特に11回落選者特別措置制度の状況

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Transcript 特に11回落選者特別措置制度の状況

資料2
市営住宅募集方法(優先選考)のうち
11回落選者特別措置制度の
現状と課題について
11回落選者優遇登録制度の趣旨・内容
・ 11回落選実績者優遇登録制度は、市営(公営)住宅の応募倍率が高い中で、抽選に外れて入居できない多数回
の落選実績を有する住宅困窮者を救済するため優先選考であり、定期募集のように住宅単位での選考ではなく、
落選回数が11回 (対象は定期募集に限る)以上となった者について順位をつけて登録し、希望行政区を踏まえ、
本市が指定する空家住宅に登録順位に従い斡旋を行うものである。
・ 昭和48年度から実施されている。対象は公営住宅・改良住宅の低額所得者向け住宅である。
・ 行政区単位に住宅の選択範囲を広げるため、住宅単位での選択となる定期募集等より住宅確保を容易にしてい
る。
市営住宅の入居者選考
募集区分と応募資格
募 集 区 分
一般選考
・市営住宅の入居者選考は、募集期間
・受付方法・対象住宅その他募集条件
を指定し入居希望者を広く募る「公募」
が原則であり、例外的に火災等の災
害の被災者、市営住宅建替事業の対
象者や公共事業の収用対象者等で、
法令で一定の要件を備えた者につい
ては「特定入居」として公募によらない
入居者選考が認められる。
・「公募」については、一般的に入居者
選考するほか、特に住宅に困窮してい
る者について、福祉的観点・住宅施策
的観点から優先的に入居できる募集
形態(優先選考)も実施している。
応 募 資 格
二人以上の世帯
公募
優先選考
低所得者向け
(公営・改良)
市営住宅
入居者
新婚
婚姻により新たに住宅を必要とする世帯
単身
60歳以上の高齢者、障害者等
単身(車椅子常用者)
車椅子を常用する単身者
親子ペア
親世帯と子世帯が近くに住むための2戸1組の申込み区分
子育て
小学校修了前児童のいる世帯
親子近居
親世帯と子世帯が同一区内に住むための申込み区分
母子
母子世帯
高齢者
60歳以上の高齢者世帯
障害者
障害者世帯
11回落選者・海外引揚者等
11回落選実績保有者(希望区内の住戸を斡旋)等
特定入居(建替・改良事業等)
一般選考
市営住宅建替え事業等の従前居住者(収入は問わない)
二人以上の世帯
公募
優先選考
中堅層向け
新婚
婚姻により新たに住宅を必要とする世帯
(特別・特定・再
開発)
単身
60歳以上の高齢者、障害者等(再開発住宅のみ)
子育て
小学校修了前児童のいる世帯
特定入居(建替・再開発事業等)
市営住宅建替え事業等の従前居住者(収入は問わない)
1
有資格者の中から選考により当落を決定
(当選者・落選者が存在)
(現行の優先入居の分類一覧)
特に困窮しているとされる属性をもつ世帯を優
先入居の選考対象としているが、優先入居は
住宅確保の機会を優遇するという基本的考え
のもと、
原則として有資格者の中から選考により当落
を決定(当選者・落選者が存在)し、
例外として特に緊急に発生した住宅困窮に対
応する者を特定入居に準じた考えに基づき有
資格者の申込で当選(全員当選)とし入居決定
している。
優先入居の分
定期募集時期
類
定期募集の中 属性に対して
とは別の時期
に別枠募集し
て当落を決定
1. 法令等におい
て公営住宅への
入居における特
別の配慮等が位
置付けられてい
る者など、現在
の社会経済情勢
に照らし、特に居
住の安定確保が
必要な者として
優先入居の取扱
いを行うことが適
当とされている属
性
2. 本市の施策に
おいて、特に居
住の安定確保が
必要な者として
優先入居の取扱
いを行うことが適
当とされている属
性
で別枠募集し
て当落を決定
母子世帯
(5月)
倍率優遇して
当落を決定
住宅困窮者の
個別の困窮状
況をポイント化
し、ポイントに応
じて倍率優遇し
て当落を決定
有資格者の申込で当選
(全員当選)
定期募集時期
とは別の時期に
別枠募集して有
資格者を全員
登録
申請及び関係
機関の副申が
あった場合に
適宜実施
中国残留邦人
等の海外引揚
者世帯
多子世帯
(7月・2月)
高齢者世帯
(5月)
DV被害者世帯
障害者世帯
(5月)
犯罪被害によ
り従前の住居
に居住すること
が困難となった
世帯
親子近居
(11月)
新婚・婚約者
世帯
(7月・2月)
市営住宅募集
旧ふれあい人権 落選回数が
住宅の募集
11回に達した世
(現在は廃止) 帯
(4月・9月)
子育て世帯
(7月・2月)
募集対象の空家住宅から住戸を選定
市住宅供給公社
賃貸住宅の建替
に伴う家賃負担
が困難となる世
帯
住環境整備事業
又は市街地再開
発事業の施行地
域内に居住する
世帯で、当該事業
の施行により建設
される市営住宅へ
入居しようとする
もの
貸付停止住宅を除く
全市営住宅の空家から
住戸を選定
上記の世帯を除いて破産・失業その他何らかの事情を原因として、現に居住する住宅での居住継続
が困難となり、緊急に入居を要する住宅困窮者への支援については、一部の空家住宅について随時
募集の実施により応募機会を確保している。
2
別枠募集として抽選により選考
している優先入居の状況
・11回落選者特別措置制度の登録件数は毎年1,200~1,300件程度。
・他の優先選考の募集件数に比べて登録件数が圧倒的に多い。
一般世帯と別枠で募集している優
先選考は、募集戸数の確保に努め
ており、応募倍率も比較的低い。
⇒ 入居しやすくなっている。
H18~20年度
平均募集戸数
H18~20年度
平均応募件数
抽選によらない優先入居、
特に11回落選者特別措置制度の状況
登録件数(件)
1,600
1,400
倍率
1,200
一般世帯向け
613
21,782
35.5
母子世帯募集
225
1,122
5.0
高齢者世帯募集
179
1,565
8.7
障害者世帯募集
220
683
3.1
新婚世帯・婚約者向け
157
888
5.7
400
親子近居募集
120
208
1.7
200
子育て世帯向け
130
2,394
18.4
0
1,287
1,350
H15
H16
1,437
1,391
1,236
1,000
800
600
H14
H17
H18
倍率
H19
H20
(年度)
【優先選考の募集戸数・登録件数 比較 H18~20平均】
18.4
子育て世帯向け
1,202
1,122
1.7
親子近居募集
11回落選者,
1276
新婚, 157
5.7
新婚世帯・婚約者向け
子育て, 130
3.1
障害者世帯募集
母子, 225
8.7
高齢者世帯募集
高齢者, 179
5.0
母子世帯募集
障害者, 220
親子近居, 120
35.5
一般世帯向け
0.0
他の優先選考の募集件数と比べて
登録件数が圧倒的に多く、登録件
数全てが入居者決定の対象となる
ため、優先選考としての戸数の割
り振りに不均衡が生じている。
10.0
20.0
30.0
40.0
0
200
400
600
800
1000
1200
1400 3
新規入居者に占める11回落選者特別措置制度による入居状況
・11回落選者特別措置制度の年間の契約件数が約1000件程度となっており、新規入居者(約4300件)の
2割強を占めている。
新規入居者(公営・改良住宅) 4,328世帯
抽選による入居 2,067世帯
(平成18年度~平成20年度の平均)
抽選によらない入居 2,261世帯
特定入居 1,249世帯
罹災等
海外引揚等によ
る優先入居
0.2%
建替え事業等
234世帯
1,015世帯
優先選考による入居 1,012世帯
入替・罹災等に
よる特定入居
5.4%
11回落選制度
による入居
23.2%
建替事業等によ
る特定入居
23.5%
※
11回落選制度による入居1,003世帯
抽選による入居
47.8%
海外引揚による入居
9世帯
資料:大阪市都市整備局調べ
定期募集等による公募戸数が年間約2,100戸であることから、11回落選者特別措置制度
(年間の契約件数が約1000件程度)は募集枠の約1/3を占めるに至っている。
4
11回落選者特別措置制度登録者の待機状況・契約(H18~H20年度の平均)状況
11回落選実績者特別措置制度は、多数回の落選実績を有する住宅困窮者の救済を図るため、定期募集のように
住宅単位での選考ではなく、行政区単位での登録方法をとり、募集当選者用の斡旋対象空家を除いた空家住宅
を適宜斡旋することにより、住宅確保を容易にするものである。
平成21年3月31日
⑱~⑳ 11回落選登録者の契約状況(行政区・世帯人数別) 集約表
11回登録待機者
行政区
待機者
全体
C
待機者
(世帯)
D
11回登録者契約 ⑱~⑳ 平均
待機者
(単身者)
E
登録
件数
F
契約内訳
契約
件数
G
世帯
H
単身者
I
待機解消
年数
C/G
内訳
世帯
D/H
単身者
E/I
北
138
112
26
49
25
19
6
5.6
5.9
4.6
都島
74
44
30
52
34
26
8
2.2
1.7
3.8
此花
126
96
30
61
50
35
15
2.5
2.8
2.0
港
108
58
50
70
41
25
16
2.6
2.3
3.1
大正
80
57
23
64
60
36
24
1.3
1.6
1.0
天王寺
87
72
15
22
4
3
1
20.1
21.6
15.0
浪速
44
39
5
36
22
18
4
2.0
2.2
1.2
西淀川
170
134
36
87
28
22
7
6.0
6.2
5.4
淀川
71
44
27
78
53
37
16
1.3
1.2
1.7
東淀川
44
9
35
79
68
49
20
0.6
0.2
1.8
東成
0
0
0
0
0
0
0
生野
19
15
4
12
9
6
3
2.2
2.6
1.3
旭
97
56
41
61
39
26
13
2.5
2.2
3.1
城東
140
83
57
111
93
50
43
1.5
1.7
1.3
鶴見
38
25
13
83
86
74
12
0.4
0.3
1.1
阿倍野
68
63
5
18
9
6
3
7.6
9.9
1.9
住之江
22
16
6
68
73
55
18
0.3
0.3
0.3
住吉
133
95
38
113
108
105
4
1.2
0.9
10.4
東住吉
11
7
4
7
3
2
1
4.1
3.5
6.0
平野
93
50
43
184
176
121
55
0.5
0.4
0.8
西成
5
5
0
20
18
14
4
0.3
0.4
0.0
合計
1,568
1,080
488
1,276
999
727
272
1.6
1.5
1.8
し
か
し
登録から斡旋・契約に至るまでの
待機解消年数について、
・市営住宅の管理戸数が多い行政
区は一般的に1年未満となっている。
・しかしながら、1年を超える行政区
も多く、数年を要する場合もある。
5
11回落選者特別措置制度登録者の募集時の応募状況
【11回落選登録者が応募した住宅の倍率】
(倍)
300
・登録者について、応募回数別に応募住宅の平均倍率を
見ると、全体として倍率の高い住宅に申し込んでいる傾
向がある。また、申し込み回数を重ねる毎に応募倍率の
平均が高くなっており、11回落選者特別措置制度に登録
することが目的となっていることも考えられ、落選回数
だけで困窮度を判断することが適切とは必ずしも言えな
い状態となっている。
250
200
150
100
定期募集にお
ける平均応募
倍率(約30倍)
50
0
1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目 7回目 8回目 9回目 10回目 11回目
(参考) 一般世帯向け募集における応募状況
・公営・改良の一般募集の平均応募倍率は、20~30倍程度の推移が、最近は30倍を超えるものとなっている。
・その一方で、当選した世帯のうち2~3割の世帯が、辞退(一部資格失格者含む)している。
【応募倍率(公営・改良、一般) : 募集戸数/応募件数】
【応募倍率別申込数】 (H20年度募集分 公営(一般空家))
(倍)
45.0
40.0
35.0
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
応募倍率
H8
H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20
【辞退率(公営・改良、一般):辞退者数/当選者数】
30.0
申込総数に
対する割合
40
8,519
52.4%
40~100未満
63
3,976
24.4%
20~40未満
64
1,827
11.2%
5~20未満
154
1,703
10.5%
1~5未満
114
240
1.5%
10
5
0.0%
6
0
0.0%
451
16,270
100.0%
1未満(0を含まない)
合計 (平均36.1倍)
35.0
応募件数
100以上
応募なし
(%)
募集戸数
・平均応募倍率は36.1倍となっているが、その内訳を見ると、
応募者全体の約5割が、募集戸数の1割に満たない比較的
新しく設備水準の高い、一部の住宅に集中している。
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
H8
H9
H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19
H20
・一方、市の外周部に立地し、狭小で築年代が古く、浴室や
エレベーターのない4,5階の住戸を中心に、申込なし及び
募集割れの住宅が募集戸数の約4%を占めている。
6
<参考>他の事業主体の落選回数に着目した優先選考制度
• 多数回落選している者について、特に住宅困窮している者として、優先選考の対象としている事業主体が多い。
• 住宅の管理戸数が相当数ある他の事業主体の多くは、落選回数に応じて当選倍率の優遇を行っているところが
多い。 別枠募集も実施しているところもある。
• どの事業主体も優先選考方法の違いはあっても抽選による選考であり、当選者と落選者が生じる制度である。
落選回数に応じて倍率優遇を実施している事業主体
札 幌 市 (2倍~22倍
千 葉 市 (2倍~6倍
落選年数2年以上から優遇、13年以上は22倍)
落選回数3回以上から優遇、7回以上は6倍)
横 浜 市 (10倍:連続5回落選、20倍:連続6回以上落選)
名古屋市(2倍~10倍 別に別枠募集あり)
(最近6年間の落選回数4回以上から優遇、20回以上は10倍)
広 島 市 (2倍~4倍 落選回数5回以上から優遇、13回以上は4倍)
北九州市(2倍~8倍
落選回数3回以上から 18回以上は8倍)
福 岡 市 (2倍~15倍
落選回数5回以上から優遇、21回以上は15倍)
大 阪 府 (2倍~
一定の落選回数以上で一律の倍率優遇を実施している
事業主体
仙 台 市 (2倍 :
過去4回のうち3回以上の落選者)
さいたま市(2倍 :
川 崎 市 (30倍 :
連続3回以上の落選者)
5年連続落選)
一定の落選回数以上の者を対象とする別枠募集を実施
している事業主体
京 都 市 (過去11回以上の落選者)
名古屋市(最近6年間の落選回数20回以上で65歳以上
の者を含む世帯)
連続3回以上。落選回数が増えるごとに優遇)
一定の落選回数以上の者を対象に募集戸数の一定割
合で再抽選を実施している事業主体
東京都は多数回落選にかかる優先選考を実施していない。
神 戸 市 (過去5回以上の落選者)
本市のように、多数回落選にかかる優先選考の応募者(登録者)全員に対して住宅を提供する
制度を採用している事業主体はない。
7
市営住宅募集方法(優先選考)、特に11回落選者特別措置制度の課題整理について
主
な
課
題
セーフティネットとしての機能強化
募集住戸により、応募倍率100倍以上から応募
なしまで大きな偏りがある
今後の取り組みの方向
市営住宅の制度趣旨は住宅に困窮する方への住
宅の提供であり、入居希望者が提供する戸数を
上回る場合は適切に選考しなければならない。
約2~3割の当選辞退者が発生している。
優先入居については、社会的ニーズが複雑多様化し
ている中、真の住宅困窮者への支援を図り、公平・的確
な住宅供給を図る必要がある。
現に居住の住宅での居住継続が困難となり、緊急に
入居を要する住宅困窮者については、随時募集の募集
戸数の確保・拡充に努める必要がある。
セーフティネットとしての機能強化
コミュニティミックスに向けた募集枠の拡充
団地コミュニティの沈滞化の解消に向け、
コミュニティ活動の核となることが期待され
る新婚世帯・子育て世帯の優先選考を進め
ていくため、募集戸数の確保・拡充に努める。
コミュニティミックスに向けた、募集枠の拡充
11回落選者特別措置制度の枠が、募集枠の約1/3を占め
るに至っており、政策的な募集の運用を難しくしている。
登録者について、全体として申込回数を重ねる毎
に応募倍率の高い住宅への応募が多く、11回落
選者特別措置制度に登録することが目的となって
いることも考えられる状態になっている。
数年にわたって落選実績を重ねてきた経緯から、
特定の住宅(比較的建築年度が新しく、交通の便
利な場所に位置する住宅)の指定、保留(入りたい
時に本人から連絡してくるなど)が多い。
政策的な募集の運用を可能にするための
制度の見直し
市営住宅をセーフティネットやコミュニティ
ミックスのために十分に活用していくため
には、空家募集について政策的な募集運
用をしていかなければならない。
11回落選者特別制度の問題点を洗い出
し、制度の改廃を検討する必要がある。
8