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地理空間情報活用専門家育成プログラム
地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
地理空間情報の共有・流通のための
データ設計
開発担当者 :新潟大学MOT 特任教授 田中亨
Copyright © 2011 新潟大学MOT 特任教授 田中亨
地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
地理空間情報活用専門家育成プログラム
学習目標
 GIS活用に於ける情報共有・流通の重要性を理解する。
 自治体内での統合型GISの壁を、図面管理部門、その他の部門、の切り口
から考察し、情報共有化に向けての工夫を、K市の実例から学ぶ。
 平常時・非常時の情報共有化について、中越沖地震のケース(罹災証明
発行業務)を使ってグループディスカッション・演習を行う。
 テーマ:普段からの情報流通の促進、情報共有化の構築
 講義・ディスカッション
 統合型GISの壁
 非常時の為に平常時に何を為すべきか?
 共有すべき情報(平常時に於ける管理・更新方法。非常時に於ける対応。)
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地理空間情報活用専門家育成プログラム
地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計とは
 近年,GISの活用は大きく進んでいる.
 ICT技術の進展による,ハードウェアの低コスト化,ソフトウェアの充実化。
 GISを活用した業務改善,効率化,高度化の事例は多い.行政であれば市
民サービスの向上に向けたGISの活用,民間であればマーケティングの戦
略決定のためのGISの活用などが例にあげられる。
 一方で,GISの活用は限られた部局に限定されている。
 必ずしも平時から継続的にGISを使うとは限らない。
 GISの技術的側面が強く,技術者が利用するものとして位置付けられがち。
 人の情報処理における思考プロセスを明らかにする
 GISの有用性を理解するとともに,GISの活用局面を,平時の業務の発展形
として捉えられる思考プロセスを明確化する。
 情報共有のための壁を明確化し,その解決策を講じる。
 GISで何を解決すべきかを明らかにし,他技術との共存を検討する。
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地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
地理空間情報活用専門家育成プログラム
進め方

自治体内でのGIS活用の問題点
自治体内でのGIS活用の問題点(講義)
グループディスカッション
図面管理部門とその他の部門・まとめ

(20分)
(80分)
(20分)
中越沖地震ケーススタディ
中越沖地震・罹災証明の説明
演習
課題の解決法としてのGIS
(20分)
(80分)
(20分)
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地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
地理空間情報活用専門家育成プログラム
第1部 自治体内でのGIS活用
の問題点
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地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
地理空間情報活用専門家育成プログラム
自治体内でのGIS活用の問題点
今回のテーマ:
 自治体内でのGISの利用実態について
 GISを利用する上での課題を整理する
 GISの利用部局はどこか,なぜその部局に限定されるか
 自治体内にはGISの使用目的に依って、図面管理部門、その他の部門がいるが
、この切り口から整理する
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地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
地理空間情報活用専門家育成プログラム
ケーススタディ(K市の例)
 H9年に共用空間データ(基図)の、H11年に背景データの開発投資を開始し、現
在までに10数億円規模の金を投入する。
 投入金額の2/3は主要部門(水道・ガス/図面管理部門)で使用。精度の高い図
面=GISの世界。
 H17年市町村合併。後、大災害を被る。
 投資に見合った効果はなく、GIS活用のボトルネックとしては、システム管理面・デ
ータ管理面の外注業者の依存が挙げられる。
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地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
地理空間情報活用専門家育成プログラム
統合型GISの壁
 GISはコストが掛かる
 個別業務の大規模システムとして導入。
 民間企業に依存。
 図面管理部門が主体。
 大縮尺のベースマップ作成が前提。
 自治体の職員、組織とGIS活用のための環境
 部局横断的に議論、知恵を共有する場がない。
 職員がGISが本当に便利なのかを実感できない。
 職員のGISのスキルを磨く場がない。
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地理空間情報活用専門家育成プログラム
地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
図面管理部門とその他の部門
 図面管理部門
 主要5部門(道路・上下水道・税・建設・都市計画部門)。
 一般的に既に個別システム導入済みのケースが多い。
 日本に於ける自治体のGIS利用方法の象徴。
 測量技術指向の地図の精度を追求した統合型GIS。
 その他の部門
 主要5部門以外の全部門。(ex.教育・福祉・危機管理部門…)
 一般にこの部門の職員は、GISは主要5部門の物で自分達には関係ないと
考えている事が多い。
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地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
地理空間情報活用専門家育成プログラム
グループディスカッション
職場でのGISの活用可能性
進め方
・各自、業務内容を説明
グ
ル
ー
プ
討
論
・GISの活用による効率化や新たな展開の可能性(例示)
・例示について扱うべき情報項目と処理方法
・各自の職場がGISを活用できる状況か?
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地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
地理空間情報活用専門家育成プログラム
グループディスカッション
空間的情報の検討・討議
~GISを使って課題を解決するためのシート~
目的
データ
1
データ
2
データ
3
データ
4
データ
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組み合わせ
方
アウトプット
イメージ
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地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
地理空間情報活用専門家育成プログラム
グループディスカッション
空間的情報の検討・討議
~各自の目的に応じた課題解決シートを作成する~
目的
データ
1
データ
2
不審者の種類の
傾向を見る
不審者情報
小学校区単位で
不審者出没数の
傾向を見る
不審者情報
小学校区
不審者の発生し
やすい場所を調
べる
不審者情報
通学路
投票所から300m
以内に選挙事務
所がないか調べ
る
選挙事務所
投票所
データ
3
データ
4
データ
5
組み合わせ
方
アウトプット
イメージ
半径300mの
円
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地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
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グループディスカッション






データ分析について
重ね合わせ
面単位での集計
地図とグラフを重ねた可視化
ネットワーク分析
空間的な密度の解析
バッファを作成しての空間検索
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グループディスカッション
ケーススタディ(K市の例)
 H9年共用空間データ(基図)、H11年背景データ、開発の為投資を開始し、現在
までに10数億円規模の金を投入する。
 投入金額の2/3は主要部門(水道・ガス/図面管理部門)で使用。精度の高い図
面=GISの世界。
 H17年市町村合併。後、大災害を被る。
 投資に見合った効果はなく、GIS活用のボトルネックとしては、システム管理面・
データ管理面の外注業者の依存が挙げられる。
 現在図面管理部門以外の部門中心に勉強会を開始し、大学のサポートも得て、
業務を楽にする視点からGIS活用、裏で各部門に埋もれているデータの炙り出し
を開始する。
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図面管理部門とその他の部門
 図面管理部門
 主要5部門(都市計画・道路・下水・水道・固定資産)。
 一般的に既に個別システム導入済みのケースが多い。
 日本に於ける自治体のGIS利用方法の象徴。
 測量技術指向の地図の精度を追求した統合型GIS。
 その他の部門
 主要5部門以外の全部門。(ex.教育・福祉・危機管理部門…)
 一般にこの部門の職員は、GISは主要5部門の物で自分達には関係ないと
考えている事が多い。
 この部分の地図を使う業務(かなりの業務)の効率化にGISを使う。
 WebGISを中心としたインターネットの仕組みの中での汎用型GIS。
 図面管理部門とは主題データ等連携を図る。
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前段のまとめ 1
 GISは使われているが、図面管理部門に偏ったGISになっている。
 データは精度も大切だが、果たして全庁として精度は必要か?
 精度よりも、データのコンテンツが重要。
 データを作るのも外注でなく、各業務の中で扱っている情報に位置情報が付与さ
れれば良いだけなので、その情報付与の仕組みを考える必要がある。(Excelを
用いた住所コードの付与、…等。)
 この様な業務の中で空間情報が作成されれば、年度末に一度、情報の信頼性
を考えて、もっとも信頼できるデータを「確定データ」として全庁で扱う基盤データ
とすれば良い。
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前段のまとめ 2
 一般的に、自治体内の図面管理部門(主要5業務)は個別アプリ・大規模システ
ムとして導入済みのケースが多い。
 自治体内の業務改善という視点から、一般業務(図面管理部門以外の部門)の
中の地図に絡んだ業務(かなりの業務)の地図化より、GIS活用を進める。つまり
、GIS活用により日常の業務を効率化・高度化する。
 自治体内のデータを共有する。
 GISを活用する為の仕組み(組織的・人的)を統制する。利用する職員がGIS活用
への参加者であり、新しいデータの作成・管理・運用に関する仕組み・ルール等
を業務に根ざして自らで作成する。
 外部 (住民・企業)向けのサービスを向上する。
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第2部 中越沖地震ケーススタディ
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ケーススタディを通して学ぶべきポイント
 最終成果物を見据え,必要な情報が,利用可能な形になっているか検討する。
 たとえ,利用可能な形になっていても,実際的に情報を自由に統合でき,新しい
目的のために既存の情報を有効活用できるのかを検討する。
 GISを用いることで,業務の効率化と,質の向上をはかる。
→ 「いつ」「どのような場面で」「何のために」GISは役に立つかを考え直す。
それを実現するために,平時から何をしておけばよいかを再検討する。
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演習の目標等
 達成目標
 平時の情報管理の実態を知り,GISを用いた情報統合の可能性を探る。
 GISによる情報統合を可能とする平時からの空間参照型での情報管理の
あり方について再検討する。
 進め方
 被災者の生活再建を支援するためのり災証明書がどうあるべきかを知る。
 り災証明書発行に必要な情報を整理する。
 必要な情報を,適切な形で統合する。
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中越沖地震の概要
•
•
発 生日時:平成19年7月16日10時13分頃
震央地名:新潟県上中越沖(北緯37 度33.4 分、
東経138 度36.5 分)
•
震源の深さ:約17㎞
•
規模:マグニチュード6.8
•
各地の震度(震度5強以上)
•
〈震度6 強〉新潟県長岡市,柏崎市,刈羽村,
長野県飯綱町
•
〈震度6 弱〉新潟県上越市,小千谷市,出雲崎
町
•
〈震度5 強〉新潟県三条市,十日町市,南魚沼
市,燕市,長野県中野市,飯山市,信濃町
被害
•
死者15人, 負傷者(重傷)356人, 負
傷者(軽傷) 1,990人
•
全壊1,331棟, 半壊5,708棟,一部
損壊36,679棟,火災件数 3件
出典:気象庁
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中越沖地震の被害の様子1
柏崎駅では電車が脱線
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中越沖地震の被害の様子2
数々の家が倒壊した
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中越沖地震の被害の様子3
ライフラインも被害を受けた
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中越沖地震の被害の様子4
大規模な斜面崩落も発生した
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被災者生活再建支援過程におけるり災証明書発行業務の位置づけ
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生活再建支援に関わる法制度とり災証明書の位置づけ
 災害救助法
 「国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力の下に、応急的に、必要
な救助を行い、災害にかかった者の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的」とした法律
であり,甚大な被害が発生した県および市町村に適用される。
 内容は収容施設の供与(応急仮設住宅を含む),炊き出しや食品,飲料水の共有,医療,救
出,住宅の応急修理など,多岐にわたる。
 被災者生活再建支援法
 「自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者に対し、都道府県が相互扶助の観
点から拠出した基金を活用して被災者生活再建支援金を支給するための措置を定めること
により、その生活の再建を支援し、もって住民の生活の安定と被災地の速やかな復興に資
することを目的」とした法律。
 主に,国および県から「生活再建支援金」が支給される。
 り災証明書
 上記のいずれの法制度も,被害程度に基づき法の適用の可否が決まる。
 罹災証明書は,被災者が誰で,どういう被害を受けたかを証明する公的証明書である。
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り災証明書
 各種支援の申請資格を
判定するための証明書
であり,被災自治体内の
すべての世帯に対して
発行される.
 主に,被災者世帯,被災
場所,住居の被災程度
を証明する.
 り災証明書の発行が遅
れれば,その後の支援
が遅れるために,迅速か
つ確実に発行しなけれ
ばならない.
 柏崎市の例では,33,000
世帯が罹災証明発行の
対象となった.
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り災証明書の発行
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被災者の合意に基づくり災証明書発行
 誰が,どこで,どのような被害を受けたかを「り災証明書」と
して発行する。
 証明内容について,1件ずつ被災者の納得・合意を得て,証
明書の発行を行なう。
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何故GISか?
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演習の進め方
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
資料の配付(PPT,データセット)
目的の共有
1. り災証明書の発行:人と建物と被害を結合.
2. 対象者の同定:人名・住所等から検索・同定.
実現方策の検討
1. 効果的なり災証明発行に必要な手続きを確認
2. 効果的なり災証明発行に必要なデータセットを確認
実現を妨げる障害を考える
1. データセットの構成
2. データ管理体制の実態
障害を解決する方策の検討
発表
講評
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1.り災証明書発行枚数:
 「被災者」がり災証明書の申請・発行を行う際、「申請対象物件」の「被害程度」を
確認する必要がある。
 「被害程度」は被害調査の「調査票」に記載されている。
 申請者ごとに該当する調査票に記載されている被害程度を調べる必要がある。
問題:
柏崎市世帯数: 33,000+
調査票: 54,000枚+
紙資料・手作業による被害程度の確認は不可能
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2.り災証明書の発行の際 「人」,「建物」,「被害」を関連づける必要がある
1.申請者(被災者)
+
2.申請物件(建物)
+
•住民(住民票有り)
•住民(住民票無し)
•建物所有者(固定資産税納税者)
•住民(固定資産無し)
•外国籍保持者
•課税対象物件
•非課税物件(公共・宗教施設)
•課税対象外物件(農作業機械の雨除け
等)
•未課税・未登記物件
3.被害程度(被害認定結果)
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Copyright © 2011 Niigata University
Prof. Toru Tanaka
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市の既存の台帳だけではり災
証明書発行業務を遂行・管理
できない
外国籍保持者
納税者(住民票無し)
住民(住民票無し)
住民(住民票有り)
納税者(住民票有り)
既存の台帳を活用しつつも、デ
ータベース(台帳)を新たに構
築する必要がある。
1.住民基本台帳
非課税物件
外国籍保持者(固定資産無し)
住民(固定資産無し)
納税者(住民票無し)
納税者(住民票有り)
2.固定資産課税台帳
被害程度
3.被害認定台帳
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データの関連付け
誰に
世帯・個人コード
+
どの家屋に対し
家屋コード
+
り災判定結果
どの被害程度で
+
り災発行番号
証明書を発行したか
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1.住民基本台帳
2.固定資産課税台帳
3.被害認定台帳
+α
被災者台帳
被災者台帳
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どのようにデータ(台帳)の関連付けを行えばよいか?
 住民基本台帳や固定資産税台帳等は,平常業務において統合されることはな
い。
 住民基本台帳は,住民登録状況の管理。
 固定資産税は,納税のための管理。
 目的が異なるため,データ統合はない。
 すなわち,いざ統合する場合,共通となるキーは存在しない。
 世帯主名は同姓同名がある。
 住所は同一住所,もしくは同一敷地内において複数建物がある。
 個人番号,世帯番号では,固定資産税台帳上は「所有者」もしくは「納税義
務者」としてしか管理されておらず,「居住者」ではない。
 これまでの情報統合(キーを介した統合)では不可能。
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建物被害認定調査票の記入実態
混乱期において,大量の情報を収
集(現地調査)するため,情報の品
質管理は難しい。
所有者や所在地に関する情報が欠
如している。(実際のところ,応援職
員は住所が分からない。また,家が
全壊したりすることで表札が読み取
れなければ,所有者はわからない)
調査後,市役所にて紙地図上に調
査番号を記しており,それだけが唯
一のてがかりであった。
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テーブル結合(リンク)
住民基本台帳
個人番号
世帯番号
現住所
世帯主氏名漢字
氏名漢字
91823
12394
駅前一丁目10番7号
柏崎 次郎
柏崎 花子
家屋課税台帳
物件番号
家屋番号
地番
所有者氏名
所有者番号
所有者住所
1369
1234
大堀町569
柏崎太郎
87864
京都市左京区吉田14番地
被害認定台帳 (調査票)
調査番号
調査日
所在地
所有者・表札名
45905
H19・9/22
駅前1-10-7
不明
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異なる住所表記
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③ テーブル結合だけではデータ(台帳)の関連
付けを行う事は困難 (GISが必要)
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利用可能なデータは,共通キーをもたない(復習)
 「誰が,どの建物で,どの程度の被災をしたか」を証明するり災証明書には,住
民基本台帳,固定資産税(家屋台帳,土地台帳),建物被害認定調査結果台帳
など,デジタルデータ化されることで活用可能な台帳は多く存在する。
 住民基本台帳
 住民基本台帳は,住民基本台帳法に基づいて整備されており,住民の世帯構成や
転入転出状況の把握のために存在する。
 固定資産税台帳
 固定資産税台帳は,税務法に基づいて整備されており,固定資産に課される税の
算出根拠および納税義務者,納税状況を管理するために存在する。
 建物被害認定調査結果台帳
 建物の被害認定調査を実施した結果を台帳として管理するものであり,災害発生後
において新しく構築される.適用される法制度はない。
 平常業務の中で活用される台帳は,基づく法律および利用目的が異なるため,
お互いを結合するための共通キーは存在しない。
 「住民基本台帳:住民」 と 「固定資産税台帳:所有者,納税義務者」 は一致しない。
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共通キーのないデータを空間の利用によって結合する
 共通キーを有さないデータを結合するためには,既往の「テーブル結合」では実
現できない。
 テーブル結合:共通するフィールド(キー)から,同一の値を参照することで合致するレコー
ドを互いに結合する手法。
 一方で,各データを空間上に展開できれば,同一の平面上でデータ間の関係性
を分析することは可能である。
 平面上に各データをプロットし,各データ間の距離関係(空間的な位相関係)に基づけ
ば,どのデータが近いのかを判断することが可能となる。
→ これは「データ間の距離」を「データ間の関係性の強さ」と読み替えることを意味する。すな
わち,データ間の距離が近いほどデータ間の関係は強く,遠ければ関係は弱いと判断する
こととなる。これにより,完全に一致する必要があったテーブル結合に対し,空間の活用に
よりデータ結合において,ある種の柔軟性を確保することができる。
 平面上では「近さ」という距離をもとに判断してデータ結合を行なうため,位置が完全に合
致する(「データ間の距離」がゼロ)必要はないため,データが有すべき精度は完全に統一
化される必要はない。すなわち,精度の異なるデータであっても空間上での距離に基づく
関係性を判断すれば,精度の違いは吸収されることとなる。
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「空間的な近さ」を「関係性の密さ」に読み替える
地番図
家屋課税台帳
住宅地図
被害認定結果
GISを使ったデータの関連付け
(GeoWrap)
京大・新大研究チーム開発
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テーブル結合
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リレーショナルデータベース
 共通フィールドの取り決め
共通フィールド(共通列)では、フィールド名は一致しなくても
構わない。データの種類は一致してなくてはいけない。
 結合元・結合先、各々のテーブルの関係
其々の共通フィールドの値は、一対一または多対1の関係
にある事が必要。
 3つのテーブルの縦列の結合
最初の2つのテーブルを結合したテーブルを結合元のテー
ブルとして3つ目のテーブルを結合する。
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地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
地理空間情報活用専門家育成プログラム
リレーショナル・データベースの利点
1) 関連付けられる値さえテーブルの中にあれば、フィールド
(列)やレコード(行)を自在に追加したり変更したりすること
が出来る。
2) 「共用データベース」の部分と「個別データベース」の部分と
に分けられる。
3) 全体のデータ量を少なくする事が出来る。
4) データの一貫性が保障される。
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地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
④ 情報(問題)の可視化
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地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
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地理空間情報活用専門家育成プログラム
地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
前スライドにあった判定リストを地図化したもの
問題のある箇所は明確
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地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
航空写真を重ねると更に明確
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地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
り災証明書発行システム
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地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
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地理空間情報活用専門家育成プログラム
り災証明書発行システム
①
調査番号検索
②
住所検索
③
住基検索
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GISを使ったデータの関連付け
(GeoWrap)
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地理空間情報の共有・流通のためのデータ設計
り災証明書
各世帯における
住居の被災程度を
証明する.
すべての世帯に
対して証明書は
発行される.
様々な支援を受け
る上で必要となる
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り災証明書の発行(柏崎市の実績)
20,000
申請受付件数
18,000
18,886
17,687
16,363
16,000
り災証明書発行件数
15,235
14,656
14,178
14,000
13,573
12,699
12,000
12,444
11,615
11,540
10,684
10,062
10,000
8,653
8,586
8,000
7,446
7,183
6,320
6,000
5,742
4,000
3,958
3,555
1,867
1,280
863
417
2007/8/17
4,230
4,051
2,849
2,610
2,000
再調査希望申し込み件数
5,147
4,962
0
9,559
743
1,109
2007/8/19
1,407
1,691
2,036
2007/8/21
2,266
2007/8/23
2,616
2,962
3,140
2007/8/25
3,494
2007/8/27
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3,695
3,919
4,114
2007/8/29
2007/8/31
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本講義における演習のふりかえり
 前半:グループディスカッション
 本グループディスカッションでは,GIS利用における課題を明確化し,その解決策を皆
さんで考えました.
 必ずしも利用ニーズは,「GISを利用しなければ業務そのものが運用できない」という主
要5大業務の担当部局から発生するだけではありません.
 他の部局においても,「GISを利用すれば業務の効率化や高度化」が期待できる可能
性もあります.
 そこで,他部局の利用可能性を高める上での障壁は何かを検討しました.
 後半:演習
 本演習では,共通キーをもたないデータを結合するための空間の利用可能性につい
て検討しました.
 共通キーをもたなければ,一般的なテーブル結合はできません.そのため,手作業で
内容を確認し,人海戦術で1レコードずつ結合するほかありません.
 しかしGISを活用し,データ間の距離からデータ間の関係の強さを読み解けば,迅速に
データを結合することが可能となります.
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最後の補足・まとめ
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違法ゴミが多
違法ゴミが少
違法ゴミなし
ごみステーションの状況(新大近辺)
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K市:インフルエンザ発症状況
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