はとバスの商品コンセプトを設計分析する

Download Report

Transcript はとバスの商品コンセプトを設計分析する

040816 ちょっと一休み(37)
次ページボタン ではなく、
画面をクリックする
「PPTアニメーション機能」で
ご覧下さい。
Copy right(C) 2004
國井 良昌 & Active Design Officece
All rights reserved.
1
040816 ちょっと一休み(37)
ちょっと一休み(37)Rev.-2
040825
「何でもあり!」の多機能商品群・・・
これらの共通点は、薄利と短命。そして、設計思想(
今回は・・・
商品コンセプト に関してです。
≒コンセプト)が感じられないことです。
「はとバス」の全員企画を設計分析します。
今回の「ちょっと一休み」は・・・
今や、「全員設計(≒チームデザイン)」を卒業し、全
員企画(≒チームプランニング)」の時代になっていま
す。
時代遅れにならないように!
Copy right(C) 2004
國井 良昌 & Active Design Officece
All rights reserved.
【引用文献・参考文献】
・ http://www.hatobus.co.jp/search/pia
2
040816 ちょっと一休み(37)
はとバスの商品企画を設計分析する
2002年10月30日(水)・ 夕刊フジより部分抜粋
著者の設計分析
■ 貸し切りバス向けに、日本一の「バスをつくろう」
昨年四月、定期観光用バスとして通常価格の倍という 高価格 の
「はとまるくん」を投入した「はとバス」ではその好評を受けて、今度
は貸し切りバス向けに2台のコンセプトカーを2002年春に投入する
ことにし、そのプランニングに入った。
マクドナルドの復活と同じですね。
「はとまるくん」のときと同様に車両対策委員会がつくられ、新坂
愛一郎バス事業本部長(現・常務)が委員長となり、企画担当役員
の渡逸功一氏のほか、営業、運輸など各部門の中間管理職 6人
が委員として加わった。
本Home Pageでは、何度も主張
していますが、現代の改革は「ト
ップダウン」です。
「価格破壊は自らを破壊する」
逆に、「価格破壊は自己破壊!」・・
・
「ちょっと一休み(23):吉野家の牛
【引用文献・参考文献】
丼を設計分析する(Part-2)」を復
「ちょっと一休み(23):吉野家の牛丼を設計分析する(Part-2)」
習してみましょう。
Copy right(C) 2004
國井 良昌 & Active Design Officece
All rights reserved.
「ちょっと一休み(10):超コスト化
設計法:トヨタカローラ版」を復習
してみましょう。
【引用文献・参考文献】
・2003年10月30日 夕刊フジ
3
040816 ちょっと一休み(37)
はとバスの商品企画を設計分析する
2002年10月30日(水)・ 夕刊フジより部分抜粋
著者の設計分析
■ 先ずはコンセプト
先ず議論されたのは、どういうコンセプトの車にするかであった。
貸し切り用のコンセプトカーというとサロンカーが想起されるが、は
とバスの場合はサロンカーと用途が違うし、顧客対象も異なる。
現経営企画室次長で、当時営業部代表として委員会に加わって
いた黒瀬智弘氏によると・・・
「バス旅行において、移動空間の狭い広いが顧客度に占めるウ
エイトが大きい。なにしろ座席で過ごす時間が長いですから。そこ
で狭くて、暗い感じのする座席周りを大きく変えようという話になっ
たのです。」
先ずは、コンセプトです。
「何でもあり!」やオールインワンな
どに見られる多機能商品には、コン
セプトが感じられません。
ですから、直ぐに市場から消えてい
きます。
身近な例は、「リンスインシャンプー
」です。
これがコンセプトです。コンセプ
トが明確になれば、商品企画か
らすんなりと設計行為に移行で
きます。
しかし、「何でもあり!」だと何処
から手をつけて良いものか・・・
という。
Copy right(C) 2004
國井 良昌 & Active Design Officece
All rights reserved.
【引用文献・参考文献】
・2003年10月30日 夕刊フジ
4
040816 ちょっと一休み(37)
はとバスの商品企画を設計分析する
2002年10月30日(水)・ 夕刊フジより部分抜粋
著者の設計分析
重要なのはここです。
■ 新幹線のグリーン車並み
つまり、コンセプト無しにいきなり・・・
アイデアとして浮上してきたのが、通常横に4席並んでいる座席
を3席にしたらどうかというもの。
リスクは必ず伴います。
要は、プライオリティの問題です。
① 通常4列シート → 3列シート
シート間のピッチを広げ、同時に座席の幅を広げようとすれば、
はとバスが現在使っている横4席で、定席45(ほかに補助席10席)
② シート間ピッチ → ピッチ拡大
を大きく削減するしかないのだ。
リスクは、シミュレーションで必ず、
解決できます。
が、企画の、設計開始の、前面に出てきてしまう場合が
多いのです。
ですから・・・
Copy right(C) 2004
國井 良昌 & Active Design Officece
All rights reserved.
【引用文献・参考文献】
・2003年10月30日 夕刊フジ
5
040816 ちょっと一休み(37)
はとバスの商品企画を設計分析する
2002年10月30日(水)・ 夕刊フジより部分抜粋
著者の設計分析
■ 来年4月まで満杯
改革には必ず、反対勢力が勃発し
最近、この「割り切った考え方が増加」しているこ
ます。
そして、反対するだけの行為であり
とに、会社トップや経営陣は気が付いていないか
、代替案を提示しないのが常です。
もしれません。
しかし、二つの方向から反対が出て激論となった。ひとつは「この
車が、それほど人気が出るとは思われない。座席があまりにも少
ないと汎用性が無くなり、近い将来、無用の長物になりかねない」
というものであった。
要するに、本改革(≒本案)が成
その原因は・・・
功しても、予約関係者の手柄に
はなりません。
従って、やりたくないのです。
「成果主義の弊害」と、一部では言われているよう
従って、改革がボトムアップでは、上手く行くはずがありません。
最近、この割り切った考え方が
です。
改革はトップダウンで成される時代なのです。いずれ本コーナーで特集しま
多いですね。
一方、予約関係者からは、「コンピュータ・ソフトは横4席で組まれ
ており、3席になるとこれを作り直さないといけない」という現実的
課題が投げかけられた。これは確かに難問だった。
しょう。
注:本Home Page内の「改革」とは「設計改革」のことです。
Copy right(C) 2004
國井 良昌 & Active Design Officece
All rights reserved.
【引用文献・参考文献】
・2003年10月30日 夕刊フジ
6
040816 ちょっと一休み(37)
はとバスの商品企画を設計分析する
2002年10月30日(水)・ 夕刊フジより部分抜粋
7
著者の設計分析
■ ゆったり豪華に「ピアニシモ」・・・人気加速
だが論議を重ねる中で、
「うちはバス会社であるとともに、バス主体の旅行会社。他社と一線を
画す意味でも、お客さまに夢を与えるような車をつくろう」
「基本に戻れ!」・・・これもビジネス
の、設計の、鉄則ですね。
という方向に意見は集約されていった。
結局、席数28(プラス添乗員席:1)で、幅とピッチも従来より10センチ
ほど広くなった。新幹線のグリーン車並みのゆとりだという。
見てみましょう。クリック!
通常、横4列シートが3列に
なっていることに注目!
Copy right(C) 2004
國井 良昌 & Active Design Officece
All rights reserved.
【引用文献・参考文献】
・2003年10月30日 夕刊フジ
・ http://www.hatobus.co.jp/search/pia
040816 ちょっと一休み(37)
はとバスの商品企画を設計分析する
2002年10月30日(水)・ 夕刊フジより部分抜粋
8
著者の設計分析
■ マッサージ付き?
見てみましょう。クリック。
しかも座席には、電動マッサージ機 が付いている。
このほかエコロジーに配慮し、また内・外装もデザイン事務所を入れて
斬新なものにした。
新車両は「ピアニシモ」と命名され、今年4月から運用が開始された。
すばらしいコンセプトでした。こ
ピアニシモはいまでもなく音楽用語で、「極めてゆっくり」の意味である。
れなら、設計者も設計のやりが
だが人気は逆で、まさにアレグロで高まり、ピアニシモを用いる旅行コース
シートは電動マッサージ付
いがありますね!
は来年4月まですべて満杯だという。
きであることに注目!
Copy right(C) 2004
國井 良昌 & Active Design Officece
All rights reserved.
【引用文献・参考文献】
・2003年10月30日 夕刊フジ
・ http://www.hatobus.co.jp/search/pia
040816 ちょっと一休み(37)
はとバスの商品企画を設計分析する
■ 講師の考え
何度も、本Home Pageでは訴えていますが、現在、「何でもあり!」や「オールインワン」などの
多機能商品が蔓延しています。
ラジカセ、携帯電話、デジカメ、プリンタ、大画面TV、DVD-R・・・もう、数え切れません。
これらの商品の共通点は、
① 薄利多売
② 短命
③ 急激な値下がり
そして、
④ コンセプト無し。
手にした時、全くコンセプトが感じられないのです。
むしろ、「儲かれば何でも良い!」という魂(?)のコンセプトが感じられます。
今一つ、原点に戻って考え直してみませんか? 企画者も設計者も・・・
終わり
Copy right(C) 2004
國井 良昌 & Active Design Officece
All rights reserved.
9