Lecture of Cancer Prevention

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Transcript Lecture of Cancer Prevention

「がん」をいかに予防するか?
北海道医療大学
小林正伸
1.はじめに
2.がんはどのように発症するのか?
3.がんはどのように人の命を奪うのか?
4.がんの情報をどのように集めるの?
5.がんを予防するために何をしてはい
けないのか?何をすべきなのか?
がんと癌は同じ?
国立がんセンター or 国立癌センター
九州がんセンター or 九州癌センター
胃がん
or
胃癌
ひらがなの「がん」と漢字の「癌」はちがうの?
ひらがなの「がん」は、漢字の「癌」に加えて白血病や骨肉腫などの肉腫も含んだより
大きな概念の言葉であり、「がんセンター」などは、癌腫以外の白血病などもきちんと
診ているということで、ひらがなの「がん」を使用している。
白血病は血液のがん(癌はダメ)と言うべきである。
各種癌の予後
癌種
全悪性新生物
胃癌
肺がん
乳癌
子宮頚癌
直腸癌
結腸癌
肝臓癌
膵癌
患者数
100,261
18,234
12,150
14,354
8,270
4,168
5,569
4,204
11,671
生存率
1年
5年
76.96
77.55
57.27
95.12
92.38
84.82
83.80
55.48
25.3
55.04
58.74
25.25
81.69
79.36
58.88
61.55
19.57
6.7
癌全体の5年生存率(ほぼ治癒率と言い換えても良い)は50%を超えるま
でになっている.中でも早期に発見されるようになった胃癌,大腸癌などの
予後は非常に良くなってきている.しかしながら,肺癌、肝臓癌、膵癌のよう
に5年生存率が20%程度のがんも依然として存在する.
日本におけるがんの部位別罹患率の推移
胃癌を除くほぼすべて
のがんが増加している。
特に大腸癌の増加が
目立つ。胃癌の増加が
止まった理由としては、
検診の普及と食塩摂
取の減少など食生活
の変化が考えられる。
がんの罹患率の将来予測
胃癌を除くほとんど
のがんが増加する。
特に高齢化に伴って
前立腺癌、肺癌の増
加が目立つと予測さ
れている。
治療の進歩と同時に
予防が期待される理
由である。
癌を減らせ
ないの?
どうやって
癌は誕生
するの?
がんの生存率は良く
なっています!
しかし、現在も将来も
がんは増加すると予
測されています。
1.はじめに
2.がんはどのように発症するのか?
3.がんはどのように人の命を奪うのか?
4.がんの情報をどのように集めるの?
5.がんを予防するために何をしてはい
けないのか?何をすべきなのか?
がんはどれくらいかかって大きくなるのか?
1012
検出可能と
なってからお
よそ10回分
9
裂すると致死 10
的なサイズと
なる。
1兆個
1個の細胞から
スタートしてお
よそ30回以上
の分裂を繰り返
して、初めて検
出可能となる。
10億個
1kg: 致死体積
1g: 最小臨床検出可能体積
106
1012
109
106
10年
臨床検出可能体積に達するまで
に10年以上の年月が要する。
広島原爆被爆後のがん発生経過
−ヒトでのがん発生の時間経過を見た実例−
白血病の場合、5−8年でピークを迎えたが、固形がんは被ばく者ががん年齢に達し
たときに発生し、その後がん自然発生率に比例してリスクが増加している。したがっ
て、被ばく時年齢が若いほど、潜伏期は長く、放射線誘発の固形がんの最小潜伏
期は通常10年とされている。
何が原因
なの?
放射線って
ことは遺伝
子の傷?
一個の癌細胞が生ま
れて、10年以上か
かって「がん」になる
んですよ!!
がんの原因は何か?
1.遺伝子変異のないがんは存在しない。
2.がんの発生には1つの遺伝子変異だけ
ではなく、複数の遺伝子変異が必要で
ある。
3.複数の遺伝子変異は、がん遺伝子、
がん抑制遺伝子、DNA修復遺伝子の
変異の組み合わせである。
癌は1個の遺伝子変異で発生するの?
mycまたはE1A
ラット胚線維芽細胞に
mycもしくはE1Aを導入
したところ、形質転換し
た細胞のフォーカス形
成を認めなかった。
癌化なし!!
mycまたはE1A
+ras
ラット胚線維芽細胞に
myc+rasもしくは
E1A+rasを導入したとこ
ろ、形質転換した細胞
のフォーカス形成を認
めた。癌化!!!
ras
ラット胚線維芽細胞に
rasを単独で導入しても、
形質転換した細胞の
フォーカス形成を認め
なかった。
癌化なし!!
試験管内でのネズミ細胞の癌化において、少なくとも2個のがん遺
伝子の協同作用が必要!!
ヒト正常細胞のがん化に必要な遺伝子変異とは?
ヒト正常細胞に遺伝子を組み合わせて導入する研究から、ヒト正常
細胞を癌細胞に変異させるには、少なくとも5つの異なるシグナル
経路を抑制・解除することが必要であることが判明した。
癌は遺伝するの?
癌になる確率は生
まれつきで決まって
しまうの?
生活習慣の関与
は?
へー!がんになるには遺伝子変
異が5個も必要なんだ!
肺癌の発生
肺癌は治りにくいがんの代表であり、その原因の第一番目には喫煙が考えられている。
左の図にあるように喫煙者の肺は黒く汚れている。日本では他の先進国と比べて男性
の喫煙率が高いのが特徴。女性の喫煙率は他の国と比較して低いが、最近若い女性
の喫煙率が増加している。
肺癌の発生と喫煙
受動喫煙と肺がんの発症リスク
一日20本吸う人は非喫煙者にくらべておよそ10倍程度肺がんで死亡しやすいことがわかる。
また、最近は非喫煙者の肺がんも少なくないが、その際、他人の吐いたたばこの煙を吸うことに
よって肺がんになりやすくなることも知られている。これを受動喫煙というが、夫がヘビースモー
カーの場合、妻の肺がんの危険は2-3倍程度上昇するといわれている。
タバコと肺がん
50代でたばこをやめれば吸
喫煙によって肺の構造が破壊され、高齢にな
ると酸素吸入などが必要な肺気腫などを発症
しやすくなる。受動喫煙の影響も明らか。
い続けるより43-64%も肺が
ん死亡率が減少する
大腸癌の発生
早期がん
進行がん
大腸の壁の最も内側は「粘膜」で被われており(図1)、大腸がんはこ
の「粘膜」部分から発生する。はじめは一部の正常な粘膜細胞が発が
ん物質など何らかの影響を受けてがん細胞となり、時間の経過ととも
にがん細胞が増加する。
大腸癌の発生と食生活
「伝統型」食生活パターンで
は、塩蔵魚卵、漬物、魚の干
物、味噌汁、米、魚介類など
の摂取が多いタイプ。
「健康型」食生活パターンで
は、さまざまな種類の野菜、
果物、海草、じゃがいも、ヨー
グルト、きのこ、大豆製品、牛
乳、卵などの摂取が多いタイ
プ
欧米型」食生活パターンでは、
肉類の摂取が多いタイプ。
女性では、伝統的食生活と欧米型食生活をする群で大腸癌の発生リス
クが高かった。男性では差を認めなかった。(国立がん研究センターのコホート研究より)
男女差はどのような理由か?
大腸癌の発生とアルコール、喫煙
アルコールと大腸癌
男性では、アルコール摂取量が日本酒にして1日
平均1合以上2合未満の人は、飲酒しない人に比
べて、大腸がんの発生率が1.4倍、1日平均2合以
上の人は、2.1倍(日本酒1合と同じアルコール量
は、焼酎で0.6合、泡盛で0.5合、ビールで大ビン1
本、ワインでグラス2杯(240ml)、ウイスキーダブ
ルで1杯)
タバコと大腸癌
男性でも女性でも、たばこを吸う人は、吸わない人
に比べて、大腸がんの発生率が1.4倍
男性では飲酒者や喫煙者が多く、そ
の影響を除くことができなかったため
に、食生活の影響が認められなかっ
た可能性がある。
胃癌と食生活
男女ともに、食生活パターンの「伝統型」の度合が高まるにつれ、胃がんのリス
クがはっきりと高くなった。「伝統型」食生活で胃がんのリスクが高くなるのは、
やはり塩辛や漬物、塩蔵魚卵、味噌汁や漬物など
が多いことが原
因と考えられる。
癌の要因の癌死亡への寄与率(推定値)
要因
寄与割合 (%)
喫煙 (Tobacco)
30
成人期の食事・肥満 (Adult diet/obesity)
30
生活様式 (Sedentary lifestyle)
5
職業要因 (Occupational factors)
5
がんの家族歴 (Family history of cancer)
5
ウイルス・他の生物因子 (Viruses/other biologic agents)
5
周産期要因・成長 (Perinatal factors/growth)
5
生殖要因 (Reproductive factors)
3
飲酒 (Alcohol)
3
社会経済的状況 (Socioeconomic status)
3
環境汚染 (Environmental pollution)
2
電離放射線・紫外線 (Ionizing/ultraviolet radiation)
2
医薬品・医療行為 (Prescription drug/medical procedures)
1
塩蔵品・他の食品添加物・汚染物 (Salt/other food additives/contaminants)
1
Harvard Center for Cancer Prevention: Harvard Report on Cancer Prevention, Volume 1: Causes of
Human Cancer, Cancer Causes Control 1996 ;7:S3-S59.より改変
食物・栄養要因とがん発生との関連についての科学的証拠に基づく評価
関連の強さ
リスクを下げるもの
リスクをあげるもの
確実
身体活動(結腸癌)
体重と肥満(食道腺癌、結腸癌、直腸癌、
乳癌(閉経後)、子宮体部、腎癌)
飲酒(口腔癌、咽頭癌、喉頭癌、食道癌、
肝臓癌、乳癌)
アフラトキシン(肝癌)
中国式塩蔵魚(鼻咽頭癌)
可能性大
野菜・果物(口腔癌、食道癌、胃癌、
結腸癌、直腸癌)
身体活動(乳房)
貯蔵肉(結腸癌、直腸癌)
塩蔵品および食塩(胃癌)
熱い飲食物(口腔癌、咽頭癌、食道癌)
可能性あり
食物繊維、大豆、魚、N-3系脂肪酸、
/データ不十分 カロテノイド、ビタミンB2, B6, 葉酸、
B12, C, D, E、カルシウム、亜鉛、
セレン、非栄養性植物機能成分
動物性脂肪、ヘテロサイクリックアミン、
多環芳香族炭化水素、ニトロソ化合物
WHO technical report series 916. Diet, nutrition and the prevention of chronic diseases. WHO, Geneva, (2003)
より改変
男女差は
どうして?
癌になる確率は生まれた
後の食生活や喫煙など
の生活習慣によって大き
く影響を受けます!!
がんの性別・年齢階層別死亡率
•男女とも、おおよそ60歳代から増加し、高齢になるほど高い。
•60歳代以降は男性が女性より顕著に高い。
がんの部位別・性別死亡率
明らかに男性のほうがほ
ぼすべての癌で死亡率
が高い。
食道では5倍以上男性で
高い。
一方胆嚢・胆管ではほと
んど差がない。
甲状腺癌は女性のほう
が高い。
消化管系の癌や肺癌で
男性が多いのは、喫煙
やアルコールなどのリス
ク因子が男性に多いた
めか?
なぜ女性にがんが少ないのか?
なぜ女性の自己免疫疾患が多いのか?
XX’
XY
XX’
女性の細胞は、
両親から1個ずつ
X染色体をもらう
が、どちらか片方
はランダムに不
活化されている。
女性の体内での免疫反応?
XX’
リンパ球
XX’
がん細胞 →がん細胞の排除
体組織細胞→自己免疫疾患
男性の細胞は、
両親から1個ずつ
X染色体とY染色
体をもらう。X染色
体は1本で十分。
男性の体内ではすべての細胞が同
じ性染色体を使っているため免疫
反応は起きない。
遺伝する
癌はない
の?
癌になりやすさの男女差
も生活習慣の差によるも
のが多いのよ!!
遺伝性乳癌・卵巣癌の家系図
(BRCA1遺伝子の生殖細胞系列変異陽性)
D. 50
卵巣癌
D. 68
乳癌
74
前立腺癌(70)
70
67
40
38
乳癌(35)
発見のきっかけは40歳の乳癌患者であるが、父親が前立腺癌であり、父方のおばが2人卵
巣癌と乳癌で亡くなっていた。このように単一遺伝子異常であっても発生する腫瘍は単一で
はなく、原因遺伝子が父方由来である場合には近親者に乳癌患者がいない場合もある。
遺伝によって起こる癌
•女性のBRCA1遺伝子がもたらす、乳がんあるいは子宮がん
•多発性内分泌腺腫 (multiple endocrine neoplasia) - 遺伝子MEN
types 1, 2a, 2bによる種々の内分泌腺の腫瘍
•p53遺伝子の変異により発症するLi-Fraumeni症候群 (Li-Fraumeni
syndrome) (骨肉腫、乳がん、軟組織肉腫、脳腫瘍など種々の腫
瘍を起す)
•若年期に大腸がんを発症する、APC遺伝子の変異が遺伝した家
族性大腸腺腫症 (Familial adenomatous polyposis)
・Rb遺伝子の変異によって発症する網膜芽細胞腫
網膜芽細胞腫
 小児の眼におこる腫瘍
 罹患率:小児の1万5千−2万人に1人
 60% 散発性
40% 遺伝性 (80% が新性突然変異)
 10-20% が家族歴あり
 滲透率 90%
 診断 白色瞳孔
 遺伝性の例は
両側性が多く多発 発症年齢が早い
 二次がんが60%に生ずる
がんになる
なりやすさ
は遺伝が関
係するの?
遺伝性家族性の「がん」
も存在します。
しかしまれです!
遺伝的要因の関与はどのくらいか?
部位
双生児の片方が罹患した時、
他方が75歳までに罹患するリスク
大腸癌
一卵性
二卵性
乳癌(女性)
一卵性
二卵性
前立腺癌
一卵性
二卵性
遺伝的要因(95%信頼区間)
家族性要因(95%信頼区間)
環境要因(95%信頼区間)
11%
5%
35%(10−48)
5%(0−23)
60%(52−70)
13%
9%
27%(4−41)
5%(0−22)
67%(59−76)
13%
9%
42%(24−50)
0%(0−9)
58%(50−67)
(Environment and heritable factor in the causation of cohorts of twins from Sweden and Finland. N Eng J Med 343:78-85, 2000
一卵性双生児の場合、大腸癌、乳癌、前立腺癌になる確率は11%、9%、13%であるが、二卵
性の場合には、それぞれ5%、9%、9%である。前立腺癌の遺伝的要因は42%で、乳癌では2
7%で、大腸癌では35%であった。
がんの原因:遺伝的素因と環境要因の関係する割合
がんは食事や喫煙などの後天的要因と生まれつきの体質(遺伝的要
因)の相互作用によって発症する疾患である。一般的な癌は、複数の
遺伝子が関与する多遺伝子病と考えられる
なぜ人はがんで
死んじゃうの?
へー!!がんになる確率への
遺伝の関与は1/3位なんだ!
1.はじめに
2.がんはどのように発症するのか?
3.がんはどのように人の命を奪うのか?
4.がんの情報をどのように集めるの?
5.がんを予防するために何をしてはい
けないのか?何をすべきなのか?
なぜ人はがんで死ぬのか?
がんの予後
癌種
全悪性新生物
胃がん
肺がん
乳がん
子宮頚がん
直腸がん
結腸がん
肝臓がん
膵がん
5年生存率
55.04
58.74
25.25
81.69
79.36
58.88
61.55
19.57
6.7
予後の良いがん(乳癌や子宮頸癌など)
も増えてきたが、未だに予後の悪いがん
もある。膵癌では20人中19人が死亡す
る。
膵癌では早期に遠隔転移が起こり、
癌細胞の絶滅をはかれない。
肝転移と骨転移
肝転移
肝臓の両葉に白い結節状の転移巣が
多発している。肝不全になる。
骨シンチにて脊椎および仙腸関節部に集積がある。
CTにて脊椎の溶骨を認め、MRIにて脊椎に低信号
部を認める。脊椎の圧迫骨折や骨盤の骨折が起
こりやすい。
がんの進行度(浸潤・転移の度合い)と生存率
stage 0 (癌が粘膜の中だけにとどまってい
る極めて早期の癌)
5年生存率、8年生存率ともに100%
stage 1 (ステージ1で比較的早期の癌や中期
の癌)
5年生存率は100%、8年生存率は96.
4%
stage 2 (進行癌ですが、リンパ節転移が無
いもの)
5年生存率は94%、8年生存率は87%
stage 3 (かなり進行した癌で、リンパ節転移
が有るもの)
5年生存率は76.3%、8年生存率は61.
4%
stage 4 (肝臓、肺、腹膜、遠隔のリンパ節に
転移があるもの)
5年生存率、8年生存率ともに15.1%
がんで死な
ないようにす
るためには
何をすれば
いいの?
転移のないがんは治る可能
性が高く、転移があると、治
療しても亡くなる可能性が高
くなる。
転移がなければ共存も可
能!
1.はじめに
2.がんはどのように発症するのか?
3.がんはどのように人の命を奪うのか?
4.がんの情報をどのように集めるの?
5.がんを予防するために何をしてはい
けないのか?何をすべきなのか?
がんの最新情報と収集方法
1. Googleを用いた情報収集
2. 海外癌医学情報を日本語で読みたい時:海外癌医療情報リファレンス
3.薬の副作用やがん化学療法の検索なら「おクスリ.jp」
4.癌治療のガイドラインを検索するなら、癌治療学会のガイドライン
5.Cancer Therapy.jp:最新癌治療を勉強するならこのサイト
6.がんサポート情報センター:最新の癌の情報にアクセスするならここ
7.最新癌情報収集のための国際的サイト:NCIホームページ
最新の癌に関する情報にアクセス
このサイトでは、各種癌の最新情報や、患者団体などのあらゆる情報を手に入れることが可能です。
がんの予防とは?
第1次予防 発生の阻止
がんにならないようにする生活習慣
第2次予防 早期発見・早期治療を行って最悪の
事態にならないようにする。
第3次予防 癌による死亡の阻止とQuality of life(QOL)の維持
がんの再発や転移を防ぐための治療
がんになり易い5つの条件
(ハイリスクグループ)
1.へビ−スモーカーで喫煙歴が長い人
2.がん関連ウイルスに感染している人,あるいは
過去に感染したことのある人
3.遺伝子にある種の異常や変異を持つ人
4.「前がん病変」を持つ人
5.かってがんになったことのある人
癌の要因の癌死亡への寄与率(推定値)
要因
寄与割合 (%)
喫煙 (Tobacco)
30
成人期の食事・肥満 (Adult diet/obesity)
30
生活様式 (Sedentary lifestyle)
5
職業要因 (Occupational factors)
5
がんの家族歴 (Family history of cancer)
5
ウイルス・他の生物因子 (Viruses/other biologic agents)
5
周産期要因・成長 (Perinatal factors/growth)
5
生殖要因 (Reproductive factors)
3
飲酒 (Alcohol)
3
社会経済的状況 (Socioeconomic status)
3
環境汚染 (Environmental pollution)
2
電離放射線・紫外線 (Ionizing/ultraviolet radiation)
2
医薬品・医療行為 (Prescription drug/medical procedures)
1
塩蔵品・他の食品添加物・汚染物 (Salt/other food additives/contaminants)
1
喫煙と食事(特に肥満)に注意さえすれば、ほぼ大部分の生活習慣上の危険因子
は除去できる。
食物・栄養要因とがん発生との関連についての科学的証拠に基づく評価
関連の強さ
リスクを下げるもの
リスクをあげるもの
確実
身体活動(結腸癌)
体重と肥満(食道腺癌、結腸癌、直腸癌、
乳癌(閉経後)、子宮体部、腎癌)
飲酒(口腔癌、咽頭癌、喉頭癌、食道癌、
肝臓癌、乳癌)
アフラトキシン(肝癌)
中国式塩蔵魚(鼻咽頭癌)
可能性大
野菜・果物(口腔癌、食道癌、胃癌、
結腸癌、直腸癌)
身体活動(乳房)
貯蔵肉(結腸癌、直腸癌)
塩蔵品および食塩(胃癌)
熱い飲食物(口腔癌、咽頭癌、食道癌)
可能性あり
食物繊維、大豆、魚、N-3系脂肪酸、
/データ不十分 カロテノイド、ビタミンB2, B6, 葉酸、
B12, C, D, E、カルシウム、亜鉛、
セレン、非栄養性植物機能成分
動物性脂肪、ヘテロサイクリックアミン、
多環芳香族炭化水素、ニトロソ化合物
WHO technical report series 916. Diet, nutrition and the prevention of chronic diseases. WHO, Geneva, (2003)
より改変
主要23ヶ国における肥満と大腸癌罹患率
肥満と大腸癌の図(肥満と消化器疾患121ページ)
Gunter et al , J Nutr and Biochem 17:146, 2006
BMI30以上の人が占める比率が高いほど大腸がんが増加するが、日本では、JACC
studyの結果BMIと大腸がんの発症には差を認めなかった。むしろ日本人ではBMI25
程度でも大腸がんのリスクが高くなる可能性を考えたほうがよい。
野菜・果物の摂取量と発癌危険度の関係
2005年の厚生労働省研究班の4万人を対象にした調査では、野菜や果物を週
に1回未満の場合には胃がんの発症危険度が高かった。しかし、週1回以上食べ
ている場合には多くても差はなかった。大腸がんと食物繊維でも同じことが言えた。
食物繊維が10g以上であればそれ以上に多くても意味はなかった。
がんにならない食生活(がんになりにくくする食生活)
1)食事:主に植物性の食物を選ぶ
2)体重維持:BMIを18.5~25に維持し、成人になって5キロ以上体重を増やさない
3)運動の維持:1日1時間の活発な歩行と週最低1時間の激しい運動
4)野菜・果物:豊富な種類の野菜・果物を1日400~800グラム食べる
5)他の植物性食品:豊富な種類の穀類・豆類・根菜類を1日600~800g摂取
6)アルコール飲料:男性が1日2杯以下、女性が1杯以下
[1杯はビール250ml、ワイン100ml、ウイスキーなどは25ml相当]
7)肉(牛・豚・羊肉):1日80g以下。魚肉・トリ肉の方がいい
8)全脂肪:動物性脂肪食品の摂取をひかえ、植物性脂肪を適度に摂取
9)食塩:1日6g以下、調味料にはハーブやスパイスを使う
10)貯蔵:カビ毒汚染の可能性のある長期貯蔵の食品は食べない
11)保存:腐敗しやすい食品は冷蔵保存する
12)添加物・残留物:適切な規制下では問題ない
13)料理:焦げた食品は食べない
14)栄養補助食品:勧告の他項目に従えば摂取不要
15)たばこ:吸わない
サプリメントやビタミン剤の予防効果は?
1.b-カロテン
脂溶性であるため、摂取量が多くなると蓄積する。
不足している人に補充する分には問題ないが、十分量摂取し
ている人には過剰摂取となる。肺癌の予防に関して逆の効果。
2.ビタミンE
脂溶性であるため、摂取量が多くなると蓄積する。
3.ビタミンC
4.コーヒー
肝癌の発症を抑制する。女性では子宮体癌や大腸癌が抑制。
5.カルシウム
男性のみ大腸癌を抑制する。
がんの予防78ページ当たりを参照する。
それって日
本人もアメリ
カ人も同じな
の?
タバコと肥満ががんのリスク
になるのよ!
禁煙してくださいね!
運動して野菜や果物を摂っ
てね!
アメリカと日本の違い
がんの予防の
55ページの図を
乗せる。
上の写真はアメリカと日本の若い女性の体型の違いを代表的な例として示した。
下の図はサンドイッチの違いを示しているが、アメリカ人の食べるステーキの重
さは500gくらいは当たり前と言った生活の違いを考える必要はある。
アメリカのがん予防の施策
リスク減少の目標
1. 喫煙率を15%以下へ。
2. 総カロリーに対する総脂肪と飽和脂肪の割合を各30%以下、10%以下へ減少させる。
3. 成人の食事中の炭水化物・繊維の摂取量を増加させる。
4. 日光曝露の制限、日焼け防止、人工紫外線の曝露の回避を実施する者の割合を60%以上へ。
予防サービス
1. 禁煙・栄養・がん検診のカウンセリングをするプライマリ・ケア従事者の割合を75%以上へ増
加させる。(1986年:内科医の52%が喫煙中の患者に対して禁煙カウンセリングを行っていた。)
2. 40歳以上の女性のうち、乳房視触診検査とマンモグラフィ検査の受診率を80%以上へ増加さ
せる(1987年数値:36%)。50歳以上の女性のうち、この1~2年の間にこれらの検査を受診した
者の割合を60%以上へ増加させる、(同:25%)
3. 18歳以上の女性のうち、子宮頚部細胞診の受診率を95%以上へ増加させる(1987年数値:
88%)。この1~3年の間にこの検査を受診した者の割合を85%以上へ増加させる(同:75%)。
4. 50歳以上のうち、この1~2年の間に便潜血検査の受診率を50%以上へ(同:27%)、S状結
腸鏡検査を(少なくとも1回は)受けたことのある者の割合を40%以上へ増加させる(同:25%)。
1次予防の成功例(?)
アメリカのがん罹患率の低下
具体的な目標設定と施策によって、アメリカのがん罹患率、がん死亡率は、1990年
をピークとして下がってきた(左図)。がんの死亡率が前年に比べて減少したことは、
アメリカ建国以来初の快挙だという。具体的には右の図のように、罹患率では大腸
がんや肺がんが減少している。
アメリカのがん罹患率、死亡率低下のなぞ
アメリカにおけるがん死亡率とがん死亡数の推移
年
男性
アメリカにおける人口の推移
アメリカと日本の死因
女性
1996年
281898(217.2)
257635(190.2)
1997年
281110(214.6)
258467(189.2)
1998年
282065(213.6)
259467(187.7)
1999年
285832(214.5)
264006(189.4)
2000年
286082(207.2)
267009(186.2)
2001年
287075(205.3)
266693(183.9)
2002年
288768(203.8)
268503(183.0)
2003年
287990(201.3)
268912(182.0)
増によって人口が増加してい
がんに比べると、心疾患で
2004年
286830(198.4)
267058(179.1)
ることに注目!!
亡くなる人が多いことに気
2005年
290422(198.9)
268890(178.8)
()内は人口10万人で補正した死亡率
がん死亡率は低下しているが、がん死亡数
は増加していることに注意
一貫して移民の増加や自然
づく。
日本とアメリカの平均寿命
日本
82歳
アメリカ
78歳
2008年のNEJMでの主張
アメリカにおいては男女ともに全がんの発症率、死亡率ともに減少し
ている。
その要因は男性の3大癌(前立腺癌、肺癌、大腸癌)女性の2大癌
(乳癌、)の減少による。
肺癌の減少の最大の要因は喫煙率の低下による。
大腸がんの減少の要因は検診率の向上による。
乳癌の減少も検診率の向上による。
年齢階層別、性別肺癌の減少
2008年NEJMの図2年齢階層別、性別肺癌発症率の変化の図を乗せる
男性ではほぼすべての年齢階層で肺癌が減少しているが、女性では高齢者で
の増加が続き、ほかの年齢階層での減少傾向も明確ではない。肺癌の減少は、
喫煙率の減少によるものと考えられる。例えば、ユタ州とケンタッキー州での肺
癌発症率は、人口10万人あたり39.6と136.2であり、喫煙率が10.4%と29.1%
となっていることからも推測できる。
ただ人口が
増えている
から低下し
ているように
も見えるけ
ど?
アメリカではがん予防の効
果が出たため(?)、がん罹
患率や死亡率が低下してい
るの!
がんの予防
第1次予防 発生の阻止
がんにならないようにする生活習慣
第2次予防 早期発見・早期治療を行ってガンで最悪の
事態にならないようにする。
第3次予防 癌による死亡の阻止とQuality of life(QOL)の維持
がんの再発や転移を防ぐための治療
科学的根拠のあるがん検診
対象臓器
効果のある検診方法
胃
胃X線
子宮頸部
細胞診
乳房
視触診とマンモグラフィ(乳房X線)の併用
肺
胸部X線と喀痰(喫煙者のみ)の併用
大腸
便潜血検査、大腸内視鏡
肝臓
肝炎ウイルス・キャリア検査
無作為化比
較対照試験
(Randomize
d Controlled
Trial : RCT)
検診の対象となるがんの死亡率が
検診を行わないグループ(対照グ
ループ)に比べて検診を行うグ
ループ(検診グループ)で低下すれ
ば意味があることになる
乳がんの早期発見と早期治療
乳がんの治癒の可能性を最も高めるのが早期発見であることは知られており、
早期に発見し、適切な治療を行うことが重要となる。
世界における慢性感染に起因するがん
感染源
部位
ヘリコバクター・ピロリ菌 (H. pylori)
ヒト・パピローマ・ウイルス (HPV)
肝炎ウイルス(B、C型)(HBV, HCV)
EBウイルス (EBV)
ヒト・ヘルペス・ウイルス8型 (HHV-8)
ビルハルツ住血吸虫
ヒトT細胞性白血病リンパ腫ウイルス (HTLV-1)
肝吸虫 (Liver flukes)
胃
子宮頚部・他
肝臓
リンパ腫、鼻咽頭
カポジ肉腫
膀胱
白血病・リンパ腫
胆管細胞がん
年間罹患数
割合
490,000
550,000
90,000
99,000
54,000
9,000
2,700
800
5.4
6.1
4.3
1.1
0.6
0.1
0.1
感染関連がん総数
1,600,000
17.7
がん総数(1995年)
9,000,000
100
HP除菌療法の胃癌予防効果
544名の早期胃癌患者(新規お
よび内視鏡治療例)
272名の早期胃癌患者
(除菌療法)
272名の早期胃癌患者
(経過観察)
255名の早期胃癌患者
(除菌療法)
250名の早期胃癌患者
(経過観察)
観察期間:Med 1076 days(34-1277)
観察期間:Med 1041 days(48-1270)
The Japan Gast Study Group
HP除菌の胃癌予防効果
除菌群では9例が2次癌を発症し、コントロール群では24例が2次癌を発症した。
この結果をもとに早期がん患者の2次胃癌発症予防に除菌療法が保険適応となった。
胃癌とヘリコバクターピロリ菌の除菌
早期胃癌患者の2次がん発症を抑制できる。
では、一般的に胃癌発症を抑制できるの?
子宮頸癌とパピローマウイルス
研究デザイン:組織学的に確認された子宮頸部扁平上皮癌の女性 1,918 例と対照女性
1,928 例を対象に子宮頸部細胞を採取し,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づいたアッ
セイ(MY09/MY11 および GP5+/6+プライマーを使用)により,HPV DNA の検出および
型分類を行った.
結果:
1.HPV DNA は子宮頸癌患者 1,918 例中 1,739 例(90.7%),および対照女性 1,928 例
中 259 例(13.4%)に検出された.GP5+/6+プライマーを使用した場合,HPV DNA は患
者の 96.6%および対照者の 15.6%に検出された
2.HPV 型 16 および 18 に加えて,31,33,35,39,45,51,52,56,58,59,68,73,82
型を発癌型すなわち高リスク型と考えるべきであり,26,53,66 型は発癌性の可能
性が高い型
(N Engl J Med 2003; 348 : 518 - 27 : Original Article.)
パピローマウイルスワクチンの効果
Infection with
HPV6
HPV11
HPV16
HPV18
External
Genital legion
CIN
Vaccine (n=276)
n Events Incidence per
100 women-year
Placebo (n=275)
n Events Incidence per
100 women-year
214
214
199
224
0
0
3
1
0
0
0.6
0.2
209
209
198
224
13
3
21
9
2.6
0.6
4.5
1.7
235
235
0
0
0
0
233
233
3
3
0.5
0.5
.16-23 歳の女性にワクチン抗原をアジュバントと共に筋肉に3 回(0,2,6 ヶ月)注射し,被験者の
血中抗HPVL1 抗体の消長,子宮頸部擦過細胞の異常とHPVDNA の有無,子宮頸部異形成
(CIN2/3)の有無を調べた。結果は、ワクチン接種群ではHPVDNA陽性者の数が4名程度であり、
子宮頸部異形成も認められなかった。一方プラセボ群では、HPVDNA陽性者の数が46名、子宮頸
部異形成も3名に認められた。
(Villa et al., Lancet Oncol., 2005)
パピローマウイルスワクチンの効果
Susceptible群(パピローマ感染なし)では予防効果は優れているものの、既に感
染しているIntention-to-treat群では半数程度に減少させる効果しかない。
1.ウイルス感染前にワクチン接種すると、ほぼ子宮頸癌を予
防できる。
2.ウイルス感染後でも半数程度の子宮頸癌を予防できる。
日本人のがん予防のために
1.ストレスの軽減
2.バランスの良い食生活
3.適度な運動
4.煙草を吸わない
5.酒を飲むなら、節度のある飲酒
6.太りすぎない
7.肝炎ウイルスのチェックと治療、
パピローマウイルスワクチン接種
がん診断の進歩
腫瘍マーカーの応用(肺癌の補助診断)
腫瘍マーカー
陽性率の高い組織型
偽陽性となる疾患、病態
CEA
腺癌(50-60%)
加齢、喫煙、間質性肺炎
CYFRA
扁平上皮癌(60-80%)
間質性肺炎、腎不全、肝疾患
ProGRP
小細胞癌(60-70%)
腎不全
SCC
扁平上皮癌(50-60%)
皮膚疾患、腎不全
NSE
小細胞癌(60-80%)
溶血、神経芽細胞腫、神経内分泌腫瘍
SLX
腺癌(40-50%)
間質性肺炎、瀰漫性細気管支炎
CA-19-9
腺癌(約30%)
肝・胆道・膵疾患、卵巣腫瘍
肺癌には腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、肺小細胞癌といった異なる病理組織像
を呈する癌がある。したがって画像診断にて腫瘍が発見された場合に、ある腫
瘍マーカーが上昇していると組織診断の補助となりうる。
診断機器の進歩について
癌診断機器の進歩-CT-
造影剤の注入を行いながらのCT検査
(肝細胞がん)
造影剤によって腫瘍が染まり白く見え
ている(矢印)
通常の胸部X線撮影では不明で
あったがヘリカルCTによって発見さ
れた肺がん(矢印)
国立がんセンター
診断機器の進歩 -PET-CT-
癌細胞は正常細胞の3~8倍ものブドウ
糖を摂取するという特徴を利用し、ブドウ
糖に良く似た薬剤(FDG)を体内に注射し、
FDGが癌病巣に多く集積することによっ
て小さな癌も画像として表出する事が可
能となった。
放射線利用技術データベースより引用(一部改編)
財団法人放射線利用振興協会
大腸がん症例。上段左のCT画像では解剖学的な情報は得られるが病変がわから
ない。上段右のPET画像では病変はわかるが位置がわからない。そこ下段左のよ
うな融合画像を作ると,病変と位置が明瞭に同定できる。
がんの手術療法の進歩
がんの手術療法の変遷−拡大手術から個別化の時代へ
1980年代までは、がん病巣とその周囲を安全域として大きく切除する拡大手術が主流であった。
しかし機能を温存した縮小手術でも成績に差のないことが明らかになり、食道・胃・大腸の早期が
んに対する内視鏡治療も行われるようになった。一方高度進行がんに対しては術前に化学療法や
放射線療法によってがん組織を縮小させてから手術するといった戦略もとられるようになった。
胃癌の内視鏡治療の適応
高分化型
低分化型
Ul (-)
Ul (+)
Ul (-)
M 2 cm以下
2.1 cm以上 3 cm以下
2 cm以下
SM 3 cm以下
ガイドラインのEMR適応
リンパ節転移のほとんどない癌
胃癌治療ガイドラインより引用
○分化型に関して
潰瘍非合併(瘢痕も含む)
・組織学的深達度M癌であれば大きさ制限なし
・組織学的深達度SM1癌であれば30mm以下,ly(-),v(-)
潰瘍合併例では3cm以内の深達度M癌
○低分化型癌に関して
潰瘍非合併で,2cm以下の深達度M癌
上記の癌ではリンパ節転移がほとんどないと考えられるが、しかし,分割切除では十分な病理
学的診断ができないこと,無理なく一括切除できる限界は2cm程度であること,潰瘍瘢痕合併
例は肉眼的にM癌の判定が困難であること,を根拠としてEMRの適応を以上のように決めた。
内視鏡治療の実際
1.ポリペクトミー
有茎性や亜有茎性ポリープの切除
大腸の場合には、局注のみ
で病変部位を挙上できるが、
胃や食道では病変に対して
2.内視鏡的粘膜切除術
視野が接線方向となることも
右図のように表面型の病変
多く、ワイアリングするために
3.内視鏡的粘膜下層剝離術
病変をヒアルロン酸などで十分隆起
させて周辺切開をおいて粘膜下層を
剥離していく方法。
様々な工夫がされている。
2チャンネルスコープを使用し
て把持鉗子で持ち上げてワイ
アで絞扼する方法や内視鏡
先端につけたキャップで病変
を吸引する方法などがある。
胃癌(早期がん)の内視鏡手術
症例は前庭部大彎のIIc病変である。
マーキング後に粘膜下局注を施行し,
針状ナイフで周囲切開を行った。
Hookナイフで粘膜下層の線維を剥
離し,一括切除し得た。最終診断は
adenocarcinoma,tub1,T1(m),
ly0,v0,LM(-),VM(-),腫瘍径
43×32mm,切除標本60×54mm
であった。
腹腔鏡下手術の適応範囲
胃癌治療ガイドラインより引用
日本胃癌学会による『胃癌治療ガイドライン』では,腹腔鏡下手術は縮小手術と位置づけられ,日常診療
の適応として早期胃癌に限っている。これは,手技の安全性や長期成績がまだ十分示されていないため
と思われる。しかしながら,手技の安定化に伴って適応が拡大する傾向にあり,前述のガイドラインでも臨
床研究として進行癌T2N0,T2N1までを適応としている。
鏡視下手術
腹腔鏡(ふくくうきょう)下切除術は手術の
ダメージを最小限にし、開腹手術に劣らな
い成績を期待した手術法。腹壁に数ヵ所
小さな穴を開けて、腹腔鏡と電気メスなど
を入れてモニター画像を見ながらがんを
切除する。開腹手術に比べて、傷が小さく
出血も少ないうえ、周りの他の臓器が外
部の空気にふれなくてすむというメリット
がある。しかし、遠隔操作であるため、腹
腔内での操作範囲に限界があること、臓
器、血管の損傷がおこりうること、また、そ
の損傷に気づきにくいことなどの技術の
難しさがある。
最近の胃癌の腹腔鏡下手術の増加
アンケート調査結果によると,1991年から2003年12月までに約7,800例の胃癌症例に腹腔鏡下手術が行
われている(図5)。その中で,リンパ節郭清を伴うLADG症例がもっとも多く,次いでリンパ節郭清を伴わな
い胃局所切除術である。厚生労働省がん研究助成金研究班(北野班)での検討の結果,無再発5年生存率
は早期癌で99%以上,進行癌(T2N0,T2N1)症例で90%以上と良好な結果であった。
高齢者乳癌の治療成績
治療方針を決定する際の資料としてadjuvant onlineというインターネットサイトが
ある(http://www.adjuvantonline.com)。これは年齢、リンパ節転移、ホルモンレ
セプターの状況などで再発率や生存率を計算してくれるツールであるが、上図は
このサイトで計算させた結果を示す。
10年生存率は加齢とともに低下するが、この低下は他病死リスクの増加による。
高齢者乳癌の在院死亡
芳賀らのアンケート調査の結果を示す。
乳癌手術時の在院死亡率は69歳以上の高齢者でも非常に少ない。開腹手術などに比較して、
乳癌の手術は早期離床、摂食が可能で、全身麻酔が不可能な要因がない限り、高齢者でも手
術は行うべきである。
高齢者食道癌手術適応外となった理由
70歳代と80歳代の高齢者群で切除の対象とならなかった理由を比較すると、70
歳代では高度進行癌で切除不能な症例が多いのに対して、80歳代では超高齢で
あること、PSが不良であることから家族の同意が得られない症例が多かった。
高齢者食道癌の術後合併症
高齢者の合併症が増加したとの報告はない。
食道癌術後の合併症で最も注意すべきは、呼吸器感染症である。気道内分
泌液の増加と喀痰の喀出障害による無気肺、気管支肺炎、あるいは嚥下機
能障害による誤嚥性肺炎が主なものである。
(大分大学第2外科)
高齢者食道癌の予後
食道癌の手術療法において、70歳以下の若年者と70歳以上の高齢者で予後に有為
な差は無いとされている。本集計でも70歳代と80歳代に大きな差は無く、手術適応と
評価された患者では術後の長期生存も十分に期待できる。
高齢者に対する外科治療
年代別肺癌切除例の全国集計結果
1999
症例数
1994
症例数
(%)
(%)
10歳代
9
0.1
2
0.0
20歳代
15
0.1
17
0.2
30歳代
122
0.9
84
1.1
40歳代
731
5.5
512
6.9
50歳代
2312
17.3
1334
18.0
60歳代
4610
34.5
2984
40.4
70歳代
4823
36.1
2222
30.1
80歳代
598
4.5
232
3.1
90歳代
4
0.0
1
0.0
欠損値
120
0.9
5
0.1
合計
13344
100.0
7393
100.0
1994年の全国集計では60歳代の切除例が2984例と最も多かったが、1999年では総切
除例が2倍に増加し、70歳代の切除例が最も多かった。術後30日以内死亡は0.9%
がんの放射線治療の進歩
放射線療法と化学療法の併用
上咽頭癌の進行例では、放射線単独治療
に比較してCDDP+5-FUの化学療法併用
が効果的である。
子宮頸癌の局所進行例で温存手術後の放
射線単独治療とCDDPを中心とした化学療
法併用療法を比較すると、併用群が圧倒的
に予後良好という結果が得られる。
化学放射線療法
T1(癌の進行が粘膜下層までにとど
まっている)-T2食道癌(癌の進行が食
道壁の筋層までにとどまっている)とい
う比較的早期の食道癌患者さん66名を
対象に化学放射線療法群(Pro)36名
(5-FU+CDDP+radiation)と手術療法群
(S)30名にわけて生存率を比較検討し
た。(天理よろず相談所)
図から明らかなように、両群の治療成
績に明らかな差はない。
食道癌という限られた癌腫が対象ではあるが、化学放射線療法が手術と差のない良好な予後
をもたらしうることが明確となった
食道の化学放射線治療の効果
食道がんの手術療法は従来、唯一の治癒を目指せる食道癌治療法であったが、高頻度(3
−10%)の手術死、術後肺炎や神経麻痺などの合併症、通過障害といった後遺症の問題を
抱えていた。最近早期の食道癌であれば、化学放射線療法と手術療法の予後はほぼ同じ
と行った報告が出されるようになった。進行癌でも5年生存率が50%と良好な成績が報告
されている。
放射線治療の進歩
空間的線量分布の改善 CTシミュレーション、PET/CTシミュレーション
原体照射
術中照射
192-Ir 高線量率小線源治療
125-I 前立腺がん永久挿入術
強度変調放射線治療(IMRT)
脳および体幹部定位放射線治療
時間的線量分布の改善 加速過分割照射
放射線像管法の進歩
化学放射線療法
温熱療法、放射線増感剤
空間的線量分布の改善:がん病巣に集中させて正常組織へ照射しない方法の改善
いずれも正常組織への副作用軽減をはかり、腫瘍組織への十分量の放射線照射量
を確保するための方法である。
PET-CTシュミレーション
PET-CTシュミレーター
PET-CT画像に基づく治療計画
治療計画も二次元から三次元となり、PET-CTを用いた画像を基にするPET-CTシミュレーション
も可能となっている。
定位放射線治療
転移性肺がんに対する体幹部定位放射線治療の線量分布図:肺腫瘍にピンポイントで線量集
中が行なえる。
強度変調放射線治療
原発性肝がんに対するIMRTの線量分布と立体表示
肝がんにはこれまで放射線治療はあまりおこなわれてこなかった。それは、肝臓の組織は放射線に比較的
弱いとされていたためである。従来の肝臓への放射線照射は全肝照射といわれる肝臓全体に照射する方
法が多く、その場合は放射線治療の線量の半分くらいの線量(30 Gy位)でも重篤な肝障害が生じることがあ
り腫瘍をコントロールする線量,(50Gy以上)にははるかに及ばなかった。
しかし、肝がん自体へは放射線の効果は高く、正常肝への障害を抑えることができれば非常に有効な治療
法といえる。IMRT では図のように腫瘍に限局した照射が可能になる。
高齢者の放射線療法
1.高齢者のPS3-4の症例率
65−74歳
13.6%
75歳以上
7.0%
2.放射線治療完遂率(予定放射線量の80%)
全体
89.5%
65−74歳
93.7%
75歳以上
91.8%
(高齢者に対する放射線治療の適応に関する研究、研究報告から)
高齢者でもPS (performance status)の悪い症例が多い訳でもなく、放射線治療を
完遂できている。
以下のスライドに示す放射線照射機器の進歩によって高齢者に対する放射線
治療はより安全に行えるようになっている。
がんの化学療法の進歩
がん化学療法効果の評価
がん化学療法の究極の目標は延命、根治であるが、固形がんの場合には、根治をもたらしう
る化学療法はまれである。したがってその他の効果評価法が必要となる。
WHO あるいはRECIST 規準による最良効果の定義
最良効果
WHO(積の和の変化)
RECIST(最長径の和の変化)
CR
消失(4 週間後に確定†)
消失(4 週間後に確定†)
PR
50% の減少(4 週間後に確定†)
30% の減少(4 週間後に確定†)
SD
PR の規準もPD の規準も満たさない
PR の規準もPD の規準も満たさない
PD
25% の増加(病変が増大する前にCR,
PR,SD と判定されない)
20% の増加(病変が増大する前にCR,
PR,SD と判定されない)
*WHO=World Health Organization(世界保健機関),RECIST=Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(固形がんの効果判定規準),
CR=complete response(完全奏効),PR=partial response(部分奏効),SD=stable disease(安定),PD=progressive disease(進行)
†Bristol-Myers Squibb 社(ワリングフォード/コネチカット州)のデータセットのうち,一次元測定(RECIST 規準)による最良効果と二次元測
定(WHO 規準)による最良効果との比較には,未確定のCR およびPR のみが用いられた。このデータセットでは,効果の確定を示すコード
が,技術的な理由から比較に用いることができなかった。
がん化学療法効果の評価その2
生存率や生存期間はがん治療の効果を判定する際の最も重要な指標となる、生
存率としては5年生存率が最も良く用いられている。しかし化学療法の場合には治
癒を目指す治療は限られており、1年生存率や2年生存率が用いられることも多い。
むしろ生存期間中央値(median survival time;MST)が用いられることも多い。
化学療法の進歩
‐多剤併用化学療法‐
がんの名前
併用療法の名前
名前の由来
悪性リンパ腫
CHOP療法
CyclophosphamideのC
HydroxydaunorubicinのH
OncovinのO
PrednineのP
大腸癌
FOLFOX療法
レボフォリナートのFOL
フルオロウラシルのF
オキサリプラチンのOX
多剤併用化学療法の優れた点
1.単剤でも効果が確認されている作用機序の異なる薬剤を組み合わせて
多角的にがん細胞をたたく。
2.重要な副作用が重ならない。
3.薬剤耐性細胞の出現を抑制できる。
4.組み合わせても、最大容量投与できる。
がんの分子標的治療薬の開発
分子標的薬と化学療法薬の違い
分子標的薬
化学療法薬
・有望な標的分子の選択
・開発段階で標的分子不明
・in vitroアッセイ系でスクリーニング
・培養細胞系で殺細胞効果スクリーニング
・in silicoスクリーニング併用
・作用機序は後から解明
・腫瘍細胞特異的―少ない副作用を期待
・天然化合物やその誘導体(半合成)が多い
・化学療法薬には見られない新たな副作用
・正常細胞にも毒性―副作用(有害事象)は前提
日本で承認されている代表的分子標的薬
種類
抗体製剤
(血管新生阻害)
チロシンキナーゼ
阻害剤
(血管新生阻害)
プロテアソーム
阻害剤
mTOR阻害剤
一般名
トラスツマブ
リツキシマブ
ゲムツズマブ
セツキシマブ
ベバシスマブ
ゲフィチニブ
イマチニブ
ダサチニブ
ラバチニブ
ソラフェニブ
ボルテゾミブ
標的
HER2
CD20
CD33
EGFR
VEGFR
EGFR-TK
BCR-ABL
KIT
BCR-ABL
EGFR-TK
VEGFR-TK
プロテアソーム
エベロリムス mTOR
テムシロリムス mTOR
対象となる主な癌
乳癌
悪性リンパ腫
再発・難治性骨髄性白血病
再発・進行性大腸癌
手術不能な再発・進行性大腸癌
転移や再発・手術不能な非小細胞肺癌
慢性骨髄性白血病
消化管間質腫瘍など
慢性骨髄性白血病
手術不能・再発の乳癌
進行性腎癌、肝癌
再発・難治性多発性骨髄腫
転移性腎癌
腎癌
分子標的治療薬の開発状況
商品名
一般名
開発段階
適応
概要
アフィニトール
エベロリムス
申請(09年1月)
腎細胞がん
mTOR阻害剤
ジェムザール
塩酸ゲムシタビン
申請(08年8月)
乳がん
ベクチビックス
パニツムマブ
申請(08年6月)
進行・再発の結腸・直腸がん抗EGFR完全ヒト抗体
アブラキサン
アルブミン結合パクリタキセル
申請(08年3月)
乳がん
タキソール
パクリタキセル
申請(08年12月)
食道がん
ネスプ
ダルベポエチンアルファ
申請(08年11月)
がん化学療法後の貧血
第2世代エリスロポエチ
アバスチン
ベバシズマブ
申請(08年11月)
非小細胞肺がん
ヒト化抗VEGF抗体
ミリプラ
ミリプラチン
申請(07年8月)
肝細胞がん
タキソール
パクリタキセル
申請(07年6月)
頭頸部がん
イメンドカプセル
アプレピタント
申請中
がん化学療法に伴う悪心・嘔吐
エリテック
ラスブリカーゼ
申請中
血液がん治療に伴う急性高尿酸血症
アロキシ
パロノセトロン
申請中
制吐剤
トラマール
塩酸トラマドール
申請中
がん性疼痛
トーリセル
テムシロリムス
申請中
腎細胞がん
mTOR阻害剤
トレアンダ/リボムスチン
ベンダムスチン
申請準備中
低悪性度非ホジキンリンパ腫
マントルリンパ腫
アボルブ
デュタステリド
フェーズ3
前立腺がんの発症抑制
5αリダクターゼ阻害剤
アンサー
結核菌熱水抽出物
フェーズ3追加試験
子宮頸がん
免疫調節作用
ハイカムチン
塩酸ノギテカン
追加臨床試験(09年2月)
卵巣がん
ン
NK1拮抗作用
新規分子標的約の開発
BIBW2992(チロシンキナーゼ伝達阻害薬) 未承認
抗がん剤 第II相
第III相
BIBF1120(トリプルキナーゼ阻害薬)
未承認
抗がん剤 第I/II相 第III相
RG1273(ペルツズマブ) 注
未承認
乳がん
第III相
MRA(トシリズマブ) 注
既承認
【適応拡大】膵がん
第I/II相
AZD0530 (Srcキナーゼ阻害剤)
未承認
固形癌
第I/II相
AZD2281 (PARP阻害剤)
未承認
乳癌/卵巣癌
第I/II相
AZD7762 (Chk1キナーゼ阻害剤)
未承認
固形癌
第I/II相
AZD8055 (TORキナーゼ阻害剤)
未承認
各種悪性腫瘍
第I/II相
AZD8931 (erbBキナーゼ阻害剤)
未承認
固形癌
第I/II相
MEDI-575(抗Plt由来増殖因子受容体α抗体)
未承認
固形癌
第I/II相
癌Vandetanib (ZD6474)
未承認
非小細胞肺癌
第III相
(RETキナーゼ活性を有する血管新生阻害剤/EGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤)
アナストロゾール(アロマターゼ阻害剤)
既承認
閉経前乳癌(効能追加)第III相
ゴセレリン酢酸塩(LH-RHアゴニスト)
既承認
乳がん(剤型追加)
10/22/08
第III相
慢性骨髄性白血病の治療成績
旧来のCML治療
インターフェロンは、慢性期なら20パーセントほどの確率
でフィラデルフィア染色体を消滅させることができる。血
縁者間(兄弟姉妹間)の造血幹細胞移植の5年生存率は
約70パーセント、骨髄バンクから提供された非血縁者間
の移植の場合には約50パーセント。
グリベックによるCML治療
血液学的寛解の割合は98パーセント、細胞遺伝学
的寛解は92パーセント、分子遺伝学的寛解(分子レ
ベルの検査を行い、異常が見られない状態)は87
パーセントと非常によい治療成績だった
癌サポート情報センター(http://www.gsic.jp/index.html)
慢性骨髄性白血病の治療を一変させたグリベック
ASCO 2006
ほかの病気が原因で死亡した患者を除けば、実に95パーセントの人が5年後も健在。
これは急性期への移行がなくなったことを意味する。治療費に関してもグリベックは、
ひと月25万~28万円ほどで、患者はそのうちの3割を負担するから、個人負担はひ
と月7万~8万数千円と骨髄移植に比べれば安価である。
癌サポート情報センター(http://www.gsic.jp/index.html)
PH1陽性急性リンパ性白血病に対するグリベックの効果
フィラデルフィア染色体が陽性のALLでは、多剤併用療法でもほとんど治癒は見込めな
かった。しかし、グリベックの登場によってPh1+ALLの予後は劇的に変わった。
癌サポート情報センター(http://www.gsic.jp/index.html)
イレッサの副作用
厚生労働省、医薬品医療機器総合機構に報告されているイレッサ服用との関連が疑われている急性肺障害・間質性肺炎
等の副作用の発現状況(報告日による集計)
癌サポート情報センター(http://www.gsic.jp/index.html)
非小細胞肺癌に効果を示す抗がん剤の間質性肺炎などの頻度
一般名
調査名
間質性肺炎
肝障害
重篤な下痢
白血球減少
ゲフィチニブ
添付文書
1-10%
10%以上
1%未満
(-)
プロスペクティブスタディ
5.8%
ケースコントロールスタディ
3.98%
ドキセタキセル
添付文書
0.2%
頻度不明
(-)
65.3%
パクリタキセル
添付文書
0.5%
4.4%
(-)
59.7%
塩酸ゲムシタビン
添付文書
1.4%
頻度不明
(-)
13.0%
カルボプラチン
添付文書
0.1%
頻度不明
(-)
56.4%
シスプラチン
添付文書
0.1%
頻度不明
(-)
36.5%
塩酸イリノテカン
添付文書
0.9%
1.1%
44.3%
73.4%
イレッサはEGFR変異の多い東洋人の非喫煙者には効果的
東洋人の非喫煙者に限ってはイレッサ服用群 2004年9月、ポルトガルで開催された世界
の生存率に明らかな有意差が認められた 。
肺がん学会における発表。アメリカ、オー
ストラリアの変異率が20~30%台なのに
対し、台湾、日本、香港ではいずれも60%
イレッサの薬価:約6800円/日
以上の高率を示している。
癌サポート情報センター(http://www.gsic.jp/index.html)
大腸癌に対するアバスチンの効果
FOLFIR I
FOLFIRI+アバスチン mIFL*+アバスチン
47
58
54
無増悪生存期間(月) 7.8
11.2
8.3
全生存期間(月)
未到達
19.2
奏効率(RR)%
23.1
Fuch C et al. ASCO 2007 Abstr 4027
大腸癌と分子標的薬