スライド資料 - 室蘭工業大学

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技術者倫理教育の現状と課題
-一般教育と専門教育の連携-
八代工業高等専門学校 一般科
助教授 小林幸人
アウトライン
1.
八代高専における技術者倫理教育
カリキュラム全体を通じた倫理教育
② 八代高専総合教育プログラムと倫理教育
③ 一般教育と専門教育の連携
①
2.
3.
4.
技術者倫理教育実践例
倫理教育における評価方法
今後の課題
2006.12.2
室蘭工大 特色GPシンポジウム
2
1.八代高専における技術者倫理教育
2006.12.2
室蘭工大 特色GPシンポジウム
3
① カリキュラム全体を通じた倫理教育

技術者倫理教育の目的
 実践的総合判断能力の育成:道徳的自律性の涵養

技術者倫理の問題群
 哲学・倫理学基礎
 科学・技術論、科学・技術・社会論
 応用倫理学(生命倫理、環境倫理等)
 法知識、倫理綱領等の理解
 専門工学における技術的、倫理的問題
 分析・判断力の向上
単一科目ではなく、カリキュラム全体を通じた倫理教育プログラム構築が
不可欠
専門工学科目と一般科目とのバランス及び科目間の連携が不可欠
2006.12.2
室蘭工大 特色GPシンポジウム
4
八代高専の学科構成
「生産システム工学」教育プログラム
機械電気工学科
生産情報
工学専攻
情報電子工学科
1
2
土木建築工学科
環境建設
工学専攻
生物工学科
生物工学
専攻
3
4
本
2006.12.2
5
科
室蘭工大 特色GPシンポジウム
1
2
専 攻 科
5
「生産システム工学」教育プログラム
における技術者倫理関連科目




技術倫理
生産と法
専門科目

2006.12.2
環境建設工学
共通科目
本科選択科目
共通必修科目
(専攻科)
 コア科目


生産情報工学
共通科目
各専攻における専
門科目で倫理的問
題を取り扱う
(図は例示)
機械電気系
コ ンピ ュー タネッ
トワーク
リサイクル工学
バイオメカニクス
・
・
【本科選択】
法学
現代社会論Ⅰ
哲学
【専攻科必修】
※コア科目
技術倫理
生産と法
生命基礎科学
地球環境科学
情報電子系
ネットワーク
システム工学
基礎工学演習
・
・
・
室蘭工大 特色GPシンポジウム
地球環境工学
工業火薬学
建築計画
防災工学
建設マネージメント
・
・
・
生物工学
生命倫理学
安全工学
生物工学関連法規
リサイクル技術
環境分析技術
・
・
・
6
②八代高専「総合教育プログラム」と技術者倫理教育

「総合教育プログラム」とは?
 平成14年度に策定された(平成15年度改訂)「自立した
実践的技術者」育成のためのアクション・プログラム
 各学年及び4つの時期に応じた目標及び教育内容を整備
したもの




2006.12.2
人としての基盤形成期(本科1~2年)
専門基礎の習得期(本科3年)
専門性の確立期(本科4~5年)
複眼的視野の獲得期(専攻科1~2年)
室蘭工大 特色GPシンポジウム
7
5ないし7年間一貫の総合教育プログラム(八代高専)
専攻科まで含めた7(5)年間一貫教育
八代高専総合教育プログラム
人としての基盤形成
専門性の確立
専門基礎の修得
複眼的視野の獲得
「生産システム工学」教育プログラム
専攻科の達成目標
5(7)年間を通じた目標
八
代
高
専
全
般
○変化する社会に柔
軟に対応することの
できる自立した実践
的技術者の育成
アドミッションポリシー
○科学や技
術 に強い関
心を持ち、モ
ノづくりが好
きな人
1年
2年
○社会の一員として基礎・基本
の定着
・規範意識:礼儀,節度,品位
3年
○人間的基礎力の定着
・社会常識および規範に則った
生活の充実
○学校生活への習慣づけをする
○基礎学力の定着と専門導入
科目の理解を図る
○学習の習慣づけをする
○自学自習を習慣づける
○学習の目的意識をもつ
⇒
○基盤となる教養を身につける
⇒
4年
○社会の一員としての在り方・
生き方の模索
・将来に自分が果たすべき役割
と責任を自覚し、自己の目標を
設定する
○社会への関心をもち、目標達
成へ邁進する
○広い視野に立った職業観を涵
養する
○自分を総点検して自己認識を
深める
5年
○社会に巣立つ技術者として,
学校内外のさまざまな問題に積
極的に関わる力を定着させる
○集団におけるリーダーシップ
を発揮する
⇒
○モノづくりの現場において、技
術者としてのリーダーシップを育
成する
⇒
アドミッションポリシー
○自らの専
門とする技術
分野の基礎
学力を備え、
周辺分野へ
の知的好奇
心を持った人
4期に応じた教育方針の設定
○様々な物事の見方を身につ
け、社会への関心を高める
○将来の目標を定め、自己の職
業観に基づいた学習意欲を向上
させる
○科学技術
を学ぶに必
要な基礎学
力が備わっ
ている人
○一人ひとりの個性と能力を重
視する教育
基
礎
的
な
学
習
○基礎・基本の定着
○専門知識の修得と応用能力
の育成
○コミュニ
ケーションの
基礎が備
わっている人
○教養の涵養
○情報リテラシーの育成
○コミュニケーション能力(文章
力・表現力・伝達力)の育成
○協調性と実行力をもち意欲溢
れるエンジニアの育成
実
践
的
な
学
習
○基礎体力養成と健康・安全知
識の涵養
○問題探求・問題解決能力の育
成
○ドリルや個別指導などを効果
的に取り入れて基礎基本の徹底
と実力増強を図る
○選択のコース別授業の実施
やドリル・個別指導を効果的に
取り入れて基礎基本の定着と実
力増強を図る
○個別指導などにより自己学習
力の養成と課題発見・問題解決
能力の育成を図る
○授業を効率的にする家庭学習
を重視した能動的な学習を促
○一般科目から 専門科目への
○導入科目を通じて専門分野へ
し、自学自習の定着を図る
つながりを意識させつつ、専門
眼を開く
⇒
⇒ 工学への基礎力養成を図る
⇒
○導入科目を通じて、専門科目
○ドリル・習熟度学習・個別指導
の背後にある基本原理に眼を開
○歴史・文化・社会などについて
を効果的に取り入れて基礎基本
く
の理解を基盤として、現代社会
事項の定着を図る
の様々な問題に目を向ける
○歴史・文化などの多様性につ
○各種セミナーを通じて自学自
いて理解し、社会への関心を持
習を習慣づける
つ
○専門基礎の定着をはかり、技
術者に必要な工学的素養を育
成する
○基礎体力の養成と健康・安全
について幅広い知識の定着を図
る
○理論を考えながら、実験・実習
等に取り組む
○コンピュータを利用する教育
に対応できるための基礎を育成
する
○実習などを通じて、ものづくり
の感覚や道具や機器を扱う楽し
さを実感する
○基礎体力の養成と健康・安全
知識を涵養する
○実習などを通じて理論と実際
の両面から物事を理解する感性
を養う
○専門分野への関心やモノづく
りへの興味を深める
○基礎的な実習などを通じて実
践的な経験を積むと同時に、実
験などを通じて専門工学の導入
を図る
ホ
ー
ム
ル
ー
ム
活
動
○課外活動を通じて知徳体の調
和した有能な人材を育てる
○忍耐力、適応力、社会性、協
調性、責任感、倫理観などの人
間基礎力の育成
○活動に関わる知識と技術の修
得、好奇心、探求心や向上心の
育成
○準備からレポート作成までの
一貫した実習を通じてモノづくり
の基礎を理解する
○専門基礎の定着を図るととも
に、自らの得意な専門分野に関
する素養を深める
○自分の得意な専門分野を考
える
⇒ ○専門応用科目を通して、自分
の適正や能力を認識し、将来に
ついて考える
○現代社会の様々な問題と技
術との関わりを考える
○課題研究を通して、自主的な
問題発見や解決能力を培う
○工場見学旅行やインターン
シップを通して企業でのモノづく
りの実際を理解する
○学内・学外研修での企業や社
○コミュニケーションの基盤とな
会人との交流を通じて自己の進
る、論理的思考、意見形成など
路や目標を模索する
⇒
⇒
○読解力を養い、文章作成の基 ⇒ の基礎力を養う
礎力を身につける
○レポート作成などを通じて、コ
○外国語によるコミュニケーショ
ミュニケーション力の育成・発展
○外国語によるコミュニケーショ
ンの基礎力の定着を図る
に努める
ンの基礎力を養う
○情報収集能力などの情報リテ
ラシーの基礎力を養う
○新入生ガイダンス、1年生合宿
研修、高専大会などの各種大
会、高専祭に参加する
○知徳体の調和した人間性を身
につける
○国際的な問題を視野に入れつ
つ、地域社会の抱える様々な問
題への理解を深める
○本科で学んだ工学的素養をも
とに,理論的把握力や数学的解
析力の充実を図る
○理論上の把握から実践的な
○複雑化・高度化する問題に対 ⇒ 設計・応用への展開を図る
処するために幅広い専門分野へ
の関心を高める
○複眼的視点に立ち、得意とす
る専門技術・知識を用いて実際
○得意とする専門分野に関する
的な問題に対処する総合的判
研究の深化を図る
断力を育成する
八代高専の教育目標
○ モノづくりの現場で「大局
着眼、小局着手」を実行でき
る自立した実践的技術者
○ 複眼的な視点から技術
を理解し、実践の場におい
て、地域・社会のニーズに応
え、アイデアを実現できる能
力を備えた技術者
○課題研究等のPBLを通じて、
自主的な問題発見や解決能力
を培う。また、新しい物事に取り
組む創造性や発想力を養う
○技術者が関わる倫理的な問
題について考える
○知的な好奇心と探求心をもっ
て自ら学び、複眼的視点で物事
を考える力を身につける
○各種大会、高専祭に参加する
・活動を通して、協調性、忍耐
力、適応力、フォロアーシップ、
責任感、倫理観を身につける
○各種大会、高専祭、学生会役
員選挙、学生会役員研修に参加
する
○高専大会などの各種大会、高
専祭、クラブリーダー研修、学生
会役員研修に参加する
・グループの中堅としてのサポー
ト力を育てる
エンジニア総合学習
○自己を見つめる
○自然・人間・社会に触れる
・指導する力を養い、リーダー
シップを育成する
A.知徳体の調和した人間
性を身につけた技術者
○地域社会の特性と、地域に根
ざした技術者としての素養を養う
○特別研究の成果をまとめて発
表することにより創造的技術者
○社会や自然に及ぼす技術の
として必要な能力を総括する
影響を見極めるとともに、実践の ⇒
場において技術者が直面する
○技術者として責任ある判断を
様々な問題について理解する
下すための、種々の問題につい
て理解し、実践的な知識を身に
○異なる専門分野に関する基礎
つける
的な知識を身につける
○学位を取得する
○幅広い専門分野に関連する
実験・実習などに取り組み、応用
力を深める
○特別研究に取り組み、その成
果をまとめて発表することによ
り、実践的技術者として研究・開
発を進める上で必要となる総合
力の定着を図る
○外国語文献などの講読を通じ
て、国際的なコミュニケーション
基礎力を養う
○プレゼンテーションの実践的
技術を修得する
B.技術の基礎となる技能と
知識を身につけた技術者
進路セミナー
○社会と自分との関わりを自覚
する
○将来関わるべきテーマを求
め、進路を考える
○自然・人間・社会について考え
る
○進路と学習の関わりを展望
し、主体的な学習を確立する
○個人としての自立を目指す
○働くことの意味とすばらしさを ⇒ ○有効な学習の仕方を考え、自 ⇒ ○技術者として働くことと人生や ⇒
考える
身の学習を改善する
社会との関わりを考える(その2)
○社会において担うべき役割を
⇒
自覚する
○リーダーの役割を理解し、指
導力を培う
C.複眼的な視点から問題
を解決できる技術者
室蘭工大 特色GPシンポジウム
E-1:幅広い分野に知的好奇心と探求
心を持って取り組むことができる
E-2:研究や学習状況を把握・記録し
て自主的・継続的に学習できる
G-1:社会参加への意欲と関心を持つ
ことができる
G-2:グループでの活動に参加し、そ
の中で協調して役割を果たせる
本科の達成目標
⇒
D.技術のあり方に対する倫
理観を身につけた技術者
A-1:広い視野で物事を考えることが
できる
A-2:日本と世界との関わりに関心を
持つことができる
A-3:心身共に健全であろうと努め、人
間基礎力を身につける
B-1:工学の基礎となる数学・自然科
学の基礎知識を身につける
B-2:計測技術を用いてデータを収集
できる
B-3:種々な情報を分析して評価する
ことができる
E.知的探求心を持ち、主体
的に問題に取り組むことが
できる技術者
C-1:多様な専門分野の関連性を理
解できる
C-2:基礎知識を活用して工学的問題
を理解し、説明できる
C-3:基礎的な実験技術を身につける
C-4:得意とする専門分野の知識、技
術を身につけ、社会との関連を理解で
きる
D-1:技術者が持つべき倫理観の必
要性を認識できる
D-2:社会における倫理的な問題を認
識することができる
F.基本的なコミュニケーショ
ン能力を身につけた技術者
E-1:専門分野に好奇心と探究心を
持って取り組むことができる
E-2:課題研究などで継続的に学習で
きる
F-1:日本語による適切な文章表現及
び口頭の意思伝達ができる
F-2:日常的に使用される英語で書か
れた文章の概要・要旨がつかめる
F-3:自分の考えを簡潔な英語で表現
できる
○将来関わるべきテーマを求
め、進路を決定する
○技術者倫理を考える
C-1:多様な専門分野の関連性を理解
し、多面的に捉えることができる
C-2:基礎知識を活用して工学的問題
を理解し、説明できる
C-3:基礎的な実験技術を用いて、実
験を企画・実行して結果の分析・評価
ができる
C-4:得意とする分野の知識、技術と
情報を駆使して、社会の要求に応じて
問題解決の方法を企画、デザインする
ことができる
○プレゼンテーション基礎的技
術の定着を図る
○社会に貢献する技術者として
の意識を持つ
○科学技術の可能性と責任に
ついて考える
B-1:工学の基礎となる数学・自然科
学の基礎知識を身につける
B-2:合理的な計測技術を選択し、
データを収集できる
B-3:情報を分析して評価し、適切な数
理的処理を行って分かりやすく提示で
きる
F-1:日本語による適切な文章表現及
び口頭の意思伝達ができる
F-2:英語で書かれた技術文書の概
要・要旨がつかめる
F-3:研究の英文概要を書くことがで
き、発表資料などに英語を用いること
ができる
○高専大会などの各種大会に
参加する
・活動を通して、最大成果が上
げられるようなリーダーシップを
発揮する
A-1:幅広い知識を身につけ、地球的
視点から問題を捉えることができる
A-2:異文化を理解し、価値観の多様
性を認識することができる
D-1:科学技術に関する倫理的問題に
ついて理解し、指摘することができる
D-2:実務上の問題を理解し、技術的・
倫理的知識を適用することができる
・広い視野と柔軟な思考力、総 ⇒ ・課外活動における実践経験や
合的判断力、決断力、実行力を
指導体験などが卒業後の社会
身につける
生活に活かせるようにその意義
を自己点検する
○自己を客観化し、自立心を育
てる
○技術者として働くことと人生や
社会との関わりを考える(その1)
○何事にも主体的かつ責任感を
もって取り組み、自立した技術者
としての十分な意識をもつ
○目的に応じた、外国語による
コミュニケーション基礎力の定着
を図る
・好奇心、探求心、向上心、積極
・活動を通して、社会性、責任
性を育成する
感、倫理観を育てる
・集団における自己の役割を認
・グループの一員としての自己
⇒ の役割を意識させ、信頼関係を ⇒ ・コミュニケーション能力を高め、 ⇒
識する
構築する力を育てる
情報の収集が出来る力を育てる
○望ましい学習の仕方を考え、
学習を習慣化する
2006.12.2
○自ら習得し
た知識や技
術をもとに、
豊かな地域
社会の創造
に貢献したい
という熱意を
持った人
○研究結果の解析や考察など
により、自らの考え方や方法論
○工場見学旅行やインターン
を的確に整理して研究能力を涵
シップを通して、自己の進路と将
養する
⇒
来の目標を決定する
○課題研究の論文作成、発表な
○社会や自然との接触などを通
どを通じて、情報の収集・整理、
じて、技術者倫理を考える
意見形成・伝達などのコミュニ
ケーション能力の向上を図る
○IT機器などを使用したプレゼ
ンテーションの基礎的技術を修
得する
○高専生活への適応を図る
○「進路を考える」
(技術者としての将来の目標を
見出し、その実現を目指す)
○社会の一員としての基本的な
素養(協調性・責任感・自立性な
ど)を深める
教科学習および課外活動・HR活動を通じた総
合的な教育プログラム
○リーダーシップ、計画立案能
力、決断力、実行力の育成
○「社会性・人間性を育てる」
(社会に貢献する技術者として
の自立を促し、その実現を目指
す)
○自己学習力と課題発見・問題
解決能力の育成を更に図る
○具体的な課題等に取り組みな
がら、工学の基礎感覚を養う
○目的に応じた、外国語による
コミュニケーション基礎力を養う
課
外
活
動
(
ク
ラ
ブ
・
学
生
会
等
)
専攻科2年
○地域に根ざした技術者として
の素養を養う
○オリエンテーションやシラバス
を利用して、教科内容や学習法
及び一般科目と専門科目の繋
がりなどのカリキュラム体系を理
解する
○自ら学び、自ら考える力の育
成
専攻科1年
G.社会性・協調性を身につ
けた技術者
G-1:社会参加への意欲と関心を持つ
ことができる
G-2:グループでの活動に参加し、そ
の中で協調して役割を果たせる
8
技術者倫理教育のカリキュラム設計
自立した実践的技術者の育成
学校全体での取組 基礎的な学習 実践的な学習
課外活動 ホームルーム活動
1~2学年
人としての基盤形成期
3学年
専門基礎の習得期
歴史・文化などの多様性について理解し、社会への
関心を持つ
本
科
5
年
間
現代社会の様々な問題と技術との関わりを考える
社会や自然との接触などを通じて、技術者倫理を考
える
技術者が関わる倫理的な問題について考える
4~5学年
専門性の確立期
専攻科1~2学年
複眼的視野の獲得期
生産システム工学プログラム
2006.12.2
歴史・文化・社会などについての理解を基盤として、
現代社会の様々な問題に目を向ける
専
攻
科
2
年
間
社会や自然に及ぼす技術の影響を見極めるとともに、実践の
場において技術者が直面する様々な問題について考える
技術者として責任ある判断を下すために、種々の問題につい
て理解し、実践的な知識を身につける
室蘭工大 特色GPシンポジウム
9
技術者倫理問題群と技術者倫理系科目
総合教育プロ
グラムにおける
目標
社会問題への
関心
倫理・哲学的思
考の理解
社会における科
学・技術の問題
倫理・社会
哲学的思考への
導入
現代社会の問題
の理解
現代社会の問題
の理解
専門工学と現代
社会との関わり
現代社会論Ⅰ
応用倫理学
各専門領域特有
の技術的・倫理
的問題
(環境倫理・情報
倫理等)
《各専門科目》
法学
哲学
実践的判断力
の向上
実務に必要な
知識の獲得
2006.12.2
《各専門科目》
哲学的な問題考
察の理解
科学論、技術論
等
(環境倫理・生命
倫理等)
STS等
実務レベルでの
問題解決能力
法的責任の理解
《各専門科目》
技術倫理
事例研究
事例研究
事例研究等によ
る考察
生産と法
事例研究
事例研究
生産に関わる法
的責任の理解と
実務演習
室蘭工大 特色GPシンポジウム
多様な観点の獲得
倫理観の涵養
技術論・科学技術社会論等の理解
専門領域での倫理問題の認識
社会と技術と
の関わり
技術者倫理を
考える
対応科目
(共通科目)
実践的・専門的判断能力
10
③一般教育と専門教育の連携

本科課程における連携→連携授業
 本科4年(大学1年)
 現代社会論Ⅰ
 現代社会の様々な問題と技術との関わりを考える
 社会や自然との接触などを通じて、技術者倫理を考える
 技術者が関わる倫理的な問題について考える

専攻科課程における連携→オムニバス授業
 専攻科1,2年(大学3,4年)
 技術倫理,生産と法(技術者倫理コア科目)
 社会や自然に及ぼす技術の影響を見極めるとともに、実践の場
において技術者が直面する様々な問題について考える
 技術者として責任ある判断を下すために、種々の問題について
理解し、実践的な知識を身につける
 生産の現場における法的な問題について理解する
 知的財産権について理解し,権利を尊重する精神を持つ
2006.12.2
室蘭工大 特色GPシンポジウム
11
H17連携授業年度実施例

テーマ







少子高齢化社会と男女共同参画
公共事業を考える
国際協力の現状と課題
京都議定書と環境問題
科学・技術と現代社会
リスク社会と科学技術
 専門4学科の教員の協力
専門4学科5名+一般科1名
 研究授業として、他の教員にモ
ニター依頼
目的

人文社会的な視点から現代社会が抱える種々の問題について講義



問題の理解と基本的知識の獲得を目的とする
工学的視点からそれらの問題について講義


連携授業の意義を確認すると
ともに、課題の抽出
専門工学的な視点から問題解決の方法を検討する
学生自身の専門分野から問題へのアプローチを検討させる
特に、倫理問題を考える際に、人文社会系の視点から批判的に捉えるだ
けでなく、工学的な視点からの肯定的な問題へのアプローチを併せて理
解させる
2006.12.2
室蘭工大 特色GPシンポジウム
12
連携授業の内容例(連携授業説明用資料)
2006.12.2
室蘭工大 特色GPシンポジウム
13
H17年度 学生の評価
5

H17年度1月までのアン
ケート結果
①
②
③
④
⑤
⑥
授業の全体的な評価
担当者の専門工学の内容
が理解できたか
担当者の専門工学へ興味
を持ったか
専門との連携授業について
の評価
今後も連携授業を希望する
か
自分の専門工学が社会の
問題解決に貢献できると思
うか
4.5
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
1
3
4
5
6
回答割合
Q1
Q2
5
4
3
2
1
Q3
Q4
Q5
Q6
0%
2006.12.2
2
20%
室蘭工大 特色GPシンポジウム
40%
60%
80%
100%
14
2.技術者倫理教育実践例
2006.12.2
室蘭工大 特色GPシンポジウム
15
専攻科での技術者倫理教育:事例を中心とした授業運営

実践的判断力の向上を目指した授業例
 「技術倫理」「生産と法」(専攻科共通必修科目)
 実施形態:複数教員オムニバス形式
 一般教育担当:技術者倫理教育全体のコーディネイト
 専門工学教員:各専門分野における倫理的問題を取り扱う
 教育プログラムにおける位置づけ(「生産システム工学」
学習・教育目標)
D.技術のあり方に対する倫理観を身につけた技術者
D-1.科学技術に関する倫理的問題について理解し、指摘することができ
る。
D-2.実務上の問題を理解し、技術的・倫理的知識を適用することができる。
→コア科目として、達成度を評価する
2006.12.2
室蘭工大 特色GPシンポジウム
16
「技術倫理」授業計画(シラバスより)

学習・教育目標(達成目標:評価時の基準)

基本的な知識を身につける。
(倫理学の基礎概念、リスク概念、倫理綱領等)





担当教員


倫理的問題について理解でき、指摘できる。
様々な情報を収集・整理して、問題を分析できる。
問題を解決するための選択肢を提示できる。
自分なりの視点から問題解決の方法を選択することができる。
複数教員によるオムニバス(一般科+専門学科)
授業方針


2006.12.2
授業は、技術倫理の基礎知識に関する講義および各専門分野に関
するいくつかの具体的事例を紹介し、かつ課題に対して提出されたレ
ポートをもとに討議することで進める。
技術に関わる倫理的問題に対するセンスを養うことを目標とするので、
何が問題となるのかをしっかり考えること。
室蘭工大 特色GPシンポジウム
17
授業例:導入~倫理的判断の特徴~
【目的】
倫理的問題が選択問題であり,様々な価値
基準に基づいた判断を行っていることを理解
し,自らの価値判断の根拠を自覚する。
【方法】
事例:パイの公正な分配方法を考える。
2006.12.2
室蘭工大 特色GPシンポジウム
18
パイの公正な分配方法


1つのパイを複数名(3~7
任意)で公正に分配するた
めの方法を考える。
↓
出来るだけ精確に等分する
ための方法を考える(例:計
測機器等を用いた方法)。
技術的な解決方法の検討
2006.12.2
分配対象者の特徴及び状
況設定を行う
例:子ども,大人,高齢者,男
女,病気の者,妊婦等
↓
 種々の回答が提出される
↓
 それぞれの回答の背景に
ある価値を考えさせる
例:必要に応じた分配
↓
 倫理的判断が価値に志向
した判断であることを理解
する

室蘭工大 特色GPシンポジウム
19
授業例:発展~倫理的判断の方法~
【目的】
倫理的葛藤状況と判断基準が多様な価
値を反映していることを理解する。
決断は,様々な価値についてのトレード
オフであることを理解する。
【方法】
 事例についてワークシートを基に考
察させ,それを基にグループ・ディス
カッションを行わせる。
 ディスカッション結果について,7ス
テップ・ガイド等の方法を用いながら,
検討させる。
 各自,グループ・ワークと同様の
ワークシートを用いたレポート提出
2006.12.2
室蘭工大 特色GPシンポジウム
20
授業例:発展~各専攻における倫理問題~
【目的】(※ 担当:専門教員)
各専攻において直面しうる問題についての理解
情報収集・分析能力、問題解決に向けた実践的判断能力の
向上
 事前に、各専攻において倫理的に問題となりそうな事例
を選ばせ、事実関係について情報収集、提出させる。
 授業で、問題点等について発表させ、その後討論。




2006.12.2
考慮すべき問題は何か。
事例では、何故問題のある決断を下してしまったのか。
その他にとりうる選択肢はなかったか。
より望ましい決断はどのようなものか。
室蘭工大 特色GPシンポジウム
21
3.倫理教育における評価方法
2006.12.2
室蘭工大 特色GPシンポジウム
22
3.倫理教育における評価方法の考察

学習・教育目標の設定

総合教育プログラムにおける学習・教育目標

本校の7年間一貫教育における達成目標
↓

科目の学習・教育目標

最終的な目標に対する科目の位置づけを踏まえた上での科目の達成目
標
↓

授業の学習・教育目標

科目の達成目標を踏まえた上での、各授業での目標(体験・向上・達成)
総合目標に対する科目の位置づけの明確化
科目の目標に対する個々の授業の位置づけの明確化
目的に応じた授業方法と教育効果の測定
2006.12.2
室蘭工大 特色GPシンポジウム
23
総合的な目標と各科目の位置づけ
総合教育プ
ログラムに
おける目標
社会問題へ
の関心
社会と技術
との関わり
技術者倫理
を考える
対応科目
倫理・哲学
的思考の
理解
社会にお
ける科学・
技術の問
題
倫理・社会
◎
◎
◎
現代社会論Ⅰ
応用倫理
学
各専門領
域特有の
技術的・倫
理的問題
○哲学的・倫理学への導入
○社会問題への関心を持つ
○社会問題を考察する
○科学技術と社会との関わりを考える
○
◎
法学
哲学
実践的判断
力の向上
実務に必要
な知識の獲
得
技術倫理
実務レベ
ルでの問
題解決能
力
◎
◎
◎
○法的思考に慣れる
○法的責任を理解する
○哲学的・倫理学的に問題を考察する
○科学・技術のあり方を考察する
○自分の関心に基づいて問題を考察する
○
◎
◎
D.技術のあり方に対する倫理観を身につけた技術者
生産と法
2006.12.2
◎
◎
◎
室蘭工大 特色GPシンポジウム
D-1.科学技術に関する倫理的問題について理解し、指摘するこ
とができる
D-2.実務上の問題を理解し、技術的・倫理的知識を適用すること
ができる
24
授業計画の策定

目的の明確化
 教育プログラム全体における科目の目的(意義)
 科目における個々の授業の目的(意義)
 授業における目的の明確化
→授業において学生に求めようとする目的をはっきりさせ
る。
→何のために、授業でその内容を取り扱うのか

目的に対応した教育方法の考察
 講義、討論、演習、実践、自学自習
2006.12.2
室蘭工大 特色GPシンポジウム
25
授業効果の測定

知識・技術等




一定の基準を目標として、知識・技術の獲得を目指す
達成目標と親和的。
基準に達したか否かの測定可能
思考・判断
多様な観点からの考察、公正な判断の能力向上を目指す
向上目標と親和的→アンケート・感想などで測定可能
 一定の基準を設定することによって、達成目標として測定可能



関心・意欲・態度
態度、自覚等を促すことを目的とする
体験目標・向上目標と親和的→アンケート・感想などで測定可能
 態度、自覚がみられるか否かという点から、評価は可能。但し、質は問い難
い?



技能・表現



2006.12.2
資料収集や報告・発表の技術向上を目的とする。
向上目標と親和的→レポート・報告・発表・作品などにより測定可能
一定の基準を設定することによって、達成目標として測定可能
室蘭工大 特色GPシンポジウム
26
授業効果測定と学習成果測定の例
科目の目標
・具体的な事例について、何が論点となるのかを理解し、指摘することが出来る
・自分の視点から問題を考察し、考えを述べることが出来る
講義:問題の基本的な事項について理解する・問題への関心を高める
基本的知識について説明する→小テスト・感想等で理解・関心を測定
グループ討議:価値の葛藤状況を理解する・問題を深く考察する
各自ワークシートを作成
グループ分け(各専攻を満遍なく振り分ける)
各自記入したワークシートを基に、自由に討議
グループの報告用ワークシートの配布、記入
発表:様々な観点から問題が捉えられることを理解し、考察を深める
知識・関心
《達成・向上目標》
→効果の測定
関心
知識
思考
判断
《体験・向上目標》
→効果の測定
各グループでの討議結果を報告
感想等の記入・回収 →報告やワークシート・感想等で教育効果を測定
試験・レポート:様々な論点を整理して、自分の視点から考察する
→論点の理解・整理、情報収集・分析、考察などについて評価→学習成果の測定
2006.12.2
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知識・思考・判断・
技能
《達成目標》
→成績評価27
成績評価


授業の効果測定を踏まえた上で、科目の目標の達
成度を評価
筆記試験
 理解:論点を理解し、説明できるか
 考察:様々な問題について考察できているか

択一式試験
 理解:様々な事項を総合的に理解しているか

レポート評価
 理解:論点を理解し、説明できるか
 考察:それぞれの視点から問題を考察できているか
 情報・分析:情報を適切に収集し、分析でているか
2006.12.2
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28
成績評価:学習成果の測定例

倫理・社会



現代社会論Ⅰ



択一式試験:総合的な理解度を測定
記述式試験:思考・理解度を測定
哲学



単答式:理解度を測定
記述式試験:問題関心・考察・情報収集/分析・判断を測定
法学



記述式試験:理解度を測定
レポート:問題関心・考察・判断を測定
記述式試験:理解度・論理的思考を測定
レポート:問題関心・考察・判断を測定
技術倫理・生産と法

レポート:情報収集・分析、考察・判断を測定
参考:レポートでの評価の観点
1.問題が明確であるか
2.何が問題となっているのかを理解・整理できているか
3.自分なりの考えを示しているか
4.授業の説明等を理解しているか
5.段落構成・文章等が分かりやすく論述できているか
2006.12.2
室蘭工大 特色GPシンポジウム
29
4.今後の課題

一般教育の視点と専門工学の視点との連携

倫理的問題と専門工学的アプローチ


実務レベルでの問題理解と解決に向けた分析・考察



実践的判断力育成のために必要不可欠
ただし、教育内容の整合性について十分な打ち合わせが必要
コア科目とマイクロ・インサーション

コア科目:狭義の技術者倫理教育を取り扱う


事例を中心とした分析・判断力の育成
専門科目:そもそも工学は倫理的問題を取り扱う


市民としての倫理と専門技術者としての責任・役割
→専門工学的視点が必要不可欠
各専門科目において,倫理的問題状況に関して考察させる
評価・測定方法の検討


2006.12.2
達成目標に向けた効果的な授業計画・運営
総合教育プログラムの継続的改善
室蘭工大 特色GPシンポジウム
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