Transcript ウリミバエ - NPO法人 放射線教育フォーラム

ウリミバエの根絶
NPO法人放射線教育フォーラム
1993年以前、沖縄のゴーヤが
県外に出荷できなかったことを
知っていましたか？
沖縄県
東西1000ｋｍ
南北400ｋｍの海域
160の島々
青く澄み切った海
ハイビスカス
冬でも平均気温は１５℃程度
サトウキビ畑
この植物は何かわかりますか？
ゴーヤ
ゴーヤ
沖縄の特産品
沖縄名物
ゴーヤチャンプル
（ゴーヤを混ぜた野菜炒め）
1993年以前 沖縄県外では
あまり見かけなかった
なぜか？
沖縄ではウリ類を食べる
ウリミバエの幼虫が大繁殖
ウリミバエ
体長：８ ～ ９ｍｍ
• トマト、ピーマン、パパイヤやナス科植物にも寄生
1975年
ウリミバエの北上
197４年
1970年
1919年
ウリミバエの幼虫に食べられ
ゴーヤの実はこの通り
ウリミバエを駆除しなければ
沖縄県外に出荷ができない
その対策は？
• 放置すればウリミバエは更に北上を続け、
• 九州、四国、本州にも広がる。
• 昭和47年(1972年)から
• 根絶のための実験が開始された。
• 問 どのような方法を取ったと思うか？
害虫駆除というと
殺虫剤散布を連想するが、
•
•
•
多量の薬剤使用は
環境を汚染し
根絶は困難。
•
•
ほかに良い方法は
考えられないか？
放射線の授業だから
「放射線」という答えが出るだろう
•
•
放射線を使ったには
違いないが、
•
•
放射線で殺したの
ではない。
•
•
放射線を
どのように使った？
羽化
成虫
サナギウリミバエの一生（生活史）
交尾
産卵
幼虫
卵
サナギに放射線を照射すると
•
•
成虫になっても卵を産まない
産んでも卵はふ化しない。
• サナギは保管しやすく、
• 放射線を外界から隔離して照射できる
• 環境に影響を与えない。
ない虫を野生虫より多く散布する
の大量増殖と放射線照射施設を建設
沖縄県 病害虫防除技術センター
当時：ミバエ対策事業所
ウリミバエの
大量飼育と採卵
幼虫の飼育
蛹（サナギ）の飼育
放射線源
中央に設置した放射線源を中心にし
大量のサナギを入れた容器を円形等距離に動かし
放射線を均一に照射
放射線の量はどのように決めた？
• 放射線の照射量が多ければウリミバエのサナギ
は死んでしまう。
• 少なすぎれば効果がない。
• 羽化した成虫が正常に活動でき
• しかも、繁殖力がなくなる量を選定
不妊虫放飼法
E．F．ニップリング（アメリカ）が
１９３０年代に考案
•
ラセンウジバエの根絶に成功
•
• ラセンウジバエ
•
•
•
ウシ、ヒツジなどに傷をつけ
卵を産む。幼虫は肉を食べ
ウシ、ヒツジを弱らせる。
ウリミバエの根絶例
• １９６２ ～ １９６３年 アメリカ
• マリアナ群島 ロタ島（８５ｋｍ２）で成功
• 総面積２，２５４ｋｍ２の沖縄県では
• 条件が異なるため
• 独自に研究する必要があった。
羽化２～３日前のサナギに放射線を照射して
かごに入れ屋外に吊るしておくと
放射線を受けた虫が飛びだす
ヘリコプターを使うようになった。
サナギを袋に入れて羽化したのちに
ヘリコプターに積み、
袋の口をあけて散布
その後
1回のフライトで約400万匹のウリミバエを散布
仮に１００万匹の野生虫に対して
１００万匹の不妊虫を散布すると
• １匹の野生虫が1匹の不妊虫と
出会う機会は
• ２匹に１匹の割合（１/２）になり、
• 次世代の野生虫は半減して
５０万匹になる。
不妊虫１００万匹を散布し続けると
１００万匹いた野生虫は
• ２世代目に ５０万匹
• ３世代目に １６万６，６６７匹
• ４世代目に ２万３，８１０匹
• ５世代目に ５５４匹になり
• 正常に交尾できる野生虫の数は
０匹になる。
ウリミバエ根絶までの足取り
沖縄県
１９７２ ～
１９８２
１９８３
１９８４ ～
１９８６ ～
１９９０ ～
鹿児島県
１９８５ ～
１９７８ 久米島
大量増殖施設完成
ミバエ対策事業所設置
１９８７ 宮古群島
１９９０ 沖縄群島
１９９３ 八重山群島
１９８９ 奄美群島
その後沖縄県産ゴーヤは
県外出荷ができるようになった
不妊虫放飼法によるウリミ
バエ根絶がなぜ成功したか
•①
ウリミバエ大量飼育法を確立した。
•②
不妊虫に野生虫と同じ活力をもたせる
適切放射線照射量を決めることができた。
• ③ 大量のサナギに放射線均一照射が成功
• ④ 環境保全 放射線による影響も
殺虫剤の薬害も出さなかった
根絶成功の要因の１つは、
沖縄 奄美が島であったこと
1972年間から22年間
放射線によるウリミバエ根絶事業
放飼した放射線虫：６２５億匹
• 動員数：
３２万人
• 費 用：
２０４億円
ウリミバエの根絶
•
完
• 資料提供：沖縄県病害虫防除技術センター