日本の教員養成 - 神戸大学大学院国際文化学研究科

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日本の
教員養成
0926631c 安田百合恵
日本で教師になるには・・・
大学・短大などで
教員免許を取得する
(国公立) 公務員としての採用試験を受験、合格
(私立) 学校が実施する採用試験を受験、合格
教師
教員免許
教職課程
教員の普通免許状の授与を受けるのに
必要な単位が修得できるよう所定の
科目等を設置した課程
• 免許状の授与の所要資格を得させるために適当と認める課
程について認定される
• 教員養成系大学、学部では普通免許状の取得を卒業要件と
するところも
神戸大学の場合
「教科に関する科目」
・英語学
・英米文学
・英語コミュニケーション
・異文化理解
中高20
「教職に関する科目」
・教職論、生徒指導論、
カリキュラム論、心理学
学習指導論 etc…
・教科指導法
・教育実習(小中学4週間
高校2~3週間)
・事前・事後実習
中学33
高校29
「教育職員免許法施行規則
第66条の6に定める科目」
日本国憲法
中高8
体育
外国語コミュニケーション
情報機器の操作に関する科目
+教科又は教職に
関する科目から
中学6、高校10
教員採用試験
実技
筆記
教職教養試験
専門教養試験
一般教養試験
論文試験
面接
個人面接
実技試験
適性検査
集団面接
模擬授業
集団討論
教師教育の危機!
教職の専門職化の遅れ
欧米先進諸国:大学院レベルの教師教育
例)フィンランド
アメリカ
修士課程で教員養成
教師の7割は修士号取得者
校長の4割は博士号取得者
ドイツ、フランス 学部卒業後2年間の専門家教育
日本:修士号(専修免許状)取得者
高校:11.1% 中学:4.5% 小学:2.6%
幼稚園:1%以下(8割が短大卒)
教師教育の危機!
教師の資質と能力を支えていた条件の解体
採用試験の
高い競争率
教師の
資質・能力
待遇における
高い賃金
教師教育の危機!
教師の資質と能力を支えていた条件の解体
×採用試験の高い競争率
例)平均倍率
H12:13.5倍 → H22:6.5倍
※東京、大阪、愛知などの大都市では
「全員合格」に近い状況も
←長期的な採用増加期(団塊世代教師の大量退職)
で競争率も低下
教師教育の危機!
教師の資質と能力を支えていた条件の解体
×待遇における高い賃金
教員の給与に関する特別措置法により
地方公務員の2割増しの給与を保障
→地方公務員の2%増程度、
○多くの府県で
週50時間以上の労働時間を
非常勤、臨時採用が激増
考慮すれば地方公務員を下回る
→大学を卒業した直後の教師志願者
少人数学級、
少人数指導
の導入
地方財政
の逼迫
ほとんどの大学で
大学の教員養成の
指定された授業を履修
教師教育の危機!
ゴールは免許取得
すれば免許が取得できる
教員養成機関の危機
「免許状主義」と「開放制」によって実施されてきた教
員養成制度が十分な教育を保障できていない
免許状主義
開放制
• 教員は教育職員免
許法により授与さ
れる各相当の免許
状を有するもので
なければならない
• 所定の単位の履修
要件を満たす課程
認定によって一般
大学における教師
教育を可能にする
教員養成系大学、学部
• 免許状主義の原則が教員養成の原則よりも優先
→資格取得が目的
免許科目の履修重視
各大学の創意ある
ほとんどの大学・短大から大量の免許取得者を輩出
大人数相手の
実習校任せの
教師教育を抑制
→教師の資質と能力の水準低下
講義が主流
短期間の教育実習
教職・教科に関する
科目の軽視
一般大学
• +教職課程の枠外の「オプション」として提供
(正規の課業(学部、学科、専攻)との併行)
教師の資質向上のために・・・?
教員免許更新制
?
教員養成6年制
?
教員免許の
国家資格化
教員免許更新制って?
教員となるための免許状を一定の期間ごとに更
新しなければならないとする制度
07年に安倍内閣で法改正され、09年4月に導入
【目的】 教員として必要な最新の知識技能を身につけること
不適格教員を排除することを目的としたものではない
【期限】 10年
【講習】 有効期間満了前の2年間に大学などが開設する
30時間以上の免許状更新講習
【内容】 教育の最新事業、教科指導・生徒指導など
←否定的な意見も・・・
教員免許更新制の問題?
教員の負担
5日間(30時間)
教員免許資格
の格下げ
資質向上策として
の有効性の欠如
10年経験者研修
との差異がない
専門職としての
発展を抑止
現職研修
初任者研修
10年経験者研修
現職研修
長期社会経験研修
学校組織
マネジメント研修
他にも教員研修センターや
地方自治体教委が実施する研修も
10年経験者研修って?
公立学校の教諭としての在職期間が
10年に達した者に対して、各都道府教育
委員会等が実施する法定研修(2003年~)
【特徴】全員一律の内容・方法ではなく個々の能力・適正・専門
に応じた研修
校外研修
【仕組み】
(20日)
研修成果の
能力・適正評価
研修計画作成
校内研修
(20日)
評価
【内容】 外 共通研修(1日)、教科等研修(6~9日)
生徒指導等研修(3~5日)、選択研修(5~6日)
内 授業研究、教材研究、教科研究
※大学、大学院、民間組織等との連携も
教員養成6年制
教員免許取得に必要な大学の4年制養成課程を、
大学院2年も義務化して6年制に延長する
・免許取得前1年間の教育実習を義務付け
・基礎免許状、一般免許状、専門免許状の3段階の免許制度
・免許更新制を廃止し、3段階の免許制度に吸収
・教育学部以外の学部・学科を卒業した学生も、2年間で教職
大学院を修了すれば免許を取得可能に
教職大学院
2008年より開設(教員のより高い専門性が目的)
・専修免許独自の価値は見出しにくい状況
全国に25校
(1学年14~100人の定員) 2010年
・2010年は1/3の学校で定員割れ
「教科又は教職」の単位を重ねることで「専修免許状」が認定
・学部から進学する学生は約1割。大半は県教委からの
派遣と、教員養成系ではない他大学の卒業生
教員養成6年制への批判
新規採用者:2万人
大学院総定員数:800名
大学院設置
維持費 学生を誘引す
コストが
かかりすぎる
るための給与
の引き上げ
供給不足から
くる非現実性
実習校の負担
教師志望の学生
の不足をきたす
資質向上策と
しての有効性
の欠如
教員免許の国家資格化
教員免許:国家資格化を検討
文科省が今年度中に方向性
文部科学省は、都道府県が発行している教員免許につ
国家資格化が必要な理由
いて、医師などのように国家試験を経て取得する「国家
・教職の単位認定は各校に任されており、教育内容や
資格」へ見直す検討を始める。教員の資質と能力の最
履修の実態が見えにくい
低基準を国が保証し、信用を高める狙いがある。中央
教育審議会(中教審)の特別部会に設置する有識者の
・免許状の形骸化の進行
ワーキンググループ(WG)で実現の可能性を探り、今
・教員免許を取る学生の質の向上が見込まれる
年度中に方向性をまとめる。
毎日新聞
2011年10月21日
教職課程
の改革?
6年制?
日本で教師になるには・・・
大学・短大などで
教員免許を取得する
国家資
格化?
免許
更新制?
現職
研修?
どの段階でどのような改善、対策が
為されれば教員の資質向上に
(国公立)
公務員としての採用試験を受験、合格
(私立) 学校が実施する採用試験を受験、合格
有効なのか・・・??
教師
論点
日本の教員養成制度は今度どうあるべきか?
参考文献
日本教師教育学会編(2008)「日本の教師教育改革」 学事出版
秋山弥監修(2006)「教師の仕事とは何か」北大路書房
油布佐和子編著(2009)「教師という仕事」日本図書センター
日本教育大学協会(2005)「世界の教員養成Ⅱ 欧米オセアニア編」学文社
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kenshu/index.htm
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-y1.pdf
http://www.asahi.com/edu/university/toretate/TKY201105110312.html
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111021k0000m040173000c.html
(2011.11.7閲覧)
おわり。
→教員養成大学、学部
でなくとも
教職課程をとることで
免許が得られる