24 Mg + 86 Krの反応による生成核からのβ線の測定と

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Transcript 24 Mg + 86 Krの反応による生成核からのβ線の測定と

natMg+86Krの反応による
生成核からのβ線の測定と
GEANTによるシミュレーションとの比較
田尻 邦彦
倉 健一朗
下田研究室
目次


実験の目的
natMg+86Kr生成核からのβ線の測定@RCNP
–
–





実験方法
実験結果
GEANTによるシミュレーション
解析
結果
まとめ
今後の課題
実験の目的
・偏極した中性子過剰Naアイソトープのβ-γ-γ同時測
定実験をTRIUMFで行う予定
・Ge検出器を多く配置し、γ線の検出効率を上げたい
・高エネルギーのβ線をGe検出器で測定できるのか?
・GEANT4で正しくシミュレーションできるのか?
Ge検出器により既知のβ線のスペクトルを測定し、
GEANT4によるシミュレーションと比較する
natMg+86Kr反応の生成核からのβ線の測定
スタンダードなβ線源:90Sr
最大エネルギー2282 keVのβ線
エネルギーが低い
AVFサイクロトロンからのビームを用いて、
高エネルギーのβ線を放出する核を作り、オ
ンラインで測定する
実験概要
(1)反応
→ 110Cd* →
ビーム : 86Kr 8.7MeV/u
ターゲット : natMg 10.8μm
24Mg+86Kr
98Rh
+ αp7n
(2)場所
大阪大学核物理研究センター(吹田キャンパス)
→RCNP (Research Center for Nuclear Physics)
ENコース(東実験室)
加速器: AVFサイクロトロン
natMg+86Kr反応生成核の中で
β‐γ同時測定に適した核
Eβmax 
3476 keV
@NNDC
24Mg+86Kr
→
110Cd*
→
98Rh
+ αp7n
生成核種一覧@CASCADE
98Rh
<CASCADE>
核融合反応で生成された
複合核、および粒子放出
後の生成核をモンテカル
ロで計算する
49
50
51
52
53
54
total cross section
~1163 mb
98Rh cross section
~70 mb
(total cross sectionの6%)
55
56
57
実験手法
recoil catcher method
γ
Primary
beam(86Kr)
γ
生成核は反跳を
受けて飛び出す!
98Rh
E =4.55MeV/u
E = 8.7MeV/u
γ
target
(natMg)
e
catcher
キャッチャーまで生成核を運んで捕獲する
→核融合反応直後に出るγ線を落とす
ことができる
→注目した核からのβ崩壊後の放射
線のみを測定
RCNP
ENコース
東実験室
AVFサイクロトロン
Beam Transport
86Krビームが下流に届かない磁場の値にした
natMg
ターゲット
Q2Q3
Q1
F0
D1 SX1
SX2Q4
F1
D2
Ge + Plastic Scinti.
Q5
Q6Q7
SX3
Pb catcher
F2
86Kr
ビーム
飛行距離:16m
飛行速度:~0.1c
飛行時間:~500ns
寿命の長い生成核からの
放射線のみ測定できる
F1 での 86Kr と生成核の分離
LISEによる計算
イオンが物質を通過する際、価数により分かれる
Yield [pps]
33+
34+
35+
33+
赤:98Rh
Bρ [T・m]
32+
86Kr
ビーム
実験のセットアップ(検出器周辺)
検出器 :
同軸型Ge検出器4台
Plastic Scintillator1台
キャッチャー
natPb 41.7mg/cm2
上部の窓からβ線
が出るように45°
に設置した。
上部のGeでβ線を測定するため、
チェンバー上部にカプトンフォイル
の窓を作成した。
測定原理(β‐γ同時計測)
Ge①
e
Plastic Scinti.
γ
e
・Plastic Scinti.でゲートをかける
→Ge①ではβ線のみのスペクトル
γ
Ge②
γ
Ge③
・Ge②、③のγ1でゲートをかける
→Ge①ではβ1のみのスペクトル
実験結果(1)
- β線測定用Ge検出器のγ線スペクトル
β崩壊後のγ線等が測定できた!
実験結果(2)
‐β線測定用Ge検出器①のβ線スペクトル
Ge①
β線のみのスペクトル
Plastic
Scinti.
e
e
γ
Ge②
counts
γ
653 keVのγ線でゲートし
たβ線のスペクトル
γ
Ge③
98Rh
Eβmax 
3467 keV
653 keV
98Ru
energy [ keV ]
98Rhのdecay scheme
GEANT4によるシミュレーション
<GEANTとは>
 粒子と物質との相互作用、物質中での軌跡を計
算できるモンテカルロシミュレーションプログラム
↓
高エネルギー・原子核などの分野で
測定器シミュレータとして用いられる
GEANT4上での検出器周辺の配置
Alカバー
Ge結晶
Plastic Scinti.
カプトンフォイル
チェンバー(アクリル)
β線
生成核
Pbキャッチャー
・ 物質、密度、大きさを定義して、
配置する。
・ Ge結晶を検出器とし、結晶中で
落としたエネルギーを計算、出力
させる。
シミュレーション結果
counts
実験結果/GEANT ratio
実験結果/GEANT
Energy [ keV ]
Energy [ keV ]
スペクトルの形は、ほぼ一致している
解析

‐End point energy
β線のend point energy(最大エネルギー)を
求めるため、Kurie plotを作成した。
β線のスペクトルは、
N(E)  C(E)F(Z, E) pE(E0  E) 2
K ( E) 
N ( E)
 C(E)(E0  E)
F (Z , E) pE
これをプロットすれば、E0(end point energy)を求められる。
※98Rhの着目している遷移は許容遷移なので
C(E)=const.としてよい。
解析
98Rhからのβ線
(3.476 MeV) の
energy loss
Ge結晶までのenergy loss
Alカバー
Ge結晶
⊿E~0.63 MeV
Plastic Scinti.
End point energy
E0=2.75 MeV
チェンバー上部
カプトンフォイル
β線
※stopping powerより計算
(ref. TRIUMF
Kinematics Handbook)
解析
-End point energy (実験データ)
98Rh
Kurie plot (653 keV γ-ray gated)
β線の最大エネルギー:3.467 ±0.010MeV
→エネルギー損失後:2.750 MeV
end point energy
=2.69±0.10 MeV
解析
‐End point energy (GEANT4)
98Rh
Kurie plot (最大エネルギー3467 keV)
β線の最大エネルギー:3.467 ±0.010MeV
→エネルギー損失後:2.750 MeV
end point energy
=2.73 ±0.10 MeV
結果
・実験結果とGEANT4でのシミュレーション結果とで
β線スペクトルの形が一致した
・Kurie plot による end point energy
実験結果: 2.69±0.10 MeV
GEANT4: 2.73 ±0.10 MeV
・検出器に入るβ線のend point energyの文献値
2.750 MeV
誤差の範囲内で一致
まとめ
 natMg+86Kr生成核からのβ線をGe検出器で測定した


→β線のみのスペクトルを得ることができた
GEANT4を用いて、シミュレーションを行った
→β線のスペクトルを再現したので、β線をGeで測定する
際のシミュレータとして有効である
Kurie plotを作成し、両者のend point energyを文献値と
比較した
→誤差範囲で一致
今後の課題
・TRIUMFでの実験で観測する~20 MeVのβ線を
Ge検出器で測定する際、GEANT4によってシ
ミュレーションを行う
・TRIUMFで行う実験の準備
回路図(Ge&Plastic Scinti.)
β線スペクトルのゲート条件
-30~
150ns
0
β線測定用Geスペクトル
(Plastic Scinti. gated & veto)
上:gated spectrum
下:veto spectrum
γ測定用Ge3台(sum)スペクトル
TRIUMF ISAC ( Isotope Separator / Accelerator)
ISAC-2
ISAC-1
TRIUMF実験
‐偏極した核のβ崩壊による娘核の
スピン・パリティの決定
28Mg, 29Mg, 30Mg, 31Mg, 32Mg
N =16,
17,
18,
19,
20
偏極
P
目的の準位に遷移
しているかはβ‐γ
同時測定で求める。
ベータ線のasymmetryを測定することで
娘核のスピン・パリティが決定できる!
TRIUMF実験
‐偏極した核のβ崩壊による娘核の
スピン・パリティの決定
Plastic Scinti.
偏極
P
Plastic Scinti.
Ge
Ge
W (180)  1 AP
θ= 180°
W (0)  1 AP
Aが求まる
θ=0°
93Mo の level scheme
NNDC
Fermi関数
2
[

(


i

)]
2 2
F (Z , E)  2(1   )(2 pR) exp( )
2
[(2  1)]
  (1   2 Z 2 )1/ 2
  ZE / p
Ref. D.H.Wilkinson Nuclear Instruments & Methods
In Phys Research A365 (1995) 203