内分泌療法 - 徳洲会グループ

Download Report

Transcript 内分泌療法 - 徳洲会グループ

前立腺がんとは?
解体新書の影響で摂護腺
膀胱の前に立つ、前に位置
QuickTimeý Dz
TIFFÅiîÒà•
èkÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ
ǙDZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇ­Ç•
ÅB
No.1
前立腺は、どこにある?
男性の膀胱の下にある栗の実大の器官
発生から増殖・成長まで
男性ホルモンに依存
膀胱
精嚢
尿道
前立腺
精巣
No.2
前立腺の構造
内腺:尿道に接する内側の部分
外腺:被膜近く外側の部分
内腺(中心域・移行域)
3つのゾーンにも分けられる
外腺(辺縁域)
精嚢
膀胱
移行域
中心域
射精管
被膜
尿道
線維筋性間質
辺縁域
前立腺の働き:前立腺液を分泌して、精子の運動・保護に関与
No.3
前立腺がんと前立腺肥大の違いは?
前立腺がん
前立腺肥大
残尿
主に外腺
(辺縁域)に発生
精丘
外腺から悪性の腫瘍が
発生する
内腺
(移行域)が肥大
精丘
内腺に良性の腫瘍が発生して、
尿道や膀胱を圧迫していく
2つは異なる病気だが、それぞれ合併して起こることも多い
No.4
前立腺がん検査・診断の流れ
スクリーニング検査
(一般検査)
確定診断
●PSA検査(血液検査)
●直腸診(触診)
●経直腸的超音波(エコー)検査
●生検
がんを確定するための検査
(前立腺組織を採取)
病期診断
●画像検査(CT・MRIなど)
がんの進行度(広がり)を
確認するための検査
●骨シンチグラフィ
No.5
PSA検査とは
血液検査で前立腺がんを見つける簡便な検査法
PSA=前立腺特異抗原の英語の頭文字
Prostate Specific Antigen
(前立腺)
(特異)
(抗原)
前立腺で作られるタンパク質の一種
PSA
血管
前立腺がんの腫瘍マーカー
として広く普及しています
前立腺
No.6
PSA検査(前立腺がん腫瘍マーカーの測定)
PSA(前立腺特異抗原)
前立腺に特異的なタンパク質の一種
PSA値と前立腺がん発見率
100
86%
前
立
腺
が
ん
発
見
率
(
%
)
97%
75%
80
PSA検査の年齢階層別基準値
(日本人の場合)
血液検査
60
53%
42%
40%
35%
40
28%
20%
20%
20
6%
0
年齢
PSA基準値
64歳以下
3.0 ng/mL
65〜69歳
3.5 ng/mL
70歳以上
4.0 ng/mL
Ito K, et al:Urology, 56, 278, 2000
PSA
(ng/mL)
出典 財団法人 前立腺研究財団編:前立腺がん検診テキスト
No.7
PSA(前立腺特異抗原)
•
•
•
•
•
•
•
正常前立腺組織で作られる(肥大、炎症)
がん細胞では正常より少ない産生
がんの悪性度が高いほど少ない産生
2.5未満はがんの可能性は低い
2.5-4:20%以下
4-10:30%くらい
10以上:50%くらい
No.8
直腸診(触診)
直腸壁ごしに前立腺の状態を確認
●大きさや硬さ
●弾性
●前立腺表面の凹凸
●触れると痛みがあるか
前立腺肥大との鑑別にも有用
No.9
経直腸的超音波(エコー)検査
前立腺の大きさや、がんの浸潤の有無を確認
超音波探触子(プローブ)を経直腸的に挿入
探触子
(プローブ)
No.10
検診で見つかった前立腺がんと用いた検査法
群馬大学での調査(1992〜1993)
検診を受けた人:3,526人
PSA
17
8
5
11
直腸診
(DRE)
3
前立腺がんが見つかった人:52人
3
経直腸的
超音波断層法
(TRUS)
4
検出精度(有病正診率)
・ PSA
80.8%
・ 直腸診 48.1%
・ 経直腸的超音波断層法 44.2%
Imai K, et al : J Urol, 154 : 1085-1089, 1995
No.11
前立腺がん集団検診は推奨しない
2007/9/10 読売新聞
• 国内外の研究論文を検証した結果、集団検診に
よる死亡率の減少が明らかでないうえ、精密検
査や治療による受診者への負担も無視できない
ため、市町村や職場で実施する集団検診として
は「実施は勧められない」という方針を示した。
• 1)PSA検診の普及率が75%に上る米国で死亡
率が3割低下した
• 2)検診受診者に進行がんが減ったことを示す報
告が欧州にある
No.12
日本と米国との違い
米国では50歳以上の男性の約75%は少なくともPSA検診を1
• 米国では50歳以上の男性の約75%は少なくともPSA検診を1
回は受けており、転移がんの比率が5%以下である。
回は受けており、転移がんの比率が5%以下である。
わが国では約70%の市町村が検診を実施しているとはいえ、
• わが国では約70%の市町村が検診を実施しているとはいえ、
実際の検診暴露率は極めて低く、転移がんの比率も高い。
実際の検診暴露率は極めて低く、転移がんの比率も高い。
前立腺がん検診の普及率、転移がん比率の差
日 本
米 国
検診暴露率(推定)a)
5~10%
約75%
転移がん比率
約30%
5%以下
a)50歳以上の男性の中で、前立腺がん検診を1回でも受診した人の割合を推定
資料提供:伊藤一人先生
No.13
Tyrol studyについて
前立腺がん検診の導入により、臨床病期が明らかに早期にシフトしている。
PSA検診の
無料提供開始
PSA・直腸診による
前立腺がん検診導入
T1-2M0
T3-4M0
M1
343
50
164
215
182
SDR(log-scale)
126
e
la
c
sgo
l
R
D
S
102
59
92
63
26
24
36
26
264
84
66
71
48
10 34
273
168
93
79
276
53
40
45
27
21
20
19
19
15
17
14
8
1988
1992
1996
8
7
7
2000(年)
期 間
No.14
スライド:Bartsch教授提供, Annual Meeting of American Urological Association, Abs473, 2006
PSA検診により癌死は9年間の観察で20%有意に低下する。
しかし前立腺癌による死亡を1例予防するには1068例がPS
A検診を受診する必要があり、48例の患者が治療を受ける
必要がある。N Engl J Med:2009
QuickTimeý Dz
TIFFÅiîÒà•
èkÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ
ǙDZÇÃÉsÉNÉ `ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇ­Ç•
ÅB
No.15
スクリーニング検査の種類と組み合わせ
増えているPSA検査の導入(人間ドック検診での集計)
(%)
100
90
直腸診のみ
PSA検査*
直腸診+PSA検査*
その他
*超音波検査を含む
81%
80
66%
70
PSA検査導入率
60
50
40
43%
54%
1996
1997
33%
30
20
10
0
1995
1998
1999
(年)
出典 財団法人 前立腺研究財団, 前立腺検診協議会:泌尿器外科, 16(9), 1023, 2003
No.16
前立腺がんは高齢になるほど増える
前立腺がんの年齢階級別罹患率(1998年)
400
罹
患
率
(
人
350
現役年齢(仕事場での検診)
300
口
250
10
万
対
)
200
150
100
50
0
35-39
40-44
45-49
50-54
55-59
60-64
65-69
70-74
75-79
80-84
85+
年齢(年)
出典 大野ゆう子 ほか:がん・統計白書-罹患/死亡/予後-(大島 明 ほか編), 篠原出版新社, p145, 2004
No.17
検診暴露率と転移がんの割合
群馬大学と関連病院での登録症例(1992~2001の集計)
70
地域前立腺がん登録症例に占める
60
が
ん
登
録
症
例
に
占
め
る
割
合
(
%
)
検診発見がんの割合
転移がんの割合
50
40
30
20
10
0
未実施
0~5
5~10
10~15
15~20
20~30
30~40
40~50
50~
市町村PSA検診暴露率(%)
No.18
武智浩之ほか:泌尿器外科, 18(8), 997-999, 2005
臨床病期別の前立腺がん患者数の年次推移
群馬県前立腺がん登録
(人)
800
早期がんが急増している一方で、転移がんも
依然として増え続けている
限局がん
700
600
500
患
者
数
400
300
局所進行がん
200
転移がん/周囲浸潤がん
100
偶発がん
0
1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003
No.19
Ito K, et al:Annual Meeting of American Urological Association, Abs138, 2006
日本における前立腺がんの死亡率と死亡数
日本でも死亡率・死亡数ともに増加している
年
齢
調
整
死
亡
率
(
10
/
万
人
/
年
)
7
7,000
年齢調整死亡率(世界人口で年齢調整)
6
6,000
死亡数
5
5,000
4
4,000
3
3,000
2
2,000
1
1,000
0
1950
60
70
80
90
死
亡
数
(
人
/
年
)
(年)
中田誠司 ほか:日本臨床増刊号(前立腺疾患の臨床), 60 : 44-48, 2002改変
No.20
2020年には男性のがん罹患率第2位
×103
男 性(日本)
がんの部位別罹患率と将来予測
全部位
300
100
肺
前立腺
胃
罹
患
数
結腸
肝臓
直腸
30
食道
膀胱
膵臓
10
胆嚢
リンパ組織
白血病
3
腎臓等
1
1975
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010
2015
2020
出典 大野ゆう子 ほか:がん・統計白書-罹患/死亡/予後-(大島 明 ほか編), 篠原出版新社, p202-217, 2004
No.21
前立腺癌と肥大症
• 肥大症が進むとがんになる?
そういうことはありません
• 2つの病気が一緒に起こることはある?
あります、肥大症が大きい人はかえって起こりに
くい
• できる部位がちがう?
肥大症でないところにできる
No.22
米国の男性における前立腺がんの状況
米国では罹患率第1位、死亡率2位
部位別罹患率(2001年)
30 %
31 %
4%
7%
部位別死亡率(2001年)
12 %
31 %
38 %
16 %
4%
5%
12 %
10 %
前立腺がん
肺がん*
直腸・結腸がん
膵臓がん
白血病
膀胱がん
非ホジキン
リンパ腫
その他
*肺・気管・気管支
出典 US Cancer Statistics : 2001 Incidence and Mortality
No.23
米国におけるがんの部位別罹患率の推移(年齢調整)
240
男 性 (米国)
220
30年以上前から
第1位を維持
標準人口:2000年の米国の人口
年
齢
調
整
罹
患
率
(
人
口
10
万
対
)
200
前立腺
180
160
140
120
肺
100
結腸&直腸
80
60
膀胱
40
非ホジキンリンパ腫
20
0
黒色腫
1975
1980
1985
1990
1995
2000
出典 Jemal A, et al : CA Cancer J Clin, 54(1): 8, 2004
No.24
前立腺がんの各都道府県別標準化死亡率(1990〜1997)
北部、関東、九州西部に高い死亡率
前立腺がんによる死亡が全国平均より多い
前立腺がんによる死亡が全国平均と同じくらい
前立腺がんによる死亡が全国平均より少ない
出典 中田誠司ほか:日本臨床増刊号(前立腺疾患の臨床), 60 : 44-48, 2002改変
No.25
前立腺がんが増加している背景
社会の高齢化
食生活の欧米化
(動物性脂肪の摂取量が増加)
診断法の進歩
(腫瘍マーカー:PSA検査の普及)
No.26
日本および世界の前立腺がん罹患率
1990年前後、世界人口で年齢調整
アトランタ(黒人)
ロスアンゼルス(黒人)
アトランタ(白人)
ロスアンゼルス(白人)
カナダ
スウェーデン
オーストラリア
ロスアンゼルス(日本人)
ドイツ, ザールランド
イギリス(イングランド)
チェコ
イタリア, トリノ
スペイン、アルバセテ
ペルー, リマ
アルゼンチン, コンコルデイア
ポーランド, ワルシャワ
日本, 群馬県
日本, 広島市
日本, 長崎県
日本, 宮城県
日本, 山形県
日本, 大阪府
インド , バンガロール
中国, 上海
ベトナム , ハノイ
0
20
40
60
80
100
120
140
出典 中田誠司 ほか:日本臨床増刊号(前立腺疾患の臨床), 60:44-48, 2002
No.27
潜在癌:60歳で20%、80歳で40-50%にある。
前立腺がんの特徴
高齢男性に多い病気
進行が比較的ゆっくり(直径2cmまで30年間)
初期には無症状のことが多い
早期発見・早期治療が重要
確かな知識を持ち、
定期的に検診を受けることが大切
No.28
前立腺がんの危険因子
年齢(高齢化)
遺伝
人種
食生活(脂肪の多い食事、緑黄色野菜の不足など)
性生活 (早婚、若い時の頻回の性交、性活動停止年齢が
より早いなど)
潜在癌:60歳で20%、80歳で40-50%にある。
注)前立腺がんの危険因子については、全てが明確にされている
わけではなく、食生活や性生活、その他の因子については
相矛盾する報告が見られる。
No.29
前立腺がんってどんな病気?
前立腺がんの病態について
No.30
前立腺がんの症状
早期がん
無症状
*がん特有の症状は
ない
進 行
前立腺肥大と同じ
ような症状が出現
*尿が出にくい・残尿感
*排尿時に痛みを伴う
*尿や精液に血が混じる
転移がん
骨転移に伴い
骨痛・四肢痛が出現
*腰痛 *四肢の痛み
−転移しやすい部位−
骨、リンパ節など
No.31
前立腺がんの病期別にみた生存率
早期ほど高い生存率
(%)
100
厚生省斑会議 9施設統計 (1988年まとめ)
偶発がん89.2%
(病期A1:n=20)
限局がん72.7%
実
測
生 50
存
率
(病期B:n=73)
限局がん
(偶発がん)
局所浸潤がん51.0%
(病期C:n=101)
限局がん
転移がん28.0%
3年で50%
(病期D2:n=211)
局所浸潤がん
0
周囲臓器浸潤がん
転移がん(骨・リンパ節)
1
2
3
4
5 (年)
出典 井坂茂夫:泌尿器悪性腫瘍治療ハンドブック(勝岡洋治、赤座英之編), 新興医学出版, p91, 1995より改変
No.32
前立腺がんの組織学的分類からみた生存率
(%)
100
生存率が高いのは高分化型
高分化(n=161)
90
80
70
生
存
率
60
中分化(n=550)
50
40
30
低分化(n=320)
20
10
0
100rank test : p<0.0001
100
観察期間(月)
200
原田昌興:臨床泌尿器科, 50(4): 153-159, 1996
No.33
前立腺がんってどんな病気?
前立腺がんの検査と診断
〜検査の種類と内容について〜
No.34
前立腺がん検査・診断の流れ
スクリーニング検査
(一般検査)
確定診断
●PSA検査(血液検査)
●直腸診(触診)
●経直腸的超音波(エコー)検査
●生検
がんを確定するための検査
(前立腺組織を採取)
病期診断
●画像検査(CT・MRIなど)
がんの進行度(広がり)を
確認するための検査
●骨シンチグラフィ
No.35
前立腺生検(確定診断のための検査)
組織を採取し、がん細胞の有無やその悪性度など調べる
前立腺組織を6カ所以上採取
超音波端子
6分割生検
・痛みは少ない
・検査時間は約15分程度
1泊から日帰り検査全身麻酔で疼痛が無い
No.36
茅ヶ崎徳洲会では年間160症例
疑問点
• どうしてがんになる?
答え:わかりません
• いつごろからがんに?
答え:2cmのがんになるまで約30年以上
• ほおっておいてはいけないの?
答え:PSAの異常からみつかるがんの10%が無
害(潜在癌の90%は無害)
No.37
診断方法の限界
•
•
•
•
•
•
触診:一部しか触れない
PSA:値と病期は並行することが多いが必ずしも
エコー検査:50%
CT,MRI:ある程度大きくならないと
シンチグラフィー:小さいものは?、炎症があると
生検:採れた場合は
No.38
No.39
前立腺癌の治療方針
No.40
治療法を決める重要な要素
◆がんの病期(進展度)・悪性度
◆患者さんの年齢
◆全身状態、合併症の有無
◆患者さんの希望
No.41
画像診断(病期診断のための検査)
CT/MRI:がんの広がりを調べる
骨シンチグラフィー
:骨転移の有無を調べる
CT装置
骨盤部CT画像
No.42
前立腺癌の病期分類と予後
No.43
病期別治療法の考え方(早期がん)
限局性の早期がんでは、根治可能と考えて治療を行います
偶発・触知不能がん
限局がん
(前立腺手術などで偶然に発見)
(がんが前立腺内にあるもの)
片葉の1/2以内
T1a T1b T1c
無治療
経過観察
片葉の1/2を超える
T2a
●手術療法(前立腺全摘除術)
●放射線療法
●内分泌療法
T2b
両葉に進展
T2c
単独または組み合わせ
No.44
いったい何歳まで治療を?
• 平均余命:平均寿命は男79、女85
• 余命は男65(19)高齢者
70(15)
75(12)後期・・・
80(9) 超・・・
85(6) 末期・・・
直径2cmの癌病巣になるまで約30年間
No.45
病期別治療法の考え方(浸潤・転移がん)
内分泌療法単独、または併用療法が行われます
前立腺被膜を超えて浸潤
周囲臓器進展がん
膀胱頸部
精嚢
被膜
T3a
被膜の外へ進展
(片葉または両葉)
外括約筋,
直腸,
肛門挙筋,
骨盤壁
T3b
精嚢に浸潤
放射線療法+内分泌療法
手術療法+内分泌療法
転移がん
T4
N1
精嚢以外の隣接組織に
固定または浸潤
所属リンパ節へ転移
M1
所属リンパ節
以外に転移
内分泌療法
(前立腺全摘除術)
No.46
何歳まで検査をあるいは治療は
• 日本泌尿器科学会10年目以降の会員にアンケート
1021名
• PSA検診は80歳以上にはすべきでない 39%(27%)
• 外来においては77%が限界はおかない
• 前立腺全摘は75歳(70%)
• 放射線療法は年齢限界はおかない
• 80歳以上LRに対して1.ブラキ2.ホルモン
• 80歳Bに対してMAB
直径2cmの癌病巣になるまで約30年間
No.47
治療の種類
大きく「局所的治療」と「全身的治療」に分けられます
経過観察
局
所
的
治
療
療
全
身
的
治
定期的なPSA値の検査
手術療法
前立腺全摘除術
放射線療法
外照射法
組織内照射法
3D 20
IMRT37
ブラキ
内分泌療法
(ホルモン療
法)
精巣摘出術(除睾術)
薬物療法 (注射薬・内服薬)
ホルモン
27/年
その他の治
療
化学療法(抗がん剤による治療)など
33
No.48
各治療法の特徴
治療法
手術療法
(前立腺全摘
除術)
放射線療法
(外照射法)
内分泌療法
主な特徴と適応
• 早期であれば、根治の可能性が最も高い
• 限局がんでは、第一選択として用いられる
• 他の治療に比べ、身体的な負担が大きい
主な副作用
• 尿漏れ
• 勃起障害 など
• 身体的な負担が少なく、外来で治療できる
• 排尿痛、排便困難
• 年齢を問わず治療が行える
• 尿道狭窄
• 根治的治療の他に、症状緩和を目的に使
• 勃起障害 など
われることもある
• 前立腺がんの進行を抑える治療法
• 進行期の患者さんが中心
• 手術や放射線療法と併用できる
• 性機能障害
• 筋力低下
• 腹部脂肪の増加
など
参考資料
勝岡洋治ら:日本臨床増刊号(前立腺疾患の臨床), 60, 211-217, 2002
西山勉ら:臨床泌尿器科, 57(7), 469-471, 2003
No.49
男性ホルモンとの関係
男性ホルモンの分泌経路
前立腺がんの多くは
男性ホルモン依存性
視床下部
LH-RH
精巣(睾丸)
CRH
副 腎
下垂体
LH
ACTH
テストステロン
(95%)
副腎
副腎性
テストステロン
(5%)
副腎性
テストステロン
前立腺
精巣(睾丸)
がん細胞の増殖を促進
テストステロン
LH-RH:性腺刺激ホルモン放出ホルモン
CRH:副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン
LH:黄体化ホルモン ACTH:副腎皮質刺激ホルモン
男性ホルモンは前立腺を成長させる因子
No.50
前立腺肥大症、前立腺癌を成長
内分泌療法による補助療法の目的
主な適応
限局がん
小〜中程度
(T1b, T2a)
浸潤がん
大きい
(T2b)
内分泌療法による
補助療法が
行われることがあります
被膜外や精嚢に浸潤
(T3a, T3b)
内分泌療法
(ネオアジュバント)
根治的前立腺全摘除術
又は放射線療法
内分泌療法
(アジュバント)
術前補助療法(ネオアジュバント)
手術や放射線治療の前に、がんを小さくした
り、がんの進行を抑えて治療効果を高める目
的で行います。
術後補助療法(アジュバント)
手術や放射線による根治的な治療のあと、
目に見えないがん細胞の増殖を抑え、治療
効果を高める目的で行います。
No.51
外照射法(根治的放射線療法として)
体の外から前立腺に放射線を照射し、がん細胞を死滅させる治療法
特 徴
●従来から広く行われている治療法
●外来でも治療が可能
適応
●早期の限局がん(T1, T2)が主体
●局所進行(T3)の患者さんや、局所
進行 が予想される方では内分泌療
法と併用
主な種類
写真提供:京都大学医学部放射線科
●リニアック(X線)
●粒子線 速中性子線
陽子線
重粒子線(重イオン線)
No.52
外照射法の照射方法
四門照射
原体照射
強度変調放射線治療
写真提供:京都大学医学部放射線科
外照射法では、前立腺の周辺組織への放射線の影響を
最小限に抑え、放射線のエネルギーが前立腺だけに集
まるように、放射線照射の方法を検討します。最近は、
医療機器や技術の進歩に伴い、より限局して放射線を
照射することが可能になっています。
No.53
組織内照射法(小線源療法)
前立腺がんの小線源治療
◆ 前立腺内に放射線の小線源を
埋め込み、がん細胞を死滅さ
せる新しい放射線療法。
◆ 米国では広く実施されている。
日本では実施施設が限られて
いるが、2003年7月に認可さ
れ、徐々に普及しつつある。
短期間の入院が必要
前立腺
線源を充填したカートリッジ
線源挿入具
(アプリケーター)
膀胱
直腸
超音波探触子(プローブ)
アプリケーター針
線源の大きさと構造
小線源の挿入:1〜2時間程度
4.5mm
0.8mm
大きな前立腺はホルモンで治療してから。
限局していなければ、外照射併用。
術後頻尿などの副作用、ED、失禁は徐々
に出現。
チタン製のカプセル
ヨウ素125を結合させた
銀製の短線
写真:日本メジフィジックス株式会社提供
No.54
手術療法(根治的前立腺全摘除術)
精嚢
前立腺
No.55
前立腺全摘除術の主な術式
恥骨後式
順行性
逆行性
会陰式
術式名
特 徴
恥骨後式
会陰式に比べて広範囲に切除でき、骨盤内のリンパ節郭清が同時
に行える
会陰式
腹部を切開しないので、術後の回復が早い
剥離範囲が狭く、骨盤内リンパ節の郭清が並行して行えない
No.56
神経温存前立腺全摘除術
前立腺被膜近くを通る勃起神経(神経血管束)を残す手術法
神経温存術
従来の根治術
前立腺筋膜
前立腺
剥離経路
腫瘍
腫瘍
精嚢
勃起神経
(神経血管束)
デノビエ腔
最近では、広範な前立腺全摘除術を行った後に、自分の腓腹神経(ひざ下の外側から足のくるぶしの後ろを通る神経)を
移植して勃起機能を温存する方法が行われることもある
一瀬岳人ほか:泌尿器外科, 8(11), 989, 1995
No.57
前立腺全摘除術に伴う合併症
手術中
●陰茎背面静脈叢から大量出血(5%未満)
●直腸の損傷(1%未満)
手術後
●勃起障害
◆ 神経温存を行わなかった場合は避けられない
◆ 神経温存を行った場合、十分な勃起機能の回復に
数ヵ月〜約1年位を要する(回復しないこともある)
●尿失禁(多くはカテーテル抜去後の一過性のもの)
●その他(傷口の感染、膀胱尿道吻合部の尿漏れ、吻合部狭窄)など
参考資料
荒井陽一:日本臨床増刊号(前立腺疾患の臨床), 60, 218-223, 2002
中山健:前立腺癌診療Q&A(村井勝編), メジカルビュー社, 75-80, 2004
No.58
2009/2/1 読売新聞
QuickTimeý Dz
TIFFÅiîÒà•
èkÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ
ǙDZÇÃÉsÉNÉ `ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇ­Ç•
ÅB
No.59
治療法のまとめ
• 内分泌療法は根治は難しい
• 放射線療法は根治は可能であるが、再発時は手
術的に摘出困難
• 内分泌療法、放射線療法ともに術前の正確な病
期診断は困難
• 手術療法後再発時は放射線療法、内分泌療法
の実施が可能
• 内分泌療法抵抗性、放射線抵抗性の悪性度の
高いガンの場合は手術療法が最適
No.60
ご静聴ありがとうございました
No.61