; S0 )
VC ( r ; S 0 ) 

 ( x ; 1S 0 )
1
 JP = 1+ case (3S1 ー3D1)
The effective central force:
VC
eff
 3
( E  H 0 )  ( x ; S1 )
( r ; S1 ) 

 ( x ; 3 S1 )
3
 近距離の斥力芯と中間距離の引力を
同時に保持するポテンシャルがえられた。
 斥力芯も引力も現象論から予想されるものと比べると弱い。
原因の一つはクォーク質量依存性であると考えられる。
中心力のクォーク質量依存性:
現在は直接計算できないphysical quark massでのNNポテンシャルを予想するのに必要。
斥力芯の起源を探る手がかりを与える。
(1) mπ=380MeV: Nconf=2034
1S
0
[28 exceptional configurations
have been removed]
(2) mπ=529MeV: Nconf=2000
(3) mπ=731MeV: Nconf=1000
★ 軽いクォーク質量領域で、
 近距離の斥力芯が急激に成長。
 中間距離の引力はなだらかに成長。
★ 軽いクォーク質量を使った格子QCD Monte Carlo
計算が非常に重要である。
テンソル力
BS wave function
JP=1+の場合で3S-D1の結合を生かした取り扱いも可能である。
(LS力を無視することで、s-waveとd-waveの連立方程式から
中心力(3S1)とテンソル力が求まる)
NN potentials
VT(r)
Comments:
 テンソル力は斥力芯と相俟って原子核の安定性に重要。
 テンソル力は原子核構造に非常に重要な役割を果たす。
 テンソル力の現象論的決定には不定性が伴う。
(特に近距離。Centrifugal barrierのせい).
 この形は、πとρの cancellationから期待されるもの:
from
R.Machleidt,
Adv.Nucl.Phys.19
 この方法はそのままLS力に拡張可能.
テンソル力のクォーク質量依存性
軽いクォーク質量領域で、テンソル力は成長する。
(1) mπ=380MeV: Nconf=2020
[28 exceptional configurations
have been removed]
(2) mπ=529MeV: Nconf=1947
(3) mπ=731MeV: Nconf=1000
よりNN散乱実験データに忠実なポテンシャル
様々なエネルギーのBS波動関数を同時に用いて、
energy independent potential を逆算する。

この問題は逆散乱理論を介して
( 散乱位相差の情報がどんどん正確になる)
 BS 波動関数の直交性の問題
NN散乱実験にもっと忠実なポテンシャルが得られる。
 近距離において核子の歪みをどうとらえるかという問題
(QCDの言葉では、nucleon fieldの選び方に基づく
不定性の問題)
 ポテンシャルのNon-localityの問題
E3
E2
E1
E0
 BS波動関数の長距離における漸近形:
 (r )  e
i 0 ( k )
sin  kr   0 ( k ) 
  (s-wave)
kr
 我々のポテンシャルはこれらの波動関数を
⇒
同時に再現するように構成されている。
用いたすべてのエネルギーで散乱位相差がexact
に再現される。(波動関数を突っ込めば突っ込む
ほど位相差の情報が正しくなる)
 ポテンシャルのエネルギー依存性の問題.
等、我々の方法の根幹部分と密接に関連している。
これらの問題を解決し、方法論として整備していくこ
とは、今後の重要な課題である。
ポテンシャルのエネルギー依存性
E3
E2
E1
E0
E=E1の状態からポテンシャルを作る
 quark fieldの空間方向に反周期境界条件を課す。
 nucleonは、quark奇数個からできている

u

d
p  ( x )   abc u a C  5 d b u c , ( x )
n ( x )   abc
T
T
a
C 5 db
c ,
( x)
ので、やはり反周期境界条件を満たす。
 これまでの我々のポテンシャルは、E=E0~0での
波動関数のみを用いて構成されたものである。
従って、厳密には散乱長以外は保証されていない。
 nucleonの空間運動量は次のように量子化される。
  ( 2 n x  1)  ( 2 n y  1)  ( 2 n z  1 ) 
p  
,
,
L
L
L





 この境界条件の下では、最小運動量
 他のエネルギーでの妥当性を議論するため、
E=E1≠0での波動関数のみを使って、ポテンシャ
ルを構成してみる。
 得られたポテンシャルの形に変化がなければ、
E0で構成したポテンシャルが、E0からE1での領域
で有効ということになる。(この区間で正しい位
相差を再現することが保証される)

| p min |
3 
L
程度で動いている状態が基底状態となる。
(相互作用により多少変化。L~4.4fmでは、
約240 MeV)
E1~50 MeV(重心系)
NNポテンシャルのエネルギー依存性
E~50 MeVでの
ポテンシャル
E~0 MeVでの
ポテンシャル
NNポテンシャルのエネルギー依存性 (拡大版)
E~50 MeVでの
ポテンシャル
E~0 MeVでの
ポテンシャル
おおむね、一致する傾向にある。 でも、まだエラーバーが大きい。
「ECM = 0 ~ 50 MeVの領域で、我々のポテンシャルが妥当である」
と主張するためには、もっと統計が必要。
Nuclear force from 2+1 flavor full QCD
PACS-CS collab.は、2+1 flavorのfull QCDゲージ配位を生成中である。
このゲージ配位は大きな空間体積上で、
非常に軽いクォーク質量を採用している。
 2+1 flavor full QCD
S.Aoki et al., PACSCS Collab., arXiv:0807.1661[hep-lat]
 Iwasaki gauge action at β=1.90 on 323×64 lattice
 O(a) improved Wilson quark (clover) action
with a non-perturbatively improved coefficient cSW=1.715
 1/a=2.17 GeV (a~0.091 fm). L=32a~2.91 fm
我々はこれらのゲージ配位を使って、full QCDによる核力を計算する。.
 κud=0.13700, κs=0.13640(mpi~730 MeV)
 Nconf=122 (gauge config’s are picked up every 50 traj.)
 Each config is used four times by changing the position of the wall source on t=0,16,32,48 planes.
 number of data is doubled by using charge conjugation and time reversal symmetry.
 κud=0.13770, κs=0.13640(mpi~300 MeV)
 Nconf=422 (gauge config’s are picked up every 20 traj.)
 Each config is used once. (single position of the wall source on t=0 plane)
 Number of data is doubled by using charge conjugation and time reversal symmetry.
(Effective) central NN potentials (mpi~730 MeV) from NF=2+1 full QCD
 1
( E  H 0 ) ( x ; S 0 )
VC ( r ; S 0 ) 
 1
 ( x; S0 )
BS wave functions
1
1
S0
Comments:
 mpi~730 MeV
 time-slice t=8 for 1S0 and t=9 for 3S1,
where ground state saturation is expected.
 3
( E  H 0 ) ( x ; S 1 )
( r ; S1 ) 
 3
 ( x ; S1 )
3
 非常に巨大な斥力芯:
3
S1
1S
0
VC
eff
central potential from quenched QCD
from time-slice t=8
原因は現在探索中.
Central NN potentials (mpi~300 MeV) from NF=2+1 full QCD
 1
( E  H 0 ) ( x ; S 0 )
VC ( r ; S 0 ) 
 1
 ( x; S0 )
1
1
S0
Comments:
 Results obtained by NF=2+1 full QCD generated by PACS-CS Collab.
 mpi~300 MeV
 t≧6 で ground state saturationが達成されている。
enlargement
原因を現在探索中。
1S
0
 非常に巨大な斥力芯。
central potential from quenched QCD
 もっと統計を貯める必要がある。(中間距離の引力を見るためにも).
Full QCD at physical quark mass point
 もっと現実的な結果を提供するためには、
物理的クォーク質量を直接採用したfull QCD Monte Carlo計算を行う必要がある。
 数年前までは、これが可能になるのはかなり先のように思われていたが、
格子 QCD Mente Carlo 計算技術の進歩 と
超高性能なスーパーコンピュータの出現
によって、これはもはや我々の手の届くところにある。
★ この方向に進んでいる研究の一つ:
from Y.Kuramashi’s talk(PACS-CS) at LATTICE 2008
ストレンジネス物理への応用
ハイペロン ポテンシャル
 ハイパー核物理のインプット。
 高密度星内部でのハイペロン物質出現の議論に必須。
 直接のハイペロンビームが存在しないため、実験的情報は
非常に限られた物しかない。
 J-PARCにおける核物理の主要テーマと直結。
★ NΞ potential (I=1)
 J-PARC DAY-1 experiment でのmain target。
 実験的情報は非常に限られた物しかない。
NΞ potential (I=1)
Basic data:
mπ=509.8(5) MeV, mK=603.7(5) MeV, mρ=859(2) MeV
mN=1297(4) MeV, mΞ=1415(4) MeV
a~0.142 fm(1/a~1.39 GeV)
NΛ potentials from NF=2+1 full QCD
 1
( E  H 0 ) ( x ; S 0 )
VC ( r ; S 0 ) 
 1
 ( x; S0 )
1
1
S0
Comments:
 Results obtained by NF=2+1 full QCD generated by PACS-CS Collab.
mpi~300 MeV
 time-slice t=6 でground state saturation.が達成されていることが
予想されている。
 もっと統計を貯める必要がある(中間距離の引力をはっきり見るためにも).
拡大版
 非常に巨大な斥力芯。(現在原因探索中)
今後の予定
 ΛΛ、NΣポテンシャル等に順次適用していく。
もっと様々なストレンジネス物理に適用してみると興味深いかもしれない。
 NKbar系
難しい。(i) NKbarとπΣのcoupled channel。(ii) annihilation diagram。
(成功したらΛ(1405)に関する新しい知見が得られるかもしれない)
 NK系(Θ+ channel) 簡単。
 H-dibaryon。
斥力芯のないポテンシャルを作れるかもしれない。
次の物に興味がある:
 coupled channel の相互作用への拡張
 非中心力(テンソル力、anti-symmetric LS力)
Summary
1.
J-PARCによってストレンジネスの物理は新しい局面に突入する。
---exotic hadron、kaonic nuclei、hyperon 相互作用、etc.
2.
格子QCDもこの期間中に新しい局面を迎える。
3.
a.
超高性能なスーパーコンピュータの出現
b.
物理的クォーク質量を採用したゲージ配位の普及
c.
J-PARCの物理を探究するために必要とされる様々なテクニックの発達

格子上の散乱理論

Resonanceの扱い

ハドロンポテンシャル
これまで蓄積された知識と、新しく利用できるようになった方法を駆使することで、
格子QCDはJ-PARCの物理に必ず貢献する。