検証責任者は - 株式会社イーコンプライアンス

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Transcript 検証責任者は - 株式会社イーコンプライアンス

株式会社テストー 御中
コンピュータバリデーションセミナー
2012年4月24日
イーコンプライアンス
http://eCompliance.co.jp
© Copyright eCompliance 2012
Table of contents
1. GMP入門
2.
3.
4.
5.
6.
医薬におけるバリデーション
適格性評価とは
CSV入門
GAMP 5入門
厚労省新ガイドライン入門
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2
1.GMP基本事項の理解
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
医薬品は他の製品とどのように違うか。
また製造にはどのようなプロセスが必要か?
よい医薬品の条件とは?
なぜ、GMPが必要か?
GMPが生まれた背景とGMP3原則とは?
医薬品製造・品質管理にGMPはどのように役立つか?
医薬品の製造過程で起こりやすい代表的事例で考えられることは?
国内GMPの変換と改正薬事法のポイント(製造業と製造販売業の
分離など)は何か?
GMP省令(基準)のポイントは?
GMPに要求される組織と業務
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1-1) 医薬品は他の製品とどのように違うか
1-1 人の生命に直結
医薬品は、“病気の診断”、“治療”、 “予防”などの使用されるので、“身体にさまざまな
作用”を及ぼすのは当然のことである。使い方や使う量を間違えば、思わぬ有害な作用が
現れることがある。極端な場合、生命に影響を及ぼす。
1-2 外観からだけでは品質の良否がわかりにくい
食器やガラス製品を買うときには、欠けていないか、ヒビが入っていないか、調べて買うのが
普通である。果物を買うときには、傷んでいないことを確かめて買うでしょう。しかし、医薬品
は外観からだけでは、変質していないかどうか、有効成分が正しく入っているかどうかなどわ
かりません。従って、医薬品を使う人は、その“品質に全幅の信頼”をおいているのです。
1-3 専門家の指導やアドバイスが必要
医師は患者にとって最も適切な医薬品を選び、医療関係者が使用に際して注意すべき
ことを患者に説明します。同じように薬局でも、服用する回数や量などについて薬剤師のア
ドバイスがあります。
1-4 包装と添付文書が必要
錠剤や顆粒のままでは医薬品となりません。正しく保管したときに変質や汚染が起こらず
、使用しやすい適切な容器に入れ、“使用・保管するときの注意などを記載した文書”を
添付してから包装して、はじめて医薬品となります。
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1-2) 医薬品の製造にはどのようなプロセスが必要か
原薬
医薬品は化学物質に作用する性質を、人間や動物の病気を治すための道具として利用した
ものです。このような性質を持っている化学物質を原薬といいます。
原薬は、科学的な方法で合成されるほか、動植物から抽出したり、微生物などを示用するバイ
オテクノロジーでも製造される。原薬は、いろいろ加工し、使いやすい形にして用いる。
製剤
原薬は少量で高い薬効効果を示す場合が多く、かつこの少量の原薬だけを正確に服用する
ことはまず不可能である。このため乳糖やでん粉などの添加剤を加えて溶け易く、吸収し易く、あ
るいは使いやすい量・嵩にする。原薬の中には胃の中で分解して効果がわるくなるものがあり、こ
のようなときには胃で溶けず、腸で溶けるように工夫したりする。このようにその物質が最も有効に
働きやすい形に加工することを製剤化という。
製剤化では原薬の物理的性質や学的生質や生物学的性質を良く考え、主体に投与される
ときの条件に気くばりし、“投与方法や剤形”を設計します。また、期待する効果が最大に得られ
るような“製造条件や添加剤の種類・量”などを定めます。最近では標的化や放出制御などを
目指したDDS(薬送達システム)技術などが行われている。さらに、効率的に製造する方法を設
定し、実験で確かめ、設計された製剤の品質が実際の生産で確保できるように“管理する方法
”も決めます。
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1-2) 医薬品の製造にはどのようなプロセスが必要か
包装・表示
製剤が使用されるまでに“変質するのを防止”するため、必要に応じて湿気を避けたり、光を遮
断したり、みだりに空気に触れないように保護します。
さらに、不用意に高い温度で保存しないことや、正しい服用方法や適切な服用量を表示し、
また副作用などの重要な情報を添えて、はじめて医薬品として世の中に出て行きます。このよう
に市場に直結した最終の作業が包装・表示です。
試験検査
医薬品を製造するとき、品質部門は、原料や資材の受入から始まり、製造工程のなかで造ら
れた中間製品、そして包装された最終製品まで試験検査することにより、出荷時の内容品質や
包装外観などを保証します。
また保存検体の経時試験により、出荷後の品質を確認します。言い換えれば、試験検査に
は、このように製造の各段階で品質を確認することにより、医薬品を使用してもらうとき「この医
薬品の品質は定められた規格のとおりです」と保証する大切な役割がある。
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1-3) よい医薬品の条件とは
原薬や添加物などの成分が正しく含まれるとか、汚染などがないというだけでは、よい医
薬品とはいえません。
製造方法や手順を間違えたために、有効成分が消化管で溶けにくくなったり、また倉庫
の保管条件を間違えたために、例えば冷所保存品目を間違えて常温に長期期間保存し
たために有害な作用を起こす分解物ができるようなことがあれば、安心して使用してもらうこ
とはできません。同じように原料や包装資材が適切でなければ品質が保証できません。
“よい医薬品の条件(事例)”は次のとおりです。
 正しく使用したとき、期待通りの効果が得られ、望ましくない作用を示さないこと。
 いつも同じ品質であること。
 使用期限内で成分が変質していないこと。
 許される程度を越えて異物や微生物で汚染されていないこと。また内容が違う種類の
医薬品を混入していないこと。
 使いやすい剤形や包装の形態にして、正しく使ってもらい、正しく保管してもらうために注
意すべき情報などを添付・記載してあること。
薬事法50~58条で規制された事項であることを理解しましょう!!!
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1-4) なぜGMPが必要か
人の記憶は“あやふや”です。人は“思い込み”をしていることがあります。だから“間違い”
や“錯覚”を起こしやすいのです。
人は、これぐらいはよかれと思い、“自己判断”のもと、省略や手抜きをすることがあります
。それが“ミス”のもとになるのです。近道は許されません。道しるべに従って歩みましょう。
人との“情報の伝達や指示”は本人が思っているほど伝わっていません。だから文書による
指示や報告が必要なのです。
工場では、開発段階で“有効性・安全性”が確認された品質の医薬品を常に造り続け
なければなりません。そこに使命があるのです。
GMPでは“すべての作業手順や基準を文書化”し、そのとおりに作業を行うことが求めら
れます。また後で振り返った時、それがわかるように証拠を残すことが求められます。それが
記憶です。
医薬品は“生命に関する製品”です。世界の人々の健康と福祉に貢献しています。だか
ら医薬製品製造に携わる人は、慎重の上にも慎重を期して、正しい作業を行わなければ
なりません。
このような背景から、ルール(手順)に基づく実施・その記録が基本!!!
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1-5) GMPが生まれた背景
GMPの考えは米国で生まれました。米国の発展過程において食料品や医薬品は自給
自足から生産・販売という分業に移っていきました。この過程で、肉の取り扱いが不潔であ
ったり、ラベルを間違えた薬品が販売され社会問題として取り上げられるようになった。
1906年には、食品加工・薬品の製造販売規制法が成立しました。規制の担当部署が
現在のFDAであり、米国食品医薬品庁のはじまりである。
1937年には、スルファニルアミドをジエチレン溶解した液剤が原因で100人以上の人が死
亡する事故が起こりました。医薬品の毒性や安全性について調査し、確認することが当時
の法には義務づけられていなかったのです。
この事件が引き金となって1938年に方が改正され、安全性確認を最優先と、加えて医
学研究を発展させることが法として公示された。この安全性最優先の方針が、おおよそ30
年後にアメリカでのサリドマイド事件の被害を防止するのに役に立った。
1962年にアメリカ連邦政府は法律をさらに改正し、販売前有効であるとともに安全であ
ることを確認していないと新規医薬品として認められない条件を設定しました。この改正に
伴い、総合的に品質を保証する必要からGMPが生まれた。
このような背景から、ルール(手順)に基づく実施・その記録が基本!!!
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1-6) GMP3原則
1963年米国の官報に収載した“FDA-GMP3原則”は
清潔
keep it clean
念には念を
check and double check
ルフレ
write it and down
1970年後半に、この法律は更に厳密に見直され1979年3月には、より高い品質の医
薬品を指向するとともに汚染医薬品の製造を犯罪行為とみなし、思いがけない有害な作
用が顕著に発生した場合に政府機関へ報告することが義務づけられた。これが現在の米
国GMPの基盤です。
このようにしてアメリカで生まれたGMPの考え方は、世界保健機構(WHO)がWHP-
GMPを作成して1969年に加盟各国に適用するように勧告したこともあって現在では世界
中に広まり、日本はもとより、EU・ASEANなどで法令として定められ、現在に至っている。
WHO-GMPの3原則は、
①人為的ミスの軽減(ルール、教育訓練)
②汚染と品質低下防止
③品質を高めるシステムを構築
であり、現在のGMPの基礎となっている。
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1-7) 医薬品の製造・品質管理にGMPがどのように役立つか
医薬品の製造には、原薬出発物質、合成、発酵、溶解、ろ過、乾燥、精製、粉砕、秤
量、調合、混合、篩過、練合、造粒、整粒、打錠、コーティング、閉塞、充てん、表示、
包装など多くの工程がある。定められた成分・加工など管理される必要がある。
しかし、それだけでは製品品質に問題ないとは云い切れません。どこかの工程で生理作
用の強い分解物質が偶然にできている可能性があるかもしれません。また、交叉汚染が
生じているかもしれません。“分解物や汚染物質が現在の試験検査の方法で検出できる
証拠”が必要となります。
トリファノファンの悲劇は、工程の条件を変更したときに生ずる不純物について十分な確
認を怠ったために発生しました。残念なことに当時の試験ではこの不純物が検出できませ
んでした。そのため、製品品質が試験規格に適合していたので問題なしと判断し、出荷さ
れたのです。この悲劇を繰り返さないためにはどうすればよいのでしょうか。
出来上がったものを丁寧に調べてみても製品の品質を保証できません。
“受入から保管・製造の段階ごとに間違いがないことを保証し、その保証を積み上げる”
以外に方法はありません。条件や手順だけでなく、原料、設備・装置、環境清浄度、工
程や試験で使用する計器の校正など全てが対象となります。GMPが医薬品品質保証の
条件となったのです。
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1-8) 医薬品の製造過程で起こりやすい事象の代表的事例
☆
☆
☆
☆
☆
☆
☆
☆
原材料名を間違って記載、使用する。
試験未了品や不合格品を間違って使用、出荷する。
原材料を量り間違えし、使用する。
作業場の状態の確認が適切でない。
作業手順や手続きを間違う。
異物の混入や微生物汚染が起こる。
異品種の原材料混入や製品を出庫する。
手順書記載内容が“あいまい”なため、
正しい作業が実施できない。
☆ 手順の間違い、表示の不正確を責任者及び担当者が
黙認している。
☆ 逸脱や変更に対して、適切な処置が取られていない。
などである。
GMPでは、上流に遡って、手順を設定するとともに、随所に
関所を設けて、計画的及び体系的管理すること保証に繋げる。
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1-9) 国内GMPの変遷




1974年:行政指導の基準としてGMPを制定
1980年:法的拘束力を持つ基準として厚生省令を制定
1990年:原薬GMP基準を制定
1994年:GMPソフト・ハードを許可要件化された。WHO-GMPとの整合性を図るた
め、バリデーション・自己点検・教育訓練・回収処理を順守事項化された。
 1994年~2004年:生物学的製剤、新指定医薬部外品、細胞組織医薬品、生物
由来製品など順次、GMP適用範囲が拡大された。
 2002年:“日米EU医薬品規制調和国際会議にてICH-Q7A(原薬GMPガイドライ
ン)の制定”を受けて、国内にてQ7Aは原薬(API)に関して準拠基準として通知された
。
 2006年:
1)薬事法の抜本改正に伴い、GMPは製品許可要件から製品承認要件に移行した。
2)海外製造所にも新GMPは適用されることになった。
問題1:新GMPの特徴(目玉)を3項目挙げてください
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1-10)改正薬事法のポイント
1)薬事法改正の視点
平成14年7月31日に公布された薬事法の改正は、国際的な整合性や科学技術の進展1
企業行動の多様化等社会情勢の変化を踏まえ、医薬品の承認許可制度や安全対策などの
見直しが必要との視点から行われたものである。
医薬品企業にとっては、有効で、合理的な品質保証体制安全管理体制のさらなる整備が
求められていると理解することができます。
承認許可制度の見直しにおいて従来の医薬品の製造(輸入)承認と許可の制度が変更され
、製造のみを行う製造業と製造販売承認を得た医薬品を市場に出荷し、品質・安全性・有効
性に責任を持つ製造販売業に区分された制度となりました。
これにより製造業者が製造した医薬品は製造販売業者のみが市場へ出荷することになりまし
た。
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1-10)改正薬事法のポイント
3)GMPの位置付け(製造販売する品目の承認要件)
製造承認制度の見直しに伴い、GMPの位置付けが従来の製造業の許可の要件から製造
販売業者か申請する品目の承認の要件の一つとなりました。
その品目(関係する原薬等を含めて)を製造する製造業(工場)におけるGMPが、有効性・
安全性など他の承認要件とともに審査の対象となり、適合しない場合は、製造販売承認を得
ることができません。
4)製造業の許可
製造業の許可については、従来の製造所単位での品目ごとの許可体系から製品の区分ごと
の許可体系に変更され、それぞれの許可の区分に応じた「薬局等構造設備規則」(厚生労働
省180号)適合したものに製造業の許可が与えられます。
また外国において日本に輸出される医薬品を製造しようとする者(「外国製造業者」)は厚生
労働大臣の認定を受けることができ、その認定は、厚生労働省令で定める区分に従い、製造
所ごとに与えられることになっています。
なお他の試験検査機関それ自体については業許可の対象となっていませんが、品目ごとの
GMP適合性調査の対象となります。
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1-11)GMP省令(基準)の要点
(1)GMP基準の要点は概略下記のとおり、全体として国際的調和を図り、「変更管理」「
逸脱管理」「文書管理」条項が加えられ品質保証機能が強化された。
(2)輸入販売業及び区分許可制度の廃条に伴いGMPI(輸入販売制度)及び区分許
可GMPが廃止されGMPに一元化し、国内・海外製造業に共通の基準として適用された
。
(3)製造管理責任者及び品質管理責任者の業務がそれぞれ製造部門及び品質部門
の業務として改められた。
(4)製造所からの出荷の可否を決定する業務は製造管理者に代わり品質部門が行うこ
ととなり、製造管理者は日常業務から、製造部門、品質部門の管理監督や、“品質情
報や品質に重要な影響を及ぼす事項”の措置決定に力点をおくなど、上位の管理業務と
することに定められました。
(5)品質部門が、製造手順書の変更及び製造標準書等を承認することやバリデーション
文書、逸脱に関する評価の結果及びその措置等について確認することが明確にされた。
(6)製造衛生管理基準書が衛生管理基準書に改められ、試験検査業務等も衛生管
理の対象とすることが明確になった。
(7)「文書及び記録の管理」に係る事項が明確に規定され、作成、確認、承認、配布及
び改訂に係る履歴の保管等について手順書に従うことが明確化された。
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1-12)GMP組織と業務
製造部門
製造管理者
品質部門
 製造部門及び品質部門には、製造・品質管理業務を適正かつ円滑に実施しうる能力を有
する責任者を配置する。また、製造/品質管理業務を適切に実施しうる能力を有する人
員を十分に確保する。
製造管理者の主要な業務:
1)製造管理及び品質管理に係る業務を統括し、その適正かつ円滑な実施が図られるよう管
理監督する。
2)品質不良その他製品の品質に重大な影響が及ぶおそれがある場合においては、所要の措
置が速やかに採られていること及びその進捗(ちょく)状況を確認し、必要に応じ、改善等所要の
措置を採るよう指示する。
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1-12)GMP組織と業務
製造部門の主要な業務
(1)製造指図書を作成し、指図書にもとづき製造を行いロットごとに記録を作成し保管する。
(2)製造設備の点検整備や計器校正及びその記録の作成・保管。
(3)資材・原料・製品の保管、出納の記録、構造設備の清掃並びに職員の衛生管理に関す
る記録により製造管理が適切に行われていることを確認し、その結果を品質部門に文書にて報
告する。
品質部門の主要な業務
(1)資材、原料及び製品についてロットごと又は管理単位ごとに検体を採取し、記録を作成し
保管する。
(2)採取した検体について試験検査を行いその結果の判定を行い文書にて製造部門に報告
する。また記録を作成し保管する。
(3)あらかじめ指名したものに製造管理及び品質管理の結果の照査及びロットごとに製品の製
造所からの出荷可否の決定を行わせる。
(4)参照品の保管管理や試験検査機器の点検整備及び計器の校正。
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GMPにおけるハードとソフト
「ハード」と「ソフト」 は、GMPを語る上でははずせない要素・考え方である。
GMPハードとGMPソフトの両面で、GMPの3つの原則を達成する。
 ハード
 ハードとは、製造施設・設備・機器等のこと
 間違いを防ぐことのできる設備・環境の製造所であること
 衛生的な設備・環境の製造所であること
 高い品質を保ち続けることができる設備・環境の製造所であること
 ソフト
 ルールを決めて文書化すること
 ルールどおりに実施し、記録を作成すること
 定期的に見直しを行い、改善をはかること
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GMPハードとGMPソフト
 GMPハード













製造施設・設備・機器
試験施設・設備・機器
製品倉庫
原料倉庫
資材倉庫
危険物倉庫
技術研究施設・設備・機器
コンピュータシステム
廃棄施設・設備
浄化施設・設備
ユーティリティ(HVAC)
製造用水システム
衛生管理システム
 GMPソフト
 品質保証システム(変更、逸脱、苦
情、回収、CAPA手順等)
 サイトマスターファイル
 マスターバッチレコード
 試験記録
 生データ
 各種基準書・手順書
 バリデーション文書(バリデーションマ
スタープラン:VMP)
 設備・機器適格性評価
 校正・メンテナンス記録
 年次レビュ
 教育訓練記録
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GMPにおけるハードとソフト
 医薬品製造工場を作ろうと思えば、そのノウハウを有した施行会社に任せれば、素晴ら
しい構造設備を有した工場が完成する。ここに大きな落とし穴がある。自らのコンセプト
に合致した設備が建設されていることの確固たる保証の欠落である。自分たちが意図し
た設備を有する設計であることの確固たる証拠があることが、GMPハードを作る上での
基本事項となる。
 GMPハードの実運用が、GMPソフトである。多くの企業はここで多くの問題や悩みを抱
えることとなり、それが査察において露呈すれば、指摘事項として報告される。
 近年の査察での指摘を見ても、ソフトに関する指摘が非常に多い。これはソフトを見れ
ば、その企業のポリシーや、組織体質、品質レベル、人が一目瞭然になるからである。
高度で一環した品質システムは、必ず高品質を生むのである。
 サイトマスターファイル、バリデーションマスタープラン、年次レビュー、変更管理、逸脱管
理、CAPAは、その製造所の医薬品品質システムの全体像と、企業の品質方針に向
けた取り組みが最も顕著に表れる項目である。査察官の立場からすると、これらに関わ
る書類と品質マニュアルさえ確認しておけば、おおよその製造所の管理状況が判るといっ
ても過言ではない。
 査察において主役となりうるこれらの書類は、査察直前に準備するものではないことは
言うまでもない。
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21
Table of contents
1. GMP入門
2. 医薬におけるバリデーション
3.
4.
5.
6.
適格性評価とは
CSV入門
GAMP 5入門
厚労省新ガイドライン入門
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22
医薬におけるバリデーションとは
(FDA Guidelines on General Principles of Process Validation – 1987)
“Establishing documented evidence which provides a high
degree of assurance that a specific process will
consistently produce a product meeting its predetermined
specifications and quality characteristics.”
文書化された証拠を確立してゆく作業であり、これはあらかじめ定め
た仕様や品質にあった製品を継続的に生産するプロセスに対して、
高度の保証を与えるものである。
Average-3 Std.Dev.
Average
Average+3 Std.Dev.
99.73%
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23
不安定なプロセス
Total
Variation
 常時変動している。平均が上下している。変動も増減している。
 全変動(Total Variation)も時間とともに増加
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24
安定なプロセス
Total
Variation
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25
良好な製品を首尾一貫して生産するプロセス
CAPABLE
NOT
CAPABLE
Spec
Limits
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26
医薬品GMP省令におけるバリデーション
(定義)
第二条
5 この省令で「バリデーション」とは、製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造
管理及び品質管理の方法(以下「製造手順等」という。)が期待される結果を与えることを
検証し、これを文書とすることをいう。
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27
医薬品GMP省令におけるバリデーション
第十三条 製造業者等は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業
務を行わせなければならない。
一 次に掲げる場合においてバリデーションを行うこと。
イ 当該製造所において新たに医薬品の製造を開始する場合
ロ 製造手順等に製品の品質に大きな影響を及ぼす変更がある場合
ハ その他製品の製造管理及び品質管理を適切に行うために必要と認められる
場合
二 バリデーションの計画及び結果を品質部門に対して文書により報告すること。
2 製造業者等は、前項第一号のバリデーションの結果に基づき、製造管理又は品質管
理に関し改善が必要な場合においては、所要の措置を採るとともに、当該措置の記録を
作成し、これを保管しなければならない。
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28
GMPにおけるバリデーションの種類
バリデーション
適格性評価
(Qualification)
プロセスバリデーション
(PV)
コンピュータシステム
バリデーション(CSV)
洗浄バリデーション
分析法バリデーション
GMP省令やバリデーション基準には、コンピュータシステムバリデーションに関する記載がない。原薬のGMPガイドラインには記載がある。
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バリデーション(Validation)
バリデーション(Validation)は、
テスト(Test)
検証(Verification)
適格性評価(Qualification)
証明(Certificate)
監査(Audit)
照査(Review)
などを使って妥当性を検証するもの。
バリデーションの活動の中に適格性評価(Qualification)が含まれ
る。
ソフトウェアのバリデーションは、テスト(機能テスト、要求テスト)や検
証(Verification)で構成される。
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30
「バリデーション」と「適格性評価」との違い
 バリデーションはソフトとハードの両方を含み、ハードに関するバリデーションは
Qualification(適格性評価)を行うことである。
 適格性評価は、DQ(設計時適格性評価)、IQ(設備据付時適格性評価)
、OQ(運転時適格性評価)、PQ(性能適格性評価)から構成される。
 日本のバリデーション基準では、DQについて明確ではない。
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31
「原薬GMPのガイドライン」(平成13年11月2日、薬発第1200号)
 原薬GMPのガイドラインにより、構造設備のバリデーションとは「適格性評価
(Qualification)を行うことである」とその定義と内容が明確になった。
 すなわち構造設備を対象とするバリデーションを「適格性評価」と呼ぶ。
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32
設備および製造支援システム(つまりハード)についての適格性評価が必要
原料・資材
製造方法・操作方法
設備・機械
仕込み量
素 錠
コーティング
設備など
乾燥時間
コーティング液
製品品質
製造用水供給
システム
空気処理
システム
作業員
製造を支援するシステム
洗浄等の作業
製品品質にかかわる特性要因(パンコーティングの例)
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33
構造設備(設備・機械、製造を支援するシステム)の適格性評価は、製品品質に直接影響する要因
についてのみ必要(バリデーション基準)
適格性評価は、製品品質に直接影響する要因についてのみ、設計段階でDQを、製作・
施工段階でIQを、試験・検査・試運転段階でOQとPQを行うことである。
コンポーネント
適格性評価の対象
シ
ス
テ
ム
重要
非重要
(Critical) (Non‐Critical)
直接インパクト
Direct Impact
適格性評価
の対象
間接インパクト
Indirect
Impact
非インパクト
No Impact
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34
構造設備の構築時の保証行為と適格性評価
構造設備の構築
適格性評価
建築基準法
消防法
薬局等構造
設備規則
GMPハードに基づく保証行為
エンジニアリング
その他 法規・基準
契約などに基づく保証行為
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35
適格性評価とプロセスバリデーション
契約などに基づく保証文書
製作・施工文書
設計文書
• 製作仕様書
• 設計図面
• 製作(決定)仕様書
• 工場検査実施要領書/成績書
• 製作図
• 据付検査実施要領書/成績書
• 施工図/施行要領書
• 計装ループ試験要領書/成績書
• マスタースケジュール
• システムフロー図
(配管・計装図)
要求仕様書
(直接要因
および
運転管理範囲
を含む)
DQ 文書
• DQ実施計画書
/報告書
★要求仕様書
★製作仕様書
★設計図面
★システムフロー図
(配管・計装図)
• DQ変更管理文書
適格性評価 文書
試験・検査・試運転文書
(品質管理工程表)
• 運転検査要領書/成績書
(製作・施工/工程表)
• 取扱説明書
• 完成図
IQ文書
• IQ実施計画書
/報告書
★製作(決定) 仕様書
★設計図面
★工場検査要領書
/成績書
★据付検査要領書
/成績書
• IQ変更管理文書
PVへ
OQ文書
• OQ実施計画書
/報告書
★製作(決定)
仕様書
★運転(適格性)
検査 要領書
/成績書
PQ文書
• PQ実施 計画書
/報告書
• 性能適格性検査
要領書/成績書
• PQ変更管理文書
• OQ変更管理文書
• バリデーションマスタープラン (変更管理文書を含む)
• 校正要領書/成績書
GMPハード適合文書
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36
Table of contents
1. GMP入門
2. 医薬におけるバリデーション
3. 適格性評価とは
4. CSV入門
5. GAMP 5入門
6. 厚労省新ガイドライン入門
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37
適格性評価(Qualification)
適格性評価
 IQ:初期の適格性評価で、機器が必要とされ期待されたサービス内容を持つ
ことの確認。(据付時適格性評価)
 OQ:プロセスが許容される結果を生み、限界値(ワーストケース)を確立して
いることのデモンストレーション。(運転時適格性評価)
 PQ:長期にわたるプロセスの安定性の確立。(性能適格性評価)
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38
据付時適格性評価(IQ)
 IQは(プロセス使用機器が)正しく据え付けられたか?
 機器の設計概要(IQの配慮事項の列挙)
 据付条件
 キャリブレーション、予防保全、洗浄スケジュール
 安全性概要
 サプライヤの文書、印刷物、図面およびマニュアル
 ソフトウェアの文書
 スペアパーツのリスト
 環境条件
※幾つかのアクションはサプライヤの社内で行われる。
▼全ての製造業者は使用に適した機器かどうかという評価、チャレンジ、テスト等
に責任を負う。
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39
運転時適格性評価(OQ)
 OQでは、ワーストケーステストなどの製造条件を決めるテストを行って、要件
に見合った製品を製造できることを保証するプロセスパラメータのチャレンジ(予
備試験)をする。
 製造プロセスの様々なアクションレベルが製品特性に応じてわかり、コントロー
ル状態を維持できる。
→プロセスの頑健性につながる。
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40
運転時適格性評価(OQ)
 OQでの配慮









プロセスコントロール限界
ソフトウェアパラメータ
原料の仕様
プロセス操作手順
マテリアルハンドリング要件
プロセス変更管理
トレーニング(OQが出来得るスキルを持たせる教育)
短期の安定性と工程能力(プロセスキャパビリティ)
故障モードの影響、アクションレベルとワーストケースの条件(故障モード影響解
析:FMEA、故障ツリー解析:FTA)
 スクリーニング実験法のような統計的バリデート技術とプロセスを理想化する実験
計画法を用いて鍵となるプロセスパラメータをこのフェーズで使用可能に出来る。
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41
性能適格性評価(PQ)
 プロセスが恒常的に規格に合格した製品を通常の操作条件において生産で
きることがPQでの目的
 PQでの配慮
 OQで確立した実際の製品とプロセスパラメータ並びに手法
 製品規格の許容性
 OQで確立した工程能力の保証
 プロセスの再現(繰り返し)性、長期のプロセス安定性
※OQで確立した実生産の条件で製品を製造する。同時に様々なアクションレベ
ル、それを含んだ標準操作手順書(SOP)の内容を確認し、チャレンジテスト
の繰り返しでよりプロセスの保証を高める。
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42
性能適格性評価(PQ)
 製品やプロセスのデータは、プロセスのアウトプットが規格内である通常の変動
範囲が決まるように解析されるべき。
 通常の変動範囲を知ることで、コントロールされた状態か特定のアウトプットを
製造できるのに一定の許容範囲にあるかが明確になる→変動幅を軽減し管
理すると高度な品質保証に!
 プロセスの特性や繊細さに依存するが、管理する変動要因は以下の通り
 温度/湿度/機器の外装・結露
 電力供給上の変動/振動/光
 環境汚染/プロセス水の純度/人的要因
 原料の銘柄違い
原料ロット切り替わりによる原液粘度変動(製品の除去率性能に影
響)
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43
Table of contents
1. GMP入門
2. 医薬におけるバリデーション
3. 適格性評価とは
4. CSV入門
5. GAMP 5入門
6. 厚労省新ガイドライン入門
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44
コンピュータ化システム導入の原則 ~ANNEX 11~
Where a computerised system replaces a
manual operation, there should be no
resultant decrease in product quality or
quality assurance.
「マニュアルベースの作業をコンピュータ化システムで置き
換える際に、結果として製品の品質や品質保証を劣化さ
せてはならない。」
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45
Computerized System Validation(CSV) とは?
CSV
Computerized
System
Computer System
H/W
S/W
業務プロセス
設備
SOP
人
Operating environment
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46
最新のバリデーションの定義って何?
コンピュータ化システムのライフサイクル(開発、導入、運用、廃棄)
を通して、意図された利用にコンピュータ化されたシステムを適合さ
せること。
Concept
ユーザ
要求仕様書
意図された利用
Project
Operation
Retire
バリデーション
 システムがユーザ要求(Intended Use)を満たすことを
保証(システムの業務への適合性の保証)
 システム(ソフトウェア)の品質保証
 システムの安定稼働を保証
 システムを利用した業務のコンプライアンスを保証
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47
カテゴリ分類って何?
GAMP 5のソフトウェアカテゴリ
カテゴリ
GAMP 4
GAMP 5
1
オペレーティングシステム
Infrastructure Software
基盤ソフトウェア
2
ファームウェア
(使用しない)
3
標準ソフトウェアパッケージ
Non-configured Software
構成設定しないパッケージ製品
4
構成可能ソフトウェアパッケージ
Configured Software
構成設定したパッケージ製品
5
カスタムソフトウェア
Custom Software
カスタムソフトウェア
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CSV
の対象
48
ソフトウェアカテゴリとシステムの例
カテゴリ
システム例
3.
構成していない
ソフトウェア
• 市販のパッケージソフトウェア
• 市販の製造設備、分析機器、製造支援設備およびそれらに搭載された既製のシステ
ム、ラダーロジック(PLC)、ファームウェア等を標準設定で使用する場合
試験機器の例 HPLC解析装置、GC解析装置、UV解析装置 等
製造装置の例 自動打錠制御装置 等
独立ソフトウェアの例 打錠管理システム、分析機器データ処理システム 等
• 構成設定しない機器に組み込まれたソフトウェア
試験機器の例 pHメーター、HPLC、GC、IR、UV、溶出試験機、TOC 等
4.
構成したソフト
ウェア
• LIMS、MRP2、MES、ERP
• SCADA、EDMS、データ収集システム、DCS
• 倉庫管理システム、試薬管理システム
カスタムソフト
ウェア
業務プロセスに合わせて設計され、プログラムされたソフトウェア、(アプリケーション上で動
作するマクロ等を含む)であり、これらのシステムやサブシステムは、製造販売業者等に特
有のニーズを満たすために開発されている。
• 内部および外部で開発されたIT アプリケーション
• 内部および外部で開発されたプロセス制御アプリケーション
• カスタムラダーロジック
• カスタムファームウェア
• スプレッドシート(マクロ)
5.
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49
トレーサビリティマトリックスって何?
ユーザ要求仕様書(URS)
機能仕様書(FS)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
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50
V-Modelって何?
V-Model(GAMP 4)
ユーザ要
求仕様
書
PQ
機能仕
様書
OQ
設計仕
様書
IQ
DQ
製造
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仕様はすべ
て検証され
なければなら
ない
51
Table of contents
1.
2.
3.
4.
GMP入門
医薬におけるバリデーション
適格性評価とは
CSV入門
5. GAMP 5入門
6. 厚労省新ガイドライン入門
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52
GAMP(Good Automated Manufacturing Practice)とは
 1990年代の初頭にFDAが英国の製薬企業に査察を実施したことが発足の
きっかけ
 英国MCA(Medicines Control Agency)も参画
 GAMP 第1版 草案は、1994年2月に発行
 その後、約2年おきに改定されてきた
 約10年前に、国際的な製薬技術協会であるISPEの傘下となり、名実ともに
国際的な活動となった
 GAMP 4は米国FDAのレビュー受け、グローバルスタンダードとなった
1991
1
1993
2
英国製薬
企業への
FDA査察
Draft
1994
3
Supplier
Guide
(GAMP1)
1996
4
Supplier
Guide
(GAMP2)
1998
2001
5
6
Supplier
Guide
(GAMP3)
Supplier
Guide
(GAMP4)
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2008/2
7
Supplier
Guide
(GAMP5)
53
GAMP 5: A Risk-Based Approach to Compliant GxP Computerized Systems
GAMP5
"GAMP 5 is a major revision, and is aimed at
enabling innovation and cost-effective compliance."
- Sion Wyn, Editor of GAMP 5
2008年2月28日発表
コンピュータ業界のコンプライアンスと成熟した機能のバ
リデーション
理解されやすくなる、品質リスクマネージメントの実用性
FDAとPIC/Sのドキュメントを参照
改訂主旨の抜粋:
・より実務的なガイドラインとする
・確実かつ効率的なCSVを目指す
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54
GMPにおけるコンピュータ化システム
GMPで使用するコンピュータ化システムは4つのカテゴリに分類される
反応槽、発酵槽、造粒機、打錠機、凍結乾燥機、
秤量機、高圧蒸気滅菌器、コーティング機、
PTP分包機、充填機、PLC、
製造用水製造システム、空調
ラボ
等
プロセスコン
トロール
電子天秤、HPLC、GC 、IR、
UV、分光光度計、溶出試験機、
ERP、MES、LIMS、DCS、
EDMS、イベント管理、
SCADA、温湿度管理、
ITアプリ
ケーション
インフラスト
ラクチャ
pHメーター、TOC、
試験成績書(Excel)、
製造指図書、製造記録書
出荷判定書
等
等
自動倉庫、マテハン
等
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55
コンピュータ化システムの種類と特徴
種 類
特 徴
構造設備
品質が直感的に把握できる。(プロセスバリデーションにより確認)
多くの構造設備はカテゴリ3(使用目的が限定され、そのためのプログラムがハードウェ
アの提供業者によって汎用機能として固定され、パラメーターを設定することによって
機能が実現されるシステム)である。またPLC、ファームウェアなどの比較的小さなプロ
グラムで制御していることが多い。
複雑またはユーザが変更したPLCは、カテゴリ5に分類される。
適格性検証(Qualification:DQ、IQ、OQ、PQ)を行う
ITシステム
電子記録(データ)の品質を保証することは難易度が高い。
テストを行う。
分析機器
分析機器は出来合いのもの(カテゴリ3)が多く、IQ、OQなどは不要。
電子記録・電子署名(ER/ES)に関する品質保証が大切。
インフラスト
ラクチャ
品質が直感的に把握できる。
 構造設備とITシステムでは、バリデーションの実施方法が異なる。
 構造設備とITシステムの両方に精通したコンサルタント、エンジニアは皆無である。
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56
GAMP 5 : Bigger Picture
QAラボ
コントロール
システム
プロセス機器
SCADA
組み込まれた
オートメーション
データ
ベース
スプレッド
シート
MES
エンジニアリング部門
分析機器
CDS
LIMS
ITシステムと構造基盤
IT部門
ソフトウェアのバリデーションは、GMP省令、原薬のGMPガイドライン等に記載はないが、
多くのプロセスがコンピュータ制御であることを認識すべきである。
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57
環境の変化
・HIPPA
・GxP
・その他
・ASTM
・S85/95
・その他
試験室
プロセスコントロール
QbD
PQLI
ICH
構造基盤
ITアプリケーション
・CMM
・その他
・ITLT
・Sox
・その他
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58
今後予想される傾向
PAT
試験室
プロセスコントロール
Integrated
Integrated
Systems
Systems
構造基盤
構造基盤
ITアプリケーション
ITアプリケーション
ITアプリケーション
標準機能
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59
GAMPの改定 ~GAMP 4からGAMP 5へ~
タイトルが変更となった。
 GAMP 4:「GAMP Guide for Validation of Automated
Systems」 2001年12月
 GAMP 5:「A Risk-Based Approach to Compliant GxP
Computerized Systems」 2008年8月
Automated SystemsからComputerized Systemsへ
タイトルからValidationという用語が消えた
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60
GAMPドキュメントセット
GAMP5
GUIDE
・原則とフレームワーク
別表
・管理 ・開発 ・運用
・特別な利益 ・その他
新しい
GAMP5
実践規範ガイド
・研究(非臨床) ・グローバル情報システム
・プロセスコントロール ・インフラストラクチャ
・キャリブレーション管理 ・テスト
・電子的データのアーカイブ保存 ・電子記録と電子署名
他の情報
・論文と項目 ・トレーニング教材
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61
GAMP5ガイドライン 目次(Main Body)
GAMP 5 Table of Contents
1. Introduction(序文)
2. Key Concepts(キーコンセプト)
3. Life Cycle Approach(ライフサイクルアプローチ)
4. Life Cycle Phases(ライフサイクルフェーズ)




コンセプト
プロジェクト
利用
リタイアメント
5. Quality Risk Management(品質リスクマネージメント)
6. Regulated Company Activities(規制適用企業の活動)
 コンプライアンス達成のための内部統制
 システム固有の活動
7. Supplier Activities(サプライヤーの活動)
8. Efficiency Improvements(効果的な改善方法)
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62
GAMP5ガイドライン 目次(Appendices)
Appendices
Management Appendices
Development Appendices
Operation Appendices
Special Interest Topics Appendices
General Appendices
 管理-ライフサイクルの全期間にわたる統合的なリスクマネジメントの重点化
 開発-例えば変更管理と構成管理の統合化など、一部の活動の統合
 運用-より包括的な内容を反映、つまり運用時への引継ぎ事項、CAPA、
データ移行など
 特殊-アウトソーシングやパッチ管理など
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63
GAMP 5における5つのキーコンセプト
1. 品質マネジメントシステム(QMS)におけるライフサイク
ルアプローチ(Life Cycle Approach within QMS)
2. スケーラブルなライフサイクル活動
(Scalable Life Cycle Activities)
3. 製品と工程の理解
(Process and Product Understanding)
4. サイエンスベースの品質リスクマネジメント
(Science Based Quality Risk Management)
5. サプライヤの活用
(Leveraging Supplier Involvement)
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64
製薬企業におけるコンピュータ化システムの品質保証体制
従来の品質保証部門では、コンピュータ化システ
ムの品質保証は困難(専門家ではない)
従来の品質保証部門(コンピュータの非専門家)とコンピュータシス
テムの品質保証を分離
SME(Subject Matter Expert = 領域の専門家)を集める。
1.ユーザ業務の知識をもった専門家
2.ITの知識をもった専門家
3.規制要件の知識をもった専門家
4.CVQA (Computer Validation Quality Assurance)
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65
SMEの概要と責任
SME : 領域の専門家
 各領域についてスキル、経験をもった人
SME
 プロジェクトに専門的見地から助言を与える
 サプライヤをアセスメントする
 サプライヤをコントロールする
どうやってSMEを集めるかが課題
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66
サプライヤの活用 コンピュータシステムの品質保証は製薬企業が行うべきか?
たとえば原子力産業、航空宇宙産業、エレベータ業界
航空機の品質保証を航空会社が行っているか?
もちろん機体の整備、パイロットや乗員の訓練、安全航
行に関するマニュアル作成等は大切
サプライヤがコンピュータシステムの品質保証の
大部分を担う責任をもつ
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67
GAMP 5における5つのキーコンセプト
サプライヤの活用
 サプライヤが行った活動(例:ソフトウェアのテスト)などは製薬企業側で
繰り返す必要はない。(作業の二重化の回避)
 サプライヤが作成したドキュメントを製薬企業側で再作成する必要もな
い。(製薬企業側のテンプレートに合わせ直す作業などはナンセンスであ
る。)
 サプライヤは、自社のきちんとしたQMS(Quality Management
System)を持っているべきで、彼らの活動は自社のQMSに従って実施
されるべきである。サプライヤのQMSを尊重すること。
サプライヤ選定が重要なキーとなる
 サプライヤアセスメント(サプライヤオーディット)を実施する
 SMEがサプライヤをコントロールする
 サプライヤは、CSVが実施できなければダメ
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68
GAMP 5における5つのキーコンセプト
サプライヤの活用 サプライヤの責任
コンピュータ化システムの品質保証の大きな担い手
 QMSをもっていること
 テストを実施すること
 要件を確定すること
 システムのサポートとメンテナンス
 品質計画を書くこと
 システムの更新とリタイアメント
 仕様書を作成すること
 デザインレビュを実施すること
 ソフトウェアの製作と構成設定を実施すること
CSVが実施できるかどうかで差別化される
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69
システムライフサイクルフェーズとステージ(段階)
システム廃棄計画書
システム廃棄報告書
フェーズ
Concept
Project
Operation
変更管理計画書
変更要求書
障害管理計画書
障害報告書
ステージ(段階)
計画策定
仕様、構成設定、およびコーディング
ユーザ要求仕様書
リスク評価報告書
バリデーション計画書
パッケージ調査計画書
パッケージ調査報告書
サプライヤオーディット報告書
機能仕様書
機能リスク評価
構成設定仕様書
設計仕様書
デザインレビュ報告書
テスト方針書
データ移行計画書
移行計画書
Retire
検証
ST計画書、STスクリプト
STログ、ST報告書
UAT計画書、UATスクリプト
UATログ、UAT報告書
報告とリリース
サービスレベル合意書
データ移行報告書
災害対策計画書
バリデーション報告書
システムリリース通知書
サポート品質計画書
運用マニュアル
システムアクセス計画書
トレーサビリティマトリックス、文書管理計画書、教育管理計画書
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70
GAMP 5における5つのキーコンセプト
ライフサイクルアプローチとは
フェーズ
Concept
Project
Operation
Retire
eValidated
System for
Production
フェーズ名
おもな成果物
備 考
ユーザ要求仕様書(URS)
URSはバリデーション文書ではな
い。
Projectフェーズ
リスク評価報告書、バリデーション計画書、機能仕
様書、テスト計画書、テストデータ、テストログ、バリ
デーション報告書
サプライヤーの支援を受けながら、
システムを構築する。
バリデーションを実施する。
Operationフェーズ
変更管理計画書、障害管理計画書、変更記録、
障害記録、定期監査報告書
システムを利用する。バリデーショ
ン状態の維持(変更管理)
Retireフェーズ
廃棄計画書、廃棄報告書、データマイグレーション
仕様書
新規システムへの移行
Conceptフェーズ
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71
GAMP 5における5つのキーコンセプト
キーライフサイクルフェーズ
維持・移行
移行
・廃棄
要求
リリース
変更
廃棄
リスク評価
フェーズ
Concept
Project
Operation
Retire
サプライヤの利用*
*- これは複雑なサプライチェーンになるかもしれない
- サプライヤはライフサイクルを通して知識・経験・文書・サービスを与える
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72
GAMP 5における5つのキーコンセプト
製品とプロセスの理解
Concept
Project
Operation
Retire
リスク評価
URS
リスク評価
製品とプロセスの理解
バリデーション
計画
ユーザ要求仕様
GxP評価
バリデーション計画書
(ユーザ)
カテゴリの決定
(バリデーションマネージャ)
ERES調査
リスク評価報告書
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73
GxP評価
GxP Data
規制当局に対して安全性(Safety)、有効性(Efficacy)、品質(Quality)
を証明するために使用される全てのデータ(直接的、間接的)
GxP Application System
GxP Dataを扱い、またはGxP規制要件に従った業務をコントロールする全
てのソフトウェアアプリケーション
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74
一般的な仕様と検証のアプローチ ー Specification & Verification Approach
計画
報告
仕様の決定
検証
Specification
Verification
コンフィグレーション
またはコーディング
ASTM E2500 「医薬品・バイオ医薬品の製造システムの利用・設計・ベリフィ
ケーションに関するガイドライン」と整合
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75
ライフサイクル内開発フェーズと支援プロセス
開発フェーズ
維持・移行・
廃棄
報告と
リリース
計画
仕様
廃棄
検証
コンフィグレーション
(&コーディング)
変更
リスクマネージメント、設計レビュ、変更とコンフィグレーションマネージメント、トレーサビリティ、文書管理
支援プロセス
Concept
Project
Operation
Retire
サプライヤーの利用
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76
Non-configured Software(設定変更しないパッケージ製品:カテゴリー3)
主要な責任
規制適用企業
仕様
ユーザ要求仕様書
要求テスト
検証
製品の設定変更なし
サプライヤー
設定変更可または不可製品
サプライヤー
QMS
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77
Configured Software(設定変更するパッケージ製品:カテゴリー4)
主要な責任
規制適用企業
ユーザ要求仕様書
仕様
要求テスト
機能仕様書
機能テスト
コンフィグレーション
コンフィグレーション
仕様書
テスト
検証
製品の設定
サプライヤー
設定変更可能な製品
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サプライヤー
QMS
78
Custom Software(カスタムソフトウェア:カテゴリー5)
主要な責任
ユーザ要求仕様書
要求テスト
機能仕様書
規制適用企業
機能テスト
仕様
検証
インテグレーション
設計仕様書
テスト
モジュール(ユニット)
モジュール(ユニット)
仕様書
テスト
コーディング
サプライヤー
サプライヤーの経験と技術的な専門知識
サプライヤー
QMS
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79
Table of contents
1.
2.
3.
4.
5.
GMP入門
医薬におけるバリデーション
適格性評価とは
CSV入門
GAMP 5入門
6. 厚労省新ガイドライン入門
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80
医薬品・医薬部外品製造販売業者等におけるコンピュータ化システム適正管理
ガイドライン(平成22年10月21日薬監麻発1021第11号)
目的:
GMPが適用される医薬品、医薬部外品を製造販売する製造販売業及び製造業に使用され
るコンピュータ化システムの信頼性を確保することにより、GQP/GMPの適正な実施を確保。
適用の範囲:
GQP/GMP省令の業務に使用されるコンピュータ化システム
新ガイドラインにおけるコンピュータ化システムの運用:
国際的に広く使用されているGAMPの概念の一部を導入。システムの複雑さに応じたカテゴリ
分類を設定し、その分類に応じ、開発から検証、運用管理が行われるようガイドラインを整備。
新ガイドラインの大きな変更点:
• 「システムの開発、検証、運用管理に関する文書の作成」を規定し、「システム台帳」作成
等を追加
• 新たに『検証業務』を追加
• 「運用管理業務」おいて統一した運用管理すべき事項を「運用管理基準書」に規定し、各
コンピュータ化システムの運用については「標準操作手順書」規定するよう明確化した。
本ガイドラインの適用日:
平成24年4月1日
出典:製造販売承認制度の導入とその後のGQP/GMP動向 平成23年2月3日 医薬品品質フォーラム 監麻課 國枝 卓 氏資料より転載
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81
新ガイドラインは、2012年4月1日から施行された
新ガイドラインは2012年4月1日から施行された。
今後の業許可更新に伴う製造業の定期GMP調査では、このガイドラインの確認を主眼に実施され
ることになる。
新ガイドライン発出から施行までの1年半は、移行期間とされてきた。しかしながら、各社の対応状況
はまちまちのようである。
施行に伴い、各都道府県からは、新ガイドラインに対する査察の方針の発表が出されている。
例えば、大阪府では、平成24 年2 月29 日に、大阪府健康医療部長から、『大阪府における「コン
ピュータ化システム適正管理ガイドライン」に係る当面の指導方針について』と題された通知が発出さ
れた。
本通知では、平成24 年4 月以降の立入調査計画を示すとともに製造販売業者等が「速やかに整
備すべき事項」と「計画的に整備すべき事項」を整理している。
さらに、大阪府医薬品等基準評価検討会からの「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン施行
対応に向けた緊急提言』も掲載されている。
この緊急提言は、一昨年からの新ガイドラインへの移行期間中に、移行を行なわなかった製薬企業
へのものとなっている。
また、最近のPMDAの査察は、以前と比較して随分厳しくなったとの噂を耳にすることが多くなった。
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82
新ガイドラインの3つの業務
開発業務
検証業務
運用業務
(廃棄を含む)
これらの3つの業務により、製品の品質を担保する
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83
新ガイドライン目次と新旧比較
1. 総則
5.4
5.5
5.6
5.7
1.1 目的
1.2 コンピュータ化システムの取扱い
1.3 カテゴリ分類
2. 適用の範囲
3. コンピュータ化システムの開発、検証及び運用管理
に関する文書の作成
4. 開発業務
4.1
4.2
4.3
4.4
4.5
開発計画に関する文書の作成
要求仕様に関する文書の作成
システムアセスメントの実施
機能仕様に関する文書の作成
設計仕様に関する文書の作成
4.5.1 ハードウェア設計仕様
4.5.2 ソフトウェア設計仕様
4.6 プログラムの作成及びプログラムテスト
4.6.1 プログラムの作成
4.6.2 プログラムテストの計画及び実施
4.7 システムテスト
4.7.1 システムテストに関する文書の作成
4.7.2 システムテストの実施
4.8 受入試験
5. 検証業務
5.1 バリデーションの全体計画に関する文書の作成
5.2 設計時適格性評価(DQ)
5.3 据付時適格性評価(IQ)
運転時適格性評価(OQ)
性能適格性評価(PQ)
適格性評価の一部省略と引用
バリデーションの全体報告に関する文書の作成
6. 運用管理業務
6.1 運用管理に関する文書の作成
6.2 コンピュータ化システムの操作の手順に関する文書の
作成
6.3 保守点検事項の実施
6.4 セキュリティ管理の実施
6.5 バックアップ及びリストア
6.6 変更の管理
6.7 逸脱(システムトラブル)の管理
6.8 教育訓練
6.8.1 教育訓練計画の作成
6.8.2 教育訓練の実施
6.8.3 教育訓練の記録の保管
7. 自己点検
7.1 自己点検の実施
7.2 改善措置の実施
8. コンピュータシステムの廃棄
8.1 コンピュータシステムの廃棄の計画に関する文書の作
成
8.2 コンピュータシステムの廃棄記録の作成
9. 文書及び記録の管理
10. 用語集
© Copyright eCompliance 2012
84
ガイドラインの新旧比較
新ガイドラインで追加となった、主要な要件
1.「コンピュータ化システム管理規定」等の作成
2.組織・役割に応じた責任と権限の明確化
3.厚労省ER/ES指針の要件の遵守
4.回顧的バリデーションの実施(適用日以前に稼働したシステムの適格性確認)
5.システム台帳の作成
6.要求仕様書の作成
7.システムアセスメントの実施
・ ソフトウェアのカテゴリ分類
・ 製品品質に対するリスクアセスメント
・ サプライヤアセスメント
8.検証業務(DQ、IQ、OQ、PQ)の実施
9.自己点検に基づく改善措置の実施
10.コンピュータシステムの廃棄
11.業務の継続性のための要件、障害対策の要件、データのバックアップ、アク
セス制限、アクセス記録等に関する要件
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85
新ガイドラインの特徴
1. 医薬品、医薬部外品のGMP、GQP分野を対象としている。

医療機器、化粧品、治験薬GMPには適用されない。
2. 構造設備(プロセスエンジニアリング)中心の記載になっている。
 ITシステムのバリデーションとしては不足。
3. GMP省令、GQP省令、原薬GMPのガイドライン等と整合性をとっている。
4. 旧ガイドラインでは除外されていた、ファームウェアやPLCも対象となった。
5. FDAや現行のANNEX11等の要求事項に比べて、具体的である。
 各成果物のコンテンツも定義している。
6. ソフトウェアのカテゴリ分類に応じた対応を具体的に例示している。
6. すべてのコンピュータ化システムのシステム台帳登録を要求している。
7. 回顧的バリデーション(適格性の確認)の実施を要求している。
8. ER/ES指針に準拠することを求めている。
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86
新ガイドラインの特徴
9. システムアセスメントの実施を求めている。
 ソフトウェアのカテゴリ分類
 製品品質に関するリスクアセスメント
 供給者アセスメント
10. 供給者監査(サプライヤオーディット)の実施を要求している。
 カテゴリ5に関しては、プログラム開発、プログラムテスト、システムテストについて監査が必要
11. DQ、IQ、OQ、PQという用語を使用している。
 欧米の規制当局やGAMP 5等では使用されなくなった。
12. 「バリデーション」という用語の定義が検証のことを意味し、狭義である
 GAMP 5では、「意図した利用にコンピュータ化システムを適合させること」とし、広義である。
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87
新ガイドラインの特徴
13. グローバルスタンダードとの整合をとっている。
 GAMPとの整合性を考慮した。
 ただし、GAMP 4とGAMP 5を折衷して取り込んでいる。(新ガイドラインの検討が2007
年に開始されたため)
 厚労省のPIC/S加盟を前提にEU GMP ANNEX11(改定案 2008.4)と整合させている。
 ただし、EU GMP ANNEX11は2011年1月13日に改定され、同年6月30日に施行さ
れた。この改定版とは整合していない。またPIC/S GMP ANNEX11は改定されていな
い。
 EU GMP、PIC/Sとの整合を考慮した結果により追加された項目
 「ER/ES指針」の要件の遵守
 回顧的バリデーションの実施
 業務の継続性のための要件
 障害対策の要件
 データのバックアップ
 アクセス制限
 アクセス記録等に関する要件
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新ガイドライン逐条解説
通知文
薬食監麻発1021第11号
平成22年10月21日
各都道府県衛生主管部(局)長殿
厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長
医薬品・医薬部外品製造販売業者等におけるコンピュータ化システム
適正管理ガイドラインについて
「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年12月24日
厚生労働省令第179号)(以下「GMP省令」という。)が適用される医薬品又は医薬部外品を製造
販売する製造販売業者又は製造する製造業者等における、「医薬品、医薬部外品、化粧品及び
医療機器の品質管理の基準に関する省令(平成16年9月22日厚生労働省令第136号)及び
GMP省令に基づく業務に使用されるコンピュータ化システムに係る適正管理ガイドラインを別添のとお
り定め、平成24年4月1日より適用することにしたので、貴管下製造販売業者等に対して周知徹底
を図られるようお願いします。
なお、それまでの間については、「コンピュータ使用医薬品等製造所適正管理ガイドライン」平成4
年2月21日薬監第11号:平成17年3月30日付薬食監麻発第0330001号により廃止)を参考とさ
れたいが、貴管下製造販売業者等には可能なシステムから順次適用されるよう併せて指導方お願い
します。
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新ガイドライン逐条解説
1.総則
1.総則
1.1 目的
このガイドラインは、「コンピュータ使用医薬品等製造所適正管理ガイドライン」(平成4
年2月21日薬監第11号:平成17年3月30日付薬食監麻発第0330001号により廃
止)に代わるものとして、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準
に関する省令」(平成16年厚生労働省令第179号。以下「GMP省令」という。)の適
用を受ける医薬品又は医薬部外品を製造販売する製造販売業者又は製造する製
造業者等(以下「製造販売業者等」という。)が、「医薬品、医薬部外品、化粧品及
び医療機器の品質管理の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令第136号。
以下「GQP省令」という。)及びGMP省令に基づく業務を行うためのコンピュータ化シス
テムの要件を明確にし、コンピュータ化システムが意図したとおりに動作することを保証す
るため、これを開発する際に必要な事項、これを検証するバリデーションに関する事項
及び運用管理に関する遵守事項(バリデートされた状態の維持や廃棄に関する事項
等)を定め、GQP省令及びGMP省令の適正な実施の確保を図ることを目的とする。
「コンピュータ化システムが意図したとおりに動作することを保証するため」という文言が追
記された。
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新ガイドライン逐条解説
1.総則
1.総則
1.1 目的(続き)
このガイドラインにおいては、コンピュータ化システムの開発から、検証、運用管理及び廃
棄までの流れを総合してコンピュータ化システムのライフサイクルという。ライフサイクル全
体の構成を別紙1「コンピュータ化システムのライフサイクルモデル」に示す。
本文の並びは、ライフサイクル(時系列)になっていないので注意が必要。
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コンピュータ化システムのライフサイクルモデル
手順等に関
する文書
システム毎
に作成する
文書
3.コンピュータ化システム管理規定
6.運用管理基準書
4.開発計画書
5.バリデーション全体計画書
システム
4.開発業務 アセスメント
性設
評計
価時
適
格
検
証 機能仕様書
(FS)
検
証
設計仕様書
(DS)
(DQ)
5.検証
業務
要求仕様書
(URS)
供
給
者
監
査
別紙1
プログラムの作成
プログラムテスト
5.検証業務
6.運用業務
検証
性能適格性評
価(PQ)
検証
運転時適格性
評価(OQ)
検証
据付時適格性
評価(IQ)
システム
テスト
6.3 標準操作手順書
受入
試験
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9.文書及び記録の管理
保守点検
セキュリティ管理
バックアップ及びリ
ストア
変更の管理
逸脱(システムトラ
ブル)の管理
教育訓練
7.自己点検
8.システムの廃棄
92
新ガイドライン逐条解説
1.総則
1.総則
1.1 目的(続き)
また、このガイドラインに示した管理方法は標準的な例を示したものであり、これに代わ
る方法で、それが同等又はそれ以上の目的を達成できるものである場合には、その方
法を用いても差し支えない。
「代わる方法」とは、GAMP 5、PIC/Sガイダンス等を指す。
しかしながら、日本の査察においては、本ガイドラインをもとに実施されるので、注意が
必要である。(SOPにおいて、対応表の作成が望まれる)
ガイドライン1.2の「それに代わる適切な方法」とは、具体的にはISPEの「GAMPガイ
ド」やPIC/Sの「Good Practices For Computerised Systems In Regulated
“GXP” Environments」等の欧米のガイドラインに基づいた方法が挙げられるが、適
切な方法であることを説明できるのであればこれに限らない。(Q&A集 1)
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93
新ガイドライン逐条解説
1.総則
1.2 コンピュータ化システムの取扱い
このガイドラインは、GQP省令及びGMP省令に関連するシステム並びに相互に連携し
たコンピュータ化システムを対象として取り扱うこととしているため、GQP省令やGMP省
令における組織・役割に応じた表現を用いていないが、バリデーションや変更・逸脱の
管理など、GMP省令においては品質部門等の承認が必要であり、GQP省令において
は品質保証部門による管理体制の中で進めなければならない。従って、製造販売業
者等において組織の形態や該当するシステムの範囲を考慮して各々の組織・役割に
応じた責任と権限を3.に規定する「コンピュータ化システムの開発、検証及び運用管理
に関する文書」の中に明確にすることが必要である。
組織・役割に応じた責任と権限を明確にする必要がある。
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新ガイドライン逐条解説
1.総則
1.2 コンピュータ化システムの取扱い(続き)
また、このガイドラインの対象となるコンピュータ化システムは「医薬品等の承認又は許
可等に係る申請等に関する電磁的記録・電子署名利用のための指針」(平成17年
4月1日薬食発第0401022号)及び「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法
の一部を改正する法律の施行に伴う医薬品,医療機器等の製造管理及び品質管
理(GMP/QMS)に係る省令及び告示の制定及び改廃について」 (平成17年3月
30日薬食監麻発第0330001号)第3章第3 35.「その他(電磁的記録等につい
て)」の適用を受けるコンピュータ化システムは、併せてそれら要件を備える必要がある。
厚労省ER/ES指針に準拠すること。
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新ガイドライン逐条解説
1.総則
1.2 コンピュータ化システムの取扱い(続き)
なお、このガイドラインの適用日以前に開発又は運用が開始されているシステムであっ
て、「コンピュータ使用医薬品等製造所適正管理ガイドライン」に示された方法又はそ
れに代わる適切な方法で開発、検証及び運用等が行われていないシステムについては、
当該システムの適格性を確認する必要がある。
 「回顧的なバリデーション」という記述が削除された。
 ただし「(レガシーシステムの)適格性を確認する必要がある」との記載が残っているため、
実質回顧的にバリデーションを実施しなければならないことに変わりはない。
 本日以降に開発又は運用が開始されているシステムも対象であることに注意。
 回顧的なバリデーションの用語については、回顧的バリデーションとの誤解を生じる恐れ
があることから、この用語を使用せず、ガイドラインには適格性を確認するよう記載し評
価の方法についてはQ&Aで補足する。(回答24)
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新ガイドライン逐条解説
1.総則
1.3 カテゴリ分類
このガイドラインの適用を受けるコンピュータ化システムについては、開発、検証及び運用
の各段階において実施する内容を決定(「4.3システムアセスメントの実施」を参照)する
ために、システムを構成するソフトウェアの種類に応じて、あらかじめソフトウェアカテゴリを
決定するものとする。
カテゴリ分類の基準及びカテゴリ毎の一般的対応の例を別紙2「カテゴリ分類表と対応
例」に示す。
本ガイドラインでは、GAMPと同様、ソフトウェアをカテゴリ分けしている。
カテゴリはすなわちソフトウェアのリスクの分類である。カテゴリの数字が大きくな
るほど、ユーザによる変更の度合いが大きく、ソフトウェアに欠陥が含まれる可
能性が増大する。
リスクアセスメントの結果としてより簡便な取扱を行なっても差し支えないとす
る合理的な根拠を示すことができるようにしなければならない。
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カテゴリ分類表と対応例(別紙2)
カテゴリ分類表と対応例
計
画
書
・
報
告
書
バ 価
リ
デ
ー
シ
ョ
ン
設価
計
時
適
格
性
評
据価
付
時
適
格
性
評
運
転
時
適
格
性
評
性
能
適
格
性
評
価
(PQ)
受
入
試
験
(OQ)
供
給
者
監
査
(IQ)
設
計
仕
様
書
(DS)
5
機
能
仕
様
書
(FS)
4
要
求
仕
様
書
標
準
操
作
手
順
書
文
書
管
理
備考
○1
○1
○1
○1
○1
○1
-
○1
○1
-
◎2
○1
○1
○1
○1
1 アプリケーションに含めて作成、実
施(単独で作成する必要はない)
2 設置の確認、バージョン・製造番
号等の記録
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
GAMP5 との整合性を考慮し使用し
ない
製造設備、
分析機器、
製造支援設
備等に搭載
されるシス
テム
◎
◎
◎
◎3
△
-
△
-
◎3
-
◎2
△
◎3
◎3
◎
3 設備に合わせて仕様の設定及び機
能の検証を行うことで差し支えない。
単純なシステムに関しては校正で代
用することも可
単独のコン
ピュータシ
ステム
◎
◎
◎
◎
―
-
△
-
◎
-
◎2
-
◎
◎
◎
構成設定し
たソフトウ
ェア
ユーザの業務プロセスに合わせて構成設定
したソフトウェア(アプリケーション上で
動作するマクロ等を含む)。
但し、ソフトウェアコードを変更した場合
はカテゴリ5とする
◎
◎
◎
◎
○
○
○
○
◎
△
◎
○
◎
◎
◎
カスタムソ
フトウェア
業務プロセスに合わせて設計され、プログ
ラムされたソフトウェア、
(アプリケーション上で動作するマクロ等
を含む)
◎
基盤ソフト
2
3
・カテゴリ3以降のアプリケーションが構築
される基盤となるもの(プラットフォー
ム)
・運用環境を管理するソフトウェア
シ
ス
テ
ム
台
帳
登
録
(URS)
1
内容
シ
ス
テ
ム
ア
セ
ス
メ
(DQ)
カテゴリ
開 ン
発 ト
計
画
書
このカテゴリは設定しない
構成設定し
ていないソ
フトウェア
◎:必須
商業ベースで販売されてい
る既製のパッケージソフト
ウェアで、それ自体は業務プ
ロセスに合わせて構成設定
していないもの(アプリケー
ション上で動作するマクロ
等を含む)。
(実行時のパラメータの入力
のみで調整されるアプリケ
ーション等は本カテゴリに
含まれる)
設計仕様、システム構築に関する文
書は供給者が管理してもよい
4 単純な機能で、URSのみでシス
○:システムアセスメントの結果による(基本的には必要)、
◎
◎
◎
◎4
◎4
◎4
○
◎
◎4
◎
◎
◎
◎
◎
テム設計が可能な場合作成(実
施)しなくてもよい
△:リスクアセスメントの結果による(基本的には省略)、-:省略可能
本ガイドラインの対象外
本ガイドラインの対象
外
・ 電卓、電子時計、表示のみの電磁はかり等、商業ベースで販売されている汎用の機器
製造記録の作成や出荷判定等の GQP 省令及び GMP 省令に係る業務に使用されない市販のワープロソフト、表計算ソフト等で、社会一般で広く利用されているパッケージソフトウェア及
び PC。なお、それらソフトにより製造記録の作成や出荷判定等の GQP 省令及び GMP 省令に係る業務に使用する場合は、本ガイドラインの対象とせず、バージョン番号、PC の機種番号、
製造番号の記録等をシステム台帳登録することで良い。
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新ガイドライン逐条解説
2.適用の範囲
2. 適用の範囲
このガイドラインは、コンピュータ化システムを使用してGQP省令及びGMP省令が適用さ
れる業務を行う製造販売業者等に適用する。
このガイドラインの対象となるコンピュータ化システムの例として、(1)~(7)が考えられる。また、
対象外となるコンピュータ化システムは別紙2に記載する。
(1) 医薬品、医薬部外品の市場への出荷の可否の決定に係るシステム及び市場への
出荷に係る記録を作成、保存管理するためのシステム
(2) 製造指図書、製造に関する記録等を作成及び保存管理するためのシステム
(3) 製造工程を制御又は管理するためのシステム及びその管理データを保存管理する
ためのシステム
(4) 原材料及び製品(製造の中間工程で造られるものを含む。以下同じ。)の保管、出
納等の生産を管理するシステム
(5) 品質試験に用いる機器を制御又は管理するためのシステム並びに品質試験結果
及び管理データを保存管理するためのシステム
(6) 空調、製造用水製造設備など、製品の品質に重大な影響を及ぼす可能性のある
製造支援設備・施設を制御又は管理するためのシステム及びその管理データを保
存管理するためのシステム
(7) 文書(手順書類、品質標準書、製品標準書等)を作成、承認、保存管理するた
めのシステム
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新ガイドライン逐条解説
3.コンピュータ化システムの開発、検証及び運用の手順等に関する文書の作成
製造販売業者等はコンピュータ化システムの開発、検証及び運用にあたっては、あらかじめ、
その基本方針等に関する文書(以下「コンピュータ化システム管理規定」という。)を定める
ものとする。
コンピュータ化システム管理規定は、原則として次の事項を記載するものとする。
(1) コンピュータ化システムの開発、検証及び運用管理に関する基本方針
① 目的
② 適用範囲
③ システム台帳の作成
④ 基本的な考え方
・ソフトウェアのカテゴリ分類
・製品品質に対するリスクアセスメント
・供給者アセスメント
・開発、検証及び運用段階で実施すべき項目等
・コンピュータシステムの廃棄に関する事項
(2) 開発業務、検証業務及び運用管理業務における責任体制と役割
(3) 開発業務、検証業務及び運用管理業務で作成すべき文書及びその管理方法
(4) 開発業務、検証業務及び運用管理業務の業務完了の確認及び承認の手続
き
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新ガイドライン逐条解説
4.開発業務
4. 開発業務
4.1 開発計画に関する文書の作成
製造販売業者等は、開発計画に関する事項を記載した文書(以下「開発計画書」とい
う。)を作成するものとする。開発計画書には、原則として次の事項を記載するものとする。
(1) 開発目的
(2) 開発条件
(3) 開発体制
① 組織
② 責任者
・開発責任者
・検証責任者
(4) 開発スケジュール
「開発計画書」は「プロジェクトチャータ」に相当する。
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新ガイドライン逐条解説
4.開発業務
4.2 要求仕様に関する文書の作成
開発責任者はコンピュータ化システムに求められている事項を記載した文書(以下「要求
仕様書」という。)を作成するものとする。要求仕様書には原則として次の事項を記載する
ものとする。
(1) 適用される法規制及び適用する規定等
(2) ハードウェアの概要
(3) 要求機能
① システム機能の概要
② 運用要件の概要
③ 性能要件の概要
④ 障害対策機能の概要
⑤ 機密保護機能の概要(セキュリティ)
(4) データ
① 入出力情報の項目の一覧
② 保存方法
(5) インターフェース(関連設備及び他システム等)
(6) 環境
① 設置条件
② システムの配置
(7) 電源、接地等の設置条件
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新ガイドライン逐条解説
4.開発業務
4.3 システムアセスメントの実施
開発責任者は開発、検証及び運用の各段階にて実施すべきそれぞれの内容を定めるた
めに、コンピュータ化システム管理規定に基づき、原則として以下の事項を実施する。
(1) ソフトウェアカテゴリ分類
(2) 製品品質に対するリスクアセスメント
(3) 供給者アセスメント
 本ガイドラインでは、GAMPと同様、ソフトウェアをカテゴリ分けしている。
 カテゴリはすなわちソフトウェアのリスクの分類である。カテゴリの数字が大きくなるほど、
ユーザによる変更の度合いが大きく、ソフトウェアに欠陥が含まれる可能性が増大す
る。
 リスクアセスメントの結果としてより簡便な取扱を行なっても差し支えないとする合理
的な根拠を示すことができるようにしなければならない。
 本ガイドラインにおける供給者アセスメントは、適切な供給者を選定するために必要
な開発業務の一部ですが、供給者監査は選定された供給者が適切な業務を行っ
ているかを監査する検証業務の一部です。したがって、供給者アセスメントと供給者
監査は別個の概念であり、過去の供給者監査の結果を以降の供給者アセスメント
に活用することはできますが、それは監査をアセスメントの手段とすることではありませ
ん。(回答89)
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新ガイドライン逐条解説
4.開発業務
4.4 機能仕様に関する文書の作成
開発責任者は、供給者に要求仕様書に記載された要件に対応した具体的なコンピュー
タ化システムの機能と性能を記載した機能仕様に関する文書(以下「機能仕様書」とい
う。)を作成させ、承認するものとする。
開発責任者が機能仕様書を承認する
供給者が機能仕様書を作成
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新ガイドライン逐条解説
4.開発業務
4.5 設計仕様に関する文書の作成
開発責任者は、供給者に機能仕様書に基づいてコンピュータ化システムの詳細機能を記
載した設計仕様に関する文書(以下「設計仕様書」という。)を作成させ、承認するものと
する。
設計仕様書には、原則として次の事項を記載するものとする。
4.5.1 ハードウェア設計仕様
(1) ハードウェア構成
(2) ハードウェアリスト及び仕様
(3) インターフェース
(4) 入出力信号の詳細
(5) 環境
① 設置の詳細条件
② システム機器の配置
(6) 電源、接地等の設置条件
4.5.2 ソフトウェア設計仕様
(1) 入出力情報の詳細
(2) ファイル及びデータ構造
(3) データ処理の詳細
(4) 機能・モジュールの構成
(5) インターフェースの詳細
(6) 選択したパッケージソフトウェア
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新ガイドライン逐条解説
4.開発業務
4.6 プログラムの作成及びプログラムテスト
開発責任者は、必要に応じて、供給者にプログラム作成及びプログラムテストを
実施させるものとする。プログラム作成及びプログラムテストには、以下の内容が含
まれるものとする。
4.6.1 プログラムの作成
(1) 供給者は、プログラムの仕様に関する文書(以下「プログラム仕様書」という。)を
設計仕様書に従って作成するものとする。
(2) 供給者はプログラムをプログラム仕様書どおりに作成するものとする。
4.6.2 プログラムテストの実施
(1) 供給者は、プログラムテスト方法、プログラムテスト結果の判定方法及び判定基
準を記載したプログラムテストの計画に関する文書(以下「プログラムテスト計画
書」という。)を作成するものとする。
(2) 供給者は、プログラムテスト計画書に基づき、プログラムテストを実施し、その結果
を記録するものとする。
(3) 供給者は、プログラムテストの結果の適否を判定するものとする。
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新ガイドライン逐条解説
4.開発業務
4.7 システムテスト
開発責任者は、必要に応じて供給者にシステムテストを実施させるものとする。システムテ
ストには以下の内容が含まれるものとする。
4.7.1 システムテストに関する文書の作成
供給者はシステムテストにあたっては、システムテストの計画に関する文書(以下「システムテスト計画
書」という。)を作成するものとする。システムテスト計画書には、原則として次の事項を記載するものと
する。
(1) システムテストの実施環境(テスト時のハードウェアの設置状況及びソフトウェア構成等をいう。)
(2) システムテストの項目及び使用するテストデータ
(3) システムテストの方法及び結果の確認方法
(4) システムテストの判定基準
(5) システムテストのスケジュール
(6) システムテストを実施する場合の実施体制
4.7.2 システムテストの実施
(1) 供給者は、システムテスト計画書に基づいてシステムテストを実施し、その結果(システムテストの実施時
に発生したトラブルの内容及びその措置内容を含む。)を記録するものとする。
(2) 供給者は、システムテストの結果の適否を判定する。この場合において、システムテストの結果の適否の
判定事項は、原則として次のとおりとする。
① 機能(機能仕様書及び設計仕様書に規定されたとおりに機能するか等)
② 性能(機能仕様書及び設計仕様書で期待された応答性等を確保しているか等)
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新ガイドライン逐条解説
4.開発業務
4.8 受入試験
開発責任者は、システムの機能及び性能の全てあるいは一部が要求仕様を満足してい
ることを確認するために供給者に受入試験を実施させる。受入試験には、供給者の工場
出荷前に機能及び性能を確認するテスト(工場出荷試験,FAT)並びにこれらシステム
設置場所等における受け入れ時に機能及び性能を確認するテスト(現地受入試験,SA
T)があり、適宜選択し実施させる。受入試験の結果は開発責任者が承認する。
 受入れ試験については、文章の修正を除き、案から全く変更がなかった。
 FATやSATは、自動化装置とプロセス制御システム(プロセスエンジニアリング)に特異
な活動である一般的なコンピュータ化システムにおいてはほとんどの場合、実施されて
いない。GAMP 5では、プロセスエンジニアリング(GEP)は、GAMP実践規範ガイド:
プロセス制御システムのバリデーション(付属資料G3)を参照することとし、記載が省
略された。
 FAT、SATには通常、製薬企業の担当者が立ち会う。
 開発責任者がFAT、SATの結果を承認すること。
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新ガイドライン逐条解説
5.検証業務
5. 検証業務
5.1 バリデーションの全体計画に関する文書の作成
検証責任者は、コンピュータ化システム管理規定に基づき、システムの検証を行う場合に
は、実施するバリデーションの全体計画に関する文書(以下「バリデーション計画書」とい
う。)を作成するものとする。なお、バリデーション計画書は「4.3システムアセスメント」により
実施した評価結果等に基づき作成する。なお、検証業務は開発業務と併行して行われ
ることもあるため、バリデーション計画書は開発段階の適切な時期に作成する。
また、「6.6変更の管理」においてバリデーションが必要となった場合は、変更の状況にあわ
せて適宜バリデーション計画書を作成すること。バリデーション計画書には、原則として次の
事項を記載するものとする。また、必要な場合には詳細なリスクアセスメント、供給者監査
等の計画についても記載すること。
 検証担当者が作成するとされた文書が、すべて検証責任者が作成することに変更され
ている。
 ここにおいて作成とは最終的な承認を意図するので注意が必要である。
 「4.3 システムアセスメント」と記載されているが、「4.3 システムアセスメントの実施」が正
しい。
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新ガイドライン逐条解説
5.検証業務
5. 検証業務
5.1 バリデーションの全体計画に関する文書の作成(続き)
(1) 目的
(2) システム概要
(3) 責任体制と役割
① 組織
② 検証責任者
(4)適用される法規制及び適用する規定等
(5) バリデーション方針
① バリデーションの範囲及びバリデーションとして実施すべき項目等
(6) スケジュール
(7) バリデーション実施時の変更・逸脱の管理に関する手順
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5.検証業務
5.2 設計時適格性評価(DQ)
検証責任者は、要求仕様書に記載された要求事項が、機能仕様書、設計仕様書等に
正しく反映されていることを確認するため設計時適格性評価を実施する。
5.2.1 設計時適格性評価の計画に関する文書の作成
検証責任者は、設計時適格性評価の計画に関する文書(以下「設計時適格性評価計
画書」という。)を作成ものとする。設計時適格性評価計画書には、原則として次の事項
を記載するものとする。
(1) 設計時適格性評価の対象となる文書名
(2) 具体的な確認の方法
(3) 設計時適格性評価における判定基準
(4) スケジュール
(5) 責任者及び担当者の氏名
 「作成ものとする」と記載されているが「作成するものとする」が正しい。
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5.検証業務
5.2 設計時適格性評価(DQ)(続き)
5.2.2 設計時適格性評価の実施
(1) 検証担当者は、設計時適格性評価計画書に基づいて評価を実施し、その結
果を記録するものとする。
(2) 検証責任者は、設計時適格性評価の結果の適否を判定するものとする。
5.2.3 設計時適格性評価の報告に関する文書の作成
検証責任者は、設計時適格性評価の報告に関する文書(以下「設計時適格性評価報
告書」という。)を作成するものとする。設計時適格性評価報告書には、原則として次の事
項を記載するものとする。
(1) 設計時適格性評価の対象となる文書名
(2) 評価結果と是正措置
(3) 責任者及び担当者の氏名
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5.検証業務
5.3 据付時適格性評価(IQ)
検証責任者は、コンピュータ化システムが、設計仕様等に記載されたとおりに据え付けられ、
プログラムがインストールされたことを確認するため据付時適格性評価を実施する。
 「プログラムがインストール」との記載があるが、「ソフトウェアがインストール」が正しい。
なぜならば5.3.1 (7)ソフトウェアのインストールの確認方法と矛盾するからである。
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5.検証業務
5.3.1 据付時適格性評価の計画に関する文書の作成
検証責任者は、ハードウェア及びソフトウェアの据付時適格性評価の計画に関する文書
(以下「据付時適格性評価計画書」という。)を作成するものとする。据付時適格性評価
計画書には原則として次の事項を記載するものとする。
(1) 据付時適格性評価の対象となる文書名
(2) ハードウェア構成及び設置場所
(3) ハードウェアの温度、湿度、振動等の環境条件
(4) 電源、接地等の設置条件
(5) 通信、入出力に関する仕様
(6) ハードウェアの設置の確認方法
(7) ソフトウェアのインストールの確認方法
(8) 据付時適格性評価における判定基準
(9) スケジュール
(10)責任者及び担当者の氏名
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5.検証業務
5.3 据付時適格性評価(IQ)
5.3.2 据付時適格性評価の実施
(1)ハードウェアの設置の確認
① 検証担当者は据付時適格性評価計画書に基づいて、ハードウェアが適切に
設置されていることを確認し、その結果を記録するものとする。
② 検証責任者は、ハードウェアの設置の適否を判定するものとする。
(2) ソフトウェアのインストールの確認
① 検証担当者は基本ソフトウェアを含め、適切にインストールされていることを確
認し、その結果を記録するものとする。
② 検証責任者は、ソフトウェアのインストールの結果の適否を判定するものとす
る。
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5.検証業務
5.3 据付時適格性評価(IQ)(続き)
5.3.3 据付時適格性評価の報告に関する文書の作成
検証責任者は、据付時適格性評価の報告に関する文書(以下「据付時適格性評価報
告書」という。)を作成するものとする。据付時適格性評価報告書には、原則として次の事
項を記載するものとする。
(1) 据付時適格性評価の対象となる文書名
(2) 評価結果と是正措置
(3) 責任者及び担当者の氏名
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5.検証業務
5.4 運転時適格性評価(OQ)
検証責任者は、コンピュータ化システムが運転時において、機能仕様等に示された機能及
び性能を発揮することを確認するため運転時適格性評価を実施する。
5.4.1 運転時適格性評価の計画に関する文書の作成
検証責任者は、運転時適格性評価の計画に関する文書(以下「運転時適格性評価計
画書」という。)するものとする。運転時適格性評価計画書には原則として次の事項を記
載するものとする。
(1) 運転時適格性評価の対象となる文書名
(2) システムの運転環境における機能の確認方法
(3) 運転時適格性評価における判定基準
(4) スケジュール
(5) 責任者及び担当者の氏名
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5.検証業務
5.4 運転時適格性評価(OQ)(続き)
5.4.2 運転時適格性評価の実施
(1) 検証担当者は、運転時適格性評価計画書に基づいて評価を実施し、その結果
を記録するものとする。
(2) 検証責任者は、運転時適格性評価の結果の適否を判定するものとする。
5.4.3 運転時適格性評価の報告に関する文書の作成
検証責任者は、運転時適格性評価の報告に関する文書(以下「運転時適格性評価報
告書」という。)するものとする。運転時適格性評価報告書には、原則として次の事項を記
載するものとする。
(1) 運転時適格性評価の対象となる文書名
(2) 評価結果と是正措置
(3) 責任者及び担当者の氏名
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5.検証業務
5.5 性能適格性評価(PQ)
検証責任者は、コンピュータ化システムが稼働時において、要求仕様等どおりに機能し、
性能を発揮して運転できることを確認するため性能適格性評価を実施する。
5.5.1 性能適格性評価の計画に関する文書の作成
検証責任者は、性能適格性評価の計画に関する文書(以下「性能適格性評価計画
書」という。)を作成するものとする。性能適格性評価計画書には原則として次の事項を
記載するものとする。
(1) 性能適格性評価の対象となる文書名
(2) システムの稼働時における機能及び性能の確認方法
(3) 性能適格性評価における判定基準
(4) スケジュール
(5) 責任者及び担当者の氏名
 「運転」と「稼働」の言葉の使い分けがなされているが、「稼働」と記載すべきと思われる
個所を「運転」と記載されている。
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5.検証業務
5.5 性能適格性評価(PQ)(続き)
5.5.2 性能適格性評価の実施
(1) 検証担当者は、性能適格性評価計画書に基づいて、性能適格性評価を実施
し、その結果を記録するものとする。
(2) 検証責任者は、性能適格性評価の結果の適否を判定するものとする。
5.5.3 性能適格性評価の報告に関する文書の作成
検証責任者は、性能適格性評価の報告に関する文書(以下「性能適格性評価報告
書」という。)を作成するものとする。性能適格性評価報告書には、原則として次の事項を
記載するものとする。
(1) 性能適格性評価の対象となる文書名
(2) 評価結果と是正措置
(3) 責任者及び担当者の氏名
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5.検証業務
5.6 適格性評価の一部省略と引用
(1) 「5.4 運転時適格性評価(OQ)」における検証内容、環境、条件などが「5.5 性
能適格性評価(PQ)」の内容と差がない場合は運転時適格性評価を省略して
も差し支えないものとする。但しその場合、省略の旨を「バリデーション計画書」若
しくは「性能適格性評価計画書」又はいずれかの報告書に明記すること。
(2)工場出荷試験又は現地受入試験を行った場合等、その確認の方法及び記録
が検証責任者によって適切と認められる場合には、適格性評価にあたって、その
結果を引用しても差し支えないものとする。
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5.検証業務
5.7 バリデーションの全体報告に関する文書の作成
検証責任者は、バリデーションの各段階の結果及び総合評価をまとめたバリデーションの全
体報告に関する文書を作成するものとする。
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6.運用管理業務
6. 運用管理業務
6.1 運用管理に関する文書の作成
製造販売業者等はコンピュータ化システムの運用管理に関する文書(以下「運用管理基
準書」という。)を作成するものとする。運用管理基準書には原則として次の事項を記載す
るものとする。但し、GQP省令又はGMP省令に関する手順書に基づき管理を行う項目に
ついては、その旨を記載すること。
(1) 運用に関する責任体制と役割
① 組織
② 運用責任者
(2) コンピュータ化システムの操作
コンピュータ化システムの操作の手順に関する文書(標準操作手順書)をコン
ピュータ化システムごとに作成し、それに基づき操作するものとする。
(3) 保守点検管理
① 日常点検事項
② 定期点検事項
③ 保守点検を専門業者に委託する場合の取決め事項
 「運用管理手順書」が「運用管理基準書」に変更となった。
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6.運用管理業務
6.1 運用管理の手順に関する文書の作成(続き)
(4) セキュリティ管理
① データの入力、修正、削除等に関する担当者のアクセス権限の設定と不正アクセス防止
② 識別構成要素の管理
③ ハードウェア設置場所への立入制限
(5) バックアップ及びリストア
(6) 変更の管理に関する事項
① 変更の計画、承認の手順
② 変更の影響評価
③ その他、変更に必要な事項
(7) 逸脱(システムトラブル)の管理
① 逸脱(システムトラブル)発生時の対応のための組織等
② 逸脱(システムトラブル)の原因の究明及び影響評価
③ 再発防止策
④ 回復措置に関する手順
⑤ システム停止後の再開手順及び再開時の確認事項
⑥ その他逸脱の管理に必要な事項
(8) 担当者の教育訓練
(9) 自己点検
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6.運用管理業務
6.2 コンピュータ化システムの操作の手順に関する文書の作成
コンピュータ化システムの操作の手順に関する文書(以下「標準操作手順書」という。)をコ
ンピュータ化システムごとに作成し、それに基づき操作するものとする。
標準操作手順書には、原則として以下の事項を記載する
(1) 6.2(2)に規定する標準操作手順書には以下の事項を記載する
①システムの担当者
②コンピュータ化システムの操作
③コンピュータ化システムの保守点検
④コンピュータ化システムのセキュリティ管理
⑤その他、コンピュータ化システムの特性に応じた運用管理
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新ガイドライン逐条解説
6.運用管理業務
6.3 保守点検事項の実施
運用責任者は、運用管理基準書及び標準操作手順書(以下「運用管理基準書等」と
いう。)に基づき、次に掲げる業務を行うものとする。
(1) 担当者に保守点検を実施させ、その結果を記録し、保管すること。
(2) 保守点検の記録により保守点検管理が適切に行われていることを確認すること。
6.4 セキュリティ管理の実施
運用責任者は、運用管理基準書等に基づき、次に掲げる業務を行うものとする。
(1) データの入力、修正、削除等に関する担当者のアクセス権限の設定と、不正アク
セスの防止措置を講じること。
(2) 識別構成要素等の取扱いについて、機密保護を図ること。
(3) 必要に応じてハードウェア設置場所への立入制限を行うこと。
(4) セキュリティ管理に関する記録を作成するとともに、これを保管すること。
 「運用基準書等」は、運用基準書と標準操作手順書を合わせたものである。
 以降、「運用基準書」と「運用基準書等」という用語を明確に使い分けているので注意
が必要である。
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新ガイドライン逐条解説
6.運用管理業務
6.5 バックアップ及びリストア
運用責任者は、あらかじめ指定した者に対し、運用管理基準書等に基づき、次に掲げる
業務を行わせること。
(1) ソフトウェア及びデータのバックアップを行うこと。
(2) 障害発生からの回復のためにソフトウェア及びデータのリストアを行うこと。
(3) バックアップ及びリストアに関する記録を作成するとともに、これを保管すること。
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新ガイドライン逐条解説
6.運用管理業務
6.6 変更の管理
運用責任者は、あらかじめ指定した者に対し、運用管理基準書に基づき、次に掲げる業
務を行わせること。
(1) 変更がコンピュータ化システムに与える影響を評価し、評価の結果に基づき適切な
措置を実施すること。なお評価の結果、バリデーションが必要と判断された場合は、
リスクの程度に応じて「4. 開発業務」及び「5. 検証業務」に戻ってバリデーションを実
施すること。
(2) 変更に伴い発生する手順に関する文書の変更箇所を特定し、必要な改定を実施
すること。
(3) 変更内容の関係者への周知の方法を決定し、必要に応じて教育訓練を実施する
こと。
(4) 変更の管理の記録を作成し、運用責任者の確認を得るとともに、運用責任者及
び変更の管理に関する責任者等の承認を得てこれを保管すること。
GMP省令に係るシステムに関する変更の管理については、GMP省令における変更の管
理の手順に従って運用すること。ただし、その場合も上記(1)から(4)の内容を含むこと。
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新ガイドライン逐条解説
6.運用管理業務
6.7 逸脱(システムトラブル)の管理
運用責任者は、あらかじめ指定した者に対し、運用管理基準書に基づき、次に掲げる業
務を行わせること。
(1) 発生した逸脱(システムトラブル)が製品の品質に及ぼす影響を評価し、速やかに
適切な対応措置を講じるとともに、その原因を究明し、必要な再発防止措置を実
施すること。
(2) 逸脱(システムトラブル)発生後にコンピュータ化システムの運用を再開する場合に
は、復帰稼働が適切に行われていることを確認すること。
(3) 運用管理責任者及び逸脱の管理に関する責任者等の承認を得てこれを保管す
ること。
GMP省令に係るシステムに関する逸脱の管理については、GMP省令における逸脱の管
理の手順に従って運用することでよいが、その場合も上記(1)から(3)の内容を含むこと。
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6.運用管理業務
6.8 教育訓練
6.8.1 教育訓練計画の作成
運用責任者は、運用管理基準書に基づき、あらかじめ指定した者に、コンピュータ化シス
テムを使用した業務に従事する者に対する教育訓練計画を作成させること。なお、教育
訓練についてはGQP省令、GMP省令における手順に従って運用することが望ましい。
6.8.2 教育訓練の実施
運用責任者は、教育訓練計画に基づき、あらかじめ指定した者に次に掲げる業務を行わ
せること。
(1) コンピュータを使用した業務に従事する者に対して、コンピュータ化システムを使用
した業務に関する教育訓練を計画的に実施し、その記録を作成すること。
(2) 教育訓練の実施状況について運用責任者の確認を得るとともに、品質保証責任
者又は製造管理者若しくは責任技術者に対して文書により報告すること。
6.8.3 教育訓練の記録の保管
運用責任者は教育訓練の実施の記録を保管すること。
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7.自己点検
7 自己点検
7.1 自己点検の実施
製造販売業者等は、運用管理基準書に基づき、あらかじめ指定した者に次に掲げる業
務を行わせること。なお、自己点検においては、GQP省令、GMP省令における手順に
従って運用することが望ましい。
(1) コンピュータ化システムがこのガイドラインに基づき管理されていることを確認するため
に定期的に自己点検を実施すること。
(2) 自己点検の結果について品質保証責任者又は製造管理者若しくは責任技術者
に対して文書により報告すること。
(3) 自己点検の結果の記録を作成し、これを保管すること。
7.2 改善措置の実施
製造販売業者等は、自己点検の結果に基づき、改善が必要な場合には所要の措置を
講じ、その記録を作成しこれを保管させること。
 7.2 改善措置の実施で、「あらかじめ指定した者」という記載が削除された。
 GMP省令第18条第2項には所要の措置を採るのは「製造業者等」になっているため。
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8.コンピュータシステムの廃棄
8. コンピュータシステムの廃棄
8.1 コンピュータシステムの廃棄の計画に関する文書の作成
製造販売業者等はコンピュータシステムの廃棄にあたっては、コンピュータシステムの種類や
規模、カテゴリ等、必要に応じて、コンピュータシステムの廃棄に関する計画書(以下「廃棄
計画書」という。)を作成すること。廃棄計画書には原則として以下の事項を記載するもの
とする。
 廃棄をカテゴリ等に応じて行うこととされているが、一般的に廃棄にカテゴリは影響しない。
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8.コンピュータシステムの廃棄
8.1 コンピュータシステムの廃棄の計画に関する文書の作成 (続き)
(1) 廃棄に関する責任体制と役割
① 組織
② コンピュータシステムの廃棄の責任者
(2) 廃棄対象とするコンピュータシステム
(3) データの移行に関する事項
(4) セキュリティに関する事項
(5) コンピュータシステムの廃棄方法
コンピュータシステムの種類や規模、用途等に応じて以下を参考にして適切に定
めること
①
②
③
④
リスクアセスメント
前提条件
スケジュール
具体的な廃棄の方法
・ハードウェア
・ソフトウェア
・データ
・文書類(手順書、記録、契約書等)
(6) 廃棄完了の判断基準
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新ガイドライン逐条解説
8.コンピュータシステムの廃棄
8.2 コンピュータシステムの廃棄記録の作成
コンピュータシステムの廃棄の責任者は、廃棄計画書に基づきコンピュータシステムを廃棄
するとともに、廃棄の記録を作成し、これを保管すること。
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新ガイドライン逐条解説
9.文書及び記録の管理
9. 文書及び記録の管理
このガイドラインに基づき作成された文書及び記録はGQP省令又はGMP省令に基づき
定めた文書及び記録の管理の方法に従って適切に保存管理するものとする。GQP省令
及びGMP省令にまたがるシステムの場合は、あらかじめどちらの省令に従って管理するかを
コンピュータ化システム管理規定等に明記しておくこと。
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新ガイドライン逐条解説
10.用語集
運転時適格性評価(OQ,Operational Qualification)
コンピュータ化システムが、運転時において、機能仕様等に示された機能及び性能を発揮することを
確認し文書化すること。
運用管理業務
コンピュータ化システムの運用開始後、コンピュータ化システムを、バリデートされた状態を維持し、要
求仕様に記載された要件に基づいて適正に稼働させるための業務。
運用責任者
コンピュータ化システム運用業務を行うための責任者として、製造販売業者等により運用管理基準
書において指定された者をいう。
開発業務
指定されたコンピュータ化システムの計画、設計、製作、テスト、受入試験までの業務。
開発計画書
指定されたコンピュータ化システムを開発する際に目的、条件、責任、体制、スケジュールなどを記
述した文書。
開発責任者
コンピュータ化システム開発業務を行うための責任者として、製造販売業者等により開発計画書に
おいてあらかじめ指定された者。
機能仕様書(FS,Functional Specification)
要求仕様書に記載された要求仕様に対応する、より具体的な機能が記載された文書。
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新ガイドライン逐条解説
10.用語集
供給者
コンピュータ化システムを開発あるいは導入し、製造販売業者等に提供する者をいう。一般にサプラ
イヤやベンダーと呼ばれる。自社で開発する場合は自社のシステム開発者も含む。
供給者アセスメント
製造販売業者等による供給者の選定や委託の範囲、供給者監査が必要な場合の実施方法等
を決定するために行う供給者の評価、一般的には開発段階の初期に行われる。
供給者監査
供給者の品質管理体制や品質保証のシステム、あるいは経験・能力や実績など多角的に供給者
の調査を行い、供給者の総合的な品質マネジメントシステムや能力を評価・確認すること。実地又
は書面による監査方法がある。
検証業務
コンピュータ化システムが、要求仕様等に定めた要件に合致して設計され、据え付けられ、システム
の稼働環境及び稼働状態において、機能及び性能を発揮することを確認すること。
検証責任者
検証業務を行うための責任者として、製造販売業者等により開発計画書においてあらかじめ指定
された者をいう。
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新ガイドライン逐条解説
10.用語集
現地受入試験(SAT, Site Acceptance Test)
供給者がシステムを現地の稼働環境で機能及び性能の全てあるいは一部が機能仕様を満足して
いることを確認すること。ここでいう「現地」とは、製造販売業者等が当該のシステムを設置する予定
の場所をいう。
工場出荷試験(FAT, Factory Acceptance Test)
供給者がシステムを出荷する前に製作環境で機能及び性能の全てあるいは一部が機能仕様を満
足していることを確認すること。
構成設定
コンピュータシステムを利用するにあたってハードウェア及びソフトウェアの構成要素の組み合わせや稼
働条件等を設定すること。すなわち、ハードウェアにおいては、システムを構成する、コンピュータ、周
辺機器あるいはそれらに組み込まれる部品(ボード等)の組み合わせを設定し、登録すること。ソフト
ウェアにおいては、プログラムを作成、変更することなく、システムを構成するモジュールの組み合わせ、
及びシステムが稼働する条件、パラメータ等を設定し、登録すること。
コンピュータ化システム(Computerized System)
コンピュータシステムで統合された工程又は作業、及びコンピュータシステムにより実現される機能を
利用する業務プロセス。
コンピュータシステム
特定の機能又は一連の機能を実行するために、設計し、組み立てられたハードウェア及び関連する
ソフトウェアのグループ。
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新ガイドライン逐条解説
10.用語集
コンピュータシステムの廃棄の責任者
コンピュータシステムの廃棄を行うための責任者として、製造販売業者等により廃棄計画書において
指定された者。
識別構成要素
システムの運用において操作者を識別、特定するために用いられるデータの組み合わせ、もしくは機
器とデータの組み合わせ、例えばIDとパスワードの組合せ。
システムアセスメント
開発対象とするコンピュータ化システムのバリデーションにおける検証内容や作成文書等を決定する
ために、システムのソフトウェアの複雑性や開発方法、当該システムにより製造される製品の安全性
や品質への影響の度合い、又は当該システムにより作成、保存される電子記録の重要度、供給
者のシステム開発過程での品質保証の状況等を総合的に評価すること。
システム台帳
このガイドラインの管理対象のシステムを適切に管理するため、このガイドラインの対象となるコン
ピュータ化システムを登録する。記載事項としてはシステム名称、管理番号、バリデーションの対象の
有無(カテゴリ分類)、システムの担当者等がある。
 「システム台帳」の定義が新たに加わった。
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新ガイドライン逐条解説
10.用語集
システムテスト
稼働するために結合された状態でモジュール、プログラムが機能仕様書、設計仕様書通りに機能す
ることを確認すること。
据付時適格性評価(IQ,Installation Qualification)
コンピュータ化システムが、設計仕様等に記載されたとおりに据え付けられ、プログラムがインストール
されたことを確認し、文書化すること。
性能適格性評価(PQ,Performance Qualifiction)
コンピュータ化システムが、稼働時において、要求仕様等に記載されたとおりに機能し、性能を発揮
して運転できることを確認し、文書化すること。
設計仕様書(DS,Design Specification)
機能仕様に記載された具体的な機能を実現するコンピュータ化システムを作成するための詳細仕
様が記載された文書。ハードウェア仕様書とソフトウェア仕様書に分けられる場合がある。
ハードウェア仕様書:システムを構成するハードウェアの仕様、構成を記述する
ソフトウェア仕様書:システムを構成するソフトウェアの詳細機能、構成を記述する
設計時適格性評価(DQ,Design Qualification)
要求仕様書に記載された要求事項が、機能仕様書、設計仕様書等に正しく反映されていることを
確認し文書化すること。
ソフトウェアカテゴリ
同程度の信頼性を有するソフトウェアの属すべき範囲。ソフトウェアの性質や特徴を区分する上での
基本的な分類。
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新ガイドライン逐条解説
10.用語集
プログラム仕様書
設計仕様書の機能を実現するためにモジュール、プログラムで実現すべき事項を記述した仕様書。
プログラムテスト
モジュール、プログラムが単体でプログラム仕様書通りに機能することを確認すること。
モジュール
ソフトウェアを構成する機能の最小単位。
要求仕様書(URS,User Requirement Specification)
指定されたコンピュータ化システムに関する機能上の要求仕様が記載された文書。
リスクアセスメント
リスクマネジメントプロセスの中で、リスクに係わる決定を支持する情報を整理する系統だったプロセ
ス。ハザードの特定、及びそれらハザードへの曝露に伴うリスクの分析と評価からなる。
リストア
あらかじめ適切な媒体にバックアップしておいた、プログラム、パラメータ、データ等を、再度システムに
読み込ませ、システムをバックアップした時点と同様の状態に戻すこと。
その他の用語については、GQP省令、GMP省令及び関連の通知類の用語を参照。
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