Transcript ゆずりますコーナー
インターネットによる不用品リサイクル実験と 今後の展望 The disused article recycling experiment by the Internet, and the future view 田中憲一 及川篤 大地山武彦 木村行男 Norikazu Tanaka Atsushi Oikawa Takehiko Oochiyama Yukio Kimura NTT東日本 研究開発センタ Research and Development Center, NTT EAST はじめに 今回の発表内容について 環境情報ネットワークシステムの研究開発の一環として, 不用品リサイクルシステムを開発し,昨年,仙台市をフィー ルドとしてインターネットによる不用品リサイクル実験を 行った. その実験概要と結果・評価について報告するとともに,今 後の展望について述べる. 背景 仙台市 循環型社会経済システムへの転換に向けて 1.平成22年度における市民1人1日当たりの ごみの排出量を,平成 10年度から約13%削減して,1,107g/人年とする 2.平成22年度におけるリサイクル率を30%とする この目標達成に向けて市民・事業者・行政の三者協働で取組むべく “100万人のごみ減量作戦” を展開 東北マルチメディア・アプリケーション技術開発推進協議会 (以下,TMA) 仙台市が展開している“100万人のごみ減量作戦”におけるリサイクルを テーマに,マルチメディア技術による研究開発・実験を行い,開発技術の 実用化の推進と情報通信関連の新産業創出を推進する 「資源循環型都市システムワーキンググループ」 実験参画の目的・期間・体制等 目的 実験期間 平成13年1月18日~平成13年11月30日 実験体制 NTTの情報通信技術を用いた環境情報ネットワークシステムの開発の 一環として開発した「不用品リサイクルシステム」の有効性の検証 成果・課題・ニーズ等を整理し,実用システムへ構築と展開を図る TMA,NTT東日本による共同実験体制 TMA:実験システム開発と運用の主管,実験推進,連絡調整,広報 NTT東日本:実験システム開発,実験システム運用支援(実験事務局 機能) 実験システム名称 「リサイクルモールせんだい」 システム概要と特徴 「リサイクルボード情報」 + H13.4.1~ ○粗大ごみ収集受付方式に変更 ・戸別収集、・有料収集 ○家電リサイクル法実施 ・家電4品目の有料処分 ・粗大ごみ収集の対象外 「リサイクル展示品コーナー」 まだ使える物の情報を ネットワークで 提供 サイバー「ゆずります/さがしています」プラザ もう使えない物 一定期間経過後取り引き されなかった場合 市民 戸別収集(有料) 粗大ゴミ置場 定期収集(無料) ゴミ処理工場 “リサイクルモールせんだい” まだ使えそうな物 の情報 インターネット で情報登録 企業 自 宅 まだ使えそうな物 の情報 検索 □リサイクル品情報の掲載 ・「ゆずります」、「さがしています」情報を掲載 「動画」、「文字」で案内 “NTTの研究開発 「カタログ」的に案内 技術適用” □申込の受付と取引者決定 市民 インターネット で検索、申込 ・指定された日に取引相手を決定 「電子抽選システム」が自動抽選 ・抽選結果を関係者に通知 「Eメール」で結果を自動通知 一定期間経過後取り引き されなかった場合 自己責任 申込 廃棄 企業 新技術の紹介 出品物を見せる技術“CyberCoaster” CyberCoasterは映像やアニメーションに埋め込まれた折れ線型のスライダーで、カーソルをスライダーにそ って動かすことで、見る人にとっては、被写体をあたかも掴んで動かしているような直観的な操作が可能となり、例えば 冷蔵庫の扉を開ける等の動作が動画的に見ることができる。 冷 蔵 庫 の 映 像 例 ※NTT、NTT東日本が提供 出品物を見せる技術“CyberBook” CyberBookは誰もが親しめる本のインターフェースで出品情報、画像をCyberBookに分類別に整理し格 納しておくことにより、見る人にとっては、目当てのリユース品をカタログをめくるように検索することができ、気にな る品物のページには付箋紙を貼付しておくこともできる。 B O O K の 画 像 例 ※NTT、NTT東日本が提供 システム構成 Server Client WWW/アプリケーションサーバ,デー タベースサーバ等 開発言語:Visual Basic,ASP,Perl 等 会員登録用,管理用パソコン タッチパネル式 KIOSK 端末 インターネットへ接続可能な端末 必要なソフトウェア:ブラウザ,Cyber Book Viewer Navis(榴ヶ岡) Navis内LAN キオスク閲覧端末 市民の自宅 登録用端末 NTT東日本 東北研究開発センタ Router Fire Wall イ ン タ ー ネ ッ ト 泉区役所南光台支所 Router 登録用端末 葛岡リサイクルプラザ Router キオスク申込端末 DMZ 登録用端末 WWWサーバ 会員登録用端末 CB DNS/MAILサーバ 管理者 今泉リサイクルプラザ Router データベース サーバ 無線LAN INS64 開発用マシン 登録用端末 CB Router 内部ネットワーク キオスク申込端末 管理者 会員登録用端末 リサイクルモールせんだい トップページ ゆずります/さがしていますコーナー 不用品を 出したい人 市民等 新技術 Cyber Coaster “リサイクルモールせんだい” Cyber Book 出品物を 動かして見れます 掲載情報をカタログ 的に検索できます ゆずりますコーナー 出品 ①出品登録 会社・店舗 新技術 ③抽選で申込者 を選択 ④抽選結果確認 (Mail登録者へはe-mail通知有り) 運送会社のHP にリンク 申込 ②申込登録 電子抽選 ④抽選結果確認 マイ取引ページ 個人の取引状況 確認ページ ▼ (Mail登録者へはe-mail通知有り) ⑤取引(当事者間) さがしていますコーナー 応募 ②応募登録 募集 マイ取引ページ 募集者の ページ 情報の流れ 取り引き 運送会社のHP にリンク ▼ ①募集登録 ③応募の中 から選択 ④取引(当事者間) 不用品を 探している人 市民等 会社・店舗 展示品コーナー “リサイクルモールせんだい” 仙台市 リサイクル プラザ 仙台市リサイクルプラザ 展示品コーナー ①展示品登録 不用品を 探している人 新技術 Cyber Book 掲載情報をカタログ 的に検索できます 展示品登録 新技術 Cyber Coaster 出品物を 動かして見れます ②検索 申込 当選者を決定 電子抽選 ③申込 抽選結果 掲示 ④はがき通知(当選者) ④抽選結果 確認 仙台市民 実験結果 システム全体の利用状況 「ゆずります」・「さがしています」コーナーの利用状況 会員登録数と実験ホームページへのアクセス数 会員登録数 ログイン数 会員構成比率(年代別/登録曜日別) 応募・出品数 出品物ジャンルと申込み数 「展示品」コーナーの利用状況 出品数・申込み数 会員比率 出品物ジャンルと申込み数 会員登録数とホームページのアクセス数 会員登録数 アクセス数 ”会員登録数”の最低値と最高値を結んだ直線 ログイン数 9000 会員登録数(人) 7000 40000 6000 5000 30000 4000 20000 3000 2000 10000 1000 0 0 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 アクセス数、ログイン数(件) 50000 8000 登録場所による会員数の推移 葛岡プラザ 今泉プラザ インターネット個人 インターネット会社 市民センタ Navis 6,000 会員登録数(人) 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 1月末 2月末 3月末 4月末 5月末 6月末 7月末 8月末 9月末 10月末 11月末 時間帯によるログイン数の推移 葛岡プラザ会員 インターネット会社会員 今泉プラザ会員 Navis会員 インターネット個人会員 市民センタ会員 3,500 3,000 ログイン数(回) 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 0時 3時 6時 9時 12時 15時 18時 21時 会員構成比率 2,000 1,500 1,500 1,000 500 葛岡プラザ 今泉プラザ インターネット個人 インターネット会社 Navis 行政センタ 0 10代 20代 30代 40代 50代 年代別登録数 70代以上 60代 1,000 500 葛岡プラザ インターネット個人 Navis 土 金 木 水 火 月 曜日別登録数 0 日 「ゆずります」コーナーの応募・出品数の推移 出品数 応募数 300 募集数、応募数(件) 250 200 150 100 50 0 1月末 2月末 3月末 4月末 5月末 6月末 7月末 8月末 9月末 10月末 11月末 「さがしています」コーナーの応募・出品数の推移 募集数 応募数 45 40 募集数、応募数(件) 35 30 25 20 15 10 5 0 1月末 2月末 3月末 4月末 5月末 6月末 7月末 8月末 9月末 10月末 11月末 35 30 25 20 15 10 5 0 6 8 2 10 6 1 「さがしています」コーナー 32 14 8 2 1 1 9 3 29 8 2 申込数 65 募集数 5 応募数 6 21 4 4 1 2 2 3 7 1 1 申込数と成立数(人) 「ゆずります」コーナー 出品数 7 6 5 4 3 2 6 1 1 1 0 応募数と成立数(人) 器 ・イ 機器 ン テ リ ア 家 電 護 161 180 160 140 120 37 35 100 29 90 27 81 80 18 16 16 12 60 15 56 13 12 51 12 10 8 40 26 19 9 9 20 8 8 5 4 3 1 2 0 19 7 7 6 5 3 3 3 3 1 1 1 2 2 ・ベ 用 ビ 品 ー 自 用 転 品 車 ・バ 自 イ 趣 ク 動 味 ・ス 車 ポ 用品 ー ツ 用 照 品 明 器 台 具 所 用 通 品 信 機 器 本 ・ 冷 教 暖 材 房 器 具 供 2 楽 9 ・介 31 康 29 健 12 具 36 料 5 像 15 家 4 衣 23 映 出品数(個) 37 子 デ ー 2 ィ ィス オ ー ム 用品 ・お コ ン もち ピ ゃ ュ ー タ ー そ の 他 ゲ フ オ オ 70 60 50 40 30 20 10 0 衣 料 家 映像 具 ・イ 機器 ン テ リ ア 家 電 健 康 楽 子 ・介 器 護 供 ・ベ 用 ビ 品 自 ー 用 転 品 車 ・バ 趣 自 イ ク 味 動 ・ス 車 ポ 用品 ー ツ 用 照 品 明 器 台 具 所 用 通 品 信 機 風 器 呂 用 品 本 ・ 冷 教 暖 材 房 器 具 オ デ ィ フ ゲ ィス オ ー ム 用 ・お 品 コ ン もち ピ ュ ゃ ー タ ー そ の 他 ー オ 募集数(個) 出品物ジャンルと申込み数 成立数 成立数 展示品の出品数と申込み数 葛岡プラザ展示品数 今泉プラザ展示品数 葛岡プラザ展示品への申込数 今泉プラザ展示品への申込数 90 1,400 1,170 80 965 958 945 944 874 60 展示品数(個) 1,044 1,040 926 1,000 765 800 50 631 40 461 519 517 505 600 421 30 400 20 200 10 0 0 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 申込数(人) 70 1,200 展示品への申込み会員比率 インターネット会員 今泉プラザ会員 葛岡プラザ会員 その他会員 100% 会員種別による申込割合 80% 葛岡プラザ会員 60% 40% 今泉プラザ会員 20% インターネット会員 0% 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 「展示品」コーナーの出品物ジャンルと申込み数 155 138 器 護 子 供 ・介 康 50 633 34 299 5 8 34 35 37 304 163 339 ・ベ 用品 ビ ー 用 自 品 動 車 用 品 照 明 器 具 台 所 用 品 本 ・教 冷 材 暖 房 器 具 26 楽 家 テ 電 健 具 ・イ ン 像 他 455 映 の そ ュ ー 19 1,518 リア 27 器 378 家 ン コ 20 機 27 ー 2 ピ ・お ム 3 19 タ ゃ 158 も ち デ ィオ ー オ 7,067 申込数 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 申込数(人) 426 450 400 350 300 250 200 150 72 100 50 0 1,174 ゲ ー 展示品数(個) プラザ展示数 評価 本実験による成果 空間上の制約の解消 インターネットの利便性の再確認 インターネット会員の深夜帯での利用状況が高い 自分の都合のよい時間帯にアクセス可能 Cyber Bookによる効果 掲載された不用品情報が423点を超えた 10月からは,リサイクルプラザに展示しきれない小物類も出品 インターネットを利用した情報空間の提供が有効である 定型的なレイアウトにより,必要な情報を利用者が理解しやすい形で提供 「品物の情報が十分であった」と回答した利用者が74% Cyber Coasterによる効果 インターネット上から利用者が実際に自分で品物を動かして状態を確認 自分の意思で,マウスを用いて展示品を直接つかんで動かしているような 感覚を持たせ,リサイクル品の状態の確認をさせることができた 課題と今後のニーズ 課題 ユーザIDとパスワードの入力の手間 利用者の要望に合わせた検索ができる機能の追加 ジャンル毎に分類されたサイバーブックからページをめくりながら,目的の 品物を検索していく手法用いた 検索機能や一覧表示機能のニーズが高い Cyber Coater作成にあたってのポリシーの整備 指紋認証技術等の導入の検討 作成者側の意図で自由に作成 リサイクル品の状態を的確に把握しかねる画像もあった 今後のニーズ 利用者ニーズに対応した情報提供手段の拡充 幅広い年代にとって,使いやすいシステムが普及のポイント 今後の展望 今回の実験から 地域に限定された取引をインターネットにより行うことの有効性が実証 リサイクル以外の分野における地域限定型のサービスへの応用 品物の受け渡しに関わる送料の負担が減る 現物を見て品物の状態を確認できる エコマネーや地域通貨などによる地域内取引システムなど 3月の信学会総合大会にて,地域内取引システムにおけるコーディネート 機能をマルチエージェント・アプローチによる実現方法を提案 今後の予定 インターネットに基づいたボランティア型の地域コミュニティサービスの 研究開発 エージェント技術 P2Pネットワーキング技術