電流注入型T型量子細線レーザーの 作製と評価

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27pXC-3
電流注入型T型量子細線レーザーの
作製と評価
東大物性研、CREST(JST)、ルーセント・ベル研A
岡野真人、劉舒曼、吉田正裕、秋山英文
Loren N. Pfeiffer A、Ken W. West A
アウトライン
背景・目的
試料構造
プロセス
実験結果(IV・EL・光励起)
まとめ
背景・目的
量子細線レーザーは量子井戸レーザーに比べ、低閾値になるこ
とが期待されている。
↓
電流注入型T型量子細線レーザーの発振は1994年にW.
Wegscheiderによって報告されている。
しかし、均一性はあまりよくなかった。(Ith~0.4mA)
↓
近年、我々の研究により均一性の高いT型量子細線が作製可能
となった。
↓
電流注入型T型量子細線レーザーを作製し、評価する。
低閾値の検証と、量子細線レーザーの物理の解明を目指す。
・W. Wegsheider et al. APL, 65 2510 (1994)
・M. Yoshita et al. JJAP part2, 40 L252 (2001)
T型量子細線とは
↑メリット:構造が制御しやすい。
↓デメリット:作製が困難。品質が成長条件に大きく依存。
試料構造
電子はarm wellを、正孔はstem wellを通って、細線に注入される。
Arm-Stem電流注入型T型量子細線
プロセス手順
ここにプロセスの簡単な流れを書くかどうか検討中・・・
書いておくと、次のIVについては理解しやすいが、あんまり物理
学会っぽくない気もしてます。
電極層によるIV変化
n側電極
Ni/Ge/Au
Ni/Ge/Au
AuGe/Au
pドープ層までの距離
2um
0.5um
0.5um
Electro Luminescenceスペクトル at 5K
ELの強度は強くなっていくが、スペクトル形状に変化はない。
ELにおける利得吸収スペクトル
発光強度が増加しても、利得が増加しない。
電子と正孔の濃度がアンバランスに増加しているからだろう。
電流によるELのImage変化
Ib = 10uA
Vb=1.64V
細線部のみ発光
細線の外側の構造から
の発光が観測できる
Ib =2.0mA
Vb=4.19V
正孔が細線から溢れ出
していることを示唆!
光励起導波路放出光スペクトル at 5K
励起強度に伴って利得が増加
正孔と電子がバランス→利得発生
まとめ
1.ドープ層へのコンタクトはよく取れており、細線にキャリアがよく
注入されている。しかし、まだ発振にはいたっていない。
2.ELの強度は増加するが、利得は増加しない。細線部で正孔濃度が過
剰になっているのだろう。
3.光励起によって同量の電子と正孔を発生させると、利得が生じる。
今後の展望
1.ドープ量を調整し、バランスのよいドープ量を調べる。
2.nとpを入れ替えたものを作製し、閉じ込めによる影響を比較する。
3.片方のみドープしたレーザーを作製し、片方のキャリアの過剰注入
による影響を調べる。
Fin.
電流によるEL-Image変化
Ib =2.0mA
Vb=4.19V
Ib = 10uA
Vb=1.64V
1.570eV
電流がほとんど流れてい
ないときは細線部のみが
発光
1.578eV
1.492eV
電流が大きくなると、細線の外側の構造
も発光し始める。
↓
閉じ込めが弱い正孔の流れ出しに起因
ゆっくりと利得が発生してい
く。変化し始めるのは40m
W以下。利得がブロード。
利得の変化が比較的大き
い。変化し始めるのは同じ
く40mW以下。
明らかに変化し始めるの
が遅い。変化し始めるの
は70mW。
光励起によって作られたキャリアが、
電流によって注入されたキャリアよ
りも多くなったときに変化が起こる
のか?
Arm-Stem電流注入型T型量子細線
電子はarm wellを通って、
electron
hole
正孔はstem wellを通って、細
線に注入される。
Waveguide Emissionの電圧依存性
バイアス電圧が2Vの近傍では、
下側包絡線のピーク(P1)は上
側包絡線のピーク(P2)よりも高
エネルギー側にある。
ドープなし試料と同じ傾向
ELが強くなってくるとその影響
で、P1は徐々にP2の低エネル
ギー側に移動。
過電圧による低エネルギー側
の吸収の増加を示唆??
利得吸収スペクトルの電圧依存性
1.2~1.9Vでの利得の変化は、
励起強度依存性に近く、徐々
に細線にキャリアが注入されて
いっていると推測される。
しかし、1.9~3.9Vでは明らかに
利得が減少していっているの
がわかる。
利得の減少がキャリアの減少
によるものであれば、上と下の
図はほとんど同じになるはずだ
が、明らかに異なる。
つまり、利得の減少はキャリア
の減少ではなく、なんらかの吸
収の増加によるものと考えられ
る。
Cassidy法による利得吸収スペクトル導出
A  (1  R) e
2
I (E ) 
(1  R  e
 l
 l
)  4R  e
2
 l
sin
2
θ
p 
I sum
FSR  I min
 1 p 1 
   ln  

l  R p 1 
1
α:吸収係数
R :反射率
 
(Free Spectral Range)
n l  E
c
Photo Luminescenceスペクトル at 5K
IVは非常にきれいで、
低温ではleakしない。
少し均一性は悪いが、
高品質な試料が作製
できた。
利得吸収スペクトル差分
励起強度依存性と電圧依存性(+)
が似た変化?そうすると結論が変
わってしまうのだが・・・
このデータを見せるかどうかもまだ
決めていない。
いっそ電圧(+)だけの方がいい?