野辺山動スペクトル計の 21cm(HI)用望遠鏡としての再生

Download Report

Transcript 野辺山動スペクトル計の 21cm(HI)用望遠鏡としての再生

HI 観測用電波望遠鏡の開発と
そのスペクトルを使った教育実践
尾久土正己、佐藤奈穂子、富田晃彦、石塚亙
(和歌山大学 宇宙教育研究ネットワーク)
話に入る前に、和歌山大の近況

点在していた研究者




教育学部 富田(地学、銀河)、石塚(物理、理論)
システム工学部 曽我(情報、リモート望遠鏡、太陽系シミュ
レーター)
そこに、2003年に私が学生自主創造科学センターに赴任
学部横断、全学的な組織+地域の天文台のスタッフ→
宇宙教育研究ネットワークの設置



何か新たな経費がかかるわけではない(物理的には変化なし)
競争資金に申請するときに、力を合わせる
イベントを企画するときに、力を合わせる
12人の大集団?
顧 問
客員教授
教 授
教 授
助教授
助教授
客員助教授
客員助教授
客員助教授
客員助教授
客員助教授
研究支援員
佐藤 文隆
黒河 宏企
石塚 亙
尾久土正己
富田 晃彦
曽我 真人
矢動丸 泰
豊増 伸治
小澤 友彦
上玉利 剛
古屋 昌美
佐藤奈穂子
甲南大学
NPO花山星空ネットワーク
教育学部
学生自主創造科学センター
教育学部
システム工学部
みさと天文台
みさと天文台
みさと天文台
かわべ天文公園
かわべ天文公園
生涯学習教育研究センター
書類上は、生涯学習教育研究センターに設置
客員教員には、研究者番号を発行、科研費を積極的に申請してもらう
学内での存在をアピールして

教育・普及活動



土曜講座、紀南講座に積極参加
観月会、サイエンスカフェを大学で開催
研究活動


本発表の電波プロジェクトを推進
NewEar研究会の開催
では、本題に入ります・・・
概要
我々は、国内唯一のHI観
測電波望遠鏡の立ち上げを
行っている。
この計画では、既存の望遠
鏡(みさと天文台で展示保
存中だった直径8mの野辺
山動スペクトル計)を改修す
ることにより、安価な望遠鏡
の製作を目指す。
野辺山動スペクトル計 →
1977~1994年
野辺山太陽電波観測所にて
8m電波望遠鏡
目的

天の川のHIサーベイを行い、得られたデータから銀河系の2次元地
図の作成を目指す。これにより、オールト博士の行った研究の追体験。
また、電波観測のノウハウを蓄積することにより、高校・公開天文台
が購入できるような、安価な電波望遠鏡装置の開発を行う。→2m電
波望遠鏡プロジェクト

国内唯一のHI望遠鏡として、また、大学の占有望遠鏡として、長時間
観測が必要なサーベイ観測など、萌芽的研究を行う。卒論・修論研究
の素材としても利用。

公開天文台に設置されているため、電波天文学の広報塔として利用。
昼間の宇宙電波観測など、電波天文学に触れる機会を提供。
改修項目








鏡面精度の向上
→ パラボラの新規製作
架台の緯度補正
→ 下駄を履く
架台の補修・強化
→ 鉄骨補強
駆動系・導入装置の更新 → 恒星時追尾
受信機の開発 → 低ノイズアンプの導入
分光計の開発
→ ソフトウェア分光器
電波強度較正装置
→ ノイズソース
観測・解析ソフトの開発
→ 進行中
経費(今のところ、~1500万円)

学内競争資金




国立天文台受託研究



パラボラ面の新規製作(H17-18)
ポスドク研究員の雇用(H17~)
導入装置(H18 )
受信機、ソフトウェア分光器の製作(H17)
電波強度較正、架台の補強(H18)
科研費基盤研究

電波望遠鏡を使った科学教育(H17-18)
試験観測
9月1日
観測点 3点
分解能 ~ 2°
システム雑音
~ 約200K
得られた
スペクトル
それぞれ、異なるピーク速度・
プロファイルを持つスペクトル
が得られた。
100 km/s
過去のデータと比較
はくちょう座
方向
Nakanishi & Sofue (2003)
との比較
いて座方向
たて座方向
100 km/s
はくちょう座
方向
たて座方向
いて座方向
銀河系の回転曲線
12月、導入システムが完成
銀河回転が見えてきた!
将来の研究観測




天の川のサーベイ観測
かつてない広い速度範囲のカバーを目指す
近傍銀河・銀河団の銀河間HIのサーベイ
我々の銀河系に落ちつつある矮小銀河のHI観
測
などなど……
M31 のsubgroupの周囲のHI雲
共同研究として、
(Thilker et al. 2004)
面白い観測提案をお待ちしています。
一方で、教育実践も

電波天文は安価で始め
られる!?




学生に2mクラスを作らせ
てみよう。
アルミ角パイプを手曲げ
(面精度1cmなら簡単)
受信機の選定に苦戦
初段アンプの性能でシステ
ム全体の性能が決まること
がわかった→低価格な高
性能プリアンプを探す
受信・分光システムを8mにつけてみる
十分使える(いきなりプロ級のデータ:藤沢さん@山口大のコメント)
2mにつけてみると
初段アンプの特性の違いで連続波の傾きが違うが、十分に使える!
そこで、新宮高校で教育実践!

畑中武夫先生の記念碑の前で
紀南講座の枠組みで
音声スペアナでスペクトルに親しむ
波の性質を学習した上で

はくちょう座方向とカシオペア方向に望遠鏡を向
け、スペクトルのプロファイルを確認



波長のシフト
シングルピークとダブルピークの違い
銀河系の腕との関係を説明

ほとんどの高校生が理解できた
学習の各要点の難易度
(a) 中学理科の復習:昼間に南中している
天体は逆の季節の天体である.
100%
(b) 電波について:電波は波であり,性質を
決めているのはその周波数(波長)で
ある.スペクトルは周波数(波長)展開
したグラフである.銀河系にある水素ガ
スは特定の周波数の電波を出している.
難
易
度
50%
5
4
3
2
1
(c) ドップラー効果:発信源が運動すれば
ドップラー効果により周波数は変化す
る.
(d) 電波望遠鏡の仕組み:この電波望遠鏡
はパラボラ鏡で集めた電波を増幅しス
ペクトル表示するものである.
0%
a
(3.9)
b
(3.9)
c
(4.2)
学習の各要点
(e) 銀河系の構造:天の川を観測した際,
向ける方向によって,その周波数がシ
フトしたり,複数のピークが見えるが,
それは違う速度のガスを見ているから
である.
d
(3.6)
e
(3.8)
今後

8m望遠鏡




受信機、分光計のチューニング
指向精度の確認
研究観測を開始
公開望遠鏡としての使い方を研究、実践
すでに、12/23の天文教室で活用済みだが、常時の公開展示を

2m望遠鏡



現状で一式数十万円→20万円以下を目指す
パラボラ製作実習を開講
アマチュア電波天文学の普及啓発