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特別支援学級のクラスマネジメントに
トークンシステムを導入した教育的行動介入の効果
1
標的行動

チャイムが鳴って1分以内に席に座る。
現状のABC分析
休み時間
教師いる
教師いない
チャイム
課題あり
(ー)
席に
座る
休み終了
(↓)
3
解決策のABC分析
課題あり
(ー)
休み時間
教師いる
教師いない
チャイム
席に
座る
休み終了
(↓)
10円もら
える(↑)
誉め言葉
(↑)
4
方法
【対象】
特別支援学級の児童
【指導場面】
授業時間開始時
【教材】
10円、50円、100円、500円、1000円
おもちゃ、シール
支援学級のプロフィール
性別 学年
診断名
IQ
A児
男
5
自閉症
56 (VIQ=53,PIQ=68)
B児
男
5
自閉症
57 (VIQ=76,PIQ=46)
C児
男
5
自閉症
62 (VIQ=75,PIQ=55)
D児
男
4
自閉症
51 (VIQ=55,PIQ=57)
E児
男
4
ADHD
83 (VIQ=97,PIQ=71)
F児
男
3
自閉症
68(VIQ=76,PIQ=65)
6
支援学級のプロフィール
診断名
IQ
性
別
G児 女
学
年
3
知的障害
46(VIQ=50,PIQ=53)
H児 女
3
知的障害
54(VIQ=52,PIQ=65)
I児
男
2
自閉症
53 (VIQ=52,PIQ=64)
J児
男
2
診断名なし
K児
男
1
アスペルガー症候群
101(VIQ=103,PIQ=105)
7
手続き
【介入1】
1. 朝の会にチャイムが鳴ったら席に座ることを指導する。
2. 児童が席に座ると同時に課題を渡す。
【介入2】
1. 朝の会にチャイムが鳴ったら席に座ると10円をあげるこ
とを伝える。
2. 児童が席に座ると同時に10円を渡し言語賞賛をする。
3. 貯まった10円と50円、100円、1000円と交換をする両
替時間を設ける。
4. 貯まったお金と商品(おもちゃ、シール、活動券)を購入
する販売時間を設ける。
教材 (紙幣)
若杉銀行券
若杉銀行
商品
キャラクターシール(30円~200円)
 100円均一のおもちゃ(50円)
ヨーヨー
ミニカー
スマッシュキャッチなど
 学級にある遊具(200円)
シーソー
バランスボール
パソコン
トランポリンなど

記録方法
教員二名がチャイムが鳴り終わると同時に1
分間計測する。
 1分経つと同時に席に座っているか記録をす
る。交流学級で授業が行われる児童の場合、
交流学級に向かっているか記録をする。

1分以内に席に座った授業時間数
計算方法=
×100
授業時間数
記録時期
BL期(指示なし)
10月18日~10月29日
 介入1期(言語指示)
11月 1日~11月12日
 介入2期(トークンエコノミー)
11月15日~12月22日
 冬休み後(トークンエコノミー)
1月11日~ 2月25日

結果(1)
100%
90%
80%
70%
60%
50%
BL期
介入1期
介入2期
冬休み後
40%
30%
20%
10%
0%
A児
B児
C児
D児
E児
F児
G児
H児
I児
J児 K児
記録者の一致率=94%
結果(2)






介入1期の言語指示だけでほとんどの児童で効果が見られな
かった。
介入2期でトークンエコノミーと言語指示を用いることで、全ての
児童で効果が見られた。
トークンに紙幣を用いることで、両替の意味が分かるようになった
児童がでてきた。
介入2期開始の頃は、販売時間になると紙幣を使い切っていた
児童も、徐々に紙幣を貯めるようになり、紙幣を貯めることが好
子となっていった。
冬休み後も行動を起こすことが維持されていた。
チャイムが鳴ると同時に掃除を開始するようになっていることから、
チャイムの音と同時に行動を起こす習慣が身についていることが
分かる。
考察

•
•

•
学級全体で共通の標的行動とトークンを用いること
について
近くの児童の行動がきっかけになったり、声かけを
したりすることで行動が引き出された。
行動の起こる確率が70%台の児童もおり、全ての
児童に対して高い効果を示したとは言い難い。
トークンに紙幣を用いることについて
紙幣を貯める喜びや紙幣の価値を学ぶことに有効。
支援学級教員の感想










言語では、なかなか行動に移せないので指導者もイライラするし、何度も言わ
れた子もイライラする。トークンシステムだと、子どもが心からやる気を出して
行動できるので、指導者も子どもも楽しく生活できる。
チャイムが鳴る前に教室へ帰ってくる子どもがどんどん増えている。
注意、指導しなくてもチャイムと同時に座るという行動が習得できた。
お金の学習を楽しくすることができた。
友だちと遊具で遊ぶ姿が見られるようになった。
はじめ、ルールが理解できなかった子どもが、日が経つにつれてだんだん分
かってきて、最近では10円をもらえるのを楽しみにしている。
どの先生も同じ指導を行うと、子どもたちが分かりやすい。
子ども同士で隣の子を見てまねができていた。
トークンシステムを実践してみて、言語による指示はあまり有効でないというこ
とがよく分かった。
トークンをご褒美と交換することに時間をとられた。選択の学習としては効果
があったが、子どもによってはシールを選ぶのに時間がかかっていた。