Transcript リース取引について
07F1023
井形 辰史
就職活動をしていくなかで、金融のジャン
ルに分類されている『リース』という言葉
を見かけて、聞いたことはあるがいったい
どういった事をしているのか気になり、基
本的な事から調べようと思い調べることに
しました。
リースとは?
リースの種類
リースの仕組み
メリット、デメリット
リースの現状
将来の展望と課題
まとめ
参考文献
リースは、賃貸借という意味ですが一般的
には『賃貸借を中核としサービスやファイ
ナンスなどの要素を含んだ複合取引』とさ
れています。要するに借りる側は物件を借
りる使用料を支払い、貸す側はそれを受取
るということです。ただ実際に行われてい
るリース取引は単純な物件の貸し借りだけ
でなく、サービス的、ファイナンス的な要
素を含んでいます。
リースの発祥の地
~1952年アメリカでリース会社USリーシ
ング社が設立。
日本における最初のリース会社
~1963年山梨県のクリーニング会社との
間で契約が行われた。
日本の市場規模
~リース取扱高約7兆6000億円(平成18)
リースは基本的に2つに分類することができます。
ファイナンス・リース
オペレーティング・リース
その他の分類
(メンテナンス、ソフトウエア、官公庁etc)
≪特徴≫
①リース期間の中途で解約が禁止されてい
る。(中途解約禁止)
②物件価額と付随費用がリース料でおおむ
ね全額回収(90%以上)されること(全額回
収)
⇒わが国におけるリース取引は大半がファ
イナンス・リースで行われている。
≪特徴≫
①オペレーティング・リースは、ファイナンス・リース以
外のリース取引です。
つまり「中途解約禁止」、「全額回収」の両方、または
いずれかを満たさない取引ということです。
②全額回収しない…リース料総額が安くなり、ユーザーに
とっては魅力的!!
③リース会社は全額回収できない部分(残存価額)を中古市
場などで回収しなくてはならない。
~中古市場では回収のリスクが生じます。
⇒よって、オペレーティング・リースは中古市場が整備
されている自動車、船舶、航空機などを対象として行わ
れる。
物件価額100+付随費用20=リース料120
リース料120
リース料108
リース料72
100%回収
90%回収
60%回収
ファイナンス
リース
ファイナンス
リース
オペレーティン
グリース
≪リース取引の当事者≫
ユーザー
リースの顧客、すなわちリース物件を使用
する者のことです。
サプライヤー
物件を供給する者、すなわちリース物件の
メーカーまたは販売会社の事です。
リース会社
ユーザーにリース物件をリースする者の事
です。
①
②
サプライヤー
③
④
⑤
⑥
⑦
リース会社
ユーザー
⑧
⑨
⑩
物件の特定
リースの申込み
審査
リース契約の締結
売買契約の締結
搬入
検収
売買代金の支払い
物件の保守、修繕
リース料の支払い
取得価額…リース会社がサプライヤーから、
ユーザーの希望する物件を購入するときの代
金
付随費用
資金調達コスト…物件購入のための資金調達
固定資産税…物件に課される税
動作総合保険料…リース物件対する損害保険
手数料…リース会社の人件費、管理費、利益
(取得価額+付随費用)
月額リース料=
リース期間(月数)
ここで取り上げる内容は、リース事業協会
が実際にリース取引を利用している企業
10000社を対象に定期的に行っている調査
(リース需要動向調査)で、上位にあげられ
たメリット、デメリットを紹介します。
企業が物件を所有した場合は固定資産の管理を行います。
(減価償却計算、固定資産の申告、納付の義務)また金融
機関からの借入金で物件を購入すると借入金の管理も必
要になります。
一方リースを利用すると、ユーザーが行う事務処理は毎
月の支払義務だけで、事務管理の省力化を図ることがで
きます。特に自動車のように事務の手間が多い物件や、
パソコンのように少額な大量物件を導入する場合に有効
だと言えます。
リース料は均等かつ定額で毎月
支払うので、コスト把握が容易
リース料
リース料
リース料
毎月のリース料が一定
企業が自己資金で設備を購入する場合、資金が
一時的に流出するため、初期投資負担が重くな
ります。
これに対して、リースの場合はリース料を期間
中に定額で払うため、多額の資金が一時的に流
出しないので負担を軽減させることができます。
これにより多店舗展開を図る企業では、同時に
複数の出店が可能となります。
①長期にわたって使用する。
②購入資金にゆとりがある。
③基幹設備のため自己所有の方が良い。
リース取引では、物件の売買代金はリース会社
からサプライヤーに対して一括して支払われま
す。そのためサプライヤーの立場のメーカーは
製品の製造コストを迅速に回収することができ、
ディーラーは製品の仕入れ代金の支払いに充て
ることができます。またサプライヤーの立場の
会社が自ら販売する場合、取引上の立場が弱い
と、売買代金分割払いなど、顧客から不利な条
件を受け入れざるを得ないこともあります。
リース取引には様々なメリットがありますが、
これらをユーザーとの商談のなかに採り入れる
ことにより、有効な販売促進手段になります。
特に『初期投資負担が軽減』される点は、サプ
ライヤーにとってはユーザーに対して高額な機
器の導入を勧める際の大きなセールスポイント
になります。
製品を販売したときに、その売買代金を回収で
きなければ多額の損失が発生します。特に顧客
が倒産した場合は、売買代金の回収が極めて困
難になる事が予想されます。このようなリスク
を信用リスクといいますが、リース取引を活用
すれば、リース会社がこのリスクを負うのでサ
プライヤーはこれを回避することができます。
リースの現状
リース取扱高
7兆6431億円(平成18年)
リース取扱高
6兆4026億円(平成20年)
アメリカのリース市場がもっとも大きく、
市場規模で2130億ドル(換算すると約21兆
円)です。日本は世界で2番目のリース大国
(674億ドル)となり、次いでドイ(516億ド
ル)、フランス(284億ドル)、イタリア(275
億ドル)の順になります。
また近年では経済成長の著しいBRICSと呼
ばれる新興工業国のリース市場も急成長し
ています。
2010年には民間設備投資に占めるリース比率が12%程度
になると予想されています。それに伴い3つの課題が考
えられます。
①付加価値を高めたリース取引
~ニーズの多様化、新規需要の開拓⇒付加価値の高いリースの導入。
②資金調達力の強化
~リース物件を購入するために多額の資金調達が不可欠。金融技術
の進歩もあり多様な方法を模索する必要です。
③リスク負担機能の充実
~リース会社は資産を所有するリスク、信用を供与するリスクを負
担しているのでこれらに対する機能の充実が必要です。
今回自分が調べた範囲はリース取引の本当
に基本の部分でしたが、個人では接する機
会の少ないリースに触れることができまし
た。もし興味をもった人がいたら、より
いっそう深く調べてみてください。
リース取引の基本と仕組みがよ~くわかる本
秀和システム 加藤健治 著(平成20年)
社会法人リース事業協会HP