Transcript 3. 火 山
3. 火 山 破滅的火山災害発生の 時間オーダー • 日本では西暦1700年以降,死者1000名 • • 以上は3件:うち,1792年雲仙で 15,188人(主に津波による犠牲) 日本で,活火山とは,概ね過去Ⅰ万年 以内に活動したもの:108火山 日本で壊滅的はものは,数千年前の鬼 界カルデラの形成。 3.1 有珠山2000年噴火と前史 3.1.1 噴火とその前後 3.1.1.1 有珠山2000年 噴火の経緯 3.1.1.1.1 噴火前 3月28日〜 • 3月27日午後11時半,北大の岡田教授 • • から壮瞥町職員の田辺氏の自宅に電話 噴火前に,住民と観光客の避難が実現。 28日のような地震活動は,1977-78年の 噴火活動以来はじめて。過去400年,地 震活動の活発化ののち,1日〜数日の 間に噴火した例が多い。 有珠山の位置 洞爺湖北岸から有珠山を遠望 有珠山北西斜面の麓 • 年間400万人の観光客を集める虻田町の • • 洞爺湖温泉町 岡田教授:北屏風山付近から北側の湖 畔に向かって扇状に広がるブロックが 湖側にずり落ちている 宇井教授:洞爺湖温泉街をのみ込んだ り,洞爺湖に津波を引き起こすと警告。 有珠山の熔岩円頂丘 噴火 • 3月31日午後1時10 • 分,小規模な水蒸気 爆発を起こした。2 3年ぶりに噴煙,数 百メートルに。 避難生活4日目。Ⅰ 万3千人の住民は息 をのんで黒煙を見つ めた。 その後のシナリオ • 山頂でのプリニー式噴火,(低い可能 • 性)北西側山腹での大きな火口の形成 水蒸気爆発が続き,その後,明治新山 のような熔岩ドームを形成。 おもな経過 • 4月1日 温泉街近くで新たな火口 温泉街のすぐ南側300mの金比羅山から再 び水蒸気爆発。壮瞥町で震度5弱。 少なくとも8個の火口。いずれも線状に並 ぶ。 • 4月5日夜 予知連見解(岡田):北西 山麓で爆発的噴火が発生するとすれば, この2,3日から1,2週間以内の可 能性が高い。 予知連の見解修正 • 4月8日午後,10日ぶりに35分だけ • の帰宅が実現。 4月12日予知連(井田)が見解修正。 「当面は,北西山麓で現状と同様の弱 いマグマ水蒸気爆発が継続,山頂部の 大規模な噴火への移行を示す現象は見 られない」 現地担当者の自覚 • 4月16日「有珠山活動は初期段階 • • 北 大教授 大爆発の可能性消えず」 宇井:火山灰が多い噴煙は地下水の減 少を意味し,この状態が発展すると, 火砕流,火砕サージを伴う大規模噴火 に移行する 岡田:警戒感が薄れ,大変憂慮。 ほぼ1ヶ月のち 4月26日記事 • 火山活動予断許さず • 虻田町長「住民の要望は強いかもしれ ないが安全が第一だ。こちらから積極 的に解除地域を広げてゆくことはしな い」。 3ヶ月余 7月10日 • 有珠山マグマ活動終息へ(予知連統一 • 見解) 有珠山周辺で続いていた隆起の勢いや 範囲は次第に縮小し,大部分のところ で沈降を始めている。地下の深いとこ ろからのマグマの供給はほぼ止まって いて,一連の噴火活動は終息に向かっ ている。 3.1.1.2 火山学そして 防災からの意味 3.1.1.2.1 予知 3.1.1.2.1 予知 • 前兆火山性地震と噴火活動の関係←表3.1 • 2000年噴火の直前は23年に過ぎない。 • 火山性有感地震の始まりから噴火までの期 • 間:4日が1回,3日が2回,そして32時 間。 ↑岡田教授の信念と行動力から,公式見解 をまたずに避難開始。 水蒸気爆発とマグマ… 図3.5 図3.6 1663年以来の噴火様式 表3.1 • 山頂噴火:プリニー式噴火(半径数km • に火砕流が流下) 山腹噴火:水蒸気またはマグマ水蒸気 爆発。 ハザードマップ • 有珠山2000年噴火は,ハザードマップ • が配布されている火山では,最初の本 格的噴火であった。 行政は,ハザードマップ(1995年出 版)などの防災資料の配付,講演会を 繰り返し,避難活動に役立った。 洞爺カルデラと有珠山の 活動史と岩質の変遷 3.1.2 洞爺カルデラ,後カルデ ラ火山の変遷 • 洞爺カルデラ前史,洞爺カルデラ,そ • して有珠山 一般的に島弧火山の歴史を,ここに見 ることができる。 3.1.2.2 洞爺カルデラ • • • • 14〜10万年前にクラカタウ型カルデラ 噴火前の山頂から400〜450m陥没 噴出量150km3,火砕流数十mの火砕流台地 4〜1万年前に中央火口丘(9個の熔岩ドー ム) 3.1.2.3 有珠山 3.1.2.3.1 成層火山と外輪山 • 成層火山: • 2〜1.5万年前から活動開 始。円錐形の成層火山 爆発カルデラ: 8〜7千年前に山頂部 の大崩壊。現在,外輪山とよぶ山体斜 面は成層火山当時の山体斜面。 3.1.2.3.2 新規活動 • 表3.1と図3.7 3.1.2.3.2.1 山頂噴火 • 数千年ぶりの1663年に,大規模な軽石 • • 噴火(2.2km3)。プリニー式噴火。爆 発カルデラの馬蹄形部分が閉じる。 2000年噴火までの総噴出量は3km3。 江戸時代は,前兆地震,山頂火口原へ の軽石噴火,火砕流,水蒸気爆発,熔 岩ドームの形成。 3.1.2.3.2.2 主に山麓噴火 • 明治終わりの1910年以降,山麓噴火を • 主とする。山麓噴火はいずれも有珠山 のほぼ北半分で生じている 軽石噴火はなく,水蒸気ーマグマ水蒸 気爆発,熔岩または潜在ドームを形成 以 上