生活保護の医療費不正受給について

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Transcript 生活保護の医療費不正受給について

グループC
左口栞 飯田啓太
伊藤珠未 木下恭輔
久保田真澄 福田瞳
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目次
• 生活保護制度とは
• 医療扶助の概要
• 医療費不正受給について
• 国の対策
• 解決するためには
• まとめ
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生活保護制度
• 目的:
-生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じ
て必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の
生活を保障するとともに、自立を助長すること
• 項目:
生活扶助 住宅扶助 医療扶助 介護扶助
出産扶助 生業扶助 葬祭扶助 教育扶助
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生活保護を受けるには…
~生活保護決定までの流れ~
福祉事務所来所(面接&相談)
↓
申請受付&資力調査
↓
保護の要否判定
8種類の扶助を合計した
↓決定されると
最低生活費
生活保護費支給
4
• 生活保護費の内訳
(2010年度予算 約3兆3300億円)
生活扶助
1兆1600億円
(34.7%)
住宅扶助
5000億円
(15.0%)
医療扶助
1兆5700億円
(47.2%)
その他
1000億
円
(3.1%)
約半分が医療扶助費
医療扶助は生活保護の中で重要視すべきもの
出典元:http://www.mhlw.go.jp/
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医療扶助
生活保護適用されると…
医療費=自己負担なし
(全額医療扶助から支払われる)
※健康保険との違い
医療費=自己負担3割&保険料負担
⇒ほぼ同じ医療サービス!!
タダで医療サービスを受けることができる
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医療扶助の概略図
被保護者
中央・地方政府
=
要否判定
医療券の交付
(申請時)
公費(税)
福祉事務所(点検)
審査済みの
医療費の請求
医療費の支払い
(レセプト)
医
療
サ
ー
ビ
ス
患者
医
療
券
医療費の支払い
指定医療機関
(病院・診療所)
審査支払機関(審査)
医療費の請求
7
医療費の不正受給はなぜ起きやすいのか
①患者の窓口負担がない
⇒医療サービス量への関心が低い
②福祉事務所は医療についての知識がない
⇒医療機関に過剰な医療報酬を簡単に支払ってしまう
③医師誘発需要が起こっている
④貧困ビジネス
8
P
医療扶助の経済分析
(モラルハザード)
D1
医
療
サ
ー
ビ P
ス =
の 一
価 定
格
E1
S1
社会的損失
E2
0
D1.:需要曲線
S1.2:供給曲線
E1:均衡点
E2:均衡点
Q1
Q2
S2
Q
医療サービス量
受給者にとっては、医療サービスはタダで
あるのでQ2まで無駄に医療を受ける
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向精神薬を買い取り、
インターネットで転売
ただで向精神薬
を大量にもらう
生活保護受給者
病院
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医療費の不正受給はなぜ起きやすいのか
①患者の窓口負担がない
⇒医療サービス量への関心が低い
②福祉事務所は医療についての知識がない
⇒医療機関に過剰な医療報酬を簡単に支払ってしまう
③医師誘発需要が起こっている
④貧困ビジネス
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医療扶助の概略図
患者
被保護者
医療についての
中央・地方政府
知識がほとんどない。
要否判定
医療券・調剤券の交付
(申請時)
医
公費(税)
福祉事務所(点検)
審査済みの
医療費の請求
医療費の支払い
(レセプト)
療
サ
ー
ビ
ス
医
療
券
・
調
剤
券
医療費の支払い
指定医療機関
(病院・診療所)
審査支払機関(審査)
医療費の請求
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医療費の不正受給はなぜ起きやすいのか
①患者の窓口負担がない
⇒医療サービス量への関心が低い
②福祉事務所は医療についての知識がない
⇒医療機関に過剰な医療報酬を簡単に支払ってしまう
③医師誘発需要が起こっている
④貧困ビジネス
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医師誘発需要
医療サービス
供給者
(医師)
豊富な医療知識
情報
格差
医療サービス
需要者
(患者)
患者は医師に治療を委ねる
少
多
医師に有利な取引
供給側(医師)が需要量をコントロール
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供給者誘発需要と需要曲線の動き
P
D1
医
療
サ
ー
ビ P
ス =
の 一
価 定
格
0
本来の医療費
D2
E1
E2
D1.2:需要曲線
S1:供給曲線
E1:均衡点
(誘発需要前)
E2:均衡点
(誘発需要後)
S1
Q
Q1
Q2
医療サービス量
過剰な医療費
供給者(医師)誘発需要により、過剰な医療費が生じる
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健康保険証を保持していない
そのまま病状の悪化を放置
3食・ベッドでの生活
元の生活に戻りたくな
い!!
過剰な医療サービスを受け続ける
病院の儲け
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山本病院事件
2005年~2007年、奈良県の山本病院で、生活保護受給者に、
心臓カテーテル手術を勧めて、不要な手術をし、不当な
診療報酬を得ていた。さらに、心臓カテーテル手術を行ったよう
装ったりして、診療報酬を不正に受け取っていた。
その後・・
2009年に、詐欺の疑いで病院事務長が逮捕された。
さらに、自己破産で、病院が封鎖されるに至った。
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医療費の不正受給はなぜ起きやすいのか
①患者の窓口負担がない
⇒医療サービス量への関心が低い
②福祉事務所は医療についての知識がない
⇒医療機関に過剰な医療報酬を簡単に支払ってしまう
③医師誘発需要が起こっている
④貧困ビジネス
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貧困ビジネスとは
ホームレスや派遣、請負労働者など
社会的弱者を顧客とするビジネス
※もともとは自分ひとりでは管理できない
生活保護受給者のために
NPO法人がはじめたもの。
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貧困ビジネス
大阪市内の
不動産会社の
経営するアパート
両者共謀
生活保護受給者
300人
⇒
⇒
生活保護申請をさせ、生活保護受給者300人に同社
が経営する診療所で診察をうけさせる。
そして、医療扶助を不正受給した。
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国の対策
◎生活保護等レセプト管理システム
《従来》
毎月、数万から数十万規模で届く、紙レセプトの中から、
自治体の担当者が不正を点検。
→多くの中から不正を発見するのは困難
《今回》
電子化されたことによって、不正の点検作業が早くなっ
た。
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不正受給監視の主な流れ
自治体の担当者がソフトでレセプトを検索し、
過剰受診などの疑いがある対象者を抽出
↓
自治体の嘱託医と協議
↓
主治医や本人から聞き取り調査
↓
嘱託医と協議、改善が必要か判断
必要な場合
↓
適正受診を指導
改善されず
↓
法にもと基づく指導・指示
改善されず
↓
生活保護の変更、停止、廃止を検討
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果たして不正受給は減るのか
《例》
・180日を越えての入院
・月15日以上の通院が3ヶ月以上続いている
などの検索が可能。
これによって、過剰受診が疑われる受給者や医
療機関の特定が可能。
検索に引っかかった人に対して
自治体が指導を行う!
医療不正受給問題も解決
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しかし!!!!!
「月180日の入院」が対象となるなら、179日で
退院してまた入院をする。
その場合、点検の際に引っかからない。
電子化しても抜け道はある
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指導対象者を特定することは可能!
しかし、情報の非対称性の問題から
「不正」とは言い切れない。
もし、主治医に「これは必要な治療」
といわれたらお手上げ・・・。
根本的な解決にはならない
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解決するためには
①生活保護者も医療費の一部負担をする
②自治体に医療の知識をもった人を雇う
③不正受給者に対して厳しい処罰を行う
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《現在》
生活保護者の医療費負担なし
①生活保護者も一部負担
自分の財布からお金が出ることにより
過剰なサービスを断るようになる
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医療扶助の経済分析に
一部負担を取り入れると…
D1.2:需要曲線
S1:供給曲線
E1:均衡点
E2:均衡点
E3:均衡点
D1
医
療
サ
ー
ビ
ス
の
価
格
E1
S1
P
=
一
定
社会的損失
E3
0.1P
0
S3
E2
Q1
Q3
Q2
S2
Q
医療サービス
量
患者が一部負担することで社会的損失を減らすことができる
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《現在》
情報の非対称性により
主治医が”必要”ということに、反論できない。
②自治体に医療の知識をもった人を雇う
主治医と対等に話ができる
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《現在》
生活保護の不正受給返還3割
告発わずか0.2%
処罰も甘い
③不正受給対象者に対して厳しい処罰
不正受給は減る
起きたとしても返還させる
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解決策のデメリット
• 生活保護者が必要な医療を受けられなくなる
• 人件費はどこからだす?
• 告発させる方法は?
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まとめ
たとえデメリットがあったとしても、
医療費の不正受給をなくすことによって
得られるメリットのほうが多い。
具体的な制度設計を政府は
もっと考えるべきである
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