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指導に役立つ効果的な
教授法と実際
高橋美由紀
(愛知教育大学)
[email protected]
♪Hello Song♪ (Hello Kids
1・2より)
M: Hello. Hello.
F: Hello. Hello.
M: How are you today? How are you doing?
F: I’m fine, thank you. And you?
M: I’m fine too, thank you.
M & F: Let’s enjoy English! Let’s enjoy English!
Hello. Hello. Hello. Let’s enjoy English!
Contents
1
小学校外国語活動の基本的な理念
2
外国語活動の効果的な教授法と実際
ー教授法を踏まえた歌・チャンツ・ゲーム等
の指導法
3
英語ノートを踏まえた外国語活動の実際
音声指導・文字指導
4
評価について
新学習指導要領
第4章外国語活動
第1 目標
外国語を通じて,言語や文化について体験的に
理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろう
とする態度の育成を図り,外国語の音声や基本
的な表現に慣れ親しませながら,コミュニケー
ション能力の素地を養う。 (下線 筆者)
英語活動 → 外国語活動

外国語活動においては、英語を取り扱うこ
とを原則とすることと言及されている。一方、
コミュニケーション等の活動を通じて、言葉
への自覚を促し、幅広い言語に関する能
力や国際感覚の基盤を培うことを目的とし
て、これまでの「英語活動」というネーミン
グが、「外国語活動」となった(文部科学省
2008)
小学校外国語活動の基本理念
①小学生の柔軟な適応力を生かすこと
②グローバル化の進展への対応
③教育の機会均等の確保
小学校外国語導入について

教科としない。 『外国語活動』という表記が
使われている。
総合的な学習の時間の延長として、英語
を含めた外国語を使っての国際理解への指
導を行うという意味を持たせている。

中学英語への導入としてとらえる。

「担任主導主義」である。
学級担任が創る小学校英語
担任教師は小学校教育の専門家
・子どもの発達段階に適した指導ができる。
・子どもの興味・関心のあることや、日常生活の
テーマを活動内容に取り入れることができる。
・他教科と連携させた内容のカリキュラムを組
むことができる。
新学習指導要領(実施時間)

小学校外国語活動
・5・6年生で週1コマ
(1コマ=45分)実施。
・年間35時間
(5・6年生で70時間)

中学校英語教育
・1年から3年まで週4コマ
(1コマ=50分)実施。
・年間140時間(1・2・3年
生で420時間)
新学習指導要領(目標)

小学校外国語活動
外国語を通じて,言語や
文化について体験的に理
解を深め,積極的にコミュ
ニケーションを図ろうとす
る態度の育成を図り,外
国語の音声や基本的な
表現に慣れ親しませなが
ら,コミュニケーション能
力の素地を養う。

中学校英語教育
外国語を通じて,言語や
文化に対する理解を深め,
積極的にコミュニケーショ
ンを図ろうとする態度の
育成を図り,聞くこと,話
すこと,読むこと,書くこと
などのコミュニケーション
能力の基礎を養う。
第4章外国語活動
第2 内容
1 外国語を用いて積極的にコミュニケーションを図
ることができるよう,次の事項について指導する。
(1) 外国語を用いてコミュニケーションを図る楽しさ
を体験すること。
(2) 積極的に外国語を聞いたり,話したりすること。
(3) 言語を用いてコミュニケーションを図ることの大
切さを知ること。
第4章外国語活動
第2 内容
2 日本と外国の言語や文化について,体験的に理
解を深めることができるよう,次の事項について
指導する。
(1) 外国語の音声やリズムなどに慣れ親しむととも
に,日本語との違いを知り,言葉の面白さや豊か
さに気付くこと。
(2) 日本と外国との生活,習慣,行事などの違いを
知り,多様なものの見方や考え方があることに気
付くこと。
(3) 異なる文化をもつ人々との交流等を体験し,文
化等に対する理解を深めること。
新学習指導要領の解説
(文部科学省2008)
(1) 音声指導
外国語活動においては,多くの表現を覚えたり,細かい文
構造などに関する抽象的な概念について理解させたりする
ことは目標としていない。一方,音声面に関しては,児童の
柔軟な適応力を十分生かすことが可能である。そこで,外
国語活動では,外国語のもつ音声やリズムなどに慣れ親し
ませることが大切になる。
例えば,日本語のミルク(mi-ru-ku)は3音節であるが,英
語のmilk は1音節である。これを日本語のようなリズムで
発音すると,英語に聞こえず,意味も伝わらない。そこで,
実際に英語で歌ったりチャンツをしたりすることを通して,
英語特有のリズムやイントネーションを体得することにより,
児童が日本語と英語との音声面等の違いに気付くことにな
る。(p.13)
歌やチャンツを外国語活動で
使用する目的
(文部科学省 『小学校外国語活動研修ガイドブック』 :57)
児童の興味・関心を高める役割
指導内容そのものとしての役割
 心理的な抵抗を下げる。
 外国語独特のリズムやイントネーションを
繰り返し練習する機会の確保
 表現に慣れるためのドリル活動として利用
し、スムーズに次の活動に移行
 記憶や集中力を助ける働き
 文化的な資料としての働き
歌やチャンツの利用
(文部科学省 『小学校外国語活動研修ガイドブック』 :57)

学習初期段階
・歌の意味よりも音やリズムの楽しさを体
験する活動が大切
・音楽が持つ文化的な背景を含めた国際
理解的な面も重視する
授業で取りあげるのに相応しくないものもあり、歌の選択には注意
歌・チャンツの利用上の注意点
(文部科学省 『小学校外国語活動研修ガイドブック』 :57)





できるだけ簡単な表現の歌を利用する。
簡単なメロディから始め、繰り返しが多いものを
利用する。
自然な発音、イントネーション、リズムのものを利
用する。
教師や児童による替え歌やチャンツも積極的に
利用する。
1フレーズごとに繰り返して歌わせる練習をする。
英語のリズムと音声
Sunshine kids Book 1
『英語ノート1』
♪フルーツチャンツ♪
(Hello Kids1より)
Oranges, oranges, apples, apples,
cherries, cherries, bananas, bananas.
Pears, peaches, pears, peaches, pears, peaches, pineapple.
Pears, peaches, pears, peaches, pears, peaches, pineapple.
Strawberries, strawberries, mangos, mangos,
grapefruits, grapefruits, persimmons, persimmons.
Lemons, melon, lemons, melon, lemons, melon, watermelon.
Lemons, melon, lemons, melon, lemons, melon, watermelon.
Hello, ×. Hello, ×.(×=Clap以下同)
May I help you, ××.
Five apples, please, ×.
Five apples, please, ×.
Here you are. Thank you.
Here you are. Thank you.
小学校外国語活動の効果的な指導法
聞く
聴
く
活
動
コミュニケーション
話
す
活
動
気づく・
理解する
自己表現
置き換え
模倣
繰り返し
言語習得理論にしたがう
(1)Silent periodの存在
言語の理解能力→発話能力の間には大き
なギャップがある
(2)Input 仮説(input hypothesis)
言語習得で必要なものは適切な (I + 1)
inputであって、それが十分に得られれば,
発話は自然に「現れる」
言語習得理論にしたがう
Natural Approach の教授法(田崎1995:167)
・The Natural Approach の目標はコミュニ
ケーション技能をつけることである
・理解は言語のアウトプットより先に起こる
・言語のアウトプットは自然に表現される
・言語の習得活動が中心である
・ 情意フィルターを薄くする
教授法
(小学校外国語活動研修ガイドブック)
文法訳読教授法
(Grammar Translation Method)
 オーディオ・リンガル・メソッド
(Audio-lingual Method)
 トータル・フィジカル・レスポンス
(Total Physical Response:TPR)
 コミュニカティブ・ランゲージ・ティーチング
(Communicative Language Teaching: CLT)

小学校外国語活動において
効果的な教授法(1)

オーディオ・リンガル・メソッド
(Audio-lingual Method)
・音声中心
・パターン・プラクティス等のOral Approach
(C.C.Fries, 1945) は、コミュニケーション活
動に繋げるための基礎学習としては重要。
模倣 → 繰り返し→ 置き換え
Audio-lingual Method




音声主体の言語体系を自動的な習慣とし
て定着させることを目的としてる。
正しい言語習慣形成のために、正しいモデ
ルの模倣と反復とを重視する。
既習の項目と比較しながら、新しい言語項
目の指導を行う。
模倣暗唱活動やパタン・プラクティス等で
言語スキルの習得を目指す。
小学校外国語活動において
効果的な教授法(2)
トータル・フィジカル・レスポンス
(Total Physical Response:TPR)



聴いて反応する。
発話を急がせない。ー母語習得のプロセスか
ら応用され、動作を発話の手がかりとする。
入門期の学習者に適した指導法。
聞く活動→気づく・理解する
Total Physical Response (TPR)



TPRは「聞いて反応する」、すなわち、指導
者の指示に従って体を動かす指導法であ
る。
指導者が英語で発することに、子どもが行
動やジェスチャーで答えることができれば、
指導者の英語を理解して、コミュニケーショ
ンが図れていると考えられる。
初期の段階の学習者に有効とされている。
コミュニケーションとは?

コミュニケーションの機能
・情報や知識を「伝える・知らせる」
・意思や感情を伝え合うことで、人間関係を形成する。

コミュニケーションの特色
・相互に影響与え合う言語・非言語による活動
・相手の反応による話の内容や表現方法を変化・継続し
ていく。→プロセス
小学校外国語活動において
効果的な教授法(3)
コミュニカティブ・ランゲージ・ティーチング
(Communicative Language Teaching: CLT)
・コミュニケーション達成を目的としている。
・目的を達成するためにも実際に言語活動を行う。
・正確な言語操作能力とともに、相互に効果的に意味
情報のやりとりができる流暢性を養成する。
・いくつかのスキルを統合して使用することでコミュニ
ケーションを図る。

CLTの主な指導原理



教室活動の目標はバランスのとれたコミュニケー
ション能力を発達させることであって、文法能力
などの特定の能力だけを伸ばすものではない。
学習者に教室で目標言語を積極的に使用させる
ことが授業の中心であり、言語構造に関わる知
識の習得それ自体を学習対象の中心とすること
はない
正確さ(accuracy)より、流暢さ(fluency)を重視する
Communicative Language Teaching

コミュニケーション・タスクの活用
↓
効果的なコミュニケーション・タスクの条件
① 学習目標として到達すべき特定の到達点や目標が設定されている。
② 目標言語を使用して情報交換をする
③ 実際のコミュニケーションと同じ、もしくは似ている作業である
④ タスクの内容は現実の社会生活と深く関連したもので、学習者の興味・
知的関心と合ったものである。
⑤ タスクを主体的に行うのは、教師ではなく学習者自身である。
『英語ノート』とは?


コミュニケーション等の活動を通じて、言葉
への自覚を促し、幅広い言語に関する能
力や国際感覚の基盤を培うことを
「英語は国際共通語であり、世界の人々と
コミュニケーションを図るための手段として
の役割を担っていること」
『英語ノート』と他教材
全国一律に小学校英語の授業を進める
・内容や範囲等について、一定の基準を例示する
ための「教材」
・必ず使用するものではなく、これまで使用してい
た教材との併用や、教育委員会等が開発した教
材等で授業を進めることもできる。
・「外国語活動」の授業では学習指導要領に沿っ
て指導することが大前提である。
『英語ノート1』を
踏まえた英語活動
5年生
Lesson1 世界の「こんにちは」を知ろう
第1時 世界には様々な挨拶があることを知る。
第2時 挨拶のマナーを知り、積極的に挨拶し、
自分の名前を言う。
第3時 友達と挨拶をし、作成した名刺を交換を
する。
♪Hello, nice to meet you !(Hello
Kids1より)
Yuki: Hello. Hello. Hello. Hello. Hello. Hello. Hello. Hello.
Yuki: I’m Yuki.
Kenta: I’m Kenta.
Yuki: Nice to meet you.
Kenta: Nice to meet you too.
Yuki & Kenta: Hello. Hello. Hello. Hello. Hello. Hello. Hello. Hello.
Mike: Hello. Hello. Hello. Hello. Hello. Hello. Hello. Hello.
Mike: I’m Mike.
Lisa: I’m Lisa.
Mike: Let’s be friends.
Lisa: Let’s be friends.
Mike & Lisa: Hello. Hello. Hello. Hello. Hello. Hello. Hello. Hello.
新学習指導要領の解説
(文部科学省2008)
(2)文字指導
アルファベットなどの文字の指導については,例えば,アル
ファベットの活字体の大文字及び小文字に触れる段階にとど
めるなど,中学校外国語科の指導とも連携させ,児童に対し
て過度の負担を強いることなく指導する必要がある。
さらに,読むこと及び書くことについては,音声面を中心とした
指導を補助する程度の扱いとするよう配慮し,聞くこと及び話
すこととの関連をもたせた指導をする必要がある。外国語を
初めて学習する段階であることを踏まえると,アルファベット
などの文字指導は,外国語の音声に慣れ親しんだ段階で開
始するように配慮する必要がある。
『英語ノート2』
を踏まえた英語活動
6年生
Lesson 3 カレンダーを作ろう
第1時 日本の行事や特徴を確認し、行事の
行われる月の言い方を知る。
第2時 自分の誕生日を言う。
第3時 月日について尋ねたり答えたりして、誕生
日カレンダーを作成する。
第4時 作成した誕生日カレンダーをもとに、誕生
月を紹介する。
(『英語ノートⅡ』 P.16)
(Sunshine Kids book 2 P.10)
(『英語ノートⅡ』18ー19)
(Sunshine Kids Book2 P.11)
英語ノートを踏まえた英語活動
6年生
Lesson 7 自分の1日を紹介しよう
第1時 地球には時差があることを知るとともに、時間につ
いての表現を知る。
第2時 先生の1日の生活について話された内容を理解
する。
第3時 自分の生活に関する表(生活表)を作成する。
第4時 作成した生活表をもとに、自分の1日を紹介する。
♪It’s time to get up!
(Tune “The Farmer in the Dell”)♪
(Hello Kids 2より)
It’s time to get up, it’s time to get up!
Brush my teeth and wash my face, it’s time to get up, UP!
It’s time to clean my room, it’s time to clean my room,
Put my socks and books away, it’s time to clean my room!
It’s time to take a bath, it’s time to take a bath!
Soap, shampoo and towels I need, it’s time to take a bath!
It’s time to go to bed, it’s time to go to bed,
Turn off the lights and sleep, it’s time to go to bed!
(『英語ノート』 6年生用44-45)
(Sunshine Kids Book 2:14-15)
(『英語ノートⅡ』
p.46,pp.48-49)
(Sunshine kids Book 2 8-9)
評価について

「外国語活動」は教科でもなく,総合的な学習の
時間とも違うことである。教科と大きく異なるのは,
評価の扱いである。教科では,「目標に準拠した
評価」に基づき評定まで出さなければならないが,
「外国語活動」では,数値化する必要がなく,
個々の児童がどれだけ頑張ったかを目標に基づ
き,記述評価するのである。また,「外国語活動」
は,目標や内容を各学校で定める総合的な学習
の時間とは趣旨・性格が異なり,国としてその目
標及び共通に指導する内容が示されている。
(新学習指導要領参照)。
評価は・・・・
1.数値化しない
2.「~ができる」というスキル的な評価では
なく、「~しようとしている」という態度面に
ついての評価とする。
3.総合的な学習の時間と同様な評価
4.児童の「振り返りカード」等から、教師が
客観的に評価をする。
♪Goodbye Song♪(Hello
F: Goodbye. Goodbye.
Goodbye to you.
Thank you to my teacher.
Thank you to my friends.
Goodbye. Goodbye.
Goodbye to you.
Have a nice time.
Goodbye, see you again.
Kids より)
参考文献
文部科学省 (2007) 『小学校外国語活動研修ガイドブック』
文部科学省(2008) 『英語ノート1・2』
文部科学省「新しい指導要領」2008.4.4
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/newcs/youryou/syo/gai.htm
高橋美由紀・山岡多美子(2002) 『小学校英語活動アクティビティ
ブックSunshine Kids Book2』開隆堂出版.
山岡多美子・高橋美由紀(2001) 『小学校英語活動アクティビティ
ブックSunshine Kids Book1』開隆堂出版.
高橋美由紀(編著)(2009)『小学校英語教育の構想』アプリコット
高橋美由紀他(2009)『小学校外国語活動アクティビティブック
Hello Kids 1/2』開隆堂出版.
田崎清忠(1995)『現代英語教授法総覧』大修館書店