南関東直下の地震・地下構造の特徴

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Transcript 南関東直下の地震・地下構造の特徴

新しいプレート形状と
首都圏直下大地震
大都市大震災軽減化特別プロジェクト
地震動(強い揺れ)の予測
「大都市圏地殻構造調査研究計画」の最新成果
東京大学地震研究所
平田 直
2006/1/26
関東地質調査業協会
第18回「技術者のための新春の集い」
1
1. 地殻構造探査の背景
南関東地域にはフィリピン海プレートが沈み
込み、陸側プレートとの境界部には、関東地
震(1923年: M7.9)を引き起こした震源断層
が位置しています。
 また、関東山地北東縁には関東平野北西縁
断層帯などの活断層も位置しています。
 本探査では人工震源を用いて、特に以下の
事柄を明らかにするため探査を行います。

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1. 地殻構造探査の目的
(1)フィリピン海プレート上面の形状と物性の解
明
(2)強震動伝搬の媒体となる地殻の地震波速
度構造の解明
(3)プレート境界面から派生する断層や主要構
造線の形状など地殻構造の解明
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1923年M7.9
1946年M8.0
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1944年M7.9
日本列島周辺の主な被害地震
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日本列島とその周辺のプレート
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プレートモデル
After
Okada (2002)
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Possible source fault along the subduction mega-thrust
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第18回「技術者のための新春の集い」
Okada (2002)
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Damaging
Earthquake
around Tokyo
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Occurrence of
Large
Earthquakes in and
around
Yedo / Tokyo
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第18回「技術者のための新春の集い」
After Okada (2002)
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東京都
に被害
を及ぼ
した主
な地震
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元禄地震
M8
340
安政地震
M6.9
7000以上
大正地震
M7.9
100,000以上
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被害を及ぼした主な地震
神奈川県に被害を及ぼした主な地震
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千葉県に被害を及ぼした主な地震
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大都市圏地殻構造調査研
究計画
(2002-2006年度
平成14年ー平成18年度)
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関東地質調査業協会
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大都市大震災軽減化特別プロジェクト
(大大特)の内容
1.
2.
3.
4.
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地震動(強い揺れ)の予測:大都市圏地殻
構造調査研究計画
耐震性の飛躍的向上
被害者救助等の災害対応戦略の最適化
上記研究開発等の地震防災対策への反
映
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新世紀重点研究創生プラン
大都市大震災軽減化特別プロジェクト
都市再生プログラム
~地震災害に負けない都市への再生~
首都圏(南関東)や京阪神などの大都市圏において阪神大震災級の被害をもたらす大地震が発生した際に、その人的・物的
被害を半減化させることを目指して、以下の研究開発等を行い、地震防災対策に関する科学的・技術的基盤を確立する。
被害者救助等の
災害対応戦略の最適化
耐震性の飛躍的向上
地震動(強い揺れ)の予測
レスキュー
ロボット
大都市圏における
地殻構造の調査研究
5
震度
6
7
震動破壊実験と
シミュレーション
による耐震研究
地震動予測地図
~大都市圏詳細版~
地震防災対策標準ガイドライン(仮
称)の作成に寄与
防災対策の統合化研究
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災害シミュレーション
地震防災対策への反映
~大都市地震災害の半減化へ~
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地表のゆれ
波の伝播
震源
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大都市圏地殻構造調査研究計画の構成
1.大深度弾性波探査
2.大規模ボーリング調査
3.断層モデル等の構築 (平成14年度~平成18年度)
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1923年関東地震の強震動シミュレーション
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古村 (2003)
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シミュレーションに用いた地下構造モ
デル コンターは,地震基盤までの深度山中・山田(2002)
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.
1.大深度弾性波探査
1.1 制御震源構造探査
 平成14年度
– 房総測線における探査
– 相模湾岸探査

平成15年度
– 東京湾岸探査
– 小田原・足利探査
1.3 自然地震による地殻構造探査
1.4 近畿圏大深度弾性波探査(平成16年)
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首都圏
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房総測線における探査
地殻構造探査「房総2002」実験概念図
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房総半島白浜での発震状況
房総半島白浜でのバイブロサイスの発
震状況
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房総半島野島崎での海底ケーブル
の敷設状況
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バイブレータによる発震
小田原-相模川区間展開機材設置状況
受振点番号731 袖ヶ浦海岸
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VP.2063 箱根ターンパイク大観山北側。
調査期間中、5-10cm程度の降雪に見舞
われることが数日あり
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起震車(バイブレーター)
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観測車
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地震計のケーブル
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独立型デー
タ収録装置
概念図
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6チャネル独立型レコーダ
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単チャネルデー
タロガー
24bit
128MB
125 – 1000Hz
(96時間連続)
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単チャネルデータロガー
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小型単チャネルデータロガー
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ダイナマ
イト発破
点と受
振点位
置
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稠密発震による反射法
地震探査測線および
CDP重合断面位置図
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マイグレーション後深度変換断面 と
反射法地震探査解釈断面図
5
10
km
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N
低重合法反射法地震探査断面の暫
定的解釈
NNE
SSW
CDP profile
CDP profile
5
10
15
km
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2.大規模ボーリング調査
2.1 大深度ボーリング
掘削,検層および孔
井内速度構造調査
2.2 孔井付近速度構
造調査
2.3 大深度ボーリング
試料による地質年代
調査
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首都圏
2002年掘削点
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房総半島鴨川地域の南北模式地質断面
非常に厚い"N .8 "層(神川層)を掘削
SSW
ボーリング
サイト
嶺岡浅間
曽呂川
加茂川低地帯
木の根層
不整合(1 500 万年)
天津層
清澄層
NNE
Sea level
富川層
嶺岡層群
(超苦鉄質岩・玄武岩)
神川層
嶺岡層群
(頁岩・チャート)
-1000m
?
?
?
-2000m
不整合(1 500 万年)
0
1
2
3km
-3000m
掘削は木の根層基底の不整合(1500万年前)直下から開始し,
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神川(
カニガワ)層(“N.8層”)を掘削し続けたが,基盤には到達しなかった.
3.断層モデル等の構築
3.1 内陸活断層モデル化の研究
3.2 プレート間地震モデル化の研究
3.3 動的モデルパラメーターの研究
3.4 地下構造モデル化の研究
3.5 自然地震・制御震源を用いた内陸活断層の深部
モデルと地殻内三次元構造モデルの構築に関
する研究
3.6 断層の準静的モデルの構築と歪蓄積過程に関
する研究
3.7 強震動予測高精度化のための震源モデル,堆
積盆地構造モデルの構築に関する研究
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3.7 強震動予測高精度化のための震源モ
デル,堆積盆地構造モデルの構築に関する研
究
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まとめ
1.地震がどこで発生するかを理解(予測)
するために,過去の地震活動の理解に加
え地殻・プレートの構造を研究する必要
2.強震動の予測を行うために,
断層モデルの構築
← 構造の理解
伝播経路,地表の構造← 構造の理解
3.地震が何時発生するかを予測(地震予知)するために
は,地殻活動のモデル化が不可欠:構造知識が必要
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地殻構造探査で明らかになった首都
圏直下の震源断層の形状
-関東西部で浅くなった震源断層、反射強度とアスペリティの
関連性を発見-
Sato, H., N., Hirata, K. Koketsu, D. Okaya, S. Abe, R.
Kobayashi, M. Matsubara, T. Iwasaki, T. Ito, T. Ikawa, T.
Kawanaka, K. Kasahara, S. Harder, Earthquake Source
Fault Beneath Tokyo, Science, July 2005
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関東周辺の構造概念図と測線図
赤実線: 稠密発振による反射法地震探査測線、青実線:低重合反射法地震探査測線、緑
色の波線はフィリピン海プレートの上面深度、HpN:本州側の上部地殻(先新第三系)、Iz:伊
豆-小笠原弧の上部地殻、Tz:丹沢ブロック(中新世の伊豆-小笠原弧の地殻)、
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KB:関東堆積盆地を充填する新第三系・第四系、AC:新生代の付加堆積物、
反射法地震探査断面
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関東山地東2003測線 (P1)
成果:
•目的は全て達成
•フィリピン海プレート上面深度(10-20km)が、既存モデル(20ー40m)より浅い
•地質時代の伊豆ー小笠原弧の本州弧への衝突の様式が判明
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相模測線(相模2003)(P2)
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東京湾測線(東京湾2003)(P3)
成果:
•フィリピン海プレート上面の反射波の強度が、場所によって有意に変化
•アスペリティー部分で小さい
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房総半島縦断測線(房総2002)(P4)
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South-to-north cross-sectional view of the
hypocentral distribution and P-wave velocity
structure obtained by seismic tomography along
139.5ºE longitude
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反射法地震探査断面から推定した
フィリピン海プレート上面の深度
赤:新モデル
青:Ishida モ
デル
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1923年関東地震の滑り分布
Ishida(1992) モデル
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新モデル
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成果のまとめ
関東の4測線で、深さ26kmまでのフィリピン海
プレート上面のイメージング:自然地震で推定
されていた境界より有意に浅く、関東山地で
は最大17km浅い。
 新しいプレートモデルで1923年関東地震の滑
りの推定をやり直す。滑りの大きい領域は北
へ移動
 地震時に滑りの大きな領域(アスペリティ)と、
反射強度には、負の相関

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