大谷 卓 (独)農業環境技術研究所

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農作物中POPsの
リスク低減技術の開発
(独)農業環境技術研究所
有機化学物質研究領域
大谷 卓・清家伸康
背 景
ドリン剤(有機塩素系殺虫剤) ・・・ ディルドリン・エンドリン・アルドリン
75年に農薬登録失効
ダーティダズン(PAN),POPs(UNEP)指定物質
難分解性 (土壌中50%消失に 5~25年?)
各地でキュウリから食品衛生法の基準値を超えるドリン類を検出
基準値(キュウリ果実) ディルドリン:0.02 ppm,エンドリン:検出せず(<0.005 ppm)
※土壌残留基準値は設定されていない
行政対応:
現地では,出荷停止・転作指導
自治体・JAが作物・土壌残留実態調査を実施 → 全国的な顕在化を懸念
生産局・地方農政局 → 技会事務局に研究対応を要請
研究としての取組に着手する必要
H16からスタート (有害化学物質イニシャチブ)
物 性
分子量
Aldrin
364.9
Dieldrin
380.9
Endrin
380.9
蒸気圧(20℃)
0.009 Pa
0.0004 Pa
-
土壌中半減期
19 d - 10 y
20 d - 7 y
63 d - 12 y
Log Kow
5.17 - 7.4
BCF
735 - 20000
ADI
残留基準
(キュウリ等)
CODEX
(Cucurbits etc.)
0.0001 mg/kg/day
(1958-72)
農薬登録
3300 - 14500
0.0001 mg/kg/day
3.209 - 5.340
4860 - 14500
0.0002 mg/kg/day
0.02 mg/kg-fw (A+Dとして)
ND (< 0.005 mg/kg-fw)
0.1 mg/kg-fw (A+Dとして)
0.05 mg/kg-fw
土壌残留基準
輸入量
3.692 - 6.2
設定されていない
3300 t
683 t
1954 -1975
1500 t
年 代
20
02
99
96
93
90
87
84
81
78
75
72
69
66
63
60
100
19
19
19
19
19
19
19
19
19
19
19
19
19
19
-1
濃 度 (ng g -dry)
保存土壌中のPOPsの経年変化
1000
DDTs
Drins
CHLs
HCHs
10
1
0.1
100
1.0
10
0.5
Sorption to Soil
1.0
0
-1
0
Hydrophilic
1
2
3
Log Kow
POPsの Log Kow > 4
土壌に強固に吸着
根に強く吸着
4
5
6
Lipophilic
ダイオキシン類(4-8 Cl)
PCB (1-10 Cl)
アルドリン
エンドリン
ディルドリン
地上部への吸収移行は
ほとんどない (はず)
(Transpiration Stream
Concentration Factor)
Briggs et al. による
オオムギ幼植物のデータ
Uptake into Shoot
(Root Concentration Factor)
Root Uptake
疎水性物質の植物吸収
ヘプタクロル
クロルデン
DDT
トキサフェン
マイレックス
イネ体のダイオキシン類異性体組成
ダイオキシン類異性体
モミガラ
PCDDs
10
葉
100
PCDFs
50
A
pg / g wet
A
pg / g wet
20
pg / g dry
30000
土壌
20000
1
3
5
7
9
11
13
15
17
19
21
23
25
27
29
31
ダイオキシン類異性体(番号は右表の異性体番号に対応)
A 土壌
土壌中の組成が異なっても,植物体中組成は同じ
土壌中にほとんどない Co-PCBs が多い
B 土壌
Co-PCBs
10000
1. 1368-TeCDD
2. 1379-TeCDD
3. 2378-TeCDD
4. 12378-PeCDD
5. 123478-HxCDD
6. 123678-HxCDD
7. 123789-HxCDD
8. 1234678-HpCDD
9. OCDD
10. 1368-TeCDF
11. 2378-TeCDF
12. 12378-PeCDF
13. 23478-PeCDF
14. 123478-HxCDF
15. 123678-HxCDF
16. 123789-HxCDF
17. 234678-HxCDF
18. 1234678-HpCDF
19. 1234789-HpCDF
20. OCDF
21. 33'44'-TeCB
22. 344'5-TeCB
23. 33'44'5-PeCB
24. 33'44'55'-HxCB
25. 233'44'-PeCB
26. 2344'5-PeCB
27. 23'44'5-PeCB
28. 2'344'5-PeCB
29. 233'44'5-HxCB
30. 233'44'5'-HxCB
31. 23'44'55'-HxCB
32. 233'44'55'-HpCB
イネ体各部位におけるダイオキシン類濃度
茎: 0.045 pg-TEQ/g wet
葉: 4.1 pg-TEQ /g wet
モミガラ: 0.38 pg-TEQ/g wet
維管束液:
< 0.0001 pg-TEQ/mL
玄米: 0.0011 pg-TEQ/g wet
土壌: 120 pg-TEQ/g dry
大気に曝露されている部位で高濃度
(葉>茎,モミガラ>玄米)
導管液からは検出されない
植物体への汚染源は大気であり,
土壌からは吸収されない
既往の知見
○ 土壌中にドリン類やヘプタクロルが残留した場合,キュウリ果実中から検出
Lichtenstein et al. (1965)
○ ウリ科(キュウリ・カボチャ・メロン)果実でドリン類の残留量が多い
永井(1973),山本ら(1973),中村ら(1974),道立中央農試(1998)
○ 台木の種類によって果実残留量が影響
須田ら(1976),丸・加藤(1977)
○ ズッキーニ等ウリ科作物がダイオキシン,クロルデンを吸収?
Hülster et al. (1994), Neumann et al. (1999), White et al. (2001)
◎ 吸収能力の作物(植物)間差の検討が不十分
本当にウリ科だけか?
◎ 吸収メカニズムが不明
なぜウリ科なのか?
目 的
① 低吸収/高吸収作物種の検索
低吸収種 = 代替作物
高吸収種 = クリーニングクロップ
② 吸収メカニズムの解明
候補植物の提示
高/低吸収種の理論的裏付け
育種への情報提供
③ 地上部への
輸 送
ドリン
仮 説 :
② 膜透過性 or
植物組織への吸着
ウリ科は①②③のすべてをクリア
他科はいずれかのステップが ×
① 土壌からの
脱 着
→ 作物間・品種間差の制限要因は?
Ⅰ.土壌残留ドリン類吸収能力の作物間比較
試験方法
○ 供試土壌; 普通黒ボク土
キュウリ連作(>10年)施設内より採取 (散布量は?)
ディルドリン: 594 µg kg-1, エンドリン: 58 µg kg-1
400 mL 容ポリポットに充填
(270 g / pot = ディルドリン: 160 µg, エンドリン: 16 µg /pot)
○ 供試作物; 17科32種
アカザ科: テンサイ, ヒユ科: アマランサス, タデ科: ソバ, シナノキ科: ジュート, アオイ科: ケナフ,
ウリ科: キュウリ ・ メロン ・ ヘチマ ・ スイカ ・ トウガン ・ ユウガオ ・ ニガウリ ・
ニホンカボチャ ・ セイヨウカボチャ ・ フィシフォリア ・ ズッキーニ
アブラナ科: コマツナ, マメ科: ダイズ ・ ラッカセイ ・ アルファルファ, トウダイグサ科: ヒマ,
アマ科: アマ, セリ科: ニンジン, ナス科: トマト ・ タバコ, シソ科: エゴマ, ゴマ科: ゴマ,
キク科: ヒマワリ, イネ科: イネ ・ トウモロコシ ・ ソルガム, ユリ科: ネギ
○ 栽培方法; パーライトに播種・育苗 - 14~42d (作物により異なる)-
→ 汚染土壌に移植 (栽植密度1~20本/pot)- 21d -
→ 地上部サンプリング
ガラス室内で栽培 (定植後21d)
25℃,自然光条件下
汚染土壌定植後 5d
ディルドリン・エンドリンの定量
約 2 g-dw 相当の植物体
アセトン抽出(ポリトロン)
← 13C-ディルドリン・エンドリン
n-ヘキサン転溶
クリーンアップ
フロリジル
グラファイトカーボン
← 13C-HxCB
土の付着と揮発を極力避けるため
シルバーシートでマルチング
底面吸水
GC/MS
定量下限:
ca. 20 µg kg-1-dw
→ < 3 µg kg-1-fw
地上部吸収量(µg / pot)
ウ リ 科
ND
ND
ND
ND
ND
ND
ND
ND
ND
ND
ND
ND
ND
ND
ND
ND
ND
ND
Tr
Tr
ND
Tr
Tr
ND
Tr
0.3
Tr
Tr
ND
Tr
ND
☆ 吸収量の作物間(17科32作物)比較 (n=3)
ND
ND
ND
Tr
ND
ND
ND
ND
Tr
ND
25
20
15
10
5
0
2
1.5
1
0.5
0
テンサイ
アマランサス
ソバ
ジュート
ケナフ
キュウリ
メロン
ヘチマ
スイカ
トウガン
ユウガオ
ニガウリ
C.moschata
C.maxima
C.ficifolia
C.pepo
コマツナ
ダイズ
ラッカセイ
アルファルファ
ヒマ
アマ
ニンジン
トマト
タバコ
エゴマ
ゴマ
ヒマワリ
イネ
トウモロコシ
ソルガム
ネギ
高吸収作物種の検索
→ ウリ科固有なのか?
ディルドリン
エンドリン
カボチャ属
・ ウリ科(7属11種)はおしなべてドリン吸収能が高い → 特異的なメカニズム?
・ ウリ科以外の科はクリーニングクロップとしては「望み薄」 (代替作物としてはOK)
・ 最大のズッキーニは土壌中全ディルドリン量 (160 µg/pot) の13%を吸収
ドリン類吸収メカニズムの検討
1. 土壌残留ドリン類の吸収と蒸散量の関係
試験方法
○ 培地; 表層腐植質黒ボク土 (ディルドリン: 594 µg kg-1)
500 mL 容ディスポカップに充填 (405 g / pot = ディルドリン: 241 µg / pot)
○供試作物; 7科10種
ウリ科: キュウリ ・ ユウガオ ・ セイヨウカボチャ ・ ズッキーニ
シナノキ科: ジュート,
アブラナ科: コマツナ, マメ科: ダイズ,
ナス科: トマト, キク科: ヒマワリ, イネ科: ソルガム
○ 栽培方法;
パーライトに播種・育苗 - ウリ科:21d,他は28d -
→ 汚染土壌に移植
(栽植密度:ウリ科1,ジュート5,コマツナ7,ダイズ3,
トマト5,ヒマワリ3,ソルガム6本/ポット)
- 21d - → 地上部サンプリング
○ 蒸散量の測定;
Σ (ポット重量の減少/day)
☆ 吸収量と蒸散量の関係 (受動吸収の可能性は?)
仮説Ⅰ: ウリ科がドリンを吸収するのは蒸散量が多いから ?
地上部ディルドリン吸収量 (µg / pot)
7
ディルドリン吸収量は
n=3
6
蒸散量に依存しない
セイヨウカボチャ
5
ズッキーニ
4
3
×
土壌中の溶存ドリンが
蒸散流で吸い上げられる
(受動吸収)
キュウリ
2
ユウガオ
1
ダイズ
ジュート
ヒマワリ
0
トマト
ソルガム
コマツナ
-1
0
0.5
蒸
1
散
1.5
量 (L/pot)
2
ウリ科特有の
吸収メカニズムが
存在する
2. 石英砂添加ドリン類吸収の作物間差
試験方法
○ 培地; 石英砂(フラタリーシリカサンド) 750 g + ディルドリン・エンドリン/5g セライト
ディルドリン・エンドリン/アセトン → 溶液をセライト(No.545)に添加 → アセトンを揮散
→ 石英砂にドリン吸着セライトを混和
ディルドリン: 8300 µg,エンドリン: 8100 µg / 5 g セライト(ポット)
○供試作物; 7科10種
ウリ科: キュウリ ・ ユウガオ ・ セイヨウカボチャ ・ ズッキーニ
シナノキ科: ジュート,
ナス科: トマト,
アブラナ科: コマツナ,
キク科: ヒマワリ,
マメ科: ダイズ,
イネ科: ソルガム
○ 栽培方法;
パーライトに播種・育苗 - ウリ科:21d,他は28d - → ドリン添加培地に移植
(栽植密度:ウリ科1,ジュート5,コマツナ7,ダイズ3,トマト5,ヒマワリ3,ソルガム6本/ポット)
- 21d - → 地上部サンプリング
☆ 液相中に飽和量のドリンが存在した場合の吸収量比較
200
n=3
150
添加量
ディルドリン8300 µg / pot
100
エンドリン: 8100 µg / pot
1.3
1.3
ソルガム
ヒマワリ
トマト
ダイズ
コマツナ
C. pepo
C. maxima
ユウガオ
キュウリ
0
1.0
1.2
50
ジュート
地上部ドリン吸収量
(µg / pot)
仮説Ⅱ: ウリ科以外の科は,溶存していても吸収不可 ?
ドリンは飽和量存在したはず
ディルドリンの水溶解度:
170 µg / L として
26 µg / 150 mL (= pF 1.5)
ウリ科以外でも 「溶けていれば」 ドリン類を吸収可能
ウリ科の
特異性
根による土壌からのドリン脱着(溶解)作用 ?
根組織のドリン吸着容量が極めて小さい ?
まとめⅠ
1. 汚染土壌を用いて各種作物のドリン類吸収能力を比較
2. 汚染土壌からのドリン吸収において,ウリ科は特異的
→ ウリ科以外はクリーニングクロップとして「望み薄」
(代替作物としては問題なさそう)
3. ズッキーニの地上部吸収量は土壌中全ディルドリン量の13%に相当
→ ファイトレメディエーションの可能性は?
4. 地上部吸収量は蒸散量に依存しない
→ 土壌溶液濃度 × 蒸散量 で表現される「受動吸収」ではない
5. 飽和条件下では,ウリ科以外でもドリン類を吸収
→ 土壌からのドリン吸収におけるウリ科の特異性は,
根部の ① 脱着(溶解)作用 or ② 吸着容量
→ いずれにしても 「根」 に支配要因がある ?
が関与 ?
Ⅱ.接木キュウリのドリン類吸収における品種間比較
汚染地で代替となりうる低吸収性品種のスクリーニング
汚染地の対策として「低吸収性品種」で対応可能 ?
キュウリは日本では大部分が「接木栽培」
接木栽培面積の割合 (1998) ・・・ 野茶試による全国アンケート調査
露地・トンネル:
ハウス:
ガラス室:
計:
64.2 %
95.8 %
97.2 %
78.7 %
大部分がカボチャ台
台木(カボチャ)-穂木(キュウリ) のどちらが
吸収を支配しているのか ?
試験方法
○供試土壌; 表層腐植質黒ボク土
キュウリ連作(>10年)施設内より採取
ディルドリン: 594 µg kg-1, エンドリン: 58 µg kg-1
400 mL 容ポリポットに充填
(270 g /pot = ディルドリン: 160 µg , エンドリン: 16 µg / pot)
○供試作物;
Ⅰ.カボチャ,キュウリ自根でのドリン類吸収能比較
共同研究4県における主力品種
台木用カボチャ10品種
穂木用キュウリ23品種
Ⅱ. カボチャ台キュウリのドリン類吸収能比較
台木用カボチャ4品種 × 穂木用キュウリ4品種 = 16組合せ
○栽培方法;
Ⅰ.パーライトに播種 -14d → 汚染土壌に移植 - 25d → 地上部サンプリング
Ⅱ.パーライトに播種 - 穂9d ,台7d → 呼び接ぎ - 9d → 穂軸切断
- 9d → 汚染土壌に移植 - 18d → 地上部サンプリング
呼び接ぎ
ガラス室内で栽培 (定植後21d)
25℃,自然光条件下
汚染土壌定植後 5d
汚染土壌定植後 15d (サンプリング 3d前)
台木用カボチャ(自根) 品種間差 (n=3)
1500
µg / kg
ディルドリン濃度
1000
3倍の
500
品種間差あり
0
15
10
5
★
★
ゆうゆう一輝黒
きらめき
ゆうゆう一輝白
ひかりパワー
Newスーパー雲竜
底力
バトラー
ひかりパワーG
★
黒だね
0
新土佐1号
µg / pot
ディルドリン吸収量
★
4品種 →
接木試験へ
0
南極2号
ハイグリーン22
ハイグリーン21
シャープ1
グリーンラックス
新北星
さちなり
ほっきこうJP
よしなり
ときわ21
金星
夏すずみ
パイロット
アンコール8
シャープ301
クライマー1号
オーシャン
大将2
なおよし
Vロード
夏ばやし
大将
エクセレント節成
µg / pot
µg / kg
穂木用キュウリ(自根) 品種間差 (n=3)
1500
ディルドリン濃度
1000
2~3倍の
500
品種間差あり
0
9
ディルドリン吸収量
6
3
★
★
★
★
4品種 →
接木試験へ
接木試験 供試品種 (n=3)
カボチャ(台木用) 自根
キュウリ(穂木用) 自根
1200
a
800
a
ディルドリン
a
ab
400
b
濃
度
b
b
b
b
400
0
0
12
12
a
8
ディルドリン
ab
bc
4
c
吸収量
8
a
ab
4
夏ばやし
シャープ301
ゆうゆう黒
きらめき
ひかりPG
4品種×4品種で 接木
シャープ1
0
0
新土佐1号
µg / pot
ab
800
よしなり
µg / kg
1200
どちらのパターンになる?
4品種 × 4品種 接木 (n=4)
2元配置の分散分析
1500
µg / kg
ディルドリン濃度
1000
FAxB = 1.17 < F(9,48) (0.05) = 2.08
500
pAxB = 0.334 > 0.05
0
15
µg / pot
ディルドリン吸収量
10
FAxB = 0.52 < F(9,48) (0.05) = 2.08
5
pAxB = 0.853 > 0.05
台木:
因子A
新土佐1号
ひかりPG
きらめき
夏ばやし
シャープ301
よしなり
シャープ1
夏ばやし
シャープ301
よしなり
シャープ1
夏ばやし
シャープ301
よしなり
シャープ1
夏ばやし
シャープ301
よしなり
穂木:
因子B
シャープ1
0
ゆうゆう黒
台木-穂木間に
交互作用 なし
接木植物のディルドリンの吸収 (n=16)
12001200
a
400
400
c
0
12
ab
8
bc
b
c
b
夏ばやし
ゆうゆう黒
0
シャープ301
きらめき
0
4
b
よしなり
ひかりPG
4
a
シャープ1
新土佐1号
吸 /収
pot量
µg
(µg / pot)
8
a
a
a
4
0
b
ab
400 400
0
0
12
12
8
a
ab
b
0
12
8
a a
a
a
bc
4
0
a
ab
c
☆ カボチャ・キュウリの自根ではどうだったか?
台木カボチャ: 新土佐 ≧ ひかりPG > きらめき ≧ ゆうゆう黒
穂木キュウリ: シャープ1 ≧ よしなり > シャープ301 ≒ 夏ばやし
シャープ301
きらめき
b
ab
よしなり
ひかりPG
b
800 800
ゆうゆう黒
b
シャープ1
新土佐1号
ab b
自根
夏ばやし
自根
µg / kg
濃
度
µg / kg
(µg / kg)
800
800
a
穂木別
カボチャ(台木用)
µg / pot
1200
1200
台木別
キュウリ(穂木用)
台木カボチャの
パターン
台木によるキュウリ果実への効果の検証
120
果実中濃度(fw-base)
汚染圃場の黒ボク土
(ディルドリン濃度 319 ng/g )
1/5000a ポットで栽培
ディルドリン濃度(ng/gfw)
90
60
30
0
200
キュウリ果実においても
茎葉中濃度(fw-base)
150
台木による汚染低減効果
100
50
(ただし,半減程度か?)
ディルドリン吸収量
(µg/pot)
0
120
地上部(果実+茎葉)吸収量
90
60
30
0
a
b
A
a
b
B
a
b
C
a
a
b
b
A
A
B
B
C
C
A: 新土佐1号, B: ひかりパワーゴールド, C: ゆうゆう一輝黒
a: シャープ1,
b: 夏ばやし
現在,現地圃場で
実証試験中
C. ficiforia
C. foetidissima
C. maxima
C. mixta
C. moschata
新土佐
ひかりPG
ゆうゆう黒
シャープ1
ズッキーニ(ブラックトスカ)
みやこ
はやと
Perehatka
不明
Nigeria14
アダナ系ズッキーニ 2
ジャイアンツパンプキン
そうめん南瓜
RAR930022
三毛門
鹿ヶ谷
備前縮緬
NO.8
鶴首
シマカボチャ
日向十四号南瓜
Nigeria9
大島在来
800
L.S.1683
ブッシュバターカップ
マサカリ
Delicious
近成芳香
Maranga Exposigao
Jacarezinro AG-2
まさかり
Ashkavak
中村早生
赤皮甘栗
デリシャス
95KO28
WIR-589
L.S.1668
670005
黒種南瓜(白皮系)
Cucurbita ficifolia
Cucurbita ficifolia
黒種カボチャ
黒種南瓜
ng / g dw
さらなる低吸収台木のスクリーニング
ディルドリン濃度
600
400
200
0
市販F1品種
C. pepo
カボチャ属中の6種間には一定の傾向は認められなかったが,
ゆうゆう一輝黒(現時点での低吸収種)の1/2程度の遺伝子源は存在する
まとめⅡ
1. 接木キュウリの品種別ドリン吸収パターンを検討
2. 汚染土壌からのドリン吸収において,
台木用カボチャ,穂木用キュウリともに,2~3倍程度の品種間差あり
3. キュウリ(穂木)/カボチャ(台木)の接木において,
地上部のドリン吸収パターンはカボチャ台木品種に依存し,
穂木キュウリ品種の影響は小さい
→ 根部がドリン吸収を支配 (メカニズムへのヒント)
4. 台木の選択はキュウリ果実の汚染低減技術として有望
ただし,現行品種では 2/3 ~1/2 程度
→ ボーダーライン(20~50 ppb 程度)の汚染に限定 (?)
今後求められる研究
1. 低吸収性台木による汚染低減効果の検証
現地圃場で,「どの程度まで対応可能か」の評価試験を実施中
さらなる低吸収性品種の育成
2. 吸着資材(活性炭等)による吸収抑制効果の検証
現地圃場で,効果およびその持続性の試験を実施中
3. 高吸収性植物によるクリーニング効果の検証
現時点での「実用化」は困難か?
→ 土壌からの溶解・脱着技術が必要
さらなる高吸収性植物の探索,育成?
ファイトレメディ
エーション
4. ウリ科植物の「吸収メカニズム」の解明
5. ドリン類分解菌の探索とバイオレメディエーションの検討
6. 土壌の汚染程度を判断するための評価法の確立
土壌中のドリン類汚染を判定する手法がない
キュウリを収穫してみないとわからない
「やさいの安全栽培指針」 (四国農業の技術情報,1973)
高知県の実態調査より
キュウリ果実中濃度(ng / gfw)/土壌中濃度(ng / gdw) < 0.3 (平均 0.13)
キュウリ果実の残留基準 0.02 ng / gfw をクリアするための
土壌残留濃度は < 0.06 ng / gdw (全ドリン濃度:アセトン-ソックスレー)
土によって異なるはず
「土壌残留濃度が指針値の0.06 ppm 以下であるにもかかわらず,
0.02 ppm を超過したキュウリを検出」
ドリンのような非イオン性(疎水性物質)の挙動は土壌有機物への吸着に規定される
Koc = {土壌吸着平衡係数(Kd)/土壌のT-C(%)} × 100
Kd = Koc × T-C/100
逆
ディルドリン濃度
(ng/gdw)
800
転
1600
植物体中濃度
土壌中濃度
600
1200
400
800
200
400
0
T-C(%)
黒ボク土
褐色低地土
6.33
2.04
0
新土佐
1号
ひかり
PG
きらめき ゆうゆう
黒
Bioavailability (この場合はキュウリの吸収量)の評価法
1.物性値:Koc,土壌:T-C,植物:RCF・TSCF をパラメーターとしてモデル化
ドリン-キュウリ に限定すれば, 土壌ドリン×0.3 をT-Cで補正 で適用可?
2.適当な抽出法 で適用可?