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障害者の権利条約
障害者の
権利及び尊厳の保護及び促進に
関する
総合的かつ包括的な国際条約
東 俊裕 法律事務所
これまでの人権条約
1948 世界人権宣言
1965 「人種差別撤廃条約」採択
1966 「国際人権規約」
(社会権規約・自由権規約)採択
1979 「女性差別撤廃条約」採択
1984 「拷問等禁止条約」採択
1989 「子どもの権利条約」採択
1990 「すべての移住労働者と家族の
権利保護に関する国際条約」採択
障害者に関する世界の動き(1)
戦後~
1971 精神遅滞者の権利に関する宣言
1975 障害者の権利に関する宣言
1981 国際障害者年
1982 障害者に関する世界行動計画
1983~1992 国連障害者の十年
1987 国連障害者の十年中間年専門家会議
1987 イタリア条約策定を提案するが失敗
1989 スウェーデン条約策定を提案するが失敗
1993 障害者の機会均等化に関する基準規則
(保護の対象から次第に権利の主体へ)
障害者に関する世界の動き(2)
1990
1992
1995
2000
アメリカADA公布
オーストラリアDDA制定
イギリスDDA制定
差別禁止法世界会議
ADA以後の10年間で43の国で差別禁止
規定を有するに至ったことが報告される
(1993 日本 障害者基本法の公布)
障害者に関する世界の動き(3)
再度の条約化の動き
2001.12 国連総会
障害者権利条約案検討のための特別委員会設置を
決議(メキシコ提案)
2002.7 第1回特別委員会(NGOの参加問題)
2003.6 DPI日本本会議のポジションペーパー
2003.6 ESCAPの専門家会議で「バンコク勧告」
2003.6 第2回特別委員会(条約の枠組みと手順)
2003.10 ESCAPの専門家会議で「バンコク草案」
2004.1 作業部会 WG草案
(「バンコク草案」が作業部会議長草案へ)
2004.5
2004.8
第3回特別委員会(第1読)
第4回特別委員会(第2読その1)
障害者の権利条約の必要性
障害者に特化した条約がない
既存の条約では役に立たない
• 障害者は保護の客体
• 抽象的な差別概念では救済されず
(合理的配慮)
国際的人権格差の是正の必要性
国際的人権格差の是正
自由権的アプローチ
差別禁止法による人権確保
←所得や介助・雇用の問題に
対応できるか
社会福祉的アプローチ
福祉施策によるサービス提供
←差別の解消が出来るか(スウェーデンで
さえ、雇用の分野における差別禁止法制定)
発展途上国
貧困の中に放置
←発展の権利
条約の枠組み
1.
非差別モデル (non-discrimination model)
自由権中心
2.
包括的モデル (holistic model)
自由権、社会権を包括
3.
ハイブリッドモデル (hybrid model)
開発の権利 国際援助を義務化
4. WG案は2に国際協力を加味したもの
作業部会草案
付属文書1
前文
第1条 目的
第2条 原則
第3条 定義
第4条 義務
第5条 肯定的態度の促進
第6条 統計・データ収集
第7条 非差別
第8条 生命に対する権利
第9条 法の下の平等
第10条 身体の自由および安全
第11条 拷問等からの自由
第12条 暴力および虐待からの自由
作業部会草案
第13条
第14条
第15条
第16条
第17条
第18条
第19条
第20条
第21条
第22条
第23条
第24条
第25条
付属文書2
表現の自由 情報へのアクセス
プライバシー、住居、家族の尊重
地域での自立生活等
障害のある子ども
教育
政治および公的活動への参加
アクセシビリティー
モビリティー
健康とリハに対する権利
労働
社会保障および十分な生活保障
文化的活動等への参加
モニタリング
国際協力
主要な論点
障害の定義
差別の定義
(あらゆる区別・排除・制限+人権と自由を認識・享有・行使+
阻害・無効+目的・効果)
間接差別
一般的例外
合理的配慮義務の位置づけ
司法手続きへのアクセスと救済措置
教育
分離か統合か
合理的配慮
選択権の保障
労働
割当制度
合理的配慮
モニタリング(国際的実施措置、国内的実施措置)
国際協力
見通しと影響
5年はかかる?
しかし、確実に出来る
国内への影響は大きい
国内法制より一歩上の議論
差別禁止法、虐待防止法
国内人権機関
差別禁止法
制定に向けて
国内の動き
国内の動き(1)
ADA ショック
差別禁止法世界会議 ショック
• ADA以後10年間に43ヶ国で差別
禁止規定を有するに至ったことが判明
2001 国連の社会経済理事会
• 日本政府に対して
差別禁止法の制定を勧告
2001 日弁連 差別禁止法のシンポ開催
「障害のある人の人権と差別禁止法」
1990
2000
国内の動き(2)
2002 障害者政策研究集会実行委員会
障害者差別禁止法制定作業チーム
「当事者が作る差別禁止法要綱案」
2002 DPI世界大会in札幌
権利条約と国内差別禁止法制定の決議
2003 日本障害者フォーラム(JDF)
設立準備会
2004 権利条約超党派の議員連盟
結成予定
なぜ、差別禁止法は
必要なのか
障害者の総数
種別
総数
在宅 施設 収容率
身体障害 351.6 322.7 18.9
知的障害
32.9 13.0
28.3%
精神障害 258.4 223.9 34.5
13.3%
合 計
45.9
5.3%
655.9 589.5 66.4
10.1%
厚労省「身体障害児・者実態調査」(平成13年)「患者調査」(平成14年)より
在宅障害者の有業者割合
常用雇用
身体障害
知的障害
精神障害
合 計
自営等
障害者の有業者割合
(福祉的就労)
15歳以上有業者割合
(一般)
総数
人数
割合
324.5
22.1
223.9
570.5
570.5
570.5
39.6
6.9
5.1
51.6
14.2
65.8
12.2%
31.2%
2.2%
9.0%
2.4%
11.5%
570.5
17.0
2.9%
59.5%
障害を持つ人の暮らし
障害者総数655.9万人
施設生活者 約1割 66.4万人
有業者
約1割 65.8万人
子供
約0.3割 20万人
残りの人
約7.5割 500万人
施設での虐待 一般社会での差別
課 題
脱施設と地域生活支援
支援費約3600億のうち6分の5が施設
関連、地域支援は残りの6分の1
施設内での虐待の防止
社会参加を阻む差別の禁止
有業者割合の極端な格差は、構造的障壁(社会的
差別)が存在することの一つの指標
日本の福祉制度を支える
多数の福祉法
政策の理念を定めた基本法
障害者基本法
地域サービスと施設処遇
身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健
及び精神障害者福祉に関する法律 社会福祉法
社会参加
雇用の促進法 ハートビル法、交通バリアフリー
法 補助犬法
所得保障
国民年金法
教育
学校教育法
合計、30くらいの関連法律で諸施策を実施
人権を守る法律は?
人権立法 障害者に関して皆無に等しい
障害問題に関する二つのアプローチ
福祉的アプローチ
人権的アプローチ
ADA以後、10年間に43ヶ国で差
別禁止に関する立法制定(スウェーデン)
社会経済理事会(2001)
日本政府に対して差別禁止法の制定を勧告
憲法14条
すべて国民は、法の下に平等であって
人種、信条、性別、社会的身分又は門
地により、政治的、経済的又は社会的
関係において、差別されない
差別とは、不合理な区別と言われる
では、何が不合理か?
分かったようで、分かんない
□□駅の巻
① どうしてこんなに忙しいときに来るの?
あなた、車いすで、どうせ暇なんでしょ
すいているときにおいで!
② どうしても乗りたいんなら勝手にどうぞ
でも忙しいから、階段上るの
手助けできないよ
和食のお店の巻
① 車いすでは、畳が汚れますので、
ご遠慮願います
② トイレは、幅が狭くて、
利用できないんです
プールの巻
① 知的障害をもった子供さんは、
ご遠慮願っているんですが
② 車いす用の特別の設備や訓練を
受けたスタッフがいませんので、
ご利用は無理です
教育委員会の巻
① 重度のお子さんは、
普通学校じゃ、無理
お子さんのことを思うなら、
養護学校がいい
② 普通学校に行くなら、
送り迎え、トイレなど、
お母さんの方でお願いします
大学受験の巻
① 点字での受験はやってない、
うちの学校は諦めてくれ
② 点字でも受験はできるけど、
時間を延ばすわけにはいかないね
アパート捜しの巻
① 重度の車いすの方は、火の始末
など、心配ですので断ります
② スロープを付けるために、
改造されるのは困りますね
労働の巻
① 資格は持ってるだろうけど、
うちじゃ、障害者を雇ったことが
ないので、採用できません
② 高校でも養護学校じゃ、中卒並
みの給料しか払えないよ
③ 労災事故とはいえ、スロープも
ない職場だから、退職してよ
これって
差別じゃないの?
さて、みなさん
どう思われますか?
事例から分かること
何が差別か
2つのパターン
①障害を理由に、他の人と違う
扱いをする場合
②実質的な平等を確保するには、
一定の配慮が必要だが、その配
慮をしない場合
事例から分かること
障害の経験もない人が考える差別
障害を持った人が感じる差別
この間には、
大きなギャップがある
裁判の結果
裁判所も差別だという心証を形成
和解による復職
違った取り扱いは
やめさせることが出来た
しかし、復職だけで
実質的に平等取扱か
合理的配慮義務
Reasonable Accommodation
配慮義務を怠っても差別ではないの?
どうして、障害者だけ、そんなに
特別に配慮しなくちゃいけないの?
社会資本の不公平な配分と利用格差
文明の片面的な進歩は、差別を拡大する
労働法は、権利としての配慮の固まり
社会参加のスタートラインを平等に
差別の漠然性
殺人罪
これは法律がなくとも悪いと言う
ことは誰にだって分かる
しかし
何が差別か
何が求められる配慮か
少数者の問題
誰でも経験する訳じゃない
自然に分かるものではない
予見可能性
差別概念の漠然性は予見可能性を奪う
差別は悪いこと・何がいいか悪いかは
個々人の良心で判断すべきことと言わ
れても?
差別問題に対する拒絶反応、恐怖感、
感情的対立状況
ブラックボックス
←国民の行動規範の必要性
心の問題だけでは解決しない
主観的要素
無知 無理解 偏見 故意 悪意 憎悪
ほとんどの人が、偏見止まり
悪いことをしているとは思っていない
結
論
どこまでが許されて
どこから差別なのか
何が求められる配慮なのか
もの差しが必要だ!
もの差し=差別禁止法
差別禁止法の効果
差別禁止法は
障害者のためだけのものか?
社会制度・システム等、社会のあり方
自体を一人一人のニーズに合わせたも
のに作り替えていくもの
万人の個性に応じた社会作りの基礎作り
条例の役割
実体規定と法律との関連
条例先行型
行政救済手続き
救済機関(中立)
• 簡易・柔軟・迅速な解決
権利擁護機関(障害者の支援)
監視機関(cf オンブズパーソン)