Transcript 仮説①
~フリーミアムにおける 消費者心理メカニズム~ 早稲田大学守口ゼミ 2009/12/05 前橋 希美 森澤 美穂 無形財班 松本 万里奈 横倉 健大 1 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 目次 1.研究テーマ 1.研究動機 2.フリーミアム 3.研究目的 2.現状分析 4.仮説 1.仮説検証 2.仮説検証 5.総括 6.今後の展望 -ネットにおける消費者心理 3.問題意識 1.ブランド価値階層構造モデル 2.妥当性モデル 2 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 今回のテーマ 『不況に打ち勝つマーケティング』 3 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 1-1.不況による影響 主な産業の名目国内生産額の推移 情報通信産業 総務省:ICTの経済分析に関する調査 インターネット通信産業に着目! 4 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 1-1.ネットコンテンツ市場の拡大傾向 一兆円規模の市場 へ成長しつつある ネットで配信されるネットコンテンツ市場の推移 2009年6月:総務省HPより 5 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 1-1.ネットサービスの増加 “フリーミアムモデル”採用ビジネスの増加 6 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 1-2.フリーミアムモデル概要 フリーミアム Free+premiumの造語 ・無料版と付加価値の高い有料版を組みあわせたウェブ上の サービスモデル ・クリスアンダーソンによって2007年に提唱される フリーミアム 無料版 有料版 出所:FREE 7 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 1-2.フリーミアムのタイプ分類 4つのタイプに分類可能 Time limited model Feature limited model (時間制限) お試し期間があり、 期間が過ぎると自動的に有料化 例 Yahooプレミアム/TSUTAYA DISCAS (機能制限) 同サイトに無料会員と 有料会員が併存 例 ニコニコ動画/BeeTV/mixi Seat limited model Customer type limited model (人数制限) ある人数までは無料だが 一定人数超えると有料化 B to Bモデル (顧客のタイプによる制限) 利用者により無料か有料かを決定 B to Bモデル 例)bizspark 出所:FREE 8 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 1-2.併存型の成功事例 ニコニコ動画プレミアム会員の 推移動向 BeeTV有料会員数、増加中! (人) 50万人突破!! 全ユーザーの16分の1 2008年9月 http://d.hatena.ne.jp/orbiter/20081214/p1 2009年5月1日のスタートから、 利用者が2ヶ月で50万人を突破!!! ⇒現在も会員数が増加中 9 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 1-3.研究目的 不況下におけるフリーミアム 採用サイトの増加 ①フリーミアムの仕組みを明らかにする ②不況下のマーケティングに対して 一般的示唆を提示する フリーミアムには不況に打ち勝つ要素 があるのではないか? 10 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 1-3.研究テーマ フリーミアムにおける 消費者心理メカニズム 11 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 2.近年のネット利用状況 ■総ページビュー数 ■総利用時間の増加 ■インターネット利用者数 ネット利用時間 の増加 出所:Nielsen Online (http://masashi.typepad.jp/ surveyml/2009/05/post-3a17.html) 12 研究目的 現状分析 仮説① RQ 仮説② 総括 展望 2. ネットとの関わり 問1)頻繁に利用しているサイトは ありますか? 【はい】と答えた方に質問します 問1で利用しているサイトをこれからも 使い続けたいと思いますか? 9% 12.5% n=112 n=128 41% 87.5% 50% YES:112 No:16 とてもあてはまる:46 あてはまる:56 あてはまらない:10 アンケート調査:Mr.アンケート 調査日:2009/11/28~12/01 対象者:18歳~25歳の男女128名 好みのサイトを持っている人は多くいる 13 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 2.無料サービスに対する意識 Q1 N=7400人 23% 77% Q2 15% 85% 2009年11月 http://www.freemium.jp/investigation ネットサービス=無料という意識が強い 14 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 2. 発生する様々なコスト 有料会員になる時に生じるコスト 総顧客コスト・・・意思決定の際に生じるコストの総計 金銭的コスト 時間的コスト エネルギーコスト 心理的コスト 出所:コトラーら(2008) 『コトラー&ケラーのマーケティングマネジメント ミレニアム版』ピアソンエデュケーション 15 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 2.矛盾点 ネット=無料という 消費者の根強い 認識 有料会員への移 行に生じる様々な コスト ? ネットサービスに おける有料会員 数の増加 何故消費者は有料会員へ移行するのか 16 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 3.問題意識 無料サービスから有料サービスへと移行する消費者心理 の中に、フリーミアムならではのコストを支払うことに対す る抵抗感を薄れさせる仕組みがあるのではないか? 17 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 3.先行研究 消費者の価格受容パターン 商品・ブランドに対する愛着による価格受容 (ブランド価値階層構造) 商品・価格への妥当性による価格受容 (インドラジット・シンハ:2007) 参考文献:価格・プロモーション戦略(上田隆穂・守口剛[編]) 18 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 3-1.ブランド価値階層構造 ブランド受容過程の消費者価値 愛着 自己表現価値 信頼性 情緒的価値 機能的価値 識別 基本的価値 参考文献:価格・プロモーション戦略(上田隆穂・守口剛[編]) 19 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 3.先行研究 消費者の価格受容パターン 商品・ブランドに対する愛着による価格受容 (ブランド価値階層構造) 商品・価格への妥当性による価格受容 (インドラジット・シンハ:2007) 参考文献:価格・プロモーション戦略(上田隆穂・守口剛[編]) 20 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 3-2.妥当性モデル サービスが与 えるベネフィット 内的参照価 格の高まり 妥当性 個々の消費者が有する内的評価基準としての 価格に照らして、製品・サービスの価格が高いか を判断し、許容範囲内なら妥当性を見出し価格を 受容する(2003、上田) 価格戦略を知る者が「利益」を制す インドラジット・シンハ(2007) 21 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 3-2. 内的参照価格とは 内的参照価格 消費者は 安いと感じる 実際の商品価格 消費者は 高いと感じる 内的参照価格 「内的参照価格は商品の利用経験の影響を受ける」 参考文献:消費者の価格判断のメカニズム(白井美由里著) 22 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 3.RQに対する考察 コストを支払うことに対 する抵抗感が薄まる 仮説① 愛着 仮説② 妥当性 23 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 4-1. 仮説1 1-1 フリーミアムにおいてもブランド価値階層 構造モデルが成り立つ 1-2 無料会員である期間の長さは愛着の形成を促進する 無料会員の期間に着目 愛着 自己表現価値 2-1 利用経験は内的参照価格を高める 情緒的価値 信頼性 2-2 比較対象の有無は内的参照価格に影響する 機能的価値 基本的価値 識別 無料版と有料版が併存している構造に着目 24 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 4-1-1.仮説①に対するアンケート調査 【対象Webサイト】 ニコニコ動画 【対象グループ】 1ヵ月利用者 3か月利用者 6か月利用者 1年以上利用者 【アンケート内容】 各項目に対して5段階で評価してもらう 5-よくあてはまる 4-あてはまる 3-どちらともいえない 2-あまりあてはまらない 1-全くあてはまらない 【機能性】 1,接続スピードが速い 2,サービス内容が良い 3,画質が良い 4,使いやすい 【信頼性】 5,利用していて楽しい 6,利用していてワクワクする 【情緒性】 7,リフレッシュできる 8,リラックスできる 9,信頼をしている 10,安心さを感じる 11,センスを感じる 12,満足している 13,充実さを感じる 25 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 4-1-1.フリーミアムにおける価値階層構造 共分散構造分析 26 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 4-1-1.フリーミアムにおける価値階層構造 情緒性 信頼性 機能性、信頼性、情緒性 が愛着を形成 愛着 機能性 27 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 4-1-2.期間と愛着の関係性 一元配置分散分析 平均に差があるとは 言えない。 無料期間の長さ 愛着の形成 28 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 4-2. 仮説2 1-1 フリーミアムにおいてもブランド価値階層 構造モデルが成り立つ 有料会員 無料会員 未経験者 1-2 無料会員である期間の長さは 愛着の形成を促進する 価格感度測定法を用いて、質問を行う 無料会員の期間に着目 2-1 利用経験は内的参照価格を高める 2-2 比較対象の有無は内的参照価格に影響する 無料版と有料版が併存している構造に着目 29 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 4-2. 価格感度測定法とは 4つの質問によって、下限価格、上限価格、受容 価格、最適価格を導き出す方法 最適価格 出所:IT情報マネジメント 30 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 4-2-1. 仮説②に対するアンケート調査 [比較対象] ニコニコ動画、mixiプレミアム、BeeTV 有料会員 > 無料会員 > 未経験者 【アンケート内容】 あなたはこのサービスがいくら以上になると高いと思いますか? あなたはこのサービスがいくら以上になると高すぎて利用したいと思わな くなりますか? あなたはこのサービスがいくら以下になると安いと思いますか? あなたはこのサービスがいくら以下になると安すぎてサービスの質に不 安を感じますか? 31 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 4-2-1. 最適価格 有料会員、無料会員、未経験者の比較 未経験者 有料会員 無料会員 有料>無料>未経験 最適価格 有料会員:280円 無料会員:210円 未経験者:190円 32 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 4-2-2.仮説②に対するアンケート調査 [比較対象] ランダムに選択した人たち100人×2グループの計200人 [比較グループ1] [比較グループ2] 架空サイトの有料版 架空サイトの無料版と有料版 【アンケート内容】 あなたはこのサービスがいくら以上になると高いと思いますか? あなたはこのサービスがいくら以上になると高すぎて利用したいと思わなくな りますか? あなたはこのサービスがいくら以下になると安いと思いますか? あなたはこのサービスがいくら以下になると安すぎてサービスの質に不安を 感じますか? 33 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 4-2-2. 最適価格 有料版 有料無料版と有料版の比較 有料無料版 高い 高すぎる 安い 安すぎる 最適価格 有料無料版>有料版 有料版: 340円 有料無料版:400円 34 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 5.検証結果 1-1 フリーミアムにおいてもブランド価値階層 構造モデルが成り立つ 実証 1-2 無料会員である期間の長さは 愛着の形成を促進する 2-1 利用経験は内的参照価格を高める 棄却 実証 2-2 比較対象の存在は内的参照価格 を高める 実証 35 研究目的 現状分析 仮説① RQ 仮説② 総括 展望 5. 仮説検証の結果 無料の期間 ↓ 無料と有料サイトの併存 ↓ 愛着 内的参照価格の高まり コストを支払うことに対する 抵抗感が薄まる 36 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 5.研究総括 フリーミアムにおいて、無料と有料のサービスの 差を際立たせ、消費者が有料サービスに対して コストを支払う際に生じる“抵抗感”を薄めること がフリーミアムモデルの仕組みである。 37 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 展望 5.今後の展望 ・フリーミアムを含め、ネット上サービスではどのように 愛着が形成されるのかを明らかにする -愛着は製品・サービス価値を高めるために不可欠- ・「ネット=無料」という消費者の認識をいかに変えて いくか、また、その方法の模索。 -認識が強すぎるとフリーミアムの発展の阻害要因に- 38 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 6.参考文献 FREE(クリスアンダーソン作) 消費者の価格判断のメカニズム(白井美由里著) 価格・プロモーション戦略(上田瑞穂、守口剛著) 価格戦略と知る者が「利益」を制す(DIAMONDハーバードビジネス・レビュー編集部) マーケティング価格戦略(上田瑞穂) 株式会社ニワンゴHP(http://www.nicovideo.jp/) 総務省:ICTの経済分析に関する調査 JMR生活総合研究所(http://www.jmrlsi.co.jp/skillup/data/02-prch/02-15.html) 日経BP (http://bizboard.nikkeibp.co.jp/houjin/nikkeihome/nh_trendy/200907094096.pdf?NEWS_ID =200907094096tre&bt=TRE) ネットレイティングス社(http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/09/21/16956.html) (http://muryodouga.net/niconicodouga http://d.hatena.ne.jp/orbiter/20081214/p1 http://84dialog.blogspot.com/2009/06/freemium.html Nielsen Online(http://masashi.typepad.jp/surveyml/2009/05/post-3a17.html) 株式会社マクロミル ミスターアンケート IT情報マネジメント 39 研究目的 現状分析 RQ 仮説① 仮説② 総括 展望 ご清聴ありがとうございました 40