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PEACE
Palliative care Emphasis program on
symptom management and Assessment
for Continuous medical Education
Module4 : がん性疼痛
がん性疼痛
メッセージ
がん患者の治療には、疼痛治療は必須
である
疼痛治療は、WHOのがん性疼痛治療法
に沿って行う
目的
この項目を学習した後、以下のことが
できるようになる
がん性疼痛の評価
がん性疼痛の薬物療法
がん性疼痛の非薬物療法・ケア
背景
がんの患者の70%が痛みを経験する
痛みは身体的苦痛だけでなく、心理的、
社会的、スピリチュアルな面にも影響
を及ぼし、患者のQOLを著しく低下さ
せる
鎮痛薬を適切に使用することで、がん
性疼痛の80%はとることができる
背景
疼痛はパターンから、持続痛と間欠痛
に分けられる
一日中ずっと痛い
時々痛くなる
10
10
10
0
0
0
持続痛
持続痛+間欠痛
間欠痛
背景
疼痛は性状から内臓痛、体性痛、神経障害
性疼痛に分けられる
内臓痛:腹部腫瘍の痛みなど局在があいまいな鈍い痛
み
ズーンとした重たい痛み
体性痛:骨転移など局在がはっきりした明確な痛み
ズキっとする痛み
神経障害性疼痛:神経叢浸潤、脊椎浸潤などによる痛
み
ぴりぴり電気が走るような・しびれる・じんじんする痛
み
WHO方式がん性疼痛治療の5原則
経口投与を基本とする
時間を決めて定期的に投与する
「毎食後」や「疼痛時」のみで使用しない
ラダーに沿って痛みの強さに応じて非オピオイド系
鎮痛薬をまず投与し、効果が不十分な場合にはオピ
オイドを投与する
患者に見合った個別的な量を投与する
患者に見合った細かい配慮をする
WHOラダー
WHOラダーに沿ってNSAIDsを開始する
 NSAIDsの定期投与
 レスキューの指示
 胃潰瘍の予防
WHOラダー
シナリオ 1
肝細胞がんの54歳男性
数ヶ月前より右季肋部の持続する鈍痛
が出現するようになった。かかりつけ
医で相談したところ、ロキソニンが頓
服で処方された
ロキソニンを内服すると若干痛みは軽
減するが、楽にはならず、本日相談の
ため来院した
臨床疑問
がん性疼痛は、どのように評価したら
よいですか?
痛みのある患者さんに、まず、どう対
応したらよいですか?
くすりは何を使えばよいですか?
疼痛の評価
どこがいつから痛いのか?
痛みが全てがんによる痛みであるとは限らない
どのように痛いのか?
痛みの性状の評価
1日中痛いのか?時々なのか?
痛みのパターンと強さの評価
画像検査などで、疼痛の原因となるがん病変
があることを確認する
薬剤の投与に備えて、胃潰瘍、腎障害、出血
傾向を確認する
シナリオに戻ると・・・
どこがいつから痛いのか?
右季肋部が数ヵ月前から痛い
どのように痛いのか?
持続する鈍痛  内臓痛の可能性が高い
痛みのパターンと強さ
1日中痛い  強さは10段階で7
画像検査などで、疼痛の原因となるがん病変
があることを確認する
画像検査にて腫大した肝臓内に巨大な腫瘤影を多数認める
疼痛治療の導入
overview
WHOラダーに沿ってNSAIDsを開始する
 NSAIDsの定期投与
 レスキューの指示
 胃潰瘍の予防
(1) NSAIDsの開始
(2) オピオイドの導入
(3) 残存・増強した痛みの治療
10
10
10
0
0
0
安静時の痛みをとるために
オピオイドを増強する
(持続痛の治療ステップ)
動いたとき・突然の痛みに対処
するためにレスキューを使う
(間欠痛の治療ステップ)
WHOラダー
NSAIDsの開始
NSAIDsの定期投与
NSAIDsは、鎮痛効果と副作用から選択する
レスキューの指示
疼痛の悪化にそなえ、レスキュー指示を出す
レスキューが必要な場合は、NSAIDs単独での鎮
痛が不十分であるので、オピオイドの導入に移行
する
胃潰瘍の予防
サイトテック、プロトンポンプ阻害薬またはH2ブ
ロッカーを併用
疼痛治療の導入
効果判定とコンサルテーション
効果判定
1~3日で効果判定し、鎮痛不十分であれ
ば、オピオイドを開始
コンサルテーションのタイミング
疼痛の原因が不明
胃潰瘍や腎障害が重度の場合
シナリオ 1
~つづき~
肝細胞がんの54歳男性
ロキソニンを3錠分3で開始し、3日
後に再診とした
しかし、再診時にも症状緩和は十分
で なかった
オピオイドの導入
overview
WHOラダーに沿ってオピオイドを開始する
 オピオイドの定期投与
 レスキューの指示
 嘔気・便秘の予防
(1) NSAIDsの開始
(2) オピオイドの導入
(3) 残存・増強した痛みの治療
10
10
10
0
0
0
安静時の痛みをとるために
オピオイドを増強する
(持続痛の治療ステップ)
動いたとき・突然の痛みに対処
するためにレスキューを使う
(間欠痛の治療ステップ)
WHOラダー
オピオイドの導入
処方のポイント
オピオイドの定期投与を開始する
時間を決めて、定期的に投与
毎食後、疼痛時という処方はしない
NSAIDsは中止しないで、併用する
腎機能が低下している場合にはモルヒネの
使用は慎重に
有害な代謝産物が蓄積するため
体格が小さい、高齢者、全身状態が不良の
場合:少量から開始
オピオイドの導入
レスキュー
レスキューの指示
投与量
疼痛の悪化にそなえ、レスキュー指示を出
す
徐放製剤と同じ種類のオピオイドを用いる
1日最大使用回数を超えた場合は、定期投
与の増量を検討
: 内服・坐薬はオピオイド1日量の6分の1、持続注射は1時間量を早送り
反復条件 : 呼吸数≧10回/分
反復間隔 : 内服・坐薬は1時間、早送り注射は30分
オピオイドの導入
副作用対策
嘔気の予防
嘔気が出現するとオピオイドの継続が困難となる
ので、予防対策が重要
経口投与の場合
制吐薬を併用。2週間後に嘔気がなければ中止
坐薬・経静脈・皮下投与の場合
嘔気のリスクが高い場合に制吐薬を併用
便秘の予防
ほぼ必発の副作用
緩下剤と刺激性下剤を組み合わせて処方
オピオイドの導入
効果判定とコンサルテーション
効果判定
1~3日で効果判定
コンサルテーションのタイミング
腎障害、75歳以上、認知症、精神症状の
リスクが高いなどの理由でオピオイドの導
入が困難な場合
シナリオに戻ると・・・
実際の処方例
オキシコンチン(5mg)
時、20時)
2錠分2(8
酸化マグネシウム
1.5g分3
ノバミン(5mg)
3錠分3
オキノーム(2.5mg) 1包
疼痛時頓服
レスキューは1時間以上あけて繰り返し使用可
1日4回まで
痛みを和らげるケア
痛みの閾値に影響する因子
不快
不眠
疲労
不安
恐怖
怒り
悲しみ うつ状態
倦怠感
内向的心理状態
孤独感
社会的地位の喪失
これらを高める
ケアを考える
症状緩和
睡眠
休憩
周囲の人々の共感
理解
人とのふれあい
気晴らしとなる行為
不安減退
気分高揚
鎮痛薬
抗不安薬
抗うつ薬
Twycross, et al 著, 武田文和 訳:末期患者の診療マニュアル, 第2版, 1991
痛みを和らげるケア
実際の例
ぐっすり眠る
リラックスする
うまく気晴らしする
マッサージする
軽い運動を取り入れる
安静にする
痛みを和らげるケア
実際の例
環境調整
疼痛が増強するような体動を避けた日常生活、寝
床の工夫など
装具や補助具の工夫
コルセット、頸椎カラー、歩行器、
杖などの使用を検討
ひとりで抱え込まない
FAQ
嘔吐しました
評価・治療
制吐薬は処方されているか
いいえ  ノバミン(5mg)3錠 分3を処方
はい  決められたように飲んでない場合:内服するよう指導
制吐薬を追加処方 :
トラベルミン3錠 分3 or
セレネース(0.75mg)1錠 眠前を追
加
嘔吐して食事ができない状況か
はい
 輸液
便秘か
はい
 浣腸など
説明
嘔気は通常1~2週間以内に治まることを説明する
FAQ
眠気が強いようです
評価・治療
オピオイドの使用量が間違っていないか確認
呼びかければ、はっきり覚醒して、文章で会
話できるか確認
できない  診察を行い評価する
できる  経過観察
説明
眠気は、通常、数日以内に治まることを説明
する
シナリオ 2
膵臓がんの42歳女性
心窩部から背部にかけての持続する鈍痛に対
して、オキシコンチン30mg/日で処方されて
いた。最近まで痛みのコントロールは良好で
あったが、痛みが強くなったため、オキシコ
ンチンが40mg/日に増量された。
眠気も出現したが、痛みの緩和も十分ではな
い。
臨床疑問
オピオイドを開始しても、疼痛がまだ
とれない場合にはどうしたらよいか?
オピオイドを増量しても期待した効果
が得られない場合にはどうしたらよい
か?
残存・増強した痛みの治療
評価
以前からの痛みかを確認
以前からのがん性疼痛に、新しい原因(感染、骨折
など)が加わることがある。
「今まで痛かったところと、同じですか?」
持続痛か間欠痛か
一日中ずっと痛い
時々痛くなる
10
10
10
0
0
0
残存・増強した痛みの治療
overview
(1) NSAIDsの開始
(2) オピオイドの導入
(3) 残存・増強した痛みの治療
10
10
10
0
0
0
安静時の痛みをとるために
オピオイドを増強する
(持続痛の治療ステップ)
動いたとき・突然の痛みに対処
するためにレスキューを使う
(間欠痛の治療ステップ)
WHOラダー
持続痛の治療
(1) NSAIDsの開始
(2) オピオイドの導入
(3) 残存・増強した痛みの治療
10
10
10
0
0
0
安静時の痛みをとるために
オピオイドを増強する
(持続痛の治療ステップ)
動いたとき・突然の痛みに対処
するためにレスキューを使う
(間欠痛の治療ステップ)
WHOラダー
持続痛の治療
治療ステップ
安静時の痛みをとるためにオピオイドを増量
する
 オピオイドローテーション
or 鎮痛補助薬
 定期オピオイドの増量
30~50%/1~3日ごと
 NSAIDs
最大投与量まで増量
放射線治療・神経ブロック
STEP1
STEP2
STEP3
持続痛の治療
ステップに関わらずに考えること
放射線治療
神経ブロック
ステップ1
NSAIDs最大投与量まで増量
ステップ2
定期オピオイドの増量
ステップ3
オピオイドローテーション
鎮痛補助薬
持続痛の治療
ステップによらずに考えること:神経ブロック
適応となる疼痛が出現したすべての場合で、
適応を検討する
神経ブロックの適応となるがん性疼痛患者は約10
%
膵癌による上腹部痛、骨盤内臓がんによる肛
門・会陰部の痛み、胸壁の痛みなどで適応に
なる場合が多い
早期の適応について、専門医と相談
全身状態が悪化してからは、ブロック処置を行う
ことができない
持続痛の治療
ステップ1:NSAIDsの増量
NSAIDsを最大投与量まで増量する
アセトアミノフェンの併用を検討する
持続痛の治療
ステップ2:オピオイドの増量
全身状態の良い患者では定期オピオイドの増
量で重篤な副作用は生じない
経口モルヒネ換算量120mg/日までは50%、
120mg/日以上の場合は、体格の小さい者、
高齢者、全身状態不良者では30%ずつ増量す
る
強い痛みの場合には、前日に追加投与したレ
スキュー使用量の合計量を上乗せしてもよい
持続痛の治療
STEP3:オピオイドローテーション
オピオイドローテーションの原則
力価表に従って、現在のオピオイドと等価の新し
いオピオイドの投与量を換算
経口モルヒネ60mg/日以上の場合は一気に変更せ
ずに30~50%ずつ徐々に置き換える
疼痛時指示を変更する
変更後は、疼痛と眠気の観察を行う
痛みの増強:30%増量
眠気の出現:20%減量
オピオイド換算表
60
120
240
360
モルヒネ坐薬(mg/日)
40
80
160
240
オキシコンチン(mg/日)
40
80
160
240
デュロテップパッチ(mg/3日)
2.5
5
10
15
経口モルヒネ(mg/日)
経
口
・
坐
薬
・
経
皮
静
脈
・
皮
下
20
コデイン(mg/日)
120
レベタン(mg/日)
0.4
1.2
モルヒネ(mg/日)
30
60
120
180
フェンタニル(mg/日)
0.6
1.2
2.4
3.6
パビナール(mg/日)
24
(3A)
48
96
144
(6A) (12A) (18A)
オピオイドローテーションの実際
少量のオピオイドの場合
例)オキシコンチン40mg/日デュロテ
ップ
オキシコンチン40mgはモルヒネ内服換算
で60mg/日
これはデュロテップ2.5mgと等価
内服と同時に内服を開始し、次回よりオキ
シコンチンの内服は中止する
オピオイドローテーションの実際
大量のオピオイドの場合
例)カディアン180mg/日デュロテッ
プ
1
2
カディアン
180mg/日
レスキュー:
モルヒネ
30mg/回
3
4
カディアン
120mg
カディアン
デュロテップパッ
チ
2.5mg
デュロテップパッ
チ
5mg
• カディアン180mg/日を内服した12時間後に
デュロテップパッチ2.5mgを貼付
• 次回からカディアン120mgに減量
• レスキュー:そのまま
60mg
デュロテップパッ
チ
7.5mg
• 次回デュロテップパッチ貼り替え日、カディアン
120mgを内服した12時間後にデュロテップパッチ
5mgを貼付
• 次回からディアン60mgに減量
• レスキュー:そのまま
持続痛の治療
STEP3:鎮痛補助薬
ビリビリした痛みやじんじんした痛みなど(
神経障害性疼痛)で有効な可能性がある
鎮痛補助薬の有効性:40~60%
副作用(主に眠気)があるので、鎮痛効果を確かめながら、
副作用とのバランスをとる
十分なエビデンスと保険適応がない薬剤が多
い
病院・地域の専門家の意見に従って、使用する
トリプタノール、ガバペン、リボトリール、
テグレトール、ケタミン、リンデロンなど
持続痛の治療
効果判定とコンサルテーション
効果判定
1~3日で効果判定
治療目標の設定
最初の目標
次の目標
:痛みがなく、夜眠れること
:安静時に痛みがないこと
動いても痛みがないこと
コンサルテーションのタイミング
疼痛の原因が不明なとき
鎮痛できないとき
副作用が強いとき
シナリオに戻ると・・・
膵臓がんの痛みに対しては、腹腔神経
叢ブロックの適応になることがある
必要に応じて専門家にコンサルテーション
オピオイドローテーションを検討
オ キ シ コ ン チ ン 40mg を デ ュ ロ テ ッ プ
2.5mgに
鎮痛補助薬の使用を検討
専門家にコンサルテーション
シナリオ3
乳がん、多発骨転移の50歳女性
ロキソニンの定期内服とデュロテップ
パッチ5mgが貼付されており、レスキ
ューとしてオプソ5mgが処方されてい
る
安静時には特に痛みはないが、トイレ
に行くときにはとても痛いという
レスキューは使用していないという
臨床疑問
どこがどのように痛いのか?
間欠痛に対してはどのように対処すれ
ばよいか?
レスキューの使い方はどのように指導
すればよいのか?
骨転移に対してはどのように対処すれ
ばよいのか?
間欠痛の治療
痛みのイメージ
10
痛
み
0
定期的にオピオイドを投与されていても、70%の患者が間欠痛を経験する。
定期的なオピオイドの増量だけでは、間欠痛をなくすことはできない
間欠痛の治療
overview
(1) NSAIDsの開始
(2) オピオイドの導入
(3) 残存・増強した痛みの治療
10
10
10
0
0
0
安静時の痛みをとるために
オピオイドを増強する
(持続痛の治療ステップ)
動いたとき・突然の痛みに対処
するためにレスキューを使う
(間欠痛の治療ステップ)
WHOラダー
間欠痛の治療
治療ステップ
動いたとき・突然の痛みに対処するためにレスキ
ューを使う
 定期オピオイドの
慎重な増量
 十分量のレスキューを正しく処方
 レスキューの使い方の指導
 NSAIDs 最大投与量まで増量
 骨転移部の固定
 「薬の切れ際の痛み」への対応
放射線治療・神経ブロック
STEP1
STEP2
STEP3
間欠痛の治療
定期的にオピオイドを投与されていても、70%の患
者が間欠痛を経験する
STEP1
アセトアミノフェン、NSAIDsを最大投与量まで増量
骨転移:手術、コルセットなどの装具の使用
定期オピオイドの投与前に痛くなる:増量、投与期間の短縮
STEP2:レスキューを正しく処方・使い方の指導
レスキューを正しく処方:1日の合計オピオイド量の6分の1
レスキューの使い方の指導
•
•
•
少し痛いと感じたら、早めに使用
身体を動かす前や、入浴前にあらかじめ使用
痛くなったらすぐに飲めるように、薬剤を手元においておく
STEP3:定期オピオイドの慎重な増量
間欠痛の治療
STEPに関係なく考えること
骨転移の痛みに対しては、放射線治療やビスホスホ
ネートの投与も選択肢となる
放射線治療
疼痛緩和と骨折の予防に有効
必要に応じて専門家にコンサルテーション
ビスホスホネート
ゾメタ4mgを月に1回程度点滴で投与
ストロンチウム治療も治療の選択肢になる
実施できる施設が限られる
間欠痛の治療
STEP1
NSAIDsを最大投与量まで増量
アセトアミノフェンの併用を考慮
骨転移:手術、コルセットなどの装具
の使用
定期オピオイドの投与前に痛くなる:
増量、投与期間の短縮
間欠痛の治療
STEP2
レスキューを正しく処方:1日の合計オピオ
イド量の6分の1
例:デュロテップパッチ7.5mg  レスキュー モルヒネ
30mg
レスキューの使い方の指導
•
•
•
少し痛いと感じたら、早めに使用
身体を動かす前や、入浴前にあらかじめ使用
痛くなったらすぐに飲めるように、薬剤を手元におい
ておく
間欠痛の治療
SETP2:レスキューの必要性の説明
レスキューを使うタイミングについて、患者・家族
が理解し、主体的に使用できるように説明していく
レスキューの必要性の説明
レスキューの使用により「鎮痛薬
の必要量が早く見積もれること」「
間欠痛による苦痛へ対応できるこ
と」を説明する
レスキューを使いこなせること
で、患者の「自分で痛みの対処
できる感覚」が高められ、生活
や治療への意欲が増すことが期
待される
間欠痛の治療
STEP3
STEP3:定期オピオイドの慎重な増量
間欠痛の治療
効果判定とコンサルテーション
効果判定
1~3日で効果判定
治療目標の設定
間欠痛の回数が1日3回以下
コンサルテーションのタイミング
眠気・嘔気がある
内服・坐薬でレスキューを投与できない
患者がレスキューの使用法がわからない
レスキューの換算方法がわからない
シナリオに戻ると・・・
放射線照射を考慮
ゾメタの点滴投与を検討
デュロテップパッチ5mgはモルヒネ内服換算
で120mg/日となる。
標準的なレスキュー量は120÷6=20mg
必要量が処方されておらず、増量が必要
レスキューの使用について十分に説明する
FAQ
レスキューを使用してもよくならない
使用タイミングの確認
痛みがひどくなるのを待って使用  「痛みはじめで使用する」
実際に使用するまでの時間の確認
自宅:枕元などすぐ手の届くところに薬剤をおく
入院:PCA(Patient controlled analgesia)ポンプなどを用いて早送
り。患者の自己管理(坐薬・内服)
じっとしていれば
痛みを感じない
起き上がるときに
強い痛みを感じる
夜中にトイレへ行くとき
痛みのためつらいことがある
夜中、明け方になると
痛みで目が覚める
シナリオ4
70歳男性直腸がんの患者
オキシコンチン40mg/日内服中
増量していないが、数日前より眠気が
強くなっているとのことで受診
オピオイドの副作用対策(眠気)
評価
眠気が不快かを確認
眠気が不快でない場合は、呼吸数に応じて減量
「眠気は、うとうとして、ちょうどいいぐらいですか?
それとも不快ですか?」
 不快ではない
呼吸数≧10回/分:経過観察
呼吸数<10回/分:20%減量
眠気の原因を検索
薬剤を見直す
:ノバミンなどの制吐薬、向精神薬
血液検査
:高カルシウム血症、高血糖、腎障害・脱
水、
高アンモニア血症、感染症
酸素飽和度
:低酸素血症
画像検査を見直す :
脳転移
オピオイドの副作用対策(眠気)
 神経ブロック
 オピオイドローテーション
 原因の治療
 (疼痛がないとき)オピオイドの減量
STEP1
STEP2
STEP3
オピオイドの副作用対策(眠気)
STEP1
他の原因の治療
オピオイドの減量
STEP2:オピオイドローテーション
モルヒネ、オキシコドンをフェンタニル、デュロテップパ
ッチに変更
 Module 5 疼痛コントロールのスキル
STEP3:神経ブロック
オピオイドの硬膜外・くも膜下投与、神経ブロックなど麻
酔科的鎮痛によりオピオイドの全身投与の減量・中止が可
能か、コンサルテーション
オピオイドの副作用対策(眠気)
STEP1
他の原因の治療
オピオイド開始時のノバミン、セレネースは、嘔気がなければ中
止
日中のベンゾジアゼピンは、減量・中止できることが多い
腎障害ある場合 :
モルヒネは減量・変更
オピオイドの減量
痛みがない場合:
オピオイドを20%ずつ減量
痛みがある場合 :
NSAIDsを強化
鎮痛できればオピオイドを20%ずつ減量
< NSAIDsの強化法>
・ NSAIDsを増量
・ 鎮痛効果の高いNSAIDsに変更
・ NSAIDsとアセトアミノフェン2~4g/日を併用
シナリオ 5
76歳男性前立腺がん、多発骨転移の患
者
デュロテップパッチ5mgを貼付
昨夜より、せん妄がみられるようにな
った
オピオイドの副作用対策(眠気)
効果判定とコンサルテーション
効果判定
3~7日で効果判定
治療目標の設定
眠気と痛みのバランスを患者が満足していること
コンサルテーションのタイミング
原因が不明
オピオイドの変更の仕方がわからない
モルヒネ相当で120mg/日以上のオピオイドに変
更する場合
オピオイドの副作用対策(せん妄)
評価
せん妄とオピオイド開始時期との関連を確認
せん妄の原因を検索
薬剤を見直す :
ベンゾジアゼピン、ステロ
イド、
抗うつ薬
血液検査
:
高カルシウム血症、高血糖、
腎障害・
脱水、高アンモニア血症、感染症
酸素飽和度 :
低酸素血症
画像検査を見直す: 脳転移
オピオイドの副作用対策(せん妄)
 神経ブロック
 オピオイドローテーション
or 抗精神病薬の定期投与
 抗精神病薬の頓服
 原因の治療
 (疼痛がないとき)オピオイドの減量
STEP1
STEP2
STEP3
モルヒネの副作用対策(せん妄)
STEP1
抗精神病薬の頓服
他の原因の治療
オピオイドの減量
STEP2 :
オピオイドローテーション・
向精神病薬の
定期投与
オピオイドローテーション
 Module 5 疼痛コントロールのスキル
向精神病薬の定期投与
 Module 9 せん妄・不眠
STEP3 :
神経ブロック
モルヒネの副作用対策(せん妄)
STEP1
抗精神病薬の頓服
処方例
不穏時
経口
下可)
静脈・皮下
1時間あけて反復可 1日3回まで
セレネース(0.75mg) 1錠 or リスパダール液(0.5mg) 1包(舌
or セロクエル(25mg) 1錠 or ルーラン(4mg) 1錠
or ジプレキサ(2.5mg) 1錠
セレネース(5mg/A) 0.5A 皮下注・点滴
他の原因の治療
せん妄出現前1週間に投与開始・増量した薬剤がある場合:減量・
中止
腎障害ある場合:モルヒネは減量・変更
原因が同定できない場合:画像検査で脳転移を除外
オピオイドの減量
オピオイドの副作用対策(せん妄)
効果判定とコンサルテーション
効果判定
3~7日で効果判定
治療目標の設定
せん妄の消失
コンサルテーションのタイミング
原因が不明
オピオイドの変更の仕方がわからない
モルヒネ相当で120mg/日以上のオピオイドに変更する場
合
せん妄が改善しない場合
シナリオ6
65歳男性胃がんの患者
オキシコンチンを40mg/日で内服中
内服薬の変更はないが、1週間前より嘔
気が出現するようになり、時々嘔吐す
るとのことで来院
オピオイドの副作用対策(嘔気)
評価
嘔気とオピオイド開始時期との関連を
確認
嘔気の原因を検索
薬剤を見直す:NSAIDs、SSRI、ジキタ
リス
血液検査:高カルシウム血症、腎障害
腹部所見、X線検査、便秘の確認:消化管
閉塞、便秘、胃潰瘍
画像検査を見直す:脳転移
オピオイドの副作用対策(嘔気)
 神経ブロック
 オピオイドローテーション
or 制吐薬の定期投与
 原因の治療
 (疼痛がないとき)オピオイドの減量
 制吐薬の経口投与
STEP1
STEP2
STEP3
オピオイドの副作用対策(嘔気)
STEPの詳細
STEP1
他の原因の治療
オピオイドの減量
制吐薬の経口投与
STEP2 :
オピオイドローテーション、
制吐薬の
追加・変更
オピオイドローテーション
 Module 5 疼痛コントロールのスキル
制吐薬の追加・変更
STEP1で使用した制吐薬と作用機序の違う薬剤に変更、または
追加
オピオイドの副作用対策(嘔気)
STEP1
他の原因の治療
腎障害がある場合には輸液など脱水に対する治療、
モルヒネは減量や変更
オピオイドの減量
制吐薬の経口投与
動くと気持ちが悪くなる場合:抗ヒスタミン薬
食後に気持ち悪くなる場合:消化管蠕動促進薬
一日中気持ち悪い場合:ドパミン受容体拮抗薬
オピオイドの副作用対策(嘔気)
効果判定とコンサルテーション
効果判定
3~7日で効果判定
治療目標の設定
嘔気がなく、経口摂取できること
コンサルテーションのタイミング
原因が不明
使用したことのない制吐薬を使用する
どの制吐薬を選択すべきかわからない場合
まとめ
疼痛部位・疼痛の病歴を確認し、疼痛
治療の戦略を練る
鎮痛薬の定期投与の開始と同時に、レ
ス キューの指示、副作用予防も行う
疼痛アルゴリズムに従って治療を行う
疼痛治療の効果判定は1~3日後に実施
する