クエーサー吸収線系にみる水素分子概説
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Transcript クエーサー吸収線系にみる水素分子概説
Damped Lya Clouds
ダスト・水素分子
平下 博之 (H. Hirashita)
発表内容
1.
2.
3.
4.
5.
DLA (Damped Lya Clouds)とは
水素分子とダスト
DLAの水素分子・ダストの観測
DLAの星形成活動
学会発表の予告編
1. Damped Lya Cloud (DLA)とは
QSO吸収線系
1216(1+zDLA) A
Murray 2002
1216(1+zQSO) A
Lya雲
Lya absorbing clouds
QSO
“Damped” Lya cloud
zQSO
zDLA
大きなH I柱密度(
と呼ぶ。
)を持つものをDLA
なぜDLA: その1
• Redshift ~ 3にあるH Iの多くを含む
Péroux et al. (2004)
なぜDLA: その2
• 大銀河の祖先?
観測
渦巻銀河: Briggs et al. (2001)
矮小銀河、不規則銀河、LSB、渦巻銀河:Rao et al (2003)
銀河風で掃き集められたガスの塊:Schaye (2001)
理論
渦巻銀河: Prochaska & Wolfe (1998)
Building blocks:Haehnelt et al. (2000)
色々な種族の寄せ集めサンプル: Cen et al. (2002)
なぜDLA: その3
• 明るい連続光を背景にしているので、
色々な元素の吸収が見える。
Wolfe et al. (2003)
2. 水素分子とダスト
水素分子 (H2)
• 宇宙に存在する分子で最も多い。
• 星形成領域をトレースする。
ダスト
• 表面でH2形成を起こす。
• 紫外線を吸収し、遠赤外線を放射する。
• H2解離光子を吸収し、H2形成を助ける。
水素分子形成
Dipole momentがない ⇒ H + H → H2は禁止
⇒ 触媒が必要
ガス中での形成
H+e-→H–
H - + H → H2 + e –
ダスト表面上での形成
H + H + grain → H2 + grain
水素分子の破壊
光解離
Hollenbach & Tielens (1999)
Dissociation (shielded/unshielded)
光解離からの「保護」
自己遮蔽
ダストによる遮蔽
s(1000 A) = 2.6×10–21 cm2
per H
i.e.,
tdust = 1 for NH = 3.8×1020 cm-2
in the Galactic ISM
Draine & Bertoldi (1996)
N(H2) = 1014 cm–2
大雑把にfH2 > 3×10–7では
自己遮蔽が重要
3. DLAの水素分子・ダストの観測
水素分子の吸収線
Ledoux et al. (2002)
ダストの存在
Depletion (太陽組成比に対する「欠乏」)
太陽組成比
Ledoux et al. (2002)
最新サンプル
Dust-to-gas ratio:
D = 10[X/H](1 – 10[Fe/X])
ダストと分子の量
に相関がある。
log (molecular fraction)
log (molecular fraction)
Ledoux et al. (2003)
大きな分散
H2が検出さ
れていない。
⇒分子雲が
ない??
metal depletion
log (dust/gas)
理論モデル
Hirashita et al. (2003)
◆ 非一様性の大きなH2分布
H2 rich regions
Dust poor
UV background
H2 を検出する確率が小さい。
Dust rich
UV background
H2を検出する確率が大きい。
(molecular fractionの分散は大)
H2空間分布のシミュレーション
50 pc
i21 = 0.1
D = 0.1 Dsun
H2 rich regionsは小さな塊状に存在する。
→ H2を検出する確率に影響する。
4. DLAの星形成活動
疑問:「塊」は更に収縮して星を形成するか?
方法論:DLAの星形成率(dM*/dt)を見積もる方法の
確立。
しばしば、系に含まれる大質量星の質量を見積
もり、「最近」どれくらい星を作ったか(∝星形成率)
を評価する。例:UV光度、Ha光度、遠赤外光度
しかし、DLAに対して光度を測定するのは困難。
「影」による星形成率の測定
Wolfe et al. (2003)
Coolingの指標: N(C II*) (輻射冷却)
Heatingの指標: D (光電加熱)
問題:
どのような紫外輻射場を与えれば、熱平衡
Cooling = Heating
の下で観測されるC IIの励起状態が説明できるか?
UV radiation field (⇔ 単位面積あたりの星形成率)
DLAの星形成率
Wolfe et al. (2003)
5. 学会発表の予告編
(1) 水素分子の解離率を水素分子含有率から評価し、
紫外輻射場を見積もる。
(2) この紫外輻射場が、[C II]強度から得られる輻射場
と一致するかどうかを見る。
(3) 紫外輻射場から、星形成率を評価し、我々のシミュ
レーションで得られるものと一致するかどうかを見
る。
(4) DLAの統計的な星形成率を出し、赤外背景輻射へ
の寄与を調べる。