保健室の担当者は

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Transcript 保健室の担当者は

保健室の設置と運営
・保健センターとしての役割
・ミャンマーの学校における病気
・ケガ等の救急看護
・保健室のつくり方
保健室の設置と運営
ヤンゴン、マンダレー、モウラミャインにおける9つの協力校を
対象にした調査結果(2008年3月実施)
・緊急治療道具などが足りない。
・保健室担当医、歯医者、薬剤師がいないため、村の検診スタッフが実施。
小さいケガを直すレベルの保健室である。
・保健室で必要な薬は学校基金で購入したり、寄付された薬などを頼りにしている。
・保健室の担当医を雇っていない。政府が雇ってくれればいい。
・保健室の担当者は、普段学校の仕事が沢山あるため、
いつも保健室にいられない。誰かがケガをした時にすぐにやってくる。
・休憩室を別に造るのは難しい。
・特別に学校保健室を開くのは難しい。
・保健室に薬品や設備を充分に整えるのは難しい。
・保健室のために教員を特別に雇うのは難しい。
・保健関係、スローガン、標語、ポスターなどを貼るための掲示版が足りない。
保健室の設置と運営
Ⅰ保健センターとしての役割(保健室経営の必要性)
(1)けがや病気のこどもの救急処置や休養の場所
(2)心身の健康に問題があるこどもへの保健指導、
健康相談の場所
(3)健康に関する情報の収集、活用、管理の実施
(4)感染症や疾病予防の実施
(5)健康教育推進のための資料教材の開発
(6)学校での健康に関する問題の把握
(7)その他
保健室の設置と運営
Ⅰ保健センターとしての役割(保健室経営の必要性)
(1)けがや病気のこどもの救急処置や休養の場所
(2)心身の健康に問題があるこどもへの保健指導、
健康相談の場所
(3)健康に関する情報の収集、活用、管理の実施
(4)感染症や疾病予防の実施
(5)健康教育推進のための資料教材の開発
(6)学校での健康に関する問題の把握
(7)その他
Ⅱ保健室経営に関わる教職員
タウンシップオフィサー
学校長
保健に関する知識と技術に関して
専門性を持った(研修などを受けた)教員
保健室活動の中心となる教員を決める
保健所職員(外部専門家)
医師(外部専門家)
看 護 師(外部専門家)
Ⅲミャンマーの学校の保健担当者や児童生徒
のための救急看護
(1) 食中毒
1)感染性食中毒(①細菌性食中毒、②ウイルス性食中毒)
2)化学物質食中毒
3)自然毒食中毒
代表的な症状:下痢、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱
特にしびれや血便、膿性の便などの症状が出たときは、直
ぐに医師の診断をうける
(1) 食中毒
下痢や嘔吐
水分や電解質(Na、K、Clなど)が失われ、脱水
皮膚の脱水徴候(ツルゴール低下、眼の落ち込みなど)
意識がうとうとしている、ぐったりしている、
痙攣、不機嫌、手足が冷たい、チアノーゼ
救急処置:水分と電解質、糖分(ブドウ糖)を充分に補給
(1) 食中毒
経口補水塩(ORS:Oral Rehydration Salt)
ナトリウムとブドウ糖を一緒に摂取すると、小腸粘膜からの水分
の吸収が促進される。
ORSは、下痢や嘔吐による軽度から中等度の脱水に際しては、
学童から高齢者を含む成人の場合、500ml〜1000ml/日を、1
回に200ml(コップ1杯)くらいずつ数回に分けて摂取させる。
(1) 食中毒
経口補水塩(ORS:Oral Rehydration Salt)
【緊急時における簡便なORS】
水:約1000ml
塩:小さじ1/2杯(テイースプーン半分)(3g)
砂糖:大さじ4と1/2杯(テイースプーン8杯)(40g)を溶かす。
OREDA(タイでの市販品)
1袋中:ブドウ糖 Dextrose(3g)、塩化ナトリウム Sodium
chloride (0.53g)、クエンナトリウム Sodium citrate
dihydrate(0.44g)、塩化カリウム Potassium chloride (0.23g)
1袋を150mlの水に溶かして服用する。子供も服用が可能。
Ⅲミャンマーの学校の保健担当者や児童生徒
のための救急看護
(2)熱中症
1)熱痙攣 :原因は発汗による水分と塩分が失われた時、
水だけの補給では血液の塩分欠濃度が低下すること。
筋肉に痙攣が見られる。
2)熱疲労:原因は発汗による、水分と塩分の欠乏による脱
水・循環障害。皮膚は青白く、体温は正常かやや高め 。
3)熱射病 :原因は熱が発散できず、体温が上昇し体温調
節中枢神経に障害が起きること。皮膚は赤く、熱感が
あり、乾燥し、体温は、39℃以上。
(2)熱中症
1)予防
①気温、湿度などを把握し、それに応じた活動量
を守る。適切に水分補給を行う。
経口補水塩(ORS:Oral Rehydration Salt)の補
給
②下痢、発熱などで体調の悪い時は活動を控える。
③服装に気をつける。
(2)熱中症
2)治療
①観察:意識の状態を確認。名前を呼ぶ、肩を軽
くたたく、質問などをしつつ、意識の状態を判断。
呼吸、脈拍、顔色、体温、手足の温度などの確
認をする。
脱水の重症
度の判定に
は、毛細血管
再充満時間
測定
(capillary
refilling time)
朝日新聞より図を転用
(2)熱中症
2)治療
②手当て
A.休息:安静を保てる環境に運ぶ。衣類を緩める。
図の引用:監修 大澤清二、「すぐにできる応急手あて-目で見る救急事典-」、ポプラ社、1995
(2)熱中症
2)治療
②手当て
B.冷却:涼しい場所、風通しのよい日陰などで休ませる。
意識を失っているような場
合は、水をかけたり、濡れ
タオルを当てて扇ぐなどし
て熱放散を促進し、頚部、
腋下、鼠径部などの太い
血管を濡れタオルや氷な
どで冷やすなどして、いか
に早く体温を下げて意識
を回復させるかが予後を
左右する。
図の引用:監修 大澤清二、「すぐにできる応急手あて-目で見る救急事典-」、ポプラ社、1995
(2)熱中症
2)治療
②手当て
C.水分補給:経口補水
塩(ORS)が望ましい。
意識がはっきりして
いる場合に限り、水
分補給を行う。
意識障害や吐き気があ
る場合には、可能な
限り早急に医療機関
の受診が必要になる。
図の引用:監修 大澤清二、「すぐにできる応急手あて-目で見る救急事典-」、ポプラ社、1995
Ⅲミャンマーの学校の保健担当者や児童生徒
のための救急看護
(3)外傷の手当
1)すり傷、2)きり傷、3)さし傷
①観察:
2)きり傷や3)さし傷では、傷のある部位を動かすこ
とができない場合、神経や筋を損傷している場
合があるので注意する。
②洗う:1)すり傷や2)きり傷は汚れや血液を洗い流
す。3)さし傷の場合は、刺した物を抜き、血液を
絞り出す。
(3)外傷の手当
③止血:清潔なガーゼ、ハンカチなどで傷口を圧迫して止
血する。
図の引用:監修 大澤清二、「すぐにできる応急手あて-目で見る救急事典-」、ポプラ社、1995
(3)外傷の手当
③止血:清潔なガーゼ、ハンカチなどで傷口を圧迫して止
血する。
④消毒:消毒薬を塗り、救急絆創膏や、滅菌ガーゼをあて
て包帯や三角巾などを巻くなどして傷を保護する。
図の引用:監修 大澤清二、「すぐにできる応急手あて-目で見る救急事典-」、ポプラ社、1995
(3)外傷の手当
③止血:清潔なガーゼ、ハンカチなどで傷口を圧迫して止
血する。
④消毒:消毒薬を塗り、救急絆創膏や、滅菌ガーゼをあて
て包帯や三角巾などを巻くなどして傷を保護する。
図の引用:監修 大澤清二、「すぐにできる応急手あて-目で見る救急事典-」、ポプラ社、1995
三角巾のたたみ方
図の引用:監修 大澤清二、「すぐにできる応急手あて-目で見る救急事典-」、ポプラ社、1995
Ⅲミャンマーの学校の保健担当者や児童生徒
のための救急看護
(4)骨折の手当
次のような症状が一つでもある場合は、骨折とし
て処置を行う。
1)さわったり動かすと激しく痛む
2)ひどくはれたり、変形している
3)曲がらない方向に曲がっている
4)骨が触れ合う音がする
5)顔色がわるく、冷や汗が出る
(4)骨折の手当
①出血があれば止血する。
②傷口から骨が出ている
場合、傷を洗わない 。
清潔なガーゼなどを厚
くあて、包帯や三角巾
などを巻いて止血する。
③けが人が痛くない位置で、
副木をあて、三角巾や
布などで固定する。
④保温に配慮し、なるべく
早く医療機関に運ぶ。
図の引用:監修 大澤清二、「すぐにできる応急手あて-目で見る救急事典-」、ポプラ社、1995
副木として利用できるもの
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ダンボール
クッション
ざぶとん
毛布
新聞紙
雑誌
えんぴつ
わりばし
板
ものさし
かさ
竹刀(杖)
図の引用:監修 大澤清二、「すぐにできる応急手あて-目で見る救急事典-」、ポプラ社、1995
Ⅳ保健室のつくり方(保健室の備品について)
(1)一般備品:机、椅子、ベッド、洗面器、健康教育用資料な
ど
(2)健康診断・健康相談用:身長計、体重計、巻尺、視力表、
血圧計など
Ⅳ保健室のつくり方(保健室の備品について)
(3)処置・疾病の予防処置用:体温計、はさみ、ピンセット、
毛抜き、爪きり、綿棒、水、消毒薬(80%エタノール、10%
ポビドンヨード)、滅菌ガーゼ、医療用テープ、包帯、絆
創膏、生理用品、プラスチック手袋、ペンライトなど
Ⅳ保健室のつくり方(保健室の備品について)
(4)保護及び運搬用:毛布、三角巾、副木、担架など
薬品関連:経口保水塩(ORS)または砂糖と塩、水、目薬、
湿布薬、胃腸薬、抗生物質、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、
抗生物質軟膏、副腎皮質ホルモン軟膏など
(5)環境衛生検査用:温度計、湿度計、照度計、騒音計、水
質検査用器具など
図の引用:監修 大澤清二、「すぐにできる応急手あて-目で見る救急事典-」、ポプラ社、1995
Ⅳ保健室のつくり方(保健室の備品について)
(6)携帯救急カバン用必要物品:
はさみ、ピンセット、毛抜き、爪きり、綿棒、三角巾、包帯、
プラスチック手袋、体温計、ガーゼ、副木、絆創膏、ネッ
ト包帯、眼帯、経口保水塩(ORS)または砂糖と塩、消毒
薬、湿布薬、胃腸薬、鎮痛剤、車酔い止め、目薬、虫さ
され用かゆみ止め、生理用品、メモ用紙、ボールペン、
ペンライト、ビニール袋、(携帯品として水)など